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日本薬局方
リオチロニンナトリウム錠
処方箋医薬品注)
劇薬(25mcgチロナミン錠のみ)
新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]
リオチロニンナトリウムとして、通常成人初回量は1日5~25μgとし、1~2週間間隔で少しずつ増量する。
維持量は1日25~75μgとする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
投与する必要がある場合には少量から開始し、通常より長期間をかけて増量し、維持量は最少必要量とすること。基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。
副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。
観察を十分に行い、慎重に投与すること。血糖管理状況が変わることがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
少量から投与を開始し、通常より長期間をかけて増量し、維持量は最少必要量とするなど注意すること。本剤を投与すると基礎代謝の亢進による心負荷により狭心症等をきたすおそれがある。また、一般に高齢者では生理機能が低下している。
クマリン系抗凝血剤
本剤はクマリン系抗凝血剤の作用を増強するおそれがあるので、プロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。
甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝固因子の異化を促進することが考えられている。
交感神経刺激剤
本剤はこれらの作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので慎重に投与すること。
甲状腺機能亢進症では心臓のカテコールアミンに対する感受性が増大することが考えられている。
強心配糖体製剤
甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。
吸収、腎排泄、分布容積、血中半減期あるいは心筋の反応性の変化が関与していると考えられている。
血糖降下剤
血糖降下剤を投与している患者に本剤を投与すると、血糖管理状況が変わるおそれがあるので、血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。
甲状腺ホルモンはインスリン分泌、肝での糖新生、末梢組織での糖の取込み等糖代謝系全般にわたって作用し、血糖値を変動(上昇あるいは低下)させることが考えられている。
コレスチラミン
コレスチミド
鉄剤
アルミニウム含有制酸剤
炭酸カルシウム
炭酸ランタン水和物
セベラマー塩酸塩
同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少するおそれがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。
本剤が左記の薬剤と結合し、腸管吸収が低下することが考えられている。
フェニトイン製剤
カルバマゼピン
フェノバルビタール
これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。
これらの薬剤が甲状腺ホルモンの異化を促進することが考えられている。
アミオダロン
アミオダロンは甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。
アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。
経口エストロゲン製剤
経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。
経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられている。
狭心症、うっ血性心不全があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者では、副腎クリーゼがあらわれることがあるので、副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
頻度不明
過敏症
発疹等
肝臓
AST、ALT、γ-GTPの上昇
循環器注1)
心悸亢進、脈拍増加、不整脈
精神神経系注1)
振戦、不眠、頭痛、めまい、発汗、神経過敏・興奮・不安感・躁うつ等の精神症状
消化器注1)
食欲不振、嘔吐、下痢
その他注1)
筋肉痛、月経障害、体重減少、脱力感、皮膚の潮紅
一度に大量服用した場合には、本剤吸収の抑制(状況に応じ催吐・胃洗浄、コレスチラミンや活性炭の投与等)及び対症療法(換気維持のための酸素投与、交感神経興奮症状に対するプロプラノロール等のβ-遮断剤の投与、うっ血性心不全に対する強心配糖体の投与や発熱、低血糖及び脱水に対する処置等)を行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
リオチロニンナトリウムは、細胞の核内に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合して遺伝子の転写を調節するgenomic action又は遺伝子の転写制御を介さないnongenomic actionにより、以下の作用を示す1)。
熱産生の増加、基礎代謝率の上昇、酸素消費の増大をもたらし、これらはチトクローム系酵素蛋白質の増加によると考えられている(甲状腺機能低下症患者、ラット)2)。
成長を促進するが、多量ではかえって成長を抑制する。骨、歯の成長にも促進的に作用し骨端線の閉鎖を促す(ラット)2)。
蛋白質合成促進作用を示す。この作用は、RNAポリメラーゼの活性の増大、m-RNA生成の促進、リボゾームにおける蛋白生成の促進等によるとされている(甲状腺機能低下症患者、ラット)。一方、過量では蛋白分解が合成を上回るためN平衡は負となる2),3)。
末梢組織での糖利用を高め、肝グリコーゲンの分解を促進して血糖を上昇させる(ラット)2)。
血清コレステロール、中性脂肪、リン脂質、β-リポプロテイン、脂肪酸等の低下作用を示す(甲状腺機能低下症患者、ラット)2)。
組織から血液への水分移動促進による血液量の増加、代謝亢進に伴う循環血液量の増加、糸球体ろ過量の増大等により利尿作用を示す。また、尿中へのNa、Kの排泄を増加させる(甲状腺機能低下症患者、健常人)2)。
リオチロニンナトリウム(Liothyronine Sodium)〔JAN〕
Monosodium O-(4-hydroxy-3-iodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosinate
C15H11I3NNaO4
672.96
リオチロニンナトリウムは白色~淡褐色の粉末で、においはない。エタノール(95)にやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。水酸化ナトリウム試液又はアンモニア試液に溶ける。
外箱開封後は遮光して保存すること。
100錠(バラ)、PTP 1,000錠(10錠×100)
100錠(バラ)
1) 清野裕, 他編:ホルモンの事典. 朝倉書店, 2004, p.220.
2) 鈴木光雄. 臨床薬理学大系. 1966;12:225-238.
3) 長滝重信. 新内科学大系. 1973;41(内分泌疾患Ⅱ):29-33.
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