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毒薬
処方箋医薬品注)
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
悪性軟部腫瘍
通常、成人にはトラベクテジンとして1回1.2mg/m2(体表面積)を24時間かけて点滴静注し、少なくとも20日間休薬する。これを1サイクルとして、投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
項目
基準値
好中球数
1500/mm3以上
ヘモグロビン
9.0g/dL以上
血小板数
10×104/mm3以上
アルブミン
2.5g/dL以上
総ビリルビン
1.5mg/dL以下
AST
施設基準値上限の2.5倍以下
ALT
ALP注2)
CK
クレアチニンクリアランス注3)
30mL/min以上
減量基準
500/mm3未満が6日間以上持続する。又は500/mm3未満で発熱、感染を伴う。
2.5×104/mm3未満
1.5mg/dLを超える。
投与後21日目以降に施設基準値上限の2.5倍を超える。
ALP
施設基準値上限の2.5倍を超える。
非血液毒性
グレード3注4)以上
減量段階
投与量
通常投与量
1.2mg/m2
1段階減量
1.0mg/m2
2段階減量
0.8mg/m2
骨髄抑制が増強するおそれがある。,,
骨髄抑制により、感染症が悪化するおそれがある。,,,
心機能障害が発現又は増悪するおそれがある。,
血中濃度が上昇するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットで本剤の胎盤及び胎児への移行が確認されており、胎児への影響又は催奇形性を示す可能性がある。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。本剤のヒトでの乳汁移行に関するデータはない。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
CYP3A阻害剤(ケトコナゾール注5)、クラリスロマイシン、アプレピタント等)
本剤の血漿中濃度が上昇し、副作用の頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用が避けられない場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること。
これらの薬剤のCYP3A阻害作用により、本剤の代謝が阻害されると考えられる。
CYP3A誘導剤(リファンピシン、フェノバルビタール、セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort:セント・ジョーンズ・ワート)含有食品等)
本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
これらの薬剤等のCYP3A誘導作用により、本剤の代謝が促進されると考えられる。
肝不全(頻度不明)及びAST(47.2%)、ALT(66.7%)等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
好中球減少(83.3%)、白血球減少(55.6%)、血小板減少(36.1%)、貧血(30.6%)、リンパ球減少(22.2%)、発熱性好中球減少症(13.9%)があらわれることがある。,,
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
過敏症(頻度不明)により死亡に至った例も報告されている。
肺炎(2.8%)、敗血症性ショック(頻度不明)等があらわれることがある。,
うっ血性心不全(2.8%)及び左室駆出率低下(頻度不明)等の心機能障害があらわれることがある。,
20%以上
5~20%未満
5%未満
頻度不明
消化器
悪心(88.9%)、食欲不振(58.3%)、便秘(47.2%)、嘔吐
口内炎、下痢、味覚異常、消化不良
腹痛
膵炎
肝臓
γ-GTP上昇
ALP上昇、ビリルビン上昇
精神神経系
頭痛、末梢感覚性神経障害
浮動性めまい
不眠症、錯感覚
呼吸器
咳嗽、呼吸困難
筋骨格系
筋肉痛、CK上昇
関節痛、背部痛
循環器
潮紅、低血圧
皮膚・皮下組織系
脱毛、注射部位反応
注射部位壊死、注射部位紅斑、注射部位疼痛、皮下溢血
その他
倦怠感(44.4%)
発熱、疲労、浮腫
低カリウム血症、体重減少
脱水、静脈炎、クレアチニン上昇、アルブミン減少
海外で、本剤投与後に白血病、骨髄異形成症候群等の悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
tmax(h)
Cmax(pg/mL)
AUCinf(ng・h/mL)
t1/2(h)
CL(L/h)
Vdss(L)
24.3(1.47,27.2)
1660(1720)
66.0(24.7)
107(29)
34.3(10.4)
3040(1170)
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、tmax及びCmaxはn=37、その他はn=33デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム:本剤投与開始約30分前に20mgを静脈内投与
固形癌患者に本剤1.5mg/m2を24時間かけて21日を1サイクルとして反復点滴静注注6)したときのCmax、AUCinf及びCLについて、サイクル1と2との間に明確な差異は認められなかった5)(外国人データ)。
サイクル
VdZ(L)
1
24.1(2.0,26.5)
1840(1121)
56.8(24.9)
103.2(41.8)
54.7(23.5)
7509(3412)
2
23.5(2.0,25.6)
1724(1436)
58.1(49.0)
77.4(57.3)
71.0(51.2)
5655(3142)
平均値(標準偏差)[tmax:中央値(範囲)]、n=24(サイクル1、tmax及びCmaxはn=23)、n=20(サイクル2)
In vitro試験において、未変化体の血漿蛋白結合率は10~100ng/mLの濃度範囲で97.28~97.77%であり、検討された濃度範囲において、概ね一定であった6)。また、in vitro試験において、トラベクテジンはP-糖蛋白(P-gp)の基質であることが示された7)。
固形癌患者(n=8)に1.1mgの用量で14C標識トラベクテジンを24時間又は3時間かけて点滴静注注6)したとき、17日間までに投与された放射能の57.6%が糞中に排泄され、10日間までに尿中には5.8%が排泄された。未変化体は排泄された放射能の1%未満であった9)(外国人データ)。
