当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)(遅発期を含む)
本剤は強い悪心、嘔吐が生じる抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)を投与する場合に限り使用すること。,
他の制吐剤との併用において、通常、成人にはホスネツピタントとして235mgを抗悪性腫瘍剤投与1日目に1回、点滴静注する。
本剤の活性本体ネツピタントはCYP3Aに対する阻害作用を有し、CYP3Aで代謝される抗悪性腫瘍剤を含めた併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、十分注意して投与すること。,
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は、適切な避妊を行うよう指導すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物試験において、臨床用量の曝露量未満より、ラットで恥骨の未骨化、ウサギで吸収胚数及び胎児死亡数の高値、小型胎児等が認められている。また、ラットで本剤の胎盤及び胎児への移行が確認されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で本剤の乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
CYP3Aを阻害する薬剤
ケトコナゾール、クラリスロマイシン、フルコナゾール、イトラコナゾール等
本剤の活性本体ネツピタントの作用が増強するおそれがある。本剤と強いCYP3A阻害剤との併用は慎重に行うこと。
CYP3A阻害剤との併用により、本剤の活性本体ネツピタントの血漿中濃度が上昇するおそれがある。
CYP3Aを誘導する薬剤
リファンピシン、フェニトイン等
本剤の活性本体ネツピタントの作用が減弱するおそれがある。本剤と強いCYP3A誘導剤との併用は治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
CYP3A誘導剤との併用により、本剤の活性本体ネツピタントの血漿中濃度が低下するおそれがある。
CYP3Aで代謝される薬剤
デキサメタゾン、ドセタキセル、シクロホスファミド、エトポシド、ピモジド、ミダゾラム、エリスロマイシン、経口避妊剤(エチニルエストラジオール・レボノルゲストレル)等
,
これらの薬剤の作用が増強されるおそれがある。なお、デキサメタゾンを併用する場合は、デキサメタゾンの用量を減量するなど用量に注意すること。
本剤の活性本体ネツピタントのCYP3A阻害作用により、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
消化器
便秘
下痢
腹部膨満、腹痛、口内乾燥
肝臓
ALT上昇
肝機能異常、AST上昇、ALP上昇、ビリルビン上昇
精神神経系
頭痛、めまい
呼吸器
しゃっくり
循環器
QT延長、心室性期外収縮、高血圧、潮紅
過敏症
蕁麻疹、湿疹
その他
倦怠感、食欲不振
低ナトリウム血症、低カリウム血症、耳鳴、味覚障害
本剤は泡立つため、輸液バッグ等に注入する際は緩徐に注入し、静かに転倒混和すること。
本剤は、30分かけて点滴静注すること。
日本人健康成人に本剤118mg、235mg、353mgを30分かけて点滴静脈内投与したとき、ホスネツピタントは速やかに活性本体ネツピタントに代謝された。ホスネツピタント及びネツピタントの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった1)。
本剤投与量(mg)
例数
Cmax(ng/mL)
tmax(h)
AUCinf(ng・h/mL)
t1/2(h)
118
ホスネツピタント
8
3430±450
0.34±0.13
1557±198
0.26±0.33
ネツピタント
344±62
0.52±0.06
6196±1531
68.6±19.8
235
7
6291±681
0.36±0.13
2896±320
0.96±0.45
852±138
17718±4067
70.4±22.3
353
8742±1666
0.43±0.12
3970±744
0.97±0.27
1160±289
0.64±0.38
25944±4562
68.6±14.7
平均値±標準偏差
日本人悪性腫瘍患者に本剤235mgを30分かけて点滴静脈内投与したとき、ホスネツピタントは速やかに活性本体ネツピタントに代謝された。ホスネツピタント及びネツピタントの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった2)。
AUClast(ng・h/mL)
