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劇薬
処方箋医薬品注)
通常、成人には12週に1回リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを皮下に投与する。投与に際しては、注射針を上にしてプランジャーロッドを押して、懸濁用液全量を粉末部に移動させて、泡立てないように注意しながら、十分に懸濁して用いる。
初回投与初期の血清テストステロン濃度の上昇に伴い、原疾患の症状が悪化する可能性がある。
出血症状が増悪することがある。
治療に際しては妊娠していないことを確認し、治療期間中は非ホルモン性の避妊をさせること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。LH-RH誘導体による流産の報告があり、本剤の動物試験で胎児死亡の増加及び胎児体重の低値(ラット、ウサギ)1)並びに骨格異常の増加傾向(ウサギ)1)がみられている。,
投与しないこと。ラットで乳汁への移行がみられている。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
下垂体卒中が下垂体腺腫患者で報告されているので、初回投与直後に頭痛、視力・視野障害等があらわれた場合には、検査のうえ外科的治療等の適切な処置を行うこと。
下垂体-性腺系刺激作用による血清テストステロン濃度の上昇に伴って骨疼痛の一過性増悪、尿路閉塞あるいは脊髄圧迫がみられることがある。
エストロゲン低下作用に基づく更年期障害様のうつ状態があらわれることがある。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
肝臓
LDH上昇
黄疸、AST、ALT、γ-GTP、AL-Pの上昇
内分泌系
ほてり、熱感
頭痛、不眠、顔面潮紅、めまい、発汗、性欲減退、勃起障害、女性化乳房、睾丸萎縮、会陰部不快感
筋・骨格系
関節痛、骨疼痛、肩・腰・四肢等の疼痛、歩行困難、手指等のこわばり
筋肉痛、骨塩量の低下
皮膚
皮膚炎、頭部発毛
泌尿器系
頻尿、血尿、BUNの上昇
循環器
心電図異常、心胸比増大
血液
貧血、血小板減少
消化器
悪心、嘔吐、食欲不振、便秘
下痢
過敏症
発疹、そう痒
投与部位
硬結
疼痛、発赤
膿瘍、腫脹、潰瘍、そう痒、肉芽腫、腫瘤、熱感、壊死等の注射部位反応
その他
浮腫、胸部圧迫感、悪寒、倦怠感、口唇・四肢のしびれ、体重増加、知覚異常、難聴、耳鳴、発熱、総コレステロール上昇、トリグリセライド上昇、尿酸上昇、高カリウム血症、血糖値上昇
脱力感
痙攣
低エストロゲン症状
ほてり、熱感、のぼせ、肩こり、頭痛、不眠、めまい、発汗
性欲減退、冷感、視覚障害、情緒不安定
女性生殖器
不正出血、腟乾燥、性交痛、腟炎、帯下増加、卵巣過剰刺激症状、乳房の疼痛・緊満感・萎縮
関節痛、骨疼痛等の疼痛
手指等のこわばり、腰痛、筋肉痛、筋痙攣、骨塩量の低下、血清リン上昇、高カルシウム血症
ざ瘡、皮膚乾燥、脱毛、多毛、爪の異常
精神神経系
眠気、いらいら感、記憶力低下、注意力低下、知覚異常
AST、ALT、AL-P、LDH、γ-GTP、ビリルビンの上昇
黄疸
悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、腹部膨満感、下痢、便秘、口内炎、口渇
心悸亢進、血圧上昇
赤血球増多、貧血、白血球減少、血小板減少、部分トロンボプラスチン時間延長
頻尿、排尿困難、BUNの上昇
疲労、倦怠感、脱力感、口唇・四肢のしびれ、手根管症候群、耳鳴、難聴、胸部不快感、浮腫、体重増加、下肢痛、息苦しさ、発熱、総コレステロール上昇、LDLコレステロール上昇、トリグリセライド上昇、高カリウム血症
体重減少、味覚異常、甲状腺機能異常
肝機能異常
ほてり、頭痛、性欲減退
めまい、発汗、不眠、男性性機能不全、勃起障害
関節痛、背部痛、筋肉痛
骨粗鬆症、四肢痛、変形性脊椎症、筋骨格痛、筋骨格硬直
内出血、疼痛
便秘、体重増加、高脂血症、高血圧、湿疹
胸痛、頻尿、貧血、感覚鈍麻、倦怠感、トリグリセライド上昇、血清リン上昇、末梢性浮腫、鼻咽頭炎、末梢冷感、呼吸困難、下痢、胃炎、血尿
ラットにリュープロレリン酢酸塩として4週間持続の徐放性製剤0.8、3.6及び16mg/kg/4週を1年間、並びにリュープロレリン酢酸塩水溶液注射剤0.6、1.5及び4mg/kg/日を2年間それぞれ皮下投与した試験で、良性下垂体腺腫が認められたとの報告がある2)。
前立腺癌患者(未治療例)に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを単回皮下投与した場合の血中濃度[代謝物M-I(Tyr-D-Leu-Leu-Arg-Pro-NHC2H5)注)を含む]は以下のとおりであった。
