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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。ただし、本剤1日1回90mgを超える投与量の投与時において、14日間以上休薬し再開する場合、本剤の投与量は、休薬の理由を問わず7日間は1日1回90mgとすること。7日間の投与後の投与量は、副作用や患者の状態に応じて1日1回120mg又は180mgとすることができる。
用量レベル
本剤の1日用量(1日1回投与)
レベル2
180mg
レベル1
120mg
レベル0
90mg
レベル-1
60mg
中止
60mgで忍容性が得られない場合は、本剤の投与を中止すること。
副作用
程度注)
処置
間質性肺疾患,,,
Grade 1
Grade 2
Grade 3又は4
投与中止する。
高血圧
Grade 3
Grade 1以下に回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
Grade 4
徐脈
Grade 2又は3
視覚障害
クレアチンキナーゼ(CK)上昇
Grade 3又は4(Grade 2以上の筋肉痛又は脱力を伴う)
リパーゼ又はアミラーゼ上昇
Grade 1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
高血糖
適切な治療を行っても250mg/dLを超える高血糖が持続する場合
血糖がコントロールできるまで休薬する。回復後、1用量レベル減量して投与再開できる。
上記以外の副作用
注)GradeはNCI-CTCAE ver 4.03に準じる。
間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。,,,
減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラットを用いた胚・胎児発生毒性試験において、最大臨床用量(180mg/日)におけるブリグチニブの曝露量(AUC)の約0.5倍の曝露量で胎児重量の低値及び骨格変異が、約0.8倍の曝露量で吸収胚数及び着床後死亡率の増加並びに奇形(外表、内臓及び骨格)が認められている3)。
授乳しないことが望ましい。本剤は乳汁中に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
強い又は中程度のCYP3A阻害剤
本剤の副作用が増強されるおそれがあるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。併用が避けられない場合は、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。
左記薬剤等との併用により本剤の代謝が阻害され、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
強い又は中程度のCYP3A誘導剤
本剤の効果が減弱するおそれがあるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること。
左記薬剤等との併用により本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下するおそれがある。
,,,
ALT、AST、AL-P等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがある。
20%以上
5~20%未満
5%未満
頻度不明
呼吸器
咳嗽
呼吸困難、肺炎
上気道感染
血液
好中球減少症、血小板減少症、白血球減少症、貧血、リンパ球減少症
活性化部分トロンボプラスチン時間延長
循環器
徐脈、心電図QT延長、頻脈
動悸
消化器
下痢(40.4%)、悪心
口内炎、嘔吐、便秘、食欲減退、腹痛
口内乾燥、消化不良
鼓腸
精神神経系
頭痛、味覚異常、末梢性ニューロパチー、浮動性めまい、不眠症
記憶障害
筋・骨格系
CK上昇(54.8%)
筋肉痛
関節痛、四肢痛
筋骨格系胸痛、筋骨格硬直
肝臓
LDH上昇
皮膚
発疹
光線過敏性反応、そう痒症
皮膚乾燥
その他
リパーゼ上昇、アミラーゼ上昇
疲労
血中クレアチニン上昇、血中コレステロール上昇、非心臓性胸痛、疼痛、発熱、浮腫、高血糖、視力障害、体重減少、高インスリン血症、高尿酸血症、低リン酸血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、高カルシウム血症
胸部不快感
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
日本人ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に、本剤90mgを1日1回7日間経口投与した後180mgを1日1回経口投与したときの、投与1日目(単回投与)及び投与22日目(反復投与)の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度推移を以下に示す4)。
パラメータ(単位)
Cmax(ng/mL)
tmax(h)
AUC24(h∙ng/mL)
90mg単回投与(N=9)
414.0(52.2)
3.98(1.02、7.88)
5045注1)(48.4)
180mg反復投与(N=9)
2119(62.5)
2.08(1.12、6.03)
31130(60.0)
幾何平均値(%幾何変動係数)〔tmaxは中央値(最小値、最大値)〕注1)N=8
健康成人21例にブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食後投与におけるブリグチニブのCmax及び全身曝露量(AUC)の幾何平均値の比は、それぞれ0.87及び0.98であった(外国人データ)5)。
