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劇薬
覚醒剤原料
処方箋医薬品注)
小児期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)
※:Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders
通常、小児にはリスデキサンフェタミンメシル酸塩として30mgを1日1回朝経口投与する。症状により、1日70mgを超えない範囲で適宜増減するが、増量は1週間以上の間隔をあけて1日用量として20mgを超えない範囲で行うこと。
血圧又は心拍数の上昇により症状を悪化させるおそれがある。
行動障害、思考障害又は躁病エピソードの症状が悪化するおそれがある。
痙攣閾値を低下させ、発作を誘発するおそれがある。
症状を悪化又は再発させるおそれがある。
本剤の活性体であるd-アンフェタミンの血中濃度が上昇するおそれがある。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。出生前又は出生後早期に、本剤の活性体であるアンフェタミンの臨床用量相当量を曝露したげっ歯類において、出生児に学習障害、記憶障害若しくは自発運動量の変化等の長期の神経行動学的変化、発育遅延又は生殖能への影響が認められている。
授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。,,
MAO阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者には本剤を投与しないこと。高血圧クリーゼが起こるおそれがある。また、死亡に至るおそれがある。
神経外モノアミン濃度が高まると考えられる。
本剤の作用が増強することがある。
本剤の活性体であるd-アンフェタミンの腎排泄が抑制され、半減期が延長する。
本剤の作用が減弱することがある。
本剤の活性体であるd-アンフェタミンの腎排泄が促進され、半減期が短縮する。
まれにセロトニン症候群が起こることがある。
本剤のセロトニン再取り込み阻害作用及び神経終末からのセロトニン放出促進により、セロトニン作用が増強すると考えられる。
メチルフェニデート塩酸塩を投与中の患者には本剤の投与を避けることが望ましい。本剤の作用が増強するおそれがある。
相加作用のおそれがある。
ショック、アナフィラキシー(顔面蒼白、呼吸困難、そう痒等)があらわれることがある。
不適切な使用により精神的依存を生じることがあるので、観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し、慎重に投与すること。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
過敏症、蕁麻疹、血管浮腫
循環器
頻脈
血圧上昇、動悸
レイノー現象
精神神経系
不眠(45.3%)、頭痛、めまい
易刺激性、チック、眠気、感情不安定、激越
振戦、怒り、不安
多弁、リビドー減退、うつ病、不快気分、多幸症、歯ぎしり、自傷性皮膚症、精神病性障害、躁病、幻覚、攻撃性、落ち着きのなさ、精神運動亢進、痙攣、ジスキネジア、味覚異常
消化器
食欲減退(79.1%)、悪心、腹痛、下痢、嘔吐
便秘、口内乾燥
腹部不快感
その他
体重減少(25.6%)
疲労感
**霧視、散瞳、呼吸困難、好酸球性肝炎、多汗症、胸痛、びくびく感、発熱、勃起不全、鼻出血、脱毛症
急性過量投与の症状は、落ち着きのなさ、振戦、反射亢進、頻呼吸、錯乱、攻撃性、幻覚、パニック状態、異常高熱、横紋筋融解等である。セロトニン症候群の発現も報告されている。通常、疲労及び抑うつは中枢神経系刺激後に生じる。心血管系への影響として不整脈、高血圧あるいは低血圧、循環虚脱等があらわれる。また、胃腸症状として悪心、嘔吐、下痢、腹部仙痛等があらわれる。致死的な中毒を起こす前には、通常、痙攣及び昏睡があらわれる。
治療の際には、本剤の作用が長期にわたり持続することを考慮する。なお、本剤及び本剤の活性体であるd-アンフェタミンは透析で除去されない。,
PTP包装から取り出した無包装状態では、吸湿により品質に影響を及ぼすことが認められたため、分包しないこと。
本剤のがん原性試験は実施していない。活性体であるd-アンフェタミンのマウス及びラットのがん原性試験ではがん原性を示唆する所見は見られなかったが、これらのがん原性試験は臨床曝露量未満で実施されており、十分な安全域は担保されていない。
