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エラヒア点滴静注100mg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.3肝機能障害患者
9.4生殖能を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2抗腫瘍効果
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

エラヒア点滴静注100mg

添付文書番号

42914H1A1029_1_01

企業コード

400256

作成又は改訂年月

2026年9月作成(第1版)

日本標準商品分類番号

874291

薬効分類名

抗悪性腫瘍剤/抗葉酸受容体α抗体微小管阻害薬複合体

承認等

エラヒア点滴静注100mg

販売名コード

YJコード

42914H1A1029

販売名英語表記

Elahere for I.V. infusion 100mg

販売名ひらがな

えらひあてんてきじょうちゅう100mg

承認番号等

承認番号

30800AMX00333

貯法・有効期間

貯法

凍結を避け、2~8℃で保存

有効期間

60ヵ月

規制区分

一般的名称

ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)注

1. 警告

  1. 1.1 本剤は、緊急時に十分対応できる医療機関において、がん化学療法に十分な知識及び経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又は患者の家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
  2. 1.2 視力低下を伴う角膜障害を含む眼障害があらわれ、失明に至る可能性があることから、眼科医との連携のもとで使用し、本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること。また、投与中は定期的に眼の異常の有無の確認(視力検査、細隙灯顕微鏡検査を含む眼科検査)を行い、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うとともに、眼科医による評価を行うこと。,,,,,
  3. 1.3 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、十分に観察すること。異常が認められた場合には本剤投与の中止を検討するなど適切な処置を行うこと。,,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

3. 組成・性状

3.1 組成

エラヒア点滴静注100mg

有効成分1バイアル(20mL)中注1)
ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)注2)   100mg
添加剤1バイアル(20mL)中注1)
氷酢酸   4.3mg
ポリソルベート20   2.0mg
酢酸ナトリウム水和物   17.4mg
精製白糖   1800mg

注1)注射液吸引時の損失を考慮し、1バイアルから100mgを注射するに足る量を確保するために過量充填されている。
注2)本剤を構成する抗体部分は、遺伝子組換え技術によりチャイニーズハムスター卵巣細胞を用いて製造される。

3.2 製剤の性状

エラヒア点滴静注100mg

剤形注射剤(バイアル)
pH約5.0
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状澄明又はわずかに乳白光を呈する無色の液体

4. 効能又は効果

葉酸受容体α陽性の白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性の再発卵巣癌

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 葉酸受容体α陽性の定義について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、葉酸受容体α陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、以下のウェブサイトから入手可能である:https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html,
  2. 5.2 臨床試験に組み入れられた患者の組織型、白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法終了後から再発までの期間、前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。,
  3. 5.3 本剤の手術の補助療法としての有効性及び安全性は確立していない。

6. 用法及び用量

通常、成人にはミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)として1回6mg/kg(調整理想体重)を3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量する。
ただし、1回の総投与量は以下の式により求められる調整理想体重に基づく用量とする。
調整理想体重(kg)=理想体重(kg)+0.4×[実体重(kg)-理想体重(kg)]
女性の理想体重(kg)=0.9×身長(cm)-92

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
  2. 7.2 本剤投与による眼障害を軽減させるため、本剤の投与期間中は人工涙液を1日4回以上使用するよう指導すること。,,,,,
  3. 7.3 中等度以上の表層角膜炎又は角膜症が発現し、休薬後に投与を再開する場合には、以後のサイクルの投与開始日及びその後7日間は副腎皮質ステロイド点眼剤を使用することを考慮すること。,,,,,
  4. 7.4 本剤投与によるInfusion reactionを軽減させるため、本剤投与前に抗ヒスタミン剤、副腎皮質ステロイド、解熱鎮痛剤等の前投与を行うこと。,
  5. 7.5 投与速度は以下のとおりとする。ただし、患者の状態により投与開始速度は適宜減速すること。
    初回投与:最初の30分は1mg/分で開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後30分毎に3mg/分、その後は5mg/分まで上げることができる。
    2回目以降:初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降は忍容性が認められた速度で投与できる。,
  6. 7.6 本剤投与により副作用が発現した場合には、以下の基準を考慮して、本剤を休薬、減量又は中止すること。
    減量・中止する場合の投与量

