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日本薬局方
ドキサゾシンメシル酸塩錠
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはドキサゾシンとして1日1回0.5mgより投与を始め、効果が不十分な場合は1~2週間の間隔をおいて1~4mgに漸増し、1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日最高投与量は8mgまでとする。ただし、褐色細胞腫による高血圧症に対しては1日最高投与量を16mgまでとする。
主として肝臓で代謝されるため、血中濃度-時間曲線下面積(AUC)が増大することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。胎児器官形成期投与試験にて、ラットへの120mg/kg投与及びウサギへの100mg/kg投与により胎児死亡率の増加が報告されている1) 。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中への移行が報告されている2) 。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。脳梗塞等が起こるおそれがあることから、一般に過度の降圧は好ましくないとされている。
利尿剤又は他の降圧剤
相互に作用を増強するおそれがあるので、減量するなど注意すること。
相互に作用を増強するおそれがある。
ホスホジエステラーゼ5阻害作用を有する薬剤
併用によりめまい等の自覚症状を伴う症候性低血圧を来したとの報告がある3) 。
血管拡張作用による降圧作用を有するため、本剤の降圧作用を増強することがある。
起立性低血圧によることが多いので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、仰臥位をとらせるなど適切な処置を行うこと。
肝炎、AST、ALT、γ-GTPの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
肝臓
AST、ALT、Al-Pの上昇
LDHの上昇
胆汁うっ滞
循環器
起立性めまい、起立性低血圧、低血圧、動悸・心悸亢進、頻脈、ほてり(顔面潮紅等)
胸痛・胸部圧迫感
徐脈
精神・神経系
めまい、頭痛・頭重、眩暈
眠気、不眠、しびれ感
耳鳴、興奮、振戦、知覚鈍麻、不安、うつ病、神経過敏
消化器
悪心・嘔吐
腹痛、口渇、食欲不振、下痢、便秘
消化不良、鼓腸放屁
筋・骨格系
関節痛、筋力低下、筋痙直、筋肉痛、背部痛
呼吸器
息苦しさ、鼻出血、鼻炎、咳
気管支痙攣悪化、呼吸困難
泌尿・生殖器
頻尿・夜間頻尿、尿失禁
持続勃起、勃起障害、射精障害(逆行性射精等)、血尿、排尿障害、多尿
過敏症
発疹、そう痒感
蕁麻疹、血管浮腫、光線過敏症
血液
白血球減少
血小板減少
紫斑
眼
かすみ目、術中虹彩緊張低下症候群(IFIS)
その他
倦怠感
浮腫、脱力感、異常感覚、発熱
発汗、疼痛、体重増加、女性化乳房、脱毛
過量投与により低血圧を起こす可能性がある。
本剤は蛋白結合率が高いため、透析は有用ではない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
α1遮断薬を服用中又は過去に服用経験のある患者において、α1遮断作用によると考えられる術中虹彩緊張低下症候群(Intraoperative Floppy Iris Syndrome)があらわれるとの報告がある。
ドキサゾシン錠1mg「TCK」とカルデナリン錠1mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ドキサゾシンとして1mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された7)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0→34hr(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
ドキサゾシン錠1mg「TCK」
138.69±36.84
10.81±2.18
2.05±1.05
9.89±2.33
カルデナリン錠1mg
132.22±41.76
10.93±2.49
1.98±0.94
10.49±3.57
(Mean±S.D.,n=20)
ドキサゾシン錠2mg「TCK」とカルデナリン錠2mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(ドキサゾシンとして2mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された8)。
ドキサゾシン錠2mg「TCK」
271.88±43.40
