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オビザー静注用500

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2止血効果
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

オビザー静注用500

添付文書番号

6343460D1020_1_01

企業コード

400256

作成又は改訂年月

2024年6月改訂(第2版)
2024年3月作成

日本標準商品分類番号

876349

薬効分類名

遺伝子組換え型ブタ配列血液凝固第Ⅷ因子製剤

承認等

オビザー静注用500

販売名コード

YJコード

6343460D1020

販売名英語表記

OBIZUR Intravenous Injection 500

承認番号等

承認番号

30600AMX00123

販売開始年月

2024年6月

貯法・有効期間

貯法

凍結を避け、2~8℃で保存

有効期間

36ヵ月

規制区分

一般的名称

スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分又はハムスター細胞由来タンパク質に対してアナフィラキシーの既往歴のある患者
  2. 2.2 インヒビター保有先天性血友病A患者[既往免疫反応を起こすおそれがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

オビザー静注用500

有効成分1バイアル中
スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え) 500単位注1)  
添加剤ポリソルベート80   0.05mg
塩化ナトリウム   8.765mg
塩化カルシウム水和物   0.147mg
精製白糖   1.88mg
トロメタモール   0.0445mg
トロメタモール塩酸塩   0.73mg
クエン酸ナトリウム水和物   1.47mg
添付溶解液日本薬局方注射用水  1mL

注1)ヒト血液凝固第Ⅷ因子製剤に関する世界保健機関(WHO)国際基準により校正した遺伝子組換えブタ血液凝固第Ⅷ因子標準品を用い、凝固一段法により測定された単位(力価:U)
注2)本剤はベビーハムスター腎臓(BHK)細胞株を用いて製造される。また、製造工程においてウシ胎児血清を使用している。

3.2 製剤の性状

オビザー静注用500

剤形注射剤(バイアル)
pH6.8~7.2
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)
性状本剤は白色の塊である。溶解後の液は無色澄明の液となる。

4. 効能又は効果

後天性血友病A患者における出血抑制

6. 用法及び用量

本剤を添付の日本薬局方注射用水1mLで溶解し、緩徐に静脈内に注射する。
18歳以上の患者には、初回投与量は体重1kg当たり200単位とする。その後は、出血の程度に応じて、血液凝固第Ⅷ因子活性や患者の状態を確認しながら投与量と投与頻度を調節する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 初回投与後、血液凝固第Ⅷ因子活性や患者の状態を適宜モニタリングしながら、臨床判断に基づいて投与量、投与頻度及び投与期間を決定すること。
    1. 7.1.1 急性出血の治療においては、下表を参考にすること。
      急性出血の治療においては、初回投与量は200U/kgとし、2回目以降の投与頻度は下表の目標血液凝固第Ⅷ因子活性トラフ値を維持するように、臨床反応に基づき決定すること。
      出血の程度に応じた目標血液凝固第Ⅷ因子活性トラフ値及び投与頻度の目安

      出血の程度

      目標血液凝固第Ⅷ因子活性トラフ値(%又はIU/dL)

      投与頻度

      軽度:
      軽度の筋肉内出血(神経血管障害なし)及び関節内出血

      ≧50

      4~12時間ごと
      (適宜、血液凝固第Ⅷ因子活性や患者の状態に基づいて決定する。)

      中等度及び重度:
      中等度から重度の筋肉内出血及び関節内出血、後腹膜出血、消化管出血、頭蓋内出血

      ≧80

    2. 7.1.2 本剤による治療効果は多くの場合24時間以内に認められる。治療効果が認められた後は、出血がコントロールされるまで、血液凝固第Ⅷ因子活性トラフ値が30~40%に維持される投与量及び投与頻度で本剤の投与を継続することができる。なお、投与期間は患者の状態に基づき判断すること。
    3. 7.1.3 本剤の投与量を調整する際、血液凝固第Ⅷ因子活性の上限は200%を目安とし、1回投与量の上限は2時間ごと400U/kgを目安とすること。ただし、投与後の血液凝固第Ⅷ因子活性及び患者の状態に基づき治療上の有益性を考慮した上で必要性を認める場合には、1回投与量の上限は4時間ごと800U/kgを目安とすること。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤の投与は、血友病治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで開始すること。
  2. 8.2 本剤の投与前後に患者の血中に本剤に対するインヒビターが存在又は発生するおそれがあり、本剤の効果が得られない可能性がある。また、ヒト血液凝固第Ⅷ因子又は本剤に対するインヒビターの上昇に伴う既往免疫反応が報告されており、本剤の効果が減弱するおそれがある。本剤を投与しても血液凝固第Ⅷ因子活性の上昇がみられない場合、又は十分な止血効果が得られない場合には本剤に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、他の治療法への切替えを考慮するなど、適切な処置を行うこと。
  3. 8.3 本剤の投与開始前に本剤に対するインヒビター検査を実施することが望ましいが、患者の状態に基づき、検査結果がわかる前に投与を開始することもできる。また、本剤投与中に血液凝固第Ⅷ因子活性を継続的にモニタリングすることは、投与継続の可否の判断に有用である。
  4. 8.4 バイパス止血製剤から本剤に切り替える場合〔活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤投与後3時間以内、活性型プロトロンビン複合体(乾燥人血液凝固因子抗体迂回活性複合体)製剤投与後6時間以内、乾燥濃縮人血液凝固第Ⅹ因子加活性化第Ⅶ因子製剤投与後8時間以内〕、本剤からバイパス止血製剤へ切り替える場合及び本剤とエミシズマブ(遺伝子組換え)を併用する場合は、血栓塞栓性事象があらわれる可能性が否定できないため血栓塞栓性事象の兆候を注意深く確認しながら投与すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 本剤の成分又はハムスター由来タンパク質に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 9.1.2 血液凝固第Ⅷ因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者
  3. 9.1.3 心血管疾患を合併する患者