    減量段階

    1回投与量

    開始用量

    6mg/kg(調整理想体重)

    1段階減量

    5mg/kg(調整理想体重)

    2段階減量

    4mg/kg(調整理想体重)

    中止

    4mg/kg(調整理想体重)で忍容性が得られない場合、本剤の投与を中止する。

    副作用発現時の休薬、減量、中止基準

    副作用

    程度注)

    処置

    角膜炎/角膜症

    軽度(角膜上皮内の多数の微小な点状病変が特徴であり、密集していることもあるが、癒合していない)

    経過を観察する。

    中等度以上(角膜上皮内の多数の点状病変が特徴であり、斑状に癒合している)、角膜上皮びらん、又はスネレン表による最高矯正視力の3ライン以上の低下

    • 軽度の表層角膜炎/角膜症に改善、又は回復するまで休薬する。
    • 回復後、休薬前と同一用量で投与を再開できる。
      最善の支持療法の実施にもかかわらず中等度以上の表層角膜炎/角膜症を再発した患者、又は眼障害を14日以上発現している患者においては休薬前の用量からの減量を検討する。

    角膜潰瘍、角膜実質混濁、又はスネレン表による最高矯正視力が0.1以下

    • 軽度の表層角膜炎/角膜症に改善、又は回復するまで休薬する。
    • 回復後、休薬前の用量から1段階減量して投与を再開できる。

    角膜穿孔

    投与を中止する。

    間質性肺疾患

    Grade 1

    経過を観察する。

    Grade 2

    Grade 1以下になるまで休薬し、同一用量で再開できる。再発又は間質性肺疾患が28日以上持続している場合、減量を検討する。

    Grade 3以上

    投与を中止する。

    末梢神経障害

    Grade 1

    経過を観察する。

    Grade 2

    Grade 1以下になるまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。

    Grade 3以上

    投与を中止する。

    Infusion reaction

    Grade 1

    投与速度を維持する。

    Grade 2

    • 投与を中断し、適切な処置を行う。
    • 回復後、投与中断時の50%の投与速度で再開できる。症状が認められない場合、投与速度を必要に応じて上げることができる。
    • 以降のサイクルでは、本剤の投与前日に副腎皮質ステロイドを投与する。

    Grade 3以上

    • 直ちに投与を中断し、適切な処置を行う。
    • 投与を中止する。

    血液毒性

    Grade 3以上

    Grade 1以下になるまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。

    上記以外の副作用

    Grade 3

    Grade 1以下になるまで休薬し、1段階減量して投与を再開できる。

    Grade 4

    投与を中止する。

    注)角膜炎/角膜症以外の副作用のGradeはNCI-CTCAE ver5.0に準じる。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 角膜障害を含む眼障害があらわれることがあるので、以下の事項に注意すること。,,,,,
    1. 8.1.1 本剤の投与開始前に眼科医による診察を実施すること。投与中は定期的に眼の異常の有無の確認(視力検査、細隙灯顕微鏡検査を含む眼科検査)を行い、患者の状態を十分に観察すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導し、眼科医による評価を行うこと。
    2. 8.1.2 本剤投与中はコンタクトレンズの装着を避けるよう患者に指導すること。
  2. 8.2 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、十分に観察すること。初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者に指導すること。,,
  3. 8.3 視力低下につながる霧視等の眼障害があらわれることがあるので、自動車の運転や機械の操作に従事する際には注意するよう患者に十分に指導すること。,,,,,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 活動性若しくは慢性の角膜障害、角膜移植歴のある患者

    角膜障害が発現又は増悪するおそれがある。,,,,,

  2. 9.1.2 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者

    間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。,,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 中等度又は重度の肝機能障害のある患者

    本剤の構成成分であるDM4は主に肝代謝により消失すると考えられることから、DM4の血中濃度が上昇する可能性がある。なお、中等度及び重度注)の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
    注)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類