健康成人11例に本剤20mg注1)、50mg及び70mgを漸増法でそれぞれ1日1回空腹時5日間、計15日間反復経口投与したとき、各投与量における投与5日目の血漿中リスデキサンフェタミン及びd-アンフェタミン濃度推移を図16-1に、薬物動態パラメータを表16-1に示す。d-アンフェタミンは投与後3~5時間でCmaxに達し、Cmax及びAUCは用量に比例して増加した。また、反復投与開始後5日以内に定常状態に達した1)。
測定成分
投与量
(mg)
例数
Cmax※1(ng/mL)
AUC0-τ※1(ng・hr/mL)
Tmax※2(hr)
リスデキサンフェタミン
20
11
8.82±2.44
10.50±2.69
1(1-1.5)
50
33.58±10.19
41.32±10.52
1(1-2)
70
10
47.27±19.94
65.89±23.09
1.5(1-3)
d-アンフェタミン
25.80±5.29
335.84±89.73
3(1.5-5)
66.12±13.24
889.48±191.83
4(3-5)
92.07±16.51
1280.56±290.06
5(3-8)
※1:算術平均値±標準偏差
※2:中央値(最小値-最大値)
日本人及び外国人小児AD/HD患者(194例)から得られた血漿中d-アンフェタミン濃度データ(1365ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行った。その結果、見かけの全身クリアランスに対して体重及び民族が、見かけの分布容積に対して体重が統計学的に有意な共変量であった。また、日本人児童患者60例(6~12歳)及び青少年患者19例(13~17歳)に本剤30mg、50mg及び70mgを1日1回経口投与したとき、母集団薬物動態解析の結果に基づき推定した薬物動態パラメータは表16-2のとおりである2)。
投与群
児童(6~12歳)
青少年(13~17歳)
Cmax(ng/mL)
AUC0-τ(ng・hr/mL)
30mg
16
66.7(50.4-99.6)
1028(821.8-1487)
5
47.7(33.0-54.4)
750.1(518.3-883.9)
50mg
18
119(82.8-147)
1885(1362-2278)
77.3(59.5-89.6)
1310(961.0-1500)
70mg
26
168(94.3-250)
2669(1599-3711)
9
118(102-129)
1953(1563-2144)
※:中央値(最小値-最大値)、母集団薬物動態解析ソフトNONMEMⓇに基づく薬物動態パラメータを用いたベイジアン推定値
リスデキサンフェタミンは消化管から速やかに吸収され、その吸収には、ペプチドトランスポーターであるPEPT1が関与することが示唆されている3)(in vitro)。
健康成人18例に、本剤70mgを空腹時又は朝食後(高脂肪食)に単回経口投与した場合、d-アンフェタミンのTmaxは約1時間遅延したが、Cmax及びAUCに差は認められなかった4)(外国人データ)。
d-アンフェタミンのヒト血漿蛋白結合率は約16%である5)。
軽度から高度の腎機能障害を有する被験者24例、血液透析を要する被験者8例及び腎機能正常者8例に本剤30mgを単回経口投与したときのd-アンフェタミン薬物動態パラメータを表16-3に示す。腎機能の低下に伴い、血漿中からの消失が遅延し、AUCが増大することが示された。また、リスデキサンフェタミン及びd-アンフェタミンは透析でほとんど除去されなかった9)(外国人データ)。,
AUC0-inf※1(ng・hr/mL)
T1/2※1(hr)
腎機能正常者
8
32.2±5.3
597.9±44.5
3.5(3-4)
12.1±2.5
腎機能障害者
軽度60≦eGFR<90
35.1±11.1
637.7±123.8
4(2-6)
12.8±2
中等度30≦eGFR<60
27.5±4.9
702.7±182.9
4(3-6)
16.8±5.2
高度15≦eGFR<30
28.4±5.9
856.9±161.5
19.8±1.9
血液透析※3
20.1±3.3
1126.3±437.9
4(2-8)
38.2±16.5
eGFR:推算糸球体ろ過量(mL/min/1.73m2)
※3:透析後
健康成人41例に、本剤50mgとグアンファシン塩酸塩徐放錠4mgの単回投与における薬物相互作用試験を実施したところ、本剤存在下でグアンファシンのCmaxは約19%増加したが、AUCに対する影響は認められなかった。また、グアンファシン塩酸塩徐放錠併用投与によるリスデキサンフェタミン及びd-アンフェタミンの薬物動態への影響は認められなかった10)(外国人データ)。