前立腺癌既治療患者(リュープリン注射用3.75mgの投与により抗腫瘍効果が安定して得られている患者)51例を対象に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週ごとに2回皮下投与した時の血中濃度(代謝物M-I注)を含む)は、投与24週後までほぼ0.2~0.3ng/mLで推移した。血中濃度の推移からみて蓄積性はないと考えられる。
閉経前乳癌患者(術後患者)に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週ごとに2回皮下投与(タモキシフェンクエン酸塩20mg/日を併用投与)した時の血中濃度(代謝物M-Iを含む)は以下のとおりであり、定常状態に達した投与16週後以降、投与24週後までほぼ0.2ng/mLで推移した。
球脊髄性筋萎縮症患者(32例)にリュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週ごとに皮下投与した時の血中濃度(代謝物M-Iを含む)は、3時間後に最高血中濃度(18.699±3.3050ng/mL)に到達して以降、12週後から48週後までの投与前値は0.153~0.213ng/mLで推移した。
対象患者
投与回数
投与・観察期間
抗腫瘍効果(奏効率)注2)
去勢レベル維持率注3)
未治療例
1回
12週
100%(10/10例)
既治療例注1)
2回
24週
80.4%(41/51例)
100%(46/46例)
注1)リュープリン注射用3.75mgの投与により抗腫瘍効果が安定して得られている患者。注2)観察期間終了時における「前立腺癌の非観血的治療効果判定基準」による評価。奏効率は、未治療例ではCR+PR、既治療例ではS以上の症例の割合を示す(CR : Complete Response、PR : Partial Response、S : Stable)。注3)観察期間終了時における血清テストステロン濃度が去勢レベル(100ng/dL)以下の症例の割合を示す。
副作用の発現頻度は、既治療例を対象とした国内第Ⅱ相非盲検群間比較試験で23.5%(12/51例)であり、主な症状は発汗、ほてり及び注射部位硬結(注射部疼痛性硬結を含む)であった。未治療例を対象とした国内第Ⅱ相非対照試験では副作用はみられなかった。
抗腫瘍効果(奏効率)注1)
閉経期レベルへの抑制率注2)
閉経前進行・再発乳癌
22.7%(5/22例)
-
閉経前乳癌術後
98.4%(61/62例)
注1)24週間における「進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準」による評価(Best Response)。奏効率は、CR+PRの症例の割合を示す(CR : Complete Response、PR : Partial Response)注2)24週時点における血清エストラジオール濃度が閉経期レベル(30pg/mL)未満の症例の割合。
上記の閉経前乳癌術後患者71例を対象に96週まで投与した試験における無再発生存率は93.5%であった。また、外国(欧州)においてリンパ節転移陽性の閉経前及び閉経周辺期乳癌術後患者を対象に、リュープロレリン酢酸塩の投与又はCMF療法を行った海外第Ⅲ相無作為割付群間比較試験における無再発生存率は以下のとおりであった。
投与薬剤
用法用量
投与開始2年後の無再発生存率(主要評価項目)
投与開始5年後の無再発生存率(副次評価項目)
リュープロレリン酢酸塩11.25mg
3ヵ月に1回皮下投与・24ヵ月間投与
83.0%(224/270例)
60.5%(153/253例)
CMF療法シクロホスファミド500mg/m2、メトトレキサート40mg/m2、フルオロウラシル600mg/m2
各薬剤を1ヵ月毎に2回(1日目及び8日目)静脈内投与することを1サイクルとし、6サイクル(6ヵ月間)投与
80.9%(207/256例)
60.6%(146/241例)
副作用の発現頻度は、ホルモン動態及び安全性に関する国内第Ⅱ相非盲検群間比較試験では95.8%(68/71例)であり、主な症状は熱感、頭重(感)、頭痛、発汗及び腰痛であった。国内第Ⅱ相非対照試験では100%(22/22例)であり、主な症状は熱感、頭重(感)、発汗、悪心、注射部位硬結、注射部位疼痛であった。海外第Ⅲ相無作為割付群間比較試験では95.2%(280/294例)であり、主な症状はほてり、体重増加、多汗であった。
遺伝子検査にて診断が確定した球脊髄性筋萎縮症患者を対象に、リュープロレリン酢酸塩として11.25mgを12週に1回、48週間皮下投与したプラセボ対照の医師主導二重盲検群間比較試験において、主要評価項目である咽頭部バリウム残留率の変化量は以下のとおりであった。解析1では群間差は有意だったが(2標本t検定:p=0.049)、本解析のみベースライン値の分布に群間で偏りがみられたため調整解析した結果、群間差は有意でなかった。解析2では群間差は有意でなく(2標本t検定:p=0.331)、解析3(開封後の追加解析)では群間差は有意であった(2標本t検定:p=0.063)3),4)。