9.4 生殖能を有する者

妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること。,

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤を用いた生殖発生毒性試験は実施していない。ヒトIgGは胎盤を通過することが知られており、本剤は母体から胎児へ移行する可能性がある。また、本剤は遺伝毒性物質であるDM4を含んでおり、活発に分裂している細胞に影響を与えると想定される。DM4は発生毒性/催奇形性が報告されている化合物クラス(メイタンシノイド)に属することから、妊婦に投与すると胚・胎児への影響が懸念される。

9.6 授乳婦

授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中への移行に関するデータはないが、本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

10. 相互作用

  • 本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4は主にCYP3Aによって代謝される。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

強いCYP3A阻害剤

  • イトラコナゾール
    リトナビル
    クラリスロマイシン等

本剤の副作用が増強されるおそれがあるので、これらの薬剤との併用は可能な限り避け、CYP3A阻害作用のない又は中程度以下のCYP3A阻害剤への代替を考慮すること。やむを得ず併用する場合には、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること。

これらの薬剤がCYP3Aを阻害することにより、DM4の血中濃度が上昇する可能性がある。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 角膜障害

    角膜症(28.8%)、角膜炎(6.2%)、点状角膜炎(4.9%)等があらわれることがある。また、角膜障害に関連する事象として、霧視、ドライアイ、羞明、視力低下等があらわれることがある。,,,,,

  2. 11.1.2 間質性肺疾患(12.3%)

    ,,

  3. 11.1.3 末梢神経障害

    末梢性ニューロパチー(17.3%)、末梢性感覚ニューロパチー(10.7%)等があらわれることがある。

  4. 11.1.4 Infusion reaction(6.2%)

    ,

11.2 その他の副作用

10%以上

5~10%未満

5%未満

眼

霧視(38.7%)、ドライアイ(25.9%)、羞明、視力低下

眼痛、白内障

硝子体浮遊物、流涙増加、視力障害、眼不快感

血液/リンパ系

好中球減少症

貧血、血小板減少症

白血球減少症、リンパ球減少症

消化器

悪心(24.3%)、下痢(23.5%)、便秘、腹痛

嘔吐

口内炎、胃食道逆流性疾患、腹部不快感、上腹部痛、鼓腸

筋・骨格系

関節痛、筋肉痛

四肢痛、背部痛、筋痙縮、筋骨格硬直

肝臓

AST増加、ALT増加

γ-GTP増加、AL-P増加、肝細胞融解、高ビリルビン血症、高トランスアミナーゼ血症

代謝異常

食欲減退

脱水、低マグネシウム血症、低カリウム血症

精神神経系

頭痛

味覚不全、浮動性めまい、不眠症

その他

疲労(21.8%)、無力症

体重減少、そう痒症、発疹、紅斑、脱毛症、呼吸困難、咳嗽、鼻出血、倦怠感、非心臓性胸痛、発熱、末梢性浮腫、帯状疱疹、回転性めまい、高血圧、注射部位血管外漏出

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 本剤を希釈調製するときは無菌的に操作すること。
  2. 14.1.2 投与に必要な本数のバイアルを冷蔵庫から取り出し、室温に戻しておくこと。計算した投与量分を抜き取る前に、それぞれのバイアルを静かに回して、微粒子や変色がないか目視で確認すること。バイアルを振とうしないこと。
  3. 14.1.3 5%ブドウ糖液で希釈し、最終濃度を1mg/mL以上2mg/mL以内にすること。調製した点滴バッグは静かに転倒混和し、振とうしないこと。
  4. 14.1.4 本剤は生理食塩液とは配合禁忌である。また、他の薬剤や輸液と混合しないこと。
  5. 14.1.5 希釈した注射液をすぐに使用しない場合は、室温(18~25℃)保存では8時間以内、冷蔵(2~8℃)保存では24時間以内に投与を完了すること。冷蔵保存した場合は投与前に室温に戻すこと。希釈後の注射液は冷凍しないこと。
  6. 14.1.6 本剤には防腐剤が含まれていないため1回使い切りである。残液は廃棄すること。

