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ファイバ静注用1000

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
1.警告
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2止血作用
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

ファイバ静注用1000

添付文書番号

6343414X2058_1_02

企業コード

400256

作成又は改訂年月

2024年7月改訂(第2版)
2021年11月改訂

日本標準商品分類番号

876343

薬効分類名

血漿分画製剤

承認等

ファイバ静注用1000

販売名コード

YJコード

6343414X2058

販売名英語表記

FEIBA NF Intravenous 1000

販売名ひらがな

ふぁいばじょうちゅうよう1000

承認番号等

承認番号

22600AMX01332

販売開始年月

1984年6月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃

有効期間

2年

規制区分

一般的名称

乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体

本剤は、ヒト血漿を原料として製剤化したものである。原料となった血漿を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理等を実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血漿を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

1. 警告

エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験で、本剤との併用において重篤な血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、治療上やむを得ない場合を除き、本剤の投与を避けること。血栓塞栓症及び血栓性微小血管症のリスクを増大させる可能性がある。,

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 血液凝固因子インヒビターを保有していない患者[凝固亢進のおそれがある。]
  2. 2.2 播種性血管内凝固症候群(DIC)を生じている患者[血栓形成を加速するおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

1バイアル中の含量を示す。本剤の溶解液1mL中に人血液凝固因子抗体迂回活性複合体として50単位を含有する。

ファイバ静注用1000

有効成分1バイアル中
乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体1000単位注1)  
添加剤クエン酸ナトリウム水和物   80mg
塩化ナトリウム   160mg
塩酸   適量
水酸化ナトリウム   適量
溶剤  日局 注射用水20mL
備考  乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体:[採血国:米国][採血の区別:非献血注2)

注1)単位はファイバ単位を意味する。1ファイバ単位とは、高力価の第Ⅷ因子インヒビター標準血漿のAPTTを、空試験値の50%短縮するファイバ活性をいう。
注2)「献血又は非献血の区別の考え方」参照。

3.2 製剤の性状

ファイバ静注用1000

pH6.8~7.6
浸透圧比約1(0.9%生理食塩液に対する比)
性状ガラスバイアル入りの白色乾燥粉末製剤であって、添付の溶剤に溶かすとき、液はほとんど無色澄明な液剤となる。

4. 効能又は効果

血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する患者に対し、血漿中の血液凝固活性を補いその出血傾向を抑制する。

6. 用法及び用量

本品1瓶を添付の溶剤で溶解し、緩徐に静注又は点滴静注する(1分間に体重1kg当たり、2単位をこえる注射速度はさけること)。
出血時に投与する場合、通常体重1kg当たり50~100単位を8~12時間間隔で投与する。なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
ただし、原則として1日最大投与量は体重1kg当たり200単位をこえないこととする。
定期的に投与する場合、通常体重1kg当たり70~100単位を1日おきに投与する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤の使用にあたっては、患者の出血症状及び治療歴等を総合的に判断して使用すること。
なお、本剤の出血時投与による効果が認められない場合は、他剤への切り替えを検討すること。
本剤の出血時投与後、定期的な投与を開始する場合は、直近の投与から1日以上の間隔をおくことを目安とする。

8. 重要な基本的注意

  • 〈効能共通〉
    1. 8.1 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、ヒト血漿を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを、患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
    2. 8.2 本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HBV-DNA、HCV-RNA、HIV-1-RNA、HIV-2-RNA及びHAV-RNAについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。
      同様に、ヒトパルボウイルスB19-DNAについてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、105IU/mL以下であることを確認した健康人血漿を用いている。
      また、製造工程では、ウイルス不活化を目的とした2段階蒸気加熱処理(60℃、510~520分、19kPa加圧及び80℃、60~70分、37.5kPa加圧)及びウイルス除去膜によるろ過処理(ナノフィルトレーション)を施している。
      本剤は、上記のような安全対策を講じているが、投与に際しては、次の点に十分注意すること。
      1. 8.2.1 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること。,,
      2. 8.2.2 肝炎ウイルス等のウイルス感染のリスクについては完全に否定できないので、観察を十分に行い、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
      3. 8.2.3 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
    3. 8.3 患者血漿中のインヒビター力価測定を行い、インヒビターの存在を確認したのち投与すること。
    4. 8.4 本剤の投与前及び投与後の血液凝固検査としてAPTT、PTT、TEG等いずれかの試験を行うこと。また、DICの徴候が見られることがあるので、血小板数、PT、フィブリノゲン、FDP等の検査で異常が認められた場合、投与を中止すること。
    5. 8.5 DIC及び心筋梗塞等を誘発することがあるので、1回に体重1kg当たり100単位をこえる投与や、1日に体重1kg当たり200単位をこえる場合には特に注意すること1)
    6. 8.6 エミシズマブ(遺伝子組換え)の臨床試験において、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中の出血時に本剤を併用した症例において、血栓塞栓症及び血栓性微小血管症の発現が複数例に認められている2)ため、以下の事項に注意すること。,
      1. 8.6.1 エミシズマブ(遺伝子組換え)投与開始前日までに、本剤の定期輸注は中止すること。また、エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中止後6ヵ月間は、本剤の定期輸注は行わないこと。
      2. 8.6.2 エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中は本剤の投与を避けること。やむを得ず本剤を投与する場合は、必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること。また、投与後は血液凝固系検査等により患者の凝固系の状態を注意深く確認すること。異常が認められた場合には本剤及びエミシズマブ(遺伝子組換え)の投与を中止し、適切な処置を行うこと。
      3. 8.6.3 エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中止後6ヵ月間は、上記8.6.2と同じ対応を行うこと。
    7. 8.7 本剤と他の血液凝固因子製剤を併用する場合は、血栓形成等の相互作用が生じる可能性を否定できないため、治療上の有益性と危険性を十分に考慮すること。
    8. 8.8 間隔を置いての投与で、軽症短期間のアレルギー症状からショック・アナフィラキシーに至るまでのあらゆるアレルギー反応を起こすことがあるので、観察を十分に行うこと。
    9. 8.9 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合にのみ適用すること。本剤を処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施したのち、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し、本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、自己注射後何らかの異常が認められた場合や注射後の止血効果が不十分な場合には、速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。適用後、自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
  • 〈血液凝固第Ⅸ因子インヒビターを保有する患者〉
    1. 8.10 DIC、アレルギー及びショック・アナフィラキシーを誘発するおそれがあるとの報告があるので十分に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 心筋梗塞、急性血栓症・塞栓症の患者