    血栓塞栓性事象を発現するリスクが上昇するおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。生殖発生毒性試験は実施していない。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック、アナフィラキシー(頻度不明)

    血管浮腫、胸部圧迫感、呼吸困難、低血圧、喘鳴、じん麻疹、そう痒症等の症状が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 11.1.2 血栓塞栓症(頻度不明)

    深部静脈血栓症等を起こすことがある。,

11.2 その他の副作用

5~10%未満

免疫系障害

抗ブタ血液凝固第Ⅷ因子抗体陽性

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 他の製剤と混合しないこと。
  2. 14.1.2 溶解時に沈殿や白濁、変色が認められるものは使用しないこと。
  3. 14.1.3 溶解した液を注射器に移す場合、添付の専用溶解器(オビザー溶解器)を用いること。
  4. 14.1.4 薬剤の調製後は常温で保存し、3時間以内に使用すること。

14.2 薬剤投与時の注意

本剤全量を1~2mL/分の速度で投与すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤はvon Willebrand因子を含んでいない。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

  1. 16.1.1 後天性血友病A患者を対象とした海外第Ⅱ/Ⅲ相試験において、本剤を非出血状態(組入れ時の出血エピソードが本剤により止血された後の状態)で静脈内投与した際の薬物動態パラメータを下表に示す(5例、投与量30-207U/kg)1)
    本剤の薬物動態パラメータ(ベースライン非補正)

    患者

    1

    2

    3

    4

    5

    最終投与時の投与量(U)

    5000

    2934

    7540

    9720

    10000

    体重当たりの投与量(U/kg)

    77

    30

    144

    207

    133

    ベースライン(最終投与直前)のヒト血液凝固第Ⅷ因子活性(%)

    89

    18

    3

    0

    NA

    薬物動態パラメータ(個別値)

    t1/2(h)

    17

    4.6

    5.3

    1.8

    4.2

    Tmax(h)

    0.42

    0.42

    0.45

    0.50

    0.75

    Amax(%)

    213

    100

    74

    53

    178

    AUC0-t(%・t)

    3124

    694

    473

    122

    1583

    AUC0-∞(%・t)

    4988

    712

    492

    135

    1686

    薬物動態パラメータの要約統計量(n=5)〔平均値(標準偏差)〕

    t1/2(h)

    6.6(6.0)

    Tmax(h)

    0.51(0.14)

    Amax(%)

    124(69)

    AUC0-t(%・t)

    1199(1204)

    AUC0-∞(%・t)

    1603(1978)

    凝固一段法により測定
    t½:終末相における消失半減期、Tmax:最高血漿中活性値到達時間、Amax:最高血漿中活性値、AUC0-t:0時間から測定最終時点までの血漿中活性値-時間曲線下面積、AUC0-∞:0時間から無限大時間までの血漿中活性値-時間曲線下面積、NA:未測定

  2. 16.1.2 ヒト血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病A患者及び後天性血友病A患者(計35例)から得られた血漿中血液凝固第Ⅷ因子活性値(532ポイント)を用いて母集団薬物動態解析を行った。この母集団薬物動態解析の結果を基に、国内第Ⅱ/Ⅲ相試験及び海外第Ⅱ/Ⅲ相試験における後天性血友病A患者の薬物動態パラメータ推定値(本剤を出血状態で投与した際の初回投与から24時間以内の血漿中血液凝固第Ⅷ因子活性値に基づく)を下表に示す1)
    本剤投与時の推定薬物動態パラメータ〔幾何平均値[幾何変動係数(%)]〕

    パラメータ

    日本人注1)(5例)

    外国人注2)(23例)

    Cmax(IU/dL)

    161(71.0)

    227(38.8)

    AUC0-24(IU*h/dL)

    1590(93.2)

    2370(66.7)

    Tmax(h)

    1.50(509.7)

    2.17(832.5)

    t1/2(h)

    3.40(378.2)

    3.29(202.2)

    CL/kg(L/h/kg)

    0.414(2085.1)

    0.327(383.8)

