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劇薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
通常、成人にはベドリズマブ(遺伝子組換え)として1回108mgを2週間隔で皮下注射する。
適切な処置と十分な観察が必要である。本剤は免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性がある。,,
結核、敗血症、サイトメガロウイルス感染、リステリア症及び日和見感染等の重度の感染症患者については、感染症がコントロールされるまで本剤の投与を開始しないこと。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の妊婦に対する有益性が胎児への危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物試験(サル)で妊娠期間中にベドリズマブを静脈内投与した母動物の分娩後に乳仔の血清中からベドリズマブが検出された。
授乳中の女性には、治療上の母親への有益性、母乳栄養の有益性及び哺乳中の児への潜在的な危険性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒトで乳汁中へのベドリズマブの移行が報告されている1),2)。本剤の哺乳中の児への影響は不明である。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした国内臨床試験は実施していない。
感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと。一般に生理機能(免疫機能等)が低下していることが多い。
生ワクチン
接種した生ワクチンの病原に基づく症状が発現した場合には、適切な処置を行うこと。
生ワクチンによる感染症発現の可能性が否定できない。
アナフィラキシー等の重度の過敏症反応(呼吸困難、気管支痙攣、じん麻疹、潮紅、発疹、血圧変動、心拍数増加等)があらわれることがある。そのような場合には、投与を中止し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者を十分に観察すること。
肺炎、敗血症、結核、リステリア症、サイトメガロウイルス感染、日和見感染等の重篤な感染症があらわれることがある。本剤投与中に重篤な感染症を発現した場合には、感染症がコントロールできるようになるまでは投与を中止すること。,,,,,
PMLの発現が報告されているので、観察を十分に行い、片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等のPMLが疑われる症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺疾患(間質性肺炎、好酸球性肺炎等)が報告されているので、咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音の異常(捻髪音)等があらわれた場合には、速やかに胸部X 線、胸部CT、血清マーカー等の検査を実施すること。間質性肺疾患が疑われた場合には本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
0.1~5%
精神神経系
頭痛
消化器
悪心
呼吸器
咳嗽、口腔咽頭痛
皮膚
発疹、そう痒症
筋・骨格系
関節痛、背部痛、四肢痛
その他
注射部位反応(紅斑、腫脹、そう痒感等)、上咽頭炎、発熱、気管支炎、上気道感染、インフルエンザ、副鼻腔炎、疲労
日本人健康成人に本剤108mgを単回皮下投与した時のベドリズマブの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは下記のとおりであった4)。
AUCt(µg·day/mL)
AUC∞(µg∙day/mL)
Cmax(µg/mL)
tmax(day)
t1/2(day)
598(30)
611(29)
16.76(33)
7.00(5.00, 7.00)
15.4(20)
tmaxは中央値(最小値、最大値)、その他は平均値(CV%)、n=5
8週
14週
22週
30週
38週
46週
例数
10
9
8
血清中トラフ濃度(µg/mL)
36.86±11.63
38.75±12.26
37.28±14.87
36.33±18.21
36.83±17.03
34.94±18.73
[算術平均値±標準偏差]
7
3
2
23.73±8.96
27.33±11.45
24.29±17.82
25.40注)
29.60注)
41.65注)
[算術平均値±標準偏差]注)2例の算術平均値
日本人及び外国人の健康成人に本剤108mgを単回皮下投与した時の絶対的バイオアベイラビリティは75.1%であった4)。
健康成人にベドリズマブ450mgを点滴静注した時注)、脳脊髄液中にベドリズマブは検出されなかった7)(外国人のデータ)。注)本剤の承認された用法及び用量は1回108mgを2週間隔で皮下投与である。
ベドリズマブはヒト化IgG1モノクローナル抗体であることから、内因性の免疫グロブリンの消失経路と同じと推察される。
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な日本人及び外国人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。ベドリズマブ300mgを0、2週に点滴静注し、6週時点に改善注)を示した216例(日本人症例22例を含む)に対してプラセボ、本剤108mgを2週間隔又は参照群としてベドリズマブ点滴静注製剤300mgを8週間隔で投与した時、52週時点の寛解率は下表の通りであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた5)。,,注)改善:以下の条件をともに満たした場合