10
8448±1438
0.41±0.12
4283±651
0.60±0.51※1
1009±341
0.68±0.48
15259±4451
69.5±30.6※2
平均値±標準偏差、※1 6名、※2 8名
ホスネツピタント及びネツピタントの血漿蛋白結合率は、それぞれ93.5%及び99.67%であった(in vitro)。ホスネツピタントはOATP1B1及びOATP1B3の基質であった(in vitro)。ネツピタントはP-糖蛋白質の基質の輸送を5µmol/Lで有意に阻害し、BCRPの基質の輸送を6µmol/Lで50%阻害した(in vitro)。有色ラットで本剤関連成分のメラニン含有組織(眼球・ブドウ膜等)への親和性が認められた。
ホスネツピタントは、速やかに活性本体ネツピタントに代謝され、ネツピタントは主に脱メチル体及び2種の酸化体に代謝された2),3)。ネツピタントは主にCYP3Aで代謝されたが、CYP2C9及び2D6も代謝に一部関与した(in vitro)。ネツピタントはCYP3Aの活性を阻害定数1.1~2.2µmol/Lで阻害し、UGT2B7の活性を0.7µmol/Lで50%阻害した(in vitro)。
健康成人6名に放射能標識したネツピタント(300mg)注1)を経口投与したとき、投与後336時間までに糞中及び尿中にそれぞれ投与量の69%及び4%の放射能が排泄された4)(外国人データ)。健康成人13名にネツピタント(450mg)注1)を経口投与したとき、ネツピタントの尿中排泄率は0.1%未満であった5)(外国人データ)。
肝機能障害患者にネツピタント(300mg)注1)を経口投与したとき、軽度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 5-6)8名ではAUCinfの有意な上昇はみられなかったが、中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 7-9)8名では健康成人と比べAUCinfが有意(2.43倍)に上昇した。重度肝機能障害患者(Child-Pughスコア 10以上)2名では健康成人と比べAUCinfが2.45倍に上昇した6)(外国人データ)。
健康成人17名にネツピタント(300mg)注1)とケトコナゾール(400mg連日)を併用投与したとき、ネツピタントのAUCinfは単独投与時と比べ2.40倍であった7)(外国人データ)。
健康成人18名にネツピタント(300mg)注1)とリファンピシン(600mg連日)を併用投与したとき、ネツピタントのAUCinfは単独投与時と比べ17%に低下した7)(外国人データ)。
健康成人10名にネツピタント(300mg)注1)とミダゾラム(7.5mg)を併用投与したとき、ミダゾラムのAUCinfは単独投与時と比べ2.26倍であった8)(外国人データ)。,
健康成人10名にネツピタント(300mg)注1)とエリスロマイシン(500mg)を併用投与したとき、エリスロマイシンのAUCinfは単独投与時と比べ1.56倍であった8)(外国人データ)。,
悪性腫瘍患者8名にネツピタント(300mg)注1)とドセタキセル(75~100mg/m2)を併用投与したとき、ドセタキセルのAUClastは単独投与時と比べ1.35倍であった9)(外国人データ)。,
悪性腫瘍患者10名にネツピタント(300mg)注1)とシクロホスファミド(500~1000mg/m2)を併用投与したとき、シクロホスファミドのAUClastは単独投与時と比べ1.20倍であった9)(外国人データ)。,
悪性腫瘍患者12名にネツピタント(300mg)注1)とエトポシド(35~100mg/m2)を併用投与したとき、エトポシドのAUClastは単独投与時と比べ1.28倍であった9)(外国人データ)。,
健康成人女性24名にネツピタント(300mg)注1)とエチニルエストラジオール(60µg)・レボノルゲストレル(300µg)を併用投与したとき、エチニルエストラジオールのAUCinfは単独投与時と比べ1.12倍、レボノルゲストレルのAUCinfは1.40倍であった7)(外国人データ)。,
健康成人17名に本剤(235mg)とデキサメタゾン(1日目:朝20mg、2~4日目:朝夕8mg)を併用投与したとき、デキサメタゾンのAUC0-24(1日目)は単独投与時と比べ1.50倍、AUC84-108(4日目)は2.42倍であった10)(外国人データ)。健康成人24名にネツピタント(300mg)注1)とデキサメタゾン(1日目:12mg、2~4、6、8及び10日目:8mg)を併用投与したとき、デキサメタゾンのAUClastは、1、4、6、8及び10日目に、それぞれ単独投与時と比べ1.58、2.41、1.49、1.20及び1.11倍であった11)(外国人データ)。,,