23.57±3.58
1.85±0.63
10.88±1.64
カルデナリン錠2mg
279.69±36.18
22.53±3.02
2.13±0.79
11.23±1.16
分布容積は1.2L/kgであり、組織への移行性は良好と考えられる5),9)。
ドキサゾシンのヒト血漿蛋白結合率(in vitro) は98.9%であった2),9)。
健康成人6名にドキサゾシン錠0.5mg、1mg又は2mgを単回経口投与したときの投与後24時間までの未変化体の尿中排泄率はいずれも1%以下であった。健康成人2名に14C-標識ドキサゾシン2mgを単回経口投与した場合の投与後7日目までの放射能排泄率は、尿中9%、糞中63%であり、主として糞中へ排泄され、そのほとんどが代謝物として排泄される5),10)。
腎機能障害を伴う高血圧症患者5例と腎機能正常の高血圧症患者7例にドキサゾシン錠2mgを1日1回5~8日間連続経口投与した結果、両群間で血漿中ドキサゾシン濃度の推移に有意な差は認められなかった6)。
肝機能の低下している患者(肝硬変患者)12例及び健康成人12名にドキサゾシン錠2mgを単回経口投与した結果、臨床的な影響は明らかではないが、ドキサゾシンの肝機能低下患者におけるAUCは246±84ng・hr/mLと健康成人の値172±61ng・hr/mLに比し有意に増大した11) 。
健康高齢者12名(平均71.4歳)及び若年健康成人6名にドキサゾシン1mgを静注、又は2mgを単回経口投与した結果、健康高齢者では若年健康成人に比し分布容積は有意に高値を示すが、バイオアベイラビリティー、クリアランス及び血漿中濃度半減期には有意な変化は認められなかった12)。
ドキサゾシン錠0.5mg「TCK」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成12年2月14日 医薬審64号)」に基づき、ドキサゾシン錠1mg「TCK」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた13)。
ドキサゾシン錠4mg「TCK」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドライン(平成12年2月14日 医薬審64号)」に基づき、ドキサゾシン錠2mg「TCK」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた14)。
二重盲検比較試験を含むドキサゾシン錠開発時の臨床試験成績の疾患別有効率は以下の通りである。
疾患名
有効率(下降以上)
軽症・中等症本態性高血圧症重症高血圧症腎障害を伴う高血圧症褐色細胞腫による高血圧症
76.5%(355/464)89.3%(25/28)79.2%(19/24)79.2%(19/24)
軽症・中等症の本態性高血圧症に対する有効率は76.5%(355/464例)であった15),16),17),18),19)。ドキサゾシン錠単独投与と他剤との併用投与を比較した試験では、単独投与群の有効率80.6%(104/129例)、利尿剤併用群81.5%(53/65例)、β遮断剤併用群86.4%(57/66例)であり、単独投与に比べて併用療法の有効率がやや高かった。副作用発現率は、単独投与群11.3%(16/141例)、利尿剤併用群10.3%(7/68例)、β遮断剤併用群5.8%(4/69例)で、主な症状は立ちくらみ、めまい、ふらふら感、動悸、頭重感、倦怠感などであった15)。なお、1年以上の長期投与113例の有効率は80.5%(91/113例)であり、長期投与においても安定した降圧効果が認められた。副作用発現率は4.2%(5/119例)であり、主な症状はふらつきなどであった19)。プラゾシンとの二重盲検比較試験ではドキサゾシン1日1回0.5~4mg投与の有効率は70.8%(80/113例)であり、プラゾシン1日1.5~6mg分3投与の有効率70.0%(77/110例)と同等の成績であった。副作用発現率は、ドキサゾシン投与群で15.1%(19/126例)、プラゾシン投与群で15.9%(20/126例)であり、その主なものは中枢・自律神経系(頭痛、めまい、眠気、起立性低血圧など)に分類されるもので、ドキサゾシン投与群で7.9%(10/126例)、プラゾシン錠投与群で8.7%(11/126例)であった18)。
重症高血圧症に対する他剤併用下でのドキサゾシン1日1回0.5~16mg投与の有効率は89.3%(25/28例)であり、副作用発現率は3.6%(1/28例)であった。臨床検査値の異常変動例のうち、臨床的にやや問題ありと判断されたものは1例であった20)。
腎障害を伴う高血圧症に対する有効率は79.2%(19/24例)であった。副作用発現率は12.0%(3/25例)であった21)。
褐色細胞腫による高血圧症に対する有効率は79.2%(19/24例)であった。副作用発現率は8.3%(2/24例)であり、立ちくらみ及び下腹部不快感が認められた。臨床検査の異常値は血小板減少が1例で認められた22)。