14.2 薬剤投与時の注意

  1. 14.2.1 本剤投与前には変色や微粒子がないか目視で確認すること。変色、混濁又は微粒子が認められた場合は使用しないこと。
  2. 14.2.2 ポリエーテルスルホン、ポリスルホン又は正電荷ナイロン製のインラインフィルター(孔径0.2又は0.22μm)を使用して、点滴静注として調製後の注射液を投与すること。
  3. 14.2.3 点滴静注に際し、薬液が血管外に漏れると、投与部位における紅斑、圧痛、皮膚刺激、疼痛、腫脹、表皮損傷、壊死等の事象を起こすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
  4. 14.2.4 投与終了後、ラインを5%ブドウ糖液でフラッシュし、規定量が全て投与されるようにすること。他の溶液をフラッシュに使用しないこと。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

臨床試験において、57/626例(9.1%)に抗ミルベツキシマブ ソラブタンシン抗体が認められ、34/626例(5.4%)に抗ミルベツキシマブ ソラブタンシン中和抗体が認められた。抗ミルベツキシマブ ソラブタンシン中和抗体陽性例では陰性例と比較して本剤の血漿中濃度が低下する傾向が認められた1)。

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 サル及びウサギを用いた反復投与毒性試験において、本剤及び本剤の構成成分であるDM4の臨床曝露量のそれぞれ0.1倍及び0.1倍(サル)並びに本剤の臨床曝露量の0.76倍(ウサギ)に相当する用量で眼科学的所見として角膜上皮の菲薄化、角膜における色素沈着及び小水疱形成を特徴とする角膜症が認められた2)。
  2. 15.2.2 ラットを用いた小核試験で本剤の構成成分であるDM4は骨髄細胞で小核誘発性を示した3)。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 単回及び反復投与

    葉酸受容体α陽性の進行卵巣癌又はその他の固形癌を有する日本人患者3例に本剤6mg/kg(調整理想体重)を点滴静注したときの、ミルベツキシマブ ソラブタンシン、本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは以下のとおりであった4)。

    単回投与時のミルベツキシマブ ソラブタンシン、DM4及びS-methyl DM4の血漿中濃度推移
    単回投与時のミルベツキシマブ ソラブタンシン、DM4及びS-methyl DM4の薬物動態パラメータ

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (μg/mL)

    AUClast
    (mg・hr/mL)

    t1/2
    (hr)

    ミルベツキシマブ ソラブタンシン
    (N=3)

    3.88
    (1.9-6.2)

    127.7
    (11.9)

    14.14
    (10.0)

    115.0
    (5.5)

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUClast
    (ng・hr/mL)

    t1/2
    (hr)

    DM4
    (N=3)

    3.93
    (3.9-4.0)

    5.154
    (32.3)

    228.5
    (39.1)

    71.59
    (17.3)

    Tmax
    (hr)

    Cmax
    (ng/mL)

    AUClast
    (ng・hr/mL)

    t1/2
    (hr)

    S-methyl DM4
    (N=3)

    6.15
    (5.9-47)

    9.105
    (47.6)

    1568
    (66.1)

    156.9
    (20.5)

    幾何平均(%変動係数)、ただしTmaxは中央値(最小値-最大値)

    また、葉酸受容体α陽性の高異型度漿液性上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌又は卵管癌患者に本剤6mg/kg(調整理想体重)を3週間間隔で点滴静注したときの、ミルベツキシマブ ソラブタンシン(146例)、DM4(142例)及びS-methyl DM4(146例)のサイクル1に対するサイクル3のAUCの幾何平均比はそれぞれ1.15、1.11及び1.01であった5)(外国人データ)。

16.3 分布

葉酸受容体α陽性の高異型度漿液性上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌又は卵管癌患者に本剤6mg/kg(調整理想体重)を点滴静注したときの定常状態におけるミルベツキシマブ ソラブタンシンの分布容積(平均値±標準偏差)は2.63±2.98Lであった5)(外国人データ)。また、本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4のヒト血漿タンパク結合率はいずれも99%超であった(in vitro)6)。