健康成人16名に対して、ジゴキシン(1日目:0.5mgを3回、2日目以降:0.25mgを連日)の反復投与時に、ネツピタント(8日目450mg)注1)を併用投与したとき、ジゴキシンのAUC0-24は単独投与時と比べ1.04倍であった12)(外国人データ)。
健康成人18名にネツピタント(450mg)注1)とパロノセトロン(0.75mg)を併用投与したとき、パロノセトロンのAUCinfは単独投与時と比べ1.10倍であった7)(外国人データ)。
日本人健康成人22名に本剤(235mg)とグラニセトロン(40µg/kg)を併用投与したとき、グラニセトロンのAUCinfは単独投与時と比べ1.07倍であった13)。
高度催吐性抗悪性腫瘍剤投与※1に起因する消化器症状(悪心・嘔吐)に対する本剤(235mg)単回静脈内投与※2の有効性について、ホスアプレピタント(150mg)単回静脈内投与※2を対照に比較した第Ⅲ相二重盲検試験成績は以下のとおりである。,
主要評価項目
副次評価項目
投与群
全期間※3嘔吐完全抑制率※6
急性期※4嘔吐完全抑制率※6
遅発期※5嘔吐完全抑制率※6
本剤
75.2%※7(295/392)
93.9%(368/392)
76.8%(301/392)
ホスアプレピタント
71.0%※7(279/393)
92.6%(364/393)
72.8%(286/393)
※1:シスプラチン(≧70mg/m2)を含む化学療法
※2:抗悪性腫瘍剤投与前に、パロノセトロン(0.75mg)及びデキサメタゾン(9.9mg)を単回静脈内投与した。2~4日目はデキサメタゾン(6.6mg)を単回静脈内投与した。
※3:高度催吐性抗悪性腫瘍剤投与後0~120時間
※4:高度催吐性抗悪性腫瘍剤投与後0~24時間
※5:高度催吐性抗悪性腫瘍剤投与後24~120時間
※6:嘔吐性事象(嘔吐、空嘔吐)なし、かつ制吐処置なしの症例数の割合
※7:全期間の嘔吐完全抑制率について、ホスアプレピタントに対する本剤の非劣性[群間差(95%信頼区間):4.1%(-2.1%~10.3%)]が認められた(非劣性マージン:-10%)。なお、全期間嘔吐完全抑制率は性別及び年齢で調整した。
本剤の副作用発現率は22.2%(87/392名)であった。主な副作用は便秘11.2%(44/392名)、しゃっくり4.8%(19/392名)であった14)。
高度催吐性抗悪性腫瘍剤投与※1に起因する消化器症状(悪心・嘔吐)に対する本剤(235mg)単回静脈内投与※2の有効性を副次的に評価した第Ⅲ相試験成績は以下のとおりである。,
45.9%※7(23/51)
71.2%※7(36/51)
51.7%※7(26/51)
※1:ドキソルビシン/シクロホスファミド又はエピルビシン/シクロホスファミドを含む化学療法
※2:抗悪性腫瘍剤投与前に、パロノセトロン(0.75mg)及びデキサメタゾン(9.9mg)を単回静脈内投与した。
※7:嘔吐完全抑制率は年齢で標準化した。
本剤の副作用発現率は21.2%(11/52名)であった。主な副作用は下痢、倦怠感、食欲減退、頭痛、蕁麻疹でいずれも5.8%(3/52名)であった15)。
健康成人200名(外国人)にネツピタント(プラセボ、200mg、600mg)をパロノセトロン(プラセボ、0.5mg、1.5mg)併用下で投与し心電図に対する影響を評価したところ、心臓再分極に対して影響しないことが確認された16)。
ホスネツピタントは、静脈内投与後、速やかに活性本体ネツピタントに代謝される。ネツピタントは、ニューロキニン1(NK1)受容体に対して、選択的な拮抗作用を示す。
ヒトNK1受容体に対するホスネツピタントのpKi値は9.92であった17)(in vitro)。
ヒトNK1受容体に対するネツピタントのpKi値は8.90であった18)(in vitro)。
フェレットにネツピタント(3mg/kg)を経口投与したとき、アポモルヒネ、モルヒネ、トコン又は硫酸銅投与により誘発された嘔吐反応を完全に抑制した19)。
フェレットにネツピタント(0.03、0.1、0.3mg/kg)を経口投与したとき、シスプラチン投与により誘発される嘔吐反応を0.1及び0.3mg/kgの用量において有意に抑制した19)。
フェレットにネツピタント(1mg/kg)及びパロノセトロン(0.1mg/kg)を経口投与し、更にデキサメタゾン(1mg/kg)を腹腔内投与したとき、シスプラチン投与により誘発される嘔吐反応を有意に抑制し、また、パロノセトロン及びデキサメタゾンの投与時と比べ抑制した20)。
フェレットにネツピタント(0.03、0.1、0.3mg/kg)を経口投与したとき、アポモルヒネ投与により誘発される嘔吐反応を0.03、0.1及び0.3mg/kgの用量において有意に抑制した19)。
ホスネツピタント塩化物塩酸塩Fosnetupitant Chloride Hydrochloride(JAN)、Fosnetupitant(INN)
