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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
本剤は持続性癌疼痛治療剤であり、疼痛増強時や突発性の疼痛が発現した場合の追加投与(レスキュードーズ)には使用しないこと。
通常、成人にはモルヒネ塩酸塩水和物として1回30~120mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
本剤の投与開始前のオピオイド系鎮痛薬による治療の有無を考慮して初回投与量を設定することとし、すでに治療されている場合にはその投与量及び鎮痛効果の持続を考慮して副作用の発現に注意しながら適宜投与量を調節すること。
モルヒネ硫酸塩徐放剤の1日投与量と同量を、本剤の1日投与量の目安とすること。
オキシコドン塩酸塩徐放剤1日投与量の1.5倍量を、本剤の1日投与量の目安とすること。
経皮フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
本剤服用中に疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちにモルヒネ速溶性製剤の追加投与(レスキュードーズ:1日投与量の6分の1量を目安とする)を行い鎮痛を図ること。
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこととし、増量する場合は1日あたり30mg増あるいは30%~50%増とする。
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
本剤の投与を必要としなくなった場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長をきたすおそれがある。
循環不全を増強するおそれがある。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制を起こすおそれがある。
呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
依存性を生じやすい。
排尿障害を増悪することがある。
消化管運動を抑制する。
痙攣を誘発するおそれがある。
胆道痙攣を起こすことがある。
連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
排泄が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
投与しないこと。昏睡に陥ることがある。
代謝が遅延し、副作用があらわれるおそれがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒト母乳中へ移行することがある。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。なお、新生児、乳児には、低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。呼吸抑制の感受性が高い。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。
ナルメフェン塩酸塩水和物
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。
μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
中枢神経抑制剤
吸入麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β-遮断剤
アルコール
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。
機序は不明である。
抗コリン作動性薬剤
麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。
相加的に抗コリン作用が増強される。
ジドブジン
(アジドチミジン)
ジドブジンの副作用(骨髄抑制等)を増強させるおそれがある。
ジドブジンのグルクロン酸抱合が競合的に阻害され、ジドブジンの代謝が阻害される。
ブプレノルフィン
ブプレノルフィンの高用量(8mg連続皮下投与)において、本剤の作用に拮抗するとの報告がある。
**クロピドグレル硫酸塩
**チカグレロル
**プラスグレル塩酸塩
**左記の薬剤の血漿中濃度を低下させる可能性がある。
**本剤の消化管運動抑制作用に関連すると考えられる。
連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがあるので、投与を中止する場合には、1日用量を徐々に減量するなど、患者の状態を観察しながら行うこと。
息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
*炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれるとの報告がある。
5%以上
1~5%未満
頻度不明
過敏症
そう痒
発疹
精神神経系
眠気
頭痛、めまい
*不安、不穏、興奮、視調節障害、発汗、痛覚過敏注1) 、アロディニア
消化器
嘔気、嘔吐、便秘
食欲不振、下痢、口渇
循環器
不整脈、血圧変動、顔面潮紅
肝臓
AST(GOT)、AL-P、LDH、ビリルビンの上昇
血液
貧血、白血球増多、好中球増多、リンパ球減少、血小板減少、血小板増多
その他
排尿障害、倦怠感、発熱、BUN、クレアチニンの上昇
頭蓋内圧の亢進
呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤なめまい、嗜眠、心拍数の減少、神経過敏、不安、縮瞳、皮膚冷感等を起こすことがある。
麻薬拮抗剤投与を行い、患者に退薬症候又は麻薬拮抗剤の副作用が発現しないよう慎重に投与する。なお、麻薬拮抗剤の作用持続時間はモルヒネのそれより短いので、患者のモニタリングを行うか又は患者の反応に応じて初回投与後は注入速度を調節しながら持続静注する。
健康成人男子12例を対象に、本剤30mg、60mg又は120mgを絶食下に単回経口投与した時の血中濃度の推移は以下のとおりであった3)(外国人データ)。
1)投与後0.5時間:n=11(1例、採血時間が許容範囲から外れたため、要約統計量から除外した。)
投与量
Cmax(ng/mL)
AUC0-48(ng・h/mL)
速放部
徐放部
30mg
3.50±1.42
3.99±1.32
61.1±35.5
60mg
8.12±2.83
6.76±1.70
145±46.0
120mg
20.6±10.2
14.6±5.00
275±99.1
平均値±標準偏差