    Vc/kg(L/kg)

    1.46(101.4)

    1.12(46.8)

    注1)投与量範囲127-665U/kg
    注2)投与量範囲94.1-365U/kg

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(非盲検非対照試験)

    18歳以上のヒト血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターを保有する後天性血友病A患者5例を対象とした多施設共同非盲検非対照試験において、重大な出血エピソードの治療のため初回投与量として本剤200U/kgを投与後、血液凝固第Ⅷ因子活性及び患者の状態に応じて追加投与した。治療期間中における血液凝固第Ⅷ因子活性は、本剤の初回投与前、初回投与30分後、各投与時、初回投与24時間後までは8時間ごと、初回投与72時間後までは12時間ごと、以降は24時間ごとに測定した。治療開始から24時間後の時点における、出血コントロール、臨床評価及び血液凝固第Ⅷ因子活性に基づく医師評価では、5例全例が本剤に対して「反応あり」とされた。注1)
    医師により関連ありと判断された有害事象は1例(2件)に認められ、報告された事象は中枢性甲状腺機能低下症及びクリオグロブリン血症であった2)

  2. 17.1.2 海外第Ⅱ/Ⅲ相試験(非盲検非対照試験)

    18歳以上の血液凝固第Ⅷ因子に対するインヒビターを保有し、かつ本剤に対するインヒビター力価20BU以下の後天性血友病A患者29例注2)を対象とした多施設共同非盲検非対照試験において、重大な出血エピソードの治療のため初回投与量として本剤200U/kgを投与後、血液凝固第Ⅷ因子及び患者の状態に応じて追加投与した。治療期間中における血液凝固第Ⅷ因子活性は、初回投与10~20分後、各投与時、初回投与24時間後までは約2〜3時間ごと、以降は初回投与120時間後までは12時間ごと、120時間以降は24時間ごとに測定した。出血エピソードがコントロールされた後に投与を継続した場合は、少なくとも24時間ごとに測定した。治療開始から24時間後の時点における、出血コントロール、臨床評価及び血液凝固第Ⅷ因子活性に基づく医師評価では、29例全例が本剤に対して「反応あり」とされた。注1)
    医師により関連ありと判断された有害事象は6例(7件)に認められ、報告された主な事象は抗体検査陽性(2件)であった3)
    注1)国内及び海外第Ⅱ/Ⅲ相試験で用いた治療効果判定の要素は「出血のコントロール」/「臨床評価」/「血液凝固第Ⅷ因子活性」の3つである。以下の定義に基づき「効果あり」又は「部分的に効果あり」と判定された場合を「反応あり」(本剤に対して治療反応が認められた)とした。
    ・効果あり:出血停止/臨床的にコントロール/50%以上
    ・部分的に効果あり:出血量減少/臨床的安定化、改善又は別の理由による出血/20%以上
    出血の評価が最も重要な要素とされ、臨床反応(「出血のコントロール」及び「臨床評価」)と「血液凝固第Ⅷ因子活性値」が不一致の場合は、臨床反応により治療効果判定を行った。
    注2)29例中1例については、本剤の投与前における本剤に対するインヒビター力価が20BUを超える症例であった。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

スソクトコグ アルファはBドメイン欠損遺伝子組換えブタ血液凝固第Ⅷ因子であり、血液凝固第Ⅷ因子の欠乏を一時的に補正することにより、出血を抑制する。

18.2 止血効果

本剤の静脈内投与により、血友病Aマウスの尾出血及び血友病Aイヌの爪上皮出血に対する止血効果が認められた4)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

スソクトコグ アルファ(遺伝子組換え)
[Susoctocog Alfa(Genetical Recombination)]〔JAN〕

本質

スソクトコグ アルファは、遺伝子組換えブタ血液凝固第Ⅷ因子類縁体(分子量:約175,000)であり、764個のアミノ酸残基からなるH鎖及び684個のアミノ酸残基からなるL鎖で構成される。H鎖はブタ血液凝固第Ⅷ因子の1〜752番目及び1419〜1430番目のアミノ酸残基に相当し、L鎖はブタ血液凝固第Ⅷ因子の1431〜2114番目のアミノ酸残基に相当する。スソクトコグ アルファは、ベビーハムスター腎臓細胞により産生される。

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 本剤は凍結させないこと。
  2. 20.2 個装箱開封後は遮光保存すること。

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 日本人での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施することにより、本剤の使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。

22. 包装

オビザー静注用500:500単位[1バイアル]
添付溶解液(日本薬局方注射用水 1mL)[1シリンジ]
オビザー溶解器[1個]

24. 文献請求先及び問い合わせ先

武田薬品工業株式会社 くすり相談室

〒103-8668 東京都中央区日本橋本町二丁目1番1号

フリーダイヤル 0120-566-587
受付時間 9:00〜17:30(土日祝日・弊社休業日を除く)

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

武田薬品工業株式会社

〒540-8645 大阪市中央区道修町四丁目1番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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