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日本薬局方
アモキシシリンカプセルクラリスロマイシン錠
処方箋医薬品注)
アモキシシリン、クラリスロマイシンに感性のヘリコバクター・ピロリ
胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃MALTリンパ腫・特発性血小板減少性紫斑病・早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mg、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)の3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
観察を十分に行うこと。ビタミンK欠乏症状があらわれることがある。
QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動を起こすことがある。
ボノプラザンの排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。また、クラリスロマイシンの血中濃度が上昇するおそれがある。
投与しないこと。クラリスロマイシンとの併用によるコルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,
投与しないこと。アモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの血中濃度が上昇することがあり、本製品では各製剤の投与量を調節できない。
ボノプラザンの代謝、排泄が遅延することにより血中濃度が上昇することがある。また、クラリスロマイシンにより肝機能障害を悪化させることがある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に肝機能、腎機能等の生理機能が低下している。アモキシシリン水和物による副作用が発現しやすく、クラリスロマイシンの高い血中濃度が持続するおそれがある。また、アモキシシリン水和物によるビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
主として肝薬物代謝酵素CYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及びCYP2D6で代謝される。また、ボノプラザンは弱いCYP3A4阻害作用を有する。ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用により、併用薬剤の吸収を促進又は抑制する可能性がある。
主としてCYP3Aにより代謝され2)、CYP3A、P-糖蛋白質(P-gp)を阻害する3)。
アタザナビル硫酸塩(レイアタッツ)
アタザナビル硫酸塩の作用を減弱するおそれがある。
ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりアタザナビル硫酸塩の溶解性が低下し、アタザナビルの血中濃度が低下する可能性がある。
リルピビリン塩酸塩(エジュラント)
リルピビリン塩酸塩の作用を減弱するおそれがある。
ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりリルピビリン塩酸塩の吸収が低下し、リルピビリンの血中濃度が低下する可能性がある。
ピモジド4)
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン
ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩
血管攣縮等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
スボレキサント
スボレキサントの血漿中濃度が顕著に上昇し、その作用が著しく増強するおそれがある。
ロミタピドメシル酸塩
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
タダラフィル
左記薬剤のクリアランスが高度に減少し、その作用が増強するおそれがある。
チカグレロル
チカグレロルの血漿中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イブルチニブ
イブルチニブの作用が増強するおそれがある。
イバブラジン塩酸塩
過度の徐脈があらわれることがある。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)
腫瘍崩壊症候群の発現が増強するおそれがある。
ルラシドン塩酸塩
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
アナモレリン塩酸塩
アナモレリンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強するおそれがある。
フィネレノン
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イサブコナゾニウム硫酸塩
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある。
CYP3A4阻害剤
ボノプラザンの血中濃度が上昇する可能性がある。
クラリスロマイシンとの併用によりボノプラザンの血中濃度が上昇したとの報告がある。
ジゴキシンメチルジゴキシン
左記薬剤の作用を増強する可能性がある。
ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用によりジゴキシンの加水分解が抑制され、ジゴキシンの血中濃度が上昇する可能性がある。
イトラコナゾールチロシンキナーゼ阻害剤
ネルフィナビルメシル酸塩
左記薬剤の作用を減弱する可能性がある。
ボノプラザンの胃酸分泌抑制作用により左記薬剤の血中濃度が低下する可能性がある。
CYP3A4で代謝される薬剤
ボノプラザンのCYP3A4に対する弱い阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
*強い又は中程度のCYP3A4誘導剤
ボノプラザンの血中濃度が低下する可能性がある。
左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、ボノプラザンの代謝が促進される可能性がある。
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの作用が増強されるおそれがある。
腸内細菌によるビタミンKの産生を抑制することがある。
経口避妊薬
経口避妊薬の効果が減弱するおそれがある。
腸内細菌叢を変化させ、経口避妊薬の腸肝循環による再吸収を抑制すると考えられている。
プロベネシド
アモキシシリン水和物の血中濃度を増加させる。
アモキシシリン水和物の尿細管分泌を阻害し、尿中排泄を低下させると考えられている。