解析
投与群
N
平均値(90%信頼区間)
群間差(90%信頼区間)
解析1注2,3)
97
-1.55%(-3.73%~0.64%)
-3.21%(-5.89%~-0.52%)
プラセボ
96
1.66%(0.08%~3.24%)
解析2注2,4)
79
-1.01%(-2.69%~0.66%)
-1.27%(-3.41%~0.88%)
77
0.25%(-1.11%~1.61%)
解析3注2,5)
98
-5.08%(-8.59%~-1.56%)
-5.26%(-9.92%~-0.60%)
0.18%(-2.90%~3.26%)
注1)投与終了時(投与開始48週後又は中止時)における投与開始時からの平均変化量注2)試験計画時の検証的主解析は解析3だったが、試験途中で主解析が解析1、及び解析2(検証対象)に変更された。解析3は開封後に探索的解析として実施。(有意水準:両側10%)注3)複数回の嚥下を考慮した一連の嚥下後の咽頭部バリウム残留率による解析(調整解析前)注4)初回嚥下後の咽頭部バリウム残留率が50%以上の被験者を除いた解析注5)初回嚥下後の咽頭部バリウム残留率が50%以上の被験者を含む解析
副作用発現頻度は、57.0%(57/100例)であり、主な副作用は、ほてり10%(10/100例)、頭痛、関節痛及び注射部位硬結が各7.0%(7/100例)、肝機能異常6.0%(6/100例)並びに背部痛、便秘及び血中トリグリセリド増加が各5.0%(5/100例)であった3)。
高用量のLH-RH又は高活性LH-RH誘導体であるリュープロレリン酢酸塩を反復投与すると、初回投与直後一過性に下垂体-性腺系刺激作用(急性作用)がみられた後、下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生・放出が低下する。更に、精巣及び卵巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下し、テストステロン及びエストラジオール産生能が低下する(慢性作用)。リュープロレリン酢酸塩のLH放出活性はLH-RHの約100倍であり、その下垂体-性腺機能抑制作用はLH-RHより強い。リュープロレリン酢酸塩が高活性LH-RH誘導体であり、下垂体-性腺機能抑制作用が強い理由は、リュープロレリン酢酸塩が、LH-RHと比較して蛋白分解酵素に対する抵抗性が高いこと、LH-RHリセプターに対する親和性が高いことなどによる。更に、本剤は徐放性製剤であるので、常時血中にリュープロレリン酢酸塩を放出して効果的に精巣及び卵巣の反応性低下をもたらし、下垂体-性腺機能抑制作用を示す5),6),7),8)。
変異アンドロゲン受容体を発現させた球脊髄性筋萎縮症モデルマウスにおいて、変異アンドロゲン受容体の核内への蓄積の低下、筋力低下の抑制が認められた9)。
リュープロレリン酢酸塩(Leuprorelin Acetate)〔JAN〕
5-Oxo-L-prolyl-L-histidyl-L-tryptophyl-L-seryl-L-tyrosyl-D-leucyl-L-leucyl-L-arginyl-N-ethyl-L-prolinamide monoacetate
C59H84N16O12・C2H4O2
1269.45
リュープロレリン酢酸塩は白色~帯黄白色の粉末である。水又は酢酸(100)に極めて溶けやすく、メタノールに溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。吸湿性である。
1キット
1) 大島洋次郎, 他. 薬理と治療. 1990;18(Suppl.3):589-607,609-623,625-631,633-639.
2) 茶谷文雄, 他. 薬理と治療. 1990;18(Suppl.3):575-588.
3) リュープリン酢酸塩の臨床試験成績(2017年8月25日承認、CTD 2.7.6.1)
4) Katsuno M, et al. Lancet Neurol. 2010;9(9):875-884.
5) 須藤勝一, 他. 薬理と治療. 1990;18(Suppl.3):515-520.
6) 前多敬一郎, 他. 薬理と治療. 1990;18:2615-2629.
7) 山崎巌, 他. 武田研究所報. 1977;36:64-70.
8) 須藤勝一, 他. 薬理と治療. 1990;18(Suppl.3):521-528.
9) Katsuno M, et al. Nat Med. 2003;9(6):768-773.
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