健康成人76例に、本剤70mgとCYP2D6基質であるベンラファキシン塩酸塩徐放性カプセル225mgの漸増反復投与における薬物相互作用試験を実施したところ、本剤存在下でベンラファキシンのCmaxは約10%、AUCは約13%増加した。また、ベンラファキシンの活性代謝物であるO-デスメチルベンラファキシンのCmaxは約9%、AUCは約17%減少した。ベンラファキシン塩酸塩徐放性カプセル併用投与によるリスデキサンフェタミン及びd-アンフェタミンの薬物動態への影響は認められなかった11)(外国人データ)。
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施した第2/3相二重盲検並行群間比較試験において、主要評価項目であるm-ITT集団における投与4週時のADHD-RS-IV合計スコアのベースラインからの変化量は表17-1のとおりであり、本剤各群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められた12)。,
ベースライン
投与4週後
ベースラインからの変化量※2、3
プラセボとの比較※3
測定値※1
群間差[95%信頼区間]
p値※4
プラセボ
19
37.95±7.40
34.68±10.73
-2.78±2.25
-
38.05±6.74
19.78±9.74
-16.38±2.24
-13.61[-19.80,-7.42]
<0.0001
37.06±6.94
17
17.41±9.04
-18.10±2.35
-15.32[-21.65,-9.00]
37.15±7.80
20.47±13.15
-16.47±2.29
-13.69[-19.98,-7.40]
※1:平均値±標準偏差
※2:調整平均値±標準誤差
※3:投与群、評価時点及び投与群と評価時点の交互作用を固定効果、ベースラインのADHD-RS-IV合計スコア(40点未満/40点以上)及び年齢(6歳以上10歳未満/10歳以上13歳未満/13歳以上18歳未満)を共変量としたMMRM(誤差分散の共分散構造:unstructured)による解析
※4:プラセボ群と本剤各用量群との対比較における検定の多重性は、本剤70mg群とプラセボ群との対比較、及び本剤50mg群とプラセボ群との対比較を第1仮説族、本剤30mg群とプラセボ群との対比較を第2仮説族としたSerial Gatekeeping法(第1仮説族における2つの群間比較をそれぞれ両側有意水準0.05で行い、共に有意であった場合に限り、第2仮説族における群間比較を両側有意水準0.05で行う)により調整
副作用は、本剤30mg群で13/19例(68.4%)、本剤50mg群で18/18例(100.0%)、本剤70mg投与群で13/20例(65.0%)に認められた。主な副作用は、本剤30mg群では食欲減退8例(42.1%)、本剤50mg群では食欲減退14例(77.8%)、頭痛6例(33.3%)及び初期不眠症5例(27.8%)、本剤70mg群では食欲減退11例(55.0%)及び初期不眠症5例(25.0%)であった。
小児AD/HD患者(6歳以上18歳未満)を対象に実施した第3相長期投与試験において、有効性の評価尺度であるADHD-RS-IV合計スコアの推移(m-ITT集団)は表17-2のとおりであった13)。,
期間(週)
継続例
新規例※3
プラセボ/本剤集団※1
本剤/本剤集団※2
合計スコア
0※4
34.84±10.76
29.78±10.88
63
31.35±8.04
1
29.79±8.32
23.10±10.57
20.37±10.05
2
26.63±9.41
18.86±10.09
62
18.10±9.94
3
25.22±10.14
16.78±10.38
61
15.11±10.36
23.76±10.21
48
15.92±10.12
12.67±9.06
23.38±9.54
49
14.96±9.91
58
12.93±9.28
13
22.13±8.96
47
15.28±10.06
11.72±9.11
15
20.67±8.80
46
15.15±10.40
57
10.82±8.41
29
18.80±10.01
43
13.77±9.97
55
10.40±9.17
41
16.47±8.16
40
14.75±9.89
51
8.67±8.00
53
15.23±7.72
14.80±10.78
8.49±7.37
最終評価時
18.63±9.31
15.00±10.13
10.40±8.66
平均値±標準偏差
※1:先行する二重盲検試験でプラセボ群に割り付けられ、長期投与試験では本剤を投与された集団
※2:先行する二重盲検試験で本剤30mg群、50mg群又は70mg群に割り付けられ、長期投与試験で引き続き本剤を投与された集団