16.4 代謝

ミルベツキシマブ ソラブタンシンの抗体部分は主にリソソームにより異化を受けると推測される。本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4はいずれも主にCYP3Aにより代謝されることが示された(in vitro)6)。

16.5 排泄

ラットに3Hで標識したミルベツキシマブ ソラブタンシン5mg/kgを単回静脈内投与したとき、投与後336時間までに投与放射能の62.3%が糞中に、2.27%が尿中に排泄された6)。
胆管カニューレを施したラットに3Hで標識したミルベツキシマブ ソラブタンシン5mg/kgを単回静脈内投与したとき、投与後72時間までに投与放射能の19.1%が胆汁に、4.43%が糞中に排泄され、尿中への排泄は1%未満であった6)。

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    母集団薬物動態解析の結果、腎機能注1)が正常な患者(239例)と軽度(291例)又は中等度(161例)の腎機能障害を有する患者との間でミルベツキシマブ ソラブタンシン、本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4の薬物動態パラメータの推定値に明確な差異は認められなかった1)。
    注1)CLcr(mL/min)が90以上、60以上90未満及び30以上60未満の場合、それぞれ正常、軽度及び中等度とされた。

  2. 16.6.2 肝機能障害患者

    母集団薬物動態解析の結果、肝機能注2)が正常な患者(589例)と軽度の肝機能障害を有する患者(101例)との間でミルベツキシマブ ソラブタンシン、本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4の薬物動態パラメータの推定値に明確な差異は認められなかった1)。
    注2)NCI-ODWG(National Cancer Institute-Organ Dysfunction Working Group)基準による分類

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 その他

    本剤の構成成分であるDM4及びDM4の活性代謝物であるS-methyl DM4はP-gpの基質である(in vitro)1)。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅰ/Ⅱ相試験 第Ⅱ相パート(非盲検試験)
    • (jRCT2031240057)

      1~3つの化学療法歴を有する白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性注1)を示す葉酸受容体α陽性注2)の高異型度漿液性上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌又は卵管癌を有する日本人患者25例を対象に、本剤6mg/kg(調整理想体重)を3週間間隔で点滴静注した。主要評価項目である治験担当医師評価による奏効率[90%信頼区間]は44.0[27.0, 62.1]%であった(2025年4月16日データカットオフ)4)。
      注1)白金系抗悪性腫瘍剤による治療歴が1つの場合はPFI(platinum free interval)が3ヵ月から6ヵ月、2又は3つの場合はPFIが6ヵ月以内であること。
      注2)FRαの免疫組織化学染色を用いたPS2+スコアリング法により75%以上の腫瘍細胞で強度2+以上の染色が認められた患者が組入れられた。
      安全性評価対象25例のうち、96%(24例)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心36%(9例)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加32%(8例)、点状角膜炎、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、末梢性感覚ニューロパチー〔以上28%(各7例)〕、霧視、好中球数減少、血小板数減少、肺臓炎〔以上24%(各6例)〕、角膜炎20%(5例)であった4)。,

  2. 17.1.2 海外第Ⅲ相試験(MIRASOL試験、非盲検比較試験)
    • (NCT04209855)

      1~3つの化学療法歴を有する白金系抗悪性腫瘍剤抵抗性注3)を示す葉酸受容体α陽性注4)の高異型度漿液性上皮性卵巣癌、原発性腹膜癌又は卵管癌患者453例〔本剤群227例、治験担当医師が選択した化学療法(IC化学療法)群226例〕を対象に、IC化学療法(パクリタキセル、ドキソルビシン塩酸塩リポソーム注射剤又はノギテカン塩酸塩)を対照として本剤の有効性及び安全性を評価した。本剤群では、本剤6mg/kg(調整理想体重)を3週間間隔で点滴静注した。
      主要評価項目である治験担当医師評価による無増悪生存期間(PFS)は、IC化学療法群と比較して本剤群で統計学的に有意な延長を示した(2023年3月6日データカットオフ)7)。