ジゴキシン
嘔気、嘔吐、不整脈等が報告されているので、ジゴキシンの血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、投与量を調節する等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンの腸内細菌叢に対する影響により、ジゴキシンの不活化が抑制されるか、もしくはP-gpを介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、その血中濃度が上昇する。
スルホニル尿素系血糖降下剤
低血糖(意識障害に至ることがある)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、ブドウ糖の投与等の適切な処置を行うこと。
機序は不明である。左記薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
カルバマゼピンテオフィリン5),6)アミノフィリン水和物シクロスポリンタクロリムス水和物エベロリムス
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、左記薬剤の血中濃度の推移等に注意し、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
アトルバスタチンカルシウム水和物7)シンバスタチン7)ロバスタチン(国内未承認)
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う横紋筋融解症が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。腎機能障害のある患者には特に注意すること。
コルヒチン,,
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少、肝機能障害、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、発熱等)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
ベンゾジアゼピン系薬剤
非定型抗精神病薬
ジソピラミドトルバプタンエプレレノンエレトリプタン臭化水素酸塩カルシウム拮抗剤
リオシグアトジエノゲストホスホジエステラーゼ5阻害剤
クマリン系抗凝血剤
ドセタキセル水和物アベマシクリブ11)オキシコドン塩酸塩水和物12)フェンタニル/フェンタニルクエン酸塩
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。なお、トルバプタンにおいては、クラリスロマイシンとの併用は避けることが望ましいとされており、やむを得ず併用する場合においては、トルバプタンの用量調節を特に考慮すること。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)
ベネトクラクスの副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
抗凝固剤
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3A及びP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝及び排出が阻害される。
クラリスロマイシンのP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の排出が阻害される。
イトラコナゾール13)HIVプロテアーゼ阻害剤
クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度上昇による作用の増強等の可能性がある。また、イトラコナゾールの併用においては、イトラコナゾールの血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンと左記薬剤のCYP3Aに対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される。
リファブチン15)エトラビリン16)
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。また、クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇し、クラリスロマイシンの作用が減弱する可能性がある。異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
クラリスロマイシンのCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。また、左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、クラリスロマイシンの代謝が促進される。
リファンピシン17)エファビレンツネビラピン
クラリスロマイシンの未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。クラリスロマイシンの作用が減弱する可能性があるので、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、クラリスロマイシンの代謝が促進される。
天然ケイ酸アルミニウム18)
クラリスロマイシンの吸収が低下するとの報告がある。
左記薬剤の吸着作用によるものと考えられる。
不快感、口内異常感、眩暈、便意、耳鳴、発汗、喘鳴、呼吸困難、血管浮腫、全身の潮紅・じん麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
*投与から数時間以内の反復性嘔吐を主症状とし、下痢、嗜眠、顔面蒼白、低血圧、腹痛、好中球増加等を伴う、食物蛋白誘発性胃腸炎に類似したアレルギー性の胃腸炎(Drug-induced enterocolitis syndrome)があらわれることがある。主に小児で報告されている。
発熱、頭痛、関節痛、皮膚や粘膜の紅斑・水疱、膿疱、皮膚の緊張感・灼熱感・疼痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎、好酸球性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。
呼吸困難、痙攣、発赤等があらわれることがある。
QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者においては特に注意すること。
劇症肝炎、AST、ALT、γ-GTP、LDH、AL-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。
異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