肝機能障害注7)を有する固形癌患者に本剤(0.58又は0.9mg/m2投与、各n=3)を3時間かけて点滴静注注6),注8)した場合、用量補正したCmax及びAUClastは、正常な肝機能の患者(1.3mg/m2投与、n=9)と比較して、それぞれ40%及び97%増加した10)(外国人データ)。
固形癌患者(11例)に本剤0.2又は0.58mg/m2を3時間かけて点滴静注注6),注8)するとともに、ケトコナゾール注9)200mgを本剤の投与12時間前から12時間ごとにそれぞれ計6又は15回反復経口投与した際に、ケトコナゾール非併用時(本剤1.3mg/m2、用量補正)と比較して、本剤0.58mg/m2投与時(8例)のCmax及びAUClastはそれぞれ21及び66%増加した11)(外国人データ)。
固形癌患者(8例)にリファンピシン600mg(第1~6日目)を1日1回反復経口投与するとともに、本剤1.3mg/m2を3時間かけて点滴静注注6),注8)(第6日目)した際に、リファンピシン非併用時と比較して、本剤のCmax及びAUCinfはそれぞれ22及び38%低下した12)(外国人データ)。
悪性軟部腫瘍患者(38例)に本剤1.3、1.5又は1.65mg/m2を3時間かけて点滴静注注6)するとともに、デキサメタゾン4mgを1日2回、本剤の投与前日から4日間反復経口投与した際に、デキサメタゾン非併用時と比較して、本剤のクリアランス(17例)は28%増加した13)(外国人データ)。
アントラサイクリン系などの使用可能な抗悪性腫瘍剤による治療後に病勢進行が認められた進行又は再発悪性軟部腫瘍患者を対象に、無増悪生存期間(PFS)を主要評価項目とし、本剤(1回1.2mg/m2)のベストサポーティブケア(BSC)に対する優越性の検討を目的とした第Ⅱ相比較試験を実施した。本試験に登録された患者の組織型は粘液型/円形細胞型脂肪肉腫、滑膜肉腫、胞巣型横紋筋肉腫、骨外性Ewing肉腫/未熟神経外胚葉性腫瘍、隆起性皮膚線維肉腫、胞巣状軟部肉腫、明細胞肉腫、類血管腫線維性組織球腫、線維形成性小細胞腫瘍、骨外性粘液型軟骨肉腫及び間葉型軟骨肉腫であった。その結果、有効性解析対象例73例(本剤37例、BSC36例)でのPFSにおいて、本剤のBSCに対する優越性が確認された2),14)。
治療群
症例数
PFS中央値(月)(90%信頼区間)
p値注10)
ハザード比注11)(90%信頼区間)
本剤
37
5.6(4.2,7.5)
<0.0001
0.07(0.03,0.14)
BSC
36
0.9(0.9,1.0)
副作用発現率は100%(36/36例)であった。主な副作用は悪心88.9%(32/36例)、好中球数減少83.3%(30/36例)、ALT増加66.7%(24/36例)、食欲減退58.3%(21/36例)、白血球数減少55.6%(20/36例)、便秘47.2%(17/36例)、AST増加47.2%(17/36例)、倦怠感44.4%(16/36例)、嘔吐38.9%(14/36例)、血小板数減少36.1%(13/36例)、貧血30.6%(11/36例)であった。
本剤は、DNAの副溝部分に結合し、ヌクレオチド除去修復機構を阻害すること等により細胞死及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。また、本剤は、ヒト粘液型脂肪肉腫及びヒ卜Ewing肉腫において染色体転座により発現するそれぞれFUS-CHOPタンパク及びEWS-FLI1タンパクの転写因子としての機能を阻害し、がん関連遺伝子の発現を制御することが報告されている15),16),17),18),19),20),21),22),23),24)。
本剤は、ヒ卜滑膜肉腫由来SYO-1細胞株、ヒトEwing肉腫由来SK-ES-1細胞株、ヒト胞巣型横紋筋肉腫由来SJCRH30細胞株、ヒト骨肉腫由来KHOS/NP細胞株、ヒト横紋筋肉腫由来RD細胞株及びヒ卜平滑筋肉腫由来SK-LMS-1細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した25),26),27),28),29),30)。
トラベクテジン(Trabectedin)
(1'R,6R,6aR,7R,13S,14S,16R)-6',8,14-Trihydroxy-7',9-dimethoxy-4,10,23-trimethyl-19-oxo-3',4',6a,7,12,13,14,16-octahydro-2'H,6H-spiro[6,16-(epithiopropanooxymethano)-7,13-epiminobenzo[4,5]azocino[1,2-b][1,3]dioxolo[4,5-h]isoquinolin-20,1'-isoquinolin]-5-yl acetate
C39H43N3O11S
761.84
白色の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、アセトンにやや溶けやすく、ジクロロメタン又はアセトニトリルに溶けにくく、水にはほとんど溶けない。
155~162℃(分解)
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル
1) 山谷英利 : 「染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍患者を対象としたET-743の第Ⅱ相臨床試験」における薬物動態の検討(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.6.9)
2) Kawai A, et al. : Lancet Oncol. 2015 ; 16(4): 406-416
3) Ueda T, et al. : Invest New Drugs. 2014 ; 32(4): 691-699
4) Komuro M : Statistical analysis to assess dose proportionality of the PK parameters of YONDELIS(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.2.3)
5) Misset J.L : Pharmacokinetics in the study titled “Phase I Pharmacokinetic Study to Determine the Safety of Ecteinascidin-743 (ET-743) Administered as a Continuous Intravenous Infusion Over 24 Hours Every 21 Days In Patients With Solid Tumors”(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.6.2)