      無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線(治験担当医師評価、ITT集団)
      無増悪生存期間(治験担当医師評価、ITT集団)

      本剤群
      (N=227)

      IC化学療法群
      (N=226)

      PFS中央値(ヵ月)
      [95%信頼区間]

      5.62
      [4.34, 5.95]

      3.98
      [2.86, 4.47]

      ハザード比
      [95%信頼区間]注5)

      0.65
      [0.521, 0.808]

      p値(両側)注6)

      <0.0001

      注3)白金系抗悪性腫瘍剤による治療歴が1つの場合はPFI(platinum free interval)が3ヵ月から6ヵ月、2又は3つの場合はPFIが6ヵ月以内であること。
      注4)FRαの免疫組織化学染色を用いたPS2+スコアリング法により75%以上の腫瘍細胞で強度2+以上の染色が認められた患者が組入れられた。
      注5)前治療ライン数及びランダム化前に選択したIC化学療法を層別因子とした層別Cox比例ハザードモデル
      注6)前治療ライン数及びランダム化前に選択したIC化学療法を層別因子とした層別ログランク検定、有意水準(両側)0.05
      本剤群の安全性評価対象218例のうち、88%(191例)に副作用が認められた。主な副作用は、霧視40%(88例)、角膜症31%(67例)、ドライアイ28%(61例)、下痢25%(54例)、疲労24%(53例)及び悪心23%(50例)であった(2024年9月26日データカットオフ)。,

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、葉酸受容体αに対するヒト化IgG 1モノクローナル抗体と微小管重合阻害作用を有するDM4を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体である。ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、腫瘍細胞の細胞膜上に発現する葉酸受容体αに結合し、細胞内に取り込まれた後にリソソームによってリンカーが加水分解され、遊離したDM4が細胞周期停止作用及びアポトーシス誘導作用を示すこと等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている8)。

18.2 抗腫瘍効果

ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、葉酸受容体αを発現するヒト卵巣癌由来IGROV-1細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて腫瘍増殖抑制作用を示した9)。

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ミルベツキシマブ ソラブタンシン(遺伝子組換え)
(Mirvetuximab Soravtansine(Genetical Recombination))〔JAN〕

本質

ミルベツキシマブ ソラブタンシンは、抗体薬物複合体(分子量:約152,000)であり、遺伝子組換えモノクローナル抗体の平均3~4個のリシン残基に、メイタンシノイドDM4に3-スルファニルプロピルカルボニル-1-スルホン酸基がリンカーとして結合しているソラブタンシン(3-[(5-{[(1S)-2-{[(1S,2R,3S,5S,6S,16E,18E,20R,21S)-11-クロロ-21-ヒドロキシ-12,20-ジメトキシ-2,5,9,16-テトラメチル-8,23-ジオキソ-4,24-ジオキサ-9,22-ジアザテトラシクロ[19.3.1.110,14.03,5]ヘキサコサ-10,12,14(26),16,18-ペンタエン-6-イル]オキシ}-1-メチル-2-オキソエチル]メチルアミノ}-2-メチル-5-オキソペンタン-2-イル)ジスルファニル]プロピルカルボニル-1-スルホン酸基(C42H59ClN3O14S3;分子量:961.58))がアミノ基を介して結合している。抗体部分は抗葉酸受容体αモノクローナル抗体であり、その可変部はマウス抗体に、その他はヒトIgG1に由来し、C末端のK448は除去されている。抗体部分は、CHO細胞により産生される。タンパク質部分は、447個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び218個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質(分子量:約149,000)である。

20. 取扱い上の注意

個装箱開封後は遮光保存すること。

21. 承認条件

医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

22. 包装

1バイアル

24. 文献請求先及び問い合わせ先

武田薬品工業株式会社 くすり相談室

〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号

フリーダイヤル 0120-566-587
受付時間 9:00~17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

武田薬品工業株式会社

〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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