痙攣(強直間代性、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがある。
乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
5%以上
0.1~5%未満
消化器
下痢(10.6%)
味覚異常、口内炎、腹部不快感、腹部膨満感
過敏症
発疹
肝臓
AST、ALTの上昇
ボノプラザンフマル酸塩、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンでは、他にもそれぞれに次の副作用が認められている。
便秘、下痢、腹部膨満感、悪心
AST、ALT、AL-P、LDH、γ-GTPの上昇
その他
浮腫、好酸球増多
0.1~5%未満注2)
0.1%未満注2)
頻度不明注2)
発熱、発疹、じん麻疹
そう痒
血液
好酸球増多、貧血
下痢、悪心、食欲不振
黒毛舌
菌交代症
口内炎、大腸炎(カンジダ、非感受性のクレブシエラ等による)
ビタミン欠乏症
ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)
梅毒患者の場合:ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応(発熱、全身倦怠感、頭痛等の発現、病変部の悪化)
0.1%未満
頻度不明
そう痒感
精神神経系
めまい、頭痛
幻覚、失見当識、意識障害、せん妄、躁病、眠気、振戦、しびれ(感)、錯感覚、不眠
感覚器
味覚異常(にがみ等)
耳鳴、聴力低下、嗅覚異常
悪心、嘔吐、胃部不快感、腹部膨満感、腹痛、下痢
食欲不振、軟便、口内炎、舌炎、口渇
口腔内びらん、胸やけ、歯牙変色、舌変色
好酸球増多
AST、ALT、γ-GTP、LDH、AL-P上昇
筋・骨格
筋肉痛
倦怠感、浮腫、カンジダ症、発熱
動悸、CK上昇、脱毛、頻尿、低血糖
アモキシシリン水和物やクラリスロマイシン等の抗生物質の服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男子を対象にボノプラザンとして20mg、アモキシシリン水和物として750mg(力価)及びクラリスロマイシンとして400mg(力価)を1日2回朝食後及び夕食後に7日間投与(投与最終日は朝食後1回)した時、投与7日目の薬物動態学的パラメータは下表のとおりである20)。
Cmax(ng/mL)
Tmax(h)
AUC0-12(ng・h/mL)
T1/2(h)
70.2±17.3
3.0(1.0,4.0)
538.8±134.1
9.8±1.8
n=11、平均値±標準偏差、Tmaxは中央値(最小値、最大値)
Cmax(μg/mL)
AUC0-12(μg・h/mL)
10.1±2.3
3.0(2.0,4.0)
34.9±5.7
1.3±0.1
未変化体
2.9±0.9
2.0(1.0,6.0)
18.3±4.9
4.6±0.5
代謝物
0.9±0.2
2.0(1.0,4.0)
7.5±0.1
8.0±1.2
腎機能正常者(eGFR:90mL/min/1.73m2以上)、軽度(eGFR:60~89mL/min/1.73m2)、中等度(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)及び高度腎機能障害者(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)、並びに末期腎不全(ESRD)(eGFR:15mL/min/1.73m2未満)患者を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす腎機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度腎機能障害者では腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3~2.4倍及び1.2~1.8倍高く、腎機能の低下に伴い増加し、また、ESRD患者におけるAUC(0-inf)及びCmaxは、腎機能正常者と比較してそれぞれ1.3倍及び1.2倍高かった21)(外国人データ)。
腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者に200mg(力価)を空腹時単回経口投与したときのクラリスロマイシン(未変化体)の血中濃度パラメータは下表のとおりであった22)(測定法:Bioassay)。
クレアチニンクリアランス(mL/min)
AUC(μg・h/mL)
Ccr≒100(n=5)
2.02
1.24
2.38
8.89
Ccr≒50(n=5)
2.15
1.89
5.74
21.69
Ccr≒30(n=5)
2.55
0.96
4.69
18.73
Ccr≒5(n=5)
3.54
1.48
6.13
36.89
肝機能正常者、並びに軽度(Child-Pugh分類スコアA)、中等度(Child-Pugh分類スコアB)及び高度肝機能障害者(Child-Pugh分類スコアC)を対象にボノプラザンの薬物動態に及ぼす肝機能障害の影響を検討した臨床試験において、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、軽度、中等度及び高度肝機能障害のある患者では肝機能正常者と比較してそれぞれ1.2~2.6倍及び1.2~1.8倍高かった23)(外国人データ)。
重篤な基礎疾患のない66~82歳(平均72.2歳)の女性3名に200mg(力価)を空腹時単回経口投与したときのクラリスロマイシン(未変化体)の血中濃度パラメータは下表のとおりであった24)(測定法:Bioassay)。
n=3
3.72
2.3
4.2
19.20
外国健康成人男子を対象に1日目及び8日目にボノプラザンとして40mgを朝食30分後に単回投与し、3~9日目にクラリスロマイシンとして500mg(力価)を1日2回、朝夕食30分前に反復投与したとき、ボノプラザンのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してクラリスロマイシンとの併用投与時に1.6倍及び1.4倍増加した25)。
外国健康成人を対象に1日目及び9日目にミダゾラム2mgを単回経口投与し、2~10日目にボノプラザンとして20mgを1日2回反復経口投与した試験の結果、ミダゾラムのAUC(0-inf)及びCmaxは、単独投与時と比較してボノプラザンとの併用時にいずれも1.9倍増加する26)。
ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、リファンピシン600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは78~81%低下、Cmaxは71%又は72%低下することが推定された。ボノプラザンとして10、20、40mgを単回投与又は10mgを1日1回、20mgを1日1回若しくは2回、7日間反復経口投与し、エファビレンツ600mgを1日1回併用投与したときで、ボノプラザンのAUCtauは54%低下、Cmaxは44~46%低下することが推定された27)。