プラセボ
本剤
点滴静注製剤
寛解率注1)
14.3%(8/56)
46.2%(49/106)
42.6%(23/54)
p値注2)
-
<0.001
注1)寛解:完全Mayoスコアが2以下かつ全てのサブスコアが1以下注2)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定
副作用発現頻度は、本剤群では26.4%(28/106)であった。主な副作用は潰瘍性大腸炎5.7%(6/106)、注射部位反応(発疹、腫脹等)8.5%(9/106)、頭痛3.8%(4/106)であった5)。
他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン、6-メルカプトプリン、メトトレキサート、抗TNFα製剤のうち少なくとも1剤)で効果不十分な日本人及び外国人の中等症から重症のクローン病患者を対象とした二重盲検比較試験を実施した。ベドリズマブ300mgを0、2週に点滴静注し、6週時点に改善注)を示した409例(日本人症例9例を含む)に対してプラセボ又は本剤108mgを2週間隔で投与した時、52週時点の寛解率は下表の通りであり、本剤群はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高い寛解率が認められた6)。,,注)改善:CDAIスコアがベースライン(0週目)から70ポイント以上減少
34.3%(46/134)
48.0%(132/275)
0.008
注1)寛解:CDAIスコアが150以下注2)無作為化の層別因子によるCochran-Mantel-Haenszel検定
副作用発現頻度は、本剤群では19.3%(53/275)であった。主な副作用はクローン病2.2%(6/275)、注射部位反応(紅斑、そう痒感等)2.9% (8/275)、関節痛1.1%(3/275)、頭痛1.1%(3/275)であった6)。
α4β7インテグリンはメモリーTリンパ球表面に発現する。α4β7インテグリンは、消化管粘膜の血管内皮細胞表面に発現する粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)に接着することによって消化管粘膜及び腸管関連リンパ系組織へのリンパ球浸潤を媒介する。ベドリズマブはα4β7インテグリンに特異的に結合し、α4β7インテグリンと主に消化管に発現するMAdCAM-1との結合を阻害する一方で、中枢神経、皮膚等多くの臓器に発現する血管細胞接着分子-1(VCAM-1)との結合は阻害しなかった(in vitro)8)。
ベドリズマブのマウス相同抗体であるAct-1はワタボウシタマリン(慢性大腸炎を自然発症するタマリン類のサル)において消化管粘膜へのリンパ球浸潤を阻害し、潰瘍性大腸炎及びクローン病で見られる消化管粘膜の炎症を低減させた9)。
ベドリズマブはカニクイザルにおいて消化管へのリンパ球浸潤を選択的に抑制した10)。
ベドリズマブ(遺伝子組換え)(Vedolizumab [Genetical Recombination])〔JAN〕
ベドリズマブは、遺伝子組換えヒト化モノクローナル抗体であり、マウス抗ヒトα4β7インテグリン抗体の相補性決定部、並びにヒトIgG1のフレームワーク及び定常部からなり、H鎖の239及び241番目のアミノ酸残基がAlaに置換されている。ベドリズマブは、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。ベドリズマブは、451個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び219個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約150,000)である。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1キット
1) Lahat A, et al.:J Crohns Colitis.2018;12(1):120-123.
2) Julsgaard M, et al.:Gastroenterology.2018;154(3):752-754.
3) ベドリズマブの薬力学試験成績(エンタイビオ点滴静注用2018年7月2日承認、CTD 2.7.6.8)
4) ベドリズマブの薬物動態試験成績(エンタイビオ皮下注2023年3月27日承認、CTD 2.7.6.1)
5) ベドリズマブの潰瘍性大腸炎患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験成績(エンタイビオ皮下注2023年3月27日承認、CTD 2.7.6.7)
6) ベドリズマブのクローン病患者を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験成績(エンタイビオ皮下注2023年9月25日承認、CTD 2.7.6.1)
7) ベドリズマブの薬物動態試験成績(エンタイビオ点滴静注用2018年7月2日承認、CTD 2.7.2.2)
8) Soler D, et al.:J Pharmacol Exp Ther.2009;330(3):864-875.
9) Hesterberg PE, et al.:Gastroenterology.1996;111(5):1373-1380.
10) Fedyk ER, et al.:Inflamm Bowel Dis.2012;18(11):2107-2119.
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