非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したときの定常状態における分布容積(Vz/F)の幾何平均値(変動係数)は306.6L(58.2%)であった(外国人データ)6)。健康成人にブリグチニブ90mgを単回経口投与したときのブリグチニブの血漿蛋白結合率は約91%であった(外国人データ)7),8)。
ブリグチニブは主に薬物代謝酵素CYP2C8及びCYP3A4により代謝される(in vitro)9)。健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与24時間後までの血漿中に、主に未変化体及びM36(N-脱メチル化体)が検出された(血漿中総放射能濃度に対する割合はそれぞれ91.5及び3.5%)(外国人データ)10)。
非小細胞肺癌患者にブリグチニブ180mg注2)を1日1回経口投与したとき、定常状態におけるブリグチニブの見かけの経口クリアランス(CL/Fss)の幾何平均値(変動係数)は8.88L/h(47.1%)、t1/2zは23.9時間(29.9%)であった(外国人データ)6)。健康成人6例に14Cブリグチニブ180mg注2)を単回経口投与したとき、投与336時間後までの放射能の尿中及び糞中排泄率はそれぞれ25.0及び64.8%であった。また、投与240時間後までの尿中及び糞便中には、それぞれ未変化体及びM36、並びに未変化体、M36及びM28(システイン抱合体)が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ21.4及び1.54%、並びに26.5、25.3及び9.09%)(外国人データ)10)。
ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、腎機能が正常(eGFR≥90mL/min/1.73m2)な健康成人8例に対する重度(eGFR<30mL/min/1.73m2)の腎機能障害患者8例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.14及び1.92であった(外国人データ)8)。
ブリグチニブ90mg注2)を単回経口投与したとき、健康成人9例に対する重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者6例の非結合型ブリグチニブのCmax,u及びAUC∞,uの幾何平均値の比は、それぞれ1.65及び1.37であった(外国人データ)7)。
健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とイトラコナゾール(強いCYP3A阻害剤)1回200mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するイトラコナゾール併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ1.21及び2.01であった(外国人データ)11)。
健康成人20例にブリグチニブ1日1回180mg注2)とリファンピシン(強いCYP3A誘導剤)1日1回600mgを併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するリファンピシン併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.40及び0.20であった(外国人データ)11)。
ブリグチニブ90mg単独投与時に対するベラパミル又はジルチアゼム(中程度のCYP3A阻害剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、ベラパミル併用下においてそれぞれ1.15及び1.38、ジルチアゼム併用下においてそれぞれ1.13及び1.43と推定された。また、ブリグチニブ90mg単独投与時に対するエファビレンツ(中程度のCYP3A誘導剤)併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUCの幾何平均値の比は、それぞれ0.83及び0.53と推定された12)。
健康成人20例にブリグチニブ1日1回90mg注2)とゲムフィブロジル(強いCYP2C8阻害剤、国内未承認)1回600mgを1日2回併用投与したとき、ブリグチニブ単独投与時に対するゲムフィブロジル併用投与時のブリグチニブのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.59及び0.88であった11)(外国人データ)。ブリグチニブはP糖蛋白質(P-gp)、BCRP及びOATP1A2の基質となり、CYP3A4の誘導作用並びにP-gp、BCRP、OCT1、MATE1及びMATE2-Kの阻害作用を示した(in vitro)13)。ALK融合遺伝子陽性又はROS1融合遺伝子陽性の固形癌患者15例にブリグチニブ1日1回180mg反復投与とミダゾラム(CYP3A基質)1回3mgを単回併用投与したとき、ミダゾラム単独投与時に対するブリグチニブ併用投与時のミダゾラムのCmax及びAUC∞の幾何平均値の比は、それぞれ0.84及び0.74であった(外国人データ)。
注2)本剤の承認された用法及び用量は「通常、成人にはブリグチニブとして、1日1回90mgを7日間経口投与する。その後、1日1回180mgを経口投与する。」である。