    冠動脈疾患、急性血栓症・塞栓症又はこれらの疑いのある患者では、頭蓋内出血等、生命に危険のおよぶ出血の場合を除き、投与しないこと。血栓形成を助長するおそれがある。

  2. 9.1.2 血小板数が少ない患者

    本剤の効力発現は正常な血小板数に依存することが知られており、十分な効果が得られないおそれがある。

  3. 9.1.3 大手術後、重症の肝胆疾患、溶血性貧血等の患者

    DICを起こすおそれがある。

  4. 9.1.4 IgA欠損症の患者

    抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。

  5. 9.1.5 溶血性・失血性貧血の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある。

  6. 9.1.6 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者

    ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない。感染した場合には、持続性の貧血を起こすことがある。

  7. 9.1.7 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
生殖発生毒性試験は実施していない。また、本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない。感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある。

9.7 小児等

低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    抗線溶剤

    • トラネキサム酸等

    血栓形成傾向があらわれるおそれがある。

    本剤の凝固活性とこれらの薬剤の抗プラスミン作用が微小血栓の寿命を比較的長期化させるため。

    濃縮血小板

    血栓形成傾向があらわれるおそれがある。

    血小板凝集活性を亢進させるとの報告がある。

    エミシズマブ(遺伝子組換え)
    ,

    血栓塞栓症又は血栓性微小血管症があらわれるおそれがある。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間は、本剤の投与は避けること。エミシズマブ(遺伝子組換え)投与中及び投与中止後6ヵ月間の出血に対してやむを得ず本剤を投与する場合は必ず血友病に対する十分な治療経験を有する医師のもと、必要な血液凝固系検査等が実施可能で血栓塞栓症及び血栓性微小血管症に対する適切な処置が可能な医療機関で投与すること。

    本剤由来の活性型血液凝固第Ⅸ因子及び第Ⅹ因子がエミシズマブ(遺伝子組換え)による凝固促進に影響を与える可能性が考えられ、凝固活性の増加につながるおそれがある。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 ショック・アナフィラキシー(いずれも頻度不明)

    2. 11.1.2 DIC(頻度不明)
    3. 11.1.3 血栓塞栓症(頻度不明)