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍瘢痕患者を対象に、ボノプラザン20mg又はランソプラゾール30mg、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤を1日2回7日間経口投与した二重盲検比較試験における除菌率は下表のとおりであり、ランソプラゾールを用いた3剤併用療法群に対するボノプラザンを用いた3剤併用療法群の非劣性が認められた28)。
各薬剤の1回投与量
除菌率
群間差
ボノプラザン20mgアモキシシリン水和物750mg(力価)クラリスロマイシン200mg(力価)又は400mg(力価)
92.6%(300/324例)
16.7%[11.172%,22.138%]注2)p<0.0001注3)
ランソプラゾール30mgアモキシシリン水和物750mg(力価)クラリスロマイシン200mg(力価)又は400mg(力価)
75.9%(243/320例)
( )は除菌成功例数/評価例数注1)13C-尿素呼気試験の結果が陰性注2)投与群間差、[ ]は両側95%信頼区間注3)許容限界値を10%としたFarrington and Manningによる非劣性検定
副作用発現頻度は、ボノプラザン群では20.4%(67/329例)であった。主な副作用は、下痢(35例)及び味覚異常(13例)であった。
アモキシシリン水和物は細菌の細胞壁合成を阻害することにより効果を発揮し、また、クラリスロマイシンは細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し蛋白合成を阻害することにより効果を発揮する29),30)。ボノプラザンは酸による活性化を必要とせず、可逆的でカリウムイオンに競合的な様式でH+, K+-ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。ボノプラザンは抗ヘリコバクター・ピロリ活性及びヘリコバクター・ピロリウレアーゼ阻害活性は示さない31)。アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンとの3剤療法におけるボノプラザンの役割は胃内pHを上昇させることにより、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
ボノプラザンフマル酸塩(Vonoprazan Fumarate)〔JAN〕
1-[5-(2-Fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl]-N-methylmethanamine monofumarate
C17H16FN3O2S・C4H4O4
461.46
ボノプラザンフマル酸塩は白色~ほとんど白色の結晶又は結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、N,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けにくく、メタノール及び水に溶けにくく、2-プロパノール及びアセトニトリルにほとんど溶けない。
194.8℃
アモキシシリン水和物(Amoxicillin Hydrate)〔JAN〕
(2S,5R,6R)-6-[(2R)-2-Amino-2-(4-hydroxyphenyl)acetylamino]-3,3-dimethyl-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3.2.0]heptane-2-carboxylic acid trihydrate
C16H19N3O5S・3H2O
419.45
アモキシシリン水和物は、白色~淡黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(95)に極めて溶けにくい。
約195℃(分解)
AMPC
クラリスロマイシン(Clarithromycin)〔JAN〕
(2R,3S,4S,5R,6R,8R,10R,11R,12S,13R)-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-11,12-dihydroxy-6-methoxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide
C38H69NO13
747.95
クラリスロマイシンは白色の結晶性の粉末で、味は苦い。アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
220~227℃
CAM
アルミ袋を開封後も湿気を避けて保存すること。本品は高防湿性の内袋により品質保持をはかっている。
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18) 高橋賢成, 他. 臨床薬理. 1995;26(1):149–150.
19) 厚生労働省. 重篤副作用疾患別対応マニュアル薬剤性過敏症症候群
20) ボノプラザンの薬物動態試験成績⑫(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.7.6.12)
21) ボノプラザンの薬物動態試験成績⑨(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.7.6.10)
22) 瀧井昌英, 他. Chemotherapy. 1989;37:15-21.
23) ボノプラザンの薬物動態試験成績⑩(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.7.6.9)
24) 足立暁, 他. Chemotherapy. 1988;36(Suppl.3):660-666.
25) ボノプラザンの薬物動態試験成績⑪(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.7.6.13)
26) ボノプラザンの薬物動態試験成績⑭(社内資料)
27) *ボノプラザンの薬物動態試験成績⑮(社内資料)
28) ボノプラザンの臨床試験成績⑩(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.7.6.19)
29) 上田泰, 他編. 感染症学-基礎と臨床. メジカルビュー社. 1982;204-214.
30) 懸川友人, 他. Chemotherapy. 1988;36(Suppl.3):123-128.
31) ボノプラザンの薬理試験成績(タケキャブ錠2014年12月26日承認:CTD 2.6.2.6)
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