ALKチロシンキナーゼ阻害剤治療後に増悪したALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者に、本剤90mgを1日1回、7日間経口投与した後180mgを1日1回経口投与した。本試験のメインコホート(アレクチニブ、又はアレクチニブ及びクリゾチニブ治療後の患者)において、主要評価項目とされたRECIST第1.1版に基づく独立画像評価委員会判定による奏効(完全奏効又は部分奏効)率[95%信頼区間]は29.8%[16.5、44.2](14/47例)であった(2019年9月26日データカットオフ)。本試験に登録された患者において、副作用発現頻度は98.6%(71/72例)であった。主な副作用は、血中CK増加75.0%(54例)、下痢40.3%(29例)、高血圧37.5%(27例)、悪心33.3%(24例)、リパーゼ増加31.9%(23例)、アミラーゼ増加30.6%(22例)、AST増加29.2%(21例)及び口内炎27.8%(20例)であった(2020年1月22日データカットオフ)14)。
ALKチロシンキナーゼ阻害剤による治療歴のないALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者275例を対象に、本剤(1日1回90mgを7日間経口投与後1日1回180mgを経口投与、137例)とクリゾチニブ(1回250mgを1日2回経口投与、138例)の有効性及び安全性を比較する非盲検無作為化比較試験を実施した。主要評価項目とされた盲検下独立画像評価委員会判定による無増悪生存期間の結果は以下の表及び図のとおりであり、クリゾチニブと比べて本剤で有意な延長が認められた(2018年2月19日データカットオフ)。本剤群の副作用発現頻度は91.2%(124/136例)であった。主な副作用は、血中CK増加44.1%(60例)、下痢40.4%(55例)、悪心22.8%(31例)、リパーゼ増加22.1%(30例)、AST増加21.3%(29例)であった(2019年6月28日データカットオフ)15)。
本剤群N=137
クリゾチニブ群N=138
中央値(月)[95%信頼区間]
NE[NE、NE]
9.8[9.0、12.9]
ハザード比*1[95%信頼区間]
0.49[0.32、0.74]
p値(両側)*2
p=0.0006
NE:推定不能、*1:層別Cox比例ハザードモデル、*2:層別log-rank検定
ブリグチニブはALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられる16)。
ブリグチニブは、ALK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H3122又はNCI-H2228細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した16)。
ブリグチニブ(Brigatinib)[JAN]
{2-[(5-クロロ-2-{2-メトキシ-4-[4-(4-メチルピペラジン-1-イル)ピペリジン-1-イル]アニリノ}ピリミジン-4-イル)アミノ]フェニル}ジメチル-λ5-ホスファノン
C29H39ClN7O2P
584.09
オフホワイト~ベージュの固体
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
PTP20錠(10錠×2)
1) ブリグチニブのラット6ヶ月間経口投与毒性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.3)
2) ブリグチニブのサル6ヶ月間経口投与毒性試験及び56日間回復性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.3)
3) ブリグチニブのラット胚・胎児発生毒性試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.6.6)
4) ブリグチニブの国内第Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.2.2)
5) ブリグチニブの食事の影響試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.1.2)
6) ブリグチニブの海外第Ⅰ/Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
7) ブリグチニブの肝機能障害患者における臨床薬理試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
8) ブリグチニブの腎機能障害患者における臨床薬理試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
9) ブリグチニブのIn vitro代謝試験(2021年1月22日承認、CTD2.6.4.5)
10) ブリグチニブのマスバランス試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
11) ブリグチニブのリファンピシン、イトラコナゾール及びゲムフィブロジルとの臨床薬物相互作用試験(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
12) ブリグチニブのPBPKモデリング&シミュレーション(2021年1月22日承認、CTD 2.7.2.2)
13) ブリグチニブのIn vitro薬物トランスポーター相互作用試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.4.7)
14) ブリグチニブの国内第Ⅱ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
15) ブリグチニブの海外第Ⅲ相試験(2021年1月22日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
16) ブリグチニブのALK阻害活性評価試験(2021年1月22日承認、CTD 2.6.2.2)
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