      心筋梗塞、脳梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症等を起こすことがある。

    11.2 その他の副作用

    1~5%未満

    1%未満

    頻度不明

    過敏症

    アレルギー反応、発熱、発疹

    顔面紅潮、じん麻疹、そう痒症

    精神神経系

    浮動性めまい、頭痛

    消化器

    下痢

    肝臓

    AST、ALT、LDHの上昇

    循環器

    低血圧

    心筋梗塞

    投与部位

    血管痛

    その他

    *悪寒、腰痛、フィブリンDダイマー増加

    12. 臨床検査結果に及ぼす影響

    1. 12.1 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者のPT、PTT、APTT、全血凝固時間(WBCT)、TEGのr値(k値)を短縮する。
    2. 12.2 血小板数、フィブリノゲン値の低下、FDPの上昇等DICの徴候がみられることがある。
    3. 12.3 本剤は第Ⅷあるいは第Ⅸ因子インヒビター患者への投与後に既往性反応が起こることがある3),4),5),6),7)
    4. 12.4 本剤の投与後に、受動伝達によると考えられる感染症抗体検査の陽転例が報告されているので、臨床診断は核酸増幅検査等を用いたウイルス感染症検査や臨床所見等に基づき総合的に行うこと。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 添付の溶剤以外は使用しないこと。
    2. 14.1.2 他の製剤と混合しないこと。
    3. 14.1.3 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
    4. 14.1.4 本剤及び添付溶剤のバイアルキャップを外した後ゴム栓を消毒し、必ずゴム栓中央部分に添付の専用溶解器(薬液用両刃針)を刺し、溶解すること。
    5. 14.1.5 溶解した液を注射器に移す場合、添付の専用溶解器(薬液用両刃針)を用いること。
    6. 14.1.6 一度溶解したものは1時間以内に使用すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 注入速度は1分間につき2単位/kgをこえないこと。
    2. 14.2.2 溶解時に沈殿の認められるものを使用しないこと。

    14.3 薬剤交付時の注意

    1. 14.3.1 子どもによる誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
    2. 14.3.2 使用済の医療機器等の処理については、主治医の指示に従うこと。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    本剤のTGt50は6分程度と短く、一旦thrombin generationが生じかけると2~4分以内にトロンビン時間が急速に短縮することから8)生体内では速やかに活性化すると考えられる。
    患者投与後のTEG(r値、k値の短縮効果)から、ファイバ活性は本剤投与後5分以内でピークに達し、以後徐々に低下するとした3),9)が、現在のところ生体内ファイバ活性のピークを捉えることは困難である。
    また、SchimpfらはTEGによる追跡データ等から、本剤の血中半減期は4~8時間の間にあると推察した10)(外国人データ)。

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 日本人における臨床試験及び使用経験

      次の表に本剤の第Ⅷ因子インヒビター及び第Ⅸ因子インヒビター症例に対する臨床効果のまとめを示した11),12),13)

      施設数

      出血件数

      投与回数
      (平均)

      1回投与量
      単位/kg
      (平均)

      有効以上
      (%)

      やや有効以上
      (%)

      第Ⅷ因子
      インヒビター

      3

      6

      1~14
      (4.33)

      50~80
      (75.5)

      50

      100

      第Ⅸ因子
      インヒビター

      1

      2

      1~5
      (3)

      50

      100

      100

      なお、本剤投与前後でPT、APTT、FDP、フィブリノゲン量、血小板数等を測定したが、すべての測定時点において異常所見を認めず、DICを疑わせる血栓傾向は認められなかった。さらに、3ヵ月後の免疫機能及び一般臨床検査値でも異常は認められなかった。

    2. 17.1.2 国際共同第Ⅲ相臨床試験

      血液凝固第Ⅷ因子又は第Ⅸ因子インヒビターを保有する患者36例(日本人患者2例)を対象に、定期投与(70~100単位/kgを隔日投与)及び出血時投与における治療効果を無作為化多施設非盲検並行群間比較試験により検討した14)

      症例数

      年間出血回数
      (中央値)

      新たな標的関節注)での
      年間出血回数(中央値)

      定期投与

      17
      (日本人:1)

      7.9

      0

      出血時投与

      19
      (日本人:1)

      28.7

      5.9

      注)既存の標的関節以外で、新たに6ヵ月間に4回以上の出血が生じた関節

      定期投与群では17例中6例(35.3%)の副作用が報告され、B型肝炎表面抗体陽性が3例(17.6%)、過敏症、発疹及び低血圧が各1例(5.9%)であった。
      出血時投与群では19例中3例(15.8%)の副作用が報告され、浮動性めまい、頭痛及びB型肝炎表面抗体陽性が各1例(5.3%)であった。

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    本剤の有する諸性質には、含有される因子が複雑に関係しており、その成分を単離して作用機序を解明することは困難である。

    18.2 止血作用

    1. 18.2.1 本剤は、第Ⅷ因子インヒビター又は第Ⅸ因子インヒビター含有血漿のAPTTを正常化する作用を有する。
    2. 18.2.2 血小板凝集能の上昇作用や血小板による第Ⅸ因子活性化を増強する能力を有する。
    3. 18.2.3 カルシウムの存在下でトロンビン産生能を有する15)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体(Anti-inhibitor coagulant complex)

    本質

    本剤中には主としてビタミンK依存性因子群(プロトロンビン、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子)が含まれるほか、活性型凝固因子としてⅫa、Ⅸa、Ⅹa、Ⅶa、及びトロンビンも含まれる。これらの活性型凝固因子のうち、Ⅹa及びトロンビンの含有量は発色性合成ペプチド基質を用いた測定から微量である。

    20. 取扱い上の注意

    本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を投与又は処方した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与又は処方した日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。

    22. 包装

    1バイアル
    溶剤(日局 注射用水20mL)、薬液用両刃針 添付

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    武田薬品工業株式会社 くすり相談室

    〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号

    フリーダイヤル 0120-566-587
    受付時間 9:00~17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売(輸入)元

    武田薬品工業株式会社

    〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号



    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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