※3:長期投与試験で新規登録され本剤を投与された集団
※4:長期投与試験開始時
副作用は全体で116/132例(87.9%)に認められた。主なものは、食欲減退97例(73.5%)、初期不眠症50例(37.9%)であった。
リスデキサンフェタミンはプロドラッグであり、活性体であるd-アンフェタミンは、ノルアドレナリントランスポーター及びドパミントランスポーターに対する阻害作用、脳内シナプトソームからのノルアドレナリン及びドパミンの遊離作用、モノアミン酸化酵素Aに対する阻害作用を示し、前頭前皮質及び線条体における細胞外ノルアドレナリン及びドパミン濃度を増加させることによりシグナルを調節している可能性が示唆されているが、AD/HDの治療効果における詳細な作用機序は不明である14)。
幼若ラットにリスデキサンフェタミンを経口投与すると、衝動性行動の減少が認められた。AD/HDモデル動物である自然発症高血圧ラット及び6-hydroxydopamineにより脳内のドパミン神経を変性させたラットにd-アンフェタミンを腹腔内投与すると、多動性及び衝動性の改善が認められた。マウス及び自然発症高血圧ラットに低用量のd-アンフェタミンを腹腔内投与すると持続的注意の改善が認められた14)。
リスデキサンフェタミンメシル酸塩(Lisdexamfetamine Mesilate)(JAN)
(2S)-2,6-Diamino-N-[(2S)-1-phenylpropan-2-yl]hexanamide dimethanesulfonate
C15H25N3O・2CH4O3S
455.59
白色~淡黄白色の粉末又は塊である。
192~198℃
-1.76[1-オクタノール/水]
アルミピロー包装開封後は、湿気を避けて遮光して保存すること。
30カプセル[10カプセル(PTP)×3]
1) 社内資料:健康成人の薬物動態試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.2.1)〔201900065〕
2) 社内資料:小児AD/HD患者における母集団薬物動態解析(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.2.3)〔201900066〕
3) 社内資料:非臨床薬物動態試験:吸収(2019/3/26承認、申請資料概要2.6.4.3)〔201900064〕
4) 社内資料:食事の影響試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.1.1)〔201900068〕
5) Baggot,J.D.et al.:Biochem.Pharmacol.1972;21:1813-1816〔201900069〕
6) 社内資料:非臨床薬物動態試験:代謝(2019/3/26承認、申請資料概要2.6.4.5)〔201900063〕
7) Golub,M.et al.:Birth Defects Res.B Dev.Reprod.Toxicol.2005;74:471-584〔201900070〕
8) 社内資料:マスバランス試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.2.2)〔201900071〕
9) 社内資料:腎機能障害者試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.4.1)〔201900067〕
10) 社内資料:薬物相互作用試験-グアンファシン塩酸塩-(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.5.2)〔201900072〕
11) 社内資料:薬物相互作用試験-ベンラファキシン塩酸塩-(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.5.3)〔201900073〕
12) 社内資料:小児AD/HD患者の第2/3相二重盲検試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.6.1)〔201900074〕
13) 社内資料:小児AD/HD患者の第3相長期投与試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.7.6.6.13)〔201900075〕
14) 社内資料:効力を裏付ける試験(2019/3/26承認、申請資料概要2.6.2.2)〔201900076〕
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