4-[5-{2-[3,5-Bis(trifluoromethyl)phenyl]-N,2-dimethylpropanamido}-4-(2-methylphenyl)pyridin-2-yl]-1-methyl-1-[(phosphonooxy)methyl]piperazin-1-ium chloride monohydrochloride
C31H36ClF6N4O5P・HCl
761.52
本品は白色~帯黄色の固体である。メタノールにやや溶けやすく、水及びエタノール(99.5)に溶けにくい。高い吸湿性を有する。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
5バイアル
1) ホスネツピタントの薬物動態試験成績(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.1)
2) Sugawara, S., et al.: Cancer 2019 ; 125(22): 4076-4083
3) Gilmore, J., et al.: J. Clin. Pharmacol. 2019 ; 59(4): 472-487
4) ネツピタントの薬物動態試験成績(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.3)
5) ネツピタントの薬物動態試験成績(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.12)
6) 肝機能障害患者におけるネツピタントの薬物動態試験成績(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.8)
7) Calcagnile, S., et al.: Support. Care Cancer 2013 ; 21(10): 2879-2887
8) Lanzarotti, C., et al.: Support. Care Cancer 2013 ; 21(10): 2783-2791
9) ネツピタントとCYP3Aで代謝される薬剤(抗悪性腫瘍剤)との薬物相互作用の検討(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.6)
10) ホスネツピタントとデキサメタゾンとの薬物相互作用の検討(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.10)
11) ネツピタントとデキサメタゾンとの薬物相互作用の検討(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.4)
12) Natale, J.J., et al.: J. Oncol. Pharm. Pract. 2016 ; 22(3): 485-495
13) ホスネツピタントとグラニセトロンとの薬物相互作用の検討(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.9)
14) Hata A, et al.: J. Clin. Oncol. 2022 ; 40(2): 180-188
15) ホスネツピタントの国内第Ⅲ相安全性試験成績(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.21)
16) ネツピタント及びパロノセトロンの心電図への影響(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.7.6.16)
17) ホスネツピタントの各種受容体結合阻害試験(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.6.2.2)
18) ネツピタントの各種受容体結合阻害試験(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.6.2.2)
19) Rudd, J.A., et al.: Front. Pharmacol. 2016 ; 7(263): 1-11
20) シスプラチン誘発嘔吐反応に対するネツピタント,パロノセトロン及びデキサメタゾンの3剤併用試験(承認年月日:2022年3月28日、CTD2.6.2.2)
大鵬薬品工業株式会社 医薬品情報課
〒101-8444 東京都千代田区神田錦町1-27
TEL 0120-20-4527
大鵬薬品工業株式会社
東京都千代田区神田錦町1-27
HELSINN
スイス
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.