モルヒネ硫酸塩徐放剤30mgの1日2回経口投与により疼痛がコントロールされている癌患者11例に対し、本剤に切り替え1日1回60mgを5日間経口投与した時の血中濃度の推移は以下のとおりであった4)。
健康成人男子12例に朝食前絶食下又は高脂肪食を摂食5分後に本剤60mgを単回経口投与した時の血中濃度の推移は以下のとおりであった5)(外国人データ)。
投与条件
絶食下
7.55±3.98
5.96±2.06
122±50.7
食後
4.56±1.19
6.75±1.61
100±46.8
モルヒネは主として肝臓及び消化管粘膜に存在するUDP-glucuronyl transferaseにより代謝され、モルヒネ-3-グルクロニド(活性なし)及びモルヒネ-6-グルクロニド(活性あり)に代謝された(in vitro)6)。
既存の経口モルヒネ製剤の投与により疼痛治療されている癌患者(30mg/日2例、120mg/日1例)に対し、本剤に切り替え1日1回30mg2例又は150mg1例を5日間経口投与した時の尿中排泄率は、モルヒネ-3-グルクロニドが64.5~82.1%、モルヒネ-6-グルクロニドが7.3~15.7%、モルヒネの未変化体が2.4~5.8%であった7)。
モルヒネ硫酸塩徐放剤30mg又は60mgの1日2回投与により疼痛がコントロールされている癌患者61例を対象に、前治療でのモルヒネ投与量と同じ1日用量にて、本剤(1日1回投与)及びモルヒネ硫酸塩徐放剤(1日2回投与)を交互に4日間投与した二重盲検交差比較試験の結果、安静時疼痛のVAS(Visual Analogue Scale)を指標とした鎮痛効果において本剤のモルヒネ硫酸塩徐放剤に対する非劣性が確認された。また、疼痛の程度、鎮痛効果と副作用を総合した治療の満足度、有痛時間及び睡眠時間においても薬剤間の差はみられなかった8)。
前観察期
1.39±1.19cm
本剤投与期
1.60±1.52cm
モルヒネ硫酸塩徐放剤投与期
1.47±1.39cm
注1)VASは0~10cmであり、0cmが痛みのない状態で、10cmが考えられる最も強い痛みを示す。注2)前観察期、本剤投与期、モルヒネ硫酸塩徐放剤投与期の評価可能なデータが、全て揃っている症例を解析対象とした。
副作用発現頻度は、本剤投与期で17.7%(11/62例)及びモルヒネ硫酸塩徐放剤投与期で26.2%(16/61例)であった。主な副作用は、本剤投与期で嘔気11.3%(7/62例)、眠気、嘔吐がそれぞれ3.2%(2/62例)、モルヒネ硫酸塩徐放剤投与期で眠気11.5%(7/61例)、嘔気、嘔吐がそれぞれ4.9%(3/61例)であった8)。
モルヒネによる疼痛治療が行われていない癌患者10例(新規例)及び既存の経口モルヒネ製剤の120mg/日以下の投与で疼痛治療されている癌患者78例(切替例)を対象に、新規例では30mg/日、切替例では30~120mg/日より本剤の経口投与を開始し、1~141日間投与した試験の結果、新規例では、安静時疼痛のVASは観察期に対して本剤投与2日目より有意に低下し、鎮痛効果は本剤最終投与時まで維持された。また、切替例では、観察期と本剤投与期の安静時疼痛のVASに有意差は認められず切替前の効果が維持された7)。
新規例(10例)
観察期
4.51±2.05cm
1.51±1.61cm
切替例(78例)
2.23±1.97cm
1.96±1.81cm
注)VASは0~10cmであり、0cmが痛みのない状態で、10cmが考えられる最も強い痛みを示す。
副作用発現頻度は、新規例で90.0%(9/10例)、切替例で65.4%(51/78例)であった。主な副作用は、新規例で眠気60.0%(6/10例)、嘔吐(増悪も含む)50.0%(5/10例)、嘔気50.0%(5/10例)、切替例で眠気32.1%(17/78例)、嘔吐(増悪も含む)32.1%(25/78例)、嘔気26.9%(21/78例)であった7)。
オピオイド受容体のうち、主としてμ受容体に作用して、中枢神経及び消化器系に対する作用を現すが、δ及びκ受容体に対する親和性も有する9)。
本剤に含まれる徐放性粒と同じ放出制御システムであるプロトタイプの徐放性粒による鎮痛効果を水溶液による鎮痛効果と比較した(ラット:Tail-flick法)。その結果、プロトタイプの徐放性粒(モルヒネ塩酸塩水和物として160mg/kg)を1日1回投与した時の鎮痛効果は、モルヒネ塩酸塩水和物水溶液(モルヒネ塩酸塩水和物として40mg/kg/回)を6時間毎に1日4回分割投与した時とほぼ同程度であった。また、この時同時に測定した血漿中モルヒネ濃度と鎮痛効果はほぼ同様に推移した10)。
モルヒネ塩酸塩水和物(Morphine Hydrochloride Hydrate)〔JAN〕
(5R,6S)-4,5-Epoxy-17-methyl-7,8-didehydromorphinan-3,6-diol monohydrochloride trihydrate
C17H19NO3・HCl・3H2O
375.84
モルヒネ塩酸塩水和物は白色の結晶又は結晶性の粉末である。ギ酸に溶けやすく、水にやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくい。光によって徐々に黄褐色を帯びる。
PTP 50カプセル(10カプセル×5、乾燥剤及び脱酸素剤入り)
1) Harpel,H.S.et al.:J.Pharm.Sci.1968;57:1590-1597.
2) Lahijani,M.S.et al.:Iran.J.Sci.Technol.Trans.A.Sci.2004;28:85-96.
3) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの薬物動態試験成績①(社内資料)
4) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの薬物動態試験成績②(社内資料)
5) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの薬物動態試験成績③(社内資料)
6) Milne RW,et al.:Drug Metabolism Reviews.1996;28:345-472.
7) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの国内第Ⅲ相試験成績①(社内資料)
8) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの国内第Ⅲ相試験成績②(社内資料)
9) 第十八改正 日本薬局方解説書. 廣川書店. 2021:C-5849-C-5854.
10) モルヒネ塩酸塩水和物徐放性カプセルの薬理試験成績(社内資料)
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