6) Vermeir M : The plasma protein binding and blood distribution of R279741 (ET-743) in animals and man(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.5.3.2)
7) Beumer J-H, et al. : Invest New Drugs. 2007 ; 25 : 1-7
8) Vermeir M : An in-vitro study on the metabolism of R279741 (ET-743) in liver subcellular fractions of male Cynomolgus monkey and man, and in E. coli membranes containing heterologously expressed human CYPs, and on the identification of the cytochrome P-450 isoenzymes involved in its metabolism(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.4.5)
9) Hoogendam I : Mass balance study of ET-743 administered as a 3- or 24-Hour intravenous infusion to patients with advanced cancer(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.2.2、2.7.6.3)
10) Knoblauch R : An Open-Label, Multicenter, Pharmacokinetic Study of Trabectedin in Subjects with Advanced Malignancies and Hepatic Dysfunction, 社内資料, 研究報告書No.556
11) Dirix L : An Open-Label, Multicenter Study to Assess the Potential Effects of Ketoconazole on the Pharmacokinetics of Trabectedin in Subjects with Advanced Malignancies(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.2.2、2.7.6.6)
12) Sharma S : An Open-Label, Multicenter Study to Assess the Potential Effects of Rifampin on the Pharmacokinetics of Trabectedin in Subjects with Advanced Malignancies(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.2.2、2.7.6.5)
13) Cubedo R : Pharmacokinetics in Phase Ⅱ Clinical Trial of ET-743 as 2nd or 3rd Line treatment in patients with advanced stage and/or metastatic Soft tissue sarcoma(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.2.2、2.7.6.7)
14) 染色体転座を伴う悪性軟部腫瘍患者を対象としたET-743の第Ⅱ相臨床試験(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.7.6.9)
15) Pommier Y, et al. : Biochemistry. 1996 ; 35(41): 13303-13309
16) Zewail-Foote M, et al. : J Med Chem. 1999 ; 42(14): 2493-2497
17) Takebayashi Y, et al. : Nat Med. 2001 ; 7(8): 961-966
18) Tavecchio M, et al. : Eur J Cancer. 2008 ; 44(4): 609-618
19) Minuzzo M, et al. : Proc Natl Acad Sci USA. 2000 ; 97(12): 6780-6784
20) Friedman D, et al. : Cancer Res. 2002 ; 62(12): 3377-3381
21) Allavena P, et al. : Cancer Res. 2005 ; 65(7): 2964-2971
22) Germano G, et al. : Cancer Cell. 2013 ; 23(2): 249-262
23) Forni C, et al. : Mol Cancer Ther. 2009 ; 8(2): 449-457
24) Grohar PJ, et al. : Neoplasia. 2011 ; 13(2): 145-153
25) 小森敏治 他 : ヒトユーイング肉腫由来細胞株SK-ES-1のヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
26) 小森敏治 他 : ヒト胞巣型横紋筋肉腫由来細胞株SJCRH30のヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
27) 小森敏治 他 : ヒト骨肉腫由来細胞株KHOS/NPのヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
28) 小森敏治 他 : ヒト横紋筋肉腫由来細胞株RDのヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
29) 小森敏治 他 : ヒト平滑筋肉腫由来細胞株SK-LMS-1のヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
30) 小森敏治 他 : ヒト滑膜肉腫由来細胞株SYO-1のヌードマウス皮下移植腫瘍に対するTrabectedin(ET-743)の抗腫瘍効果及びその用量反応性(承認年月日:2015年9月28日、CTD2.6.2.2)
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