ドキサゾシンを12週間又は1年以上投与した本態性高血圧症患者において、降圧効果とともに血清総コレステロールの減少が認められた15),19)。
ドキサゾシンの降圧作用は末梢血管の交感神経α受容体の遮断によるが、α1受容体(シナプス後α受容体)に選択的に働き、α2受容体(シナプス前α受容体)にはほとんど作用しないことがラット摘出輸精管標本、ウサギ摘出肺動脈標本又はreceptor binding assayによるin vitro 実験で認められている。また、ドキサゾシンのα1受容体への選択性は従来のα1遮断剤より優れている23),24)。
高血圧自然発症ラット、腎性高血圧ラット、DOCA高血圧ラット及び腎性高血圧イヌを用いた実験において、経口投与により持続的な降圧作用が認められている。高血圧自然発症ラットに1日1回37日間連続経口投与した実験でも安定した降圧効果を示し、耐性は認められなかった23)。
麻酔イヌにおいてドキサゾシン0.1~0.5mg/kgの静脈内投与により、持続的な血圧下降、全末梢抵抗の減少、心拍出量及び心拍数の一過性増加がみられた。本態性高血圧症患者にドキサゾシン0.5~4mgを6週間経口投与した成績では、有意な血圧下降、全末梢抵抗の減少及び心拍出量の増加傾向がみられたが、心拍数には変動は認められなかった23),25)。
腎性高血圧イヌにドキサゾシン0.1~1.0mg/kgを経口投与した成績では、血漿レニン活性に有意な影響は認められていない。また、本態性高血圧症患者にドキサゾシン2mgを連続経口投与した成績においても、血漿レニン活性、アルドステロン、ノルアドレナリン及びアドレナリン濃度に有意な変動は認められていない6),23)。
ドキサゾシンメシル酸塩(Doxazosin Mesilate)
1-(4-Amino-6,7-dimethoxyquinazolin-2-yl)-4-{[(2RS )-2,3-dihydro-1,4-benzodioxin-2-yl]carbonyl}piperazine monomethansulfonate
C23H25N5O5・CH4O3S
547.58
白色~帯黄白色の結晶性の粉末である。ジメチルスルホキシドに溶けやすく、水又はメタノールに溶けにくく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。ジメチルスルホキシド溶液(1→20)は旋光性を示さない。
約272℃(分解)
100錠(10錠(PTP)×10)
1) 堀本政夫ほか:応用薬理. 1990;39(1):29-38
2) Berit PJ,et al.:J Hum Lact. 2013;29(2):150-153
3) Kloner RA,et al.:J Urol. 2004;172(5Pt1):1935-1940
4) 厚生省医薬安全局:医薬品研究. 1998;29(8):627, 636-638
5) 海老原昭夫ほか:臨床薬理. 1988;19(2):445-452
6) 塩之入洋ほか:診療と新薬. 1988;25(7):1427-1439
7) 社内資料:生物学的同等性試験(錠1mg)
8) 社内資料:生物学的同等性試験(錠2mg)
9) 第十八改正 日本薬局方解説書. 廣川書店. 2021:C3474-C3478
10) Kaye B,et al.:Br J Clin Pharmacol. 1986;21(Suppl.1):19S-25S
11) Penenberg D,et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40(1):67-73
12) Vincent J,et al.:Br J Clin Pharmacol. 1986;21(5):521-524
13) 社内資料:生物学的同等性試験(錠0.5mg)
14) 社内資料:生物学的同等性試験(錠4mg)
15) 吉永馨ほか:医学と薬学. 1988;20(1):141-166
16) 吉永馨ほか:医学と薬学. 1988;20(1):127-140
17) 吉永馨ほか:医学と薬学. 1988;20(1):117-126
18) 尾前照雄ほか:医学のあゆみ. 1988;146(9):673-691
19) 吉永馨ほか:医学と薬学. 1988;20(1):167-188
20) 吉永馨ほか:診療と新薬. 1988;25(7):1393-1407
21) 吉永馨ほか:診療と新薬. 1988;25(7):1409-1425
22) 吉永馨ほか:診療と新薬. 1988;25(7):1367-1390
23) 石河醇一ほか:応用薬理. 1989;38(5):387-399
24) Alabaster VA,et al.:Br J Clin Pharmacol. 1986;21(Suppl.1):9S-17S
25) 築山久一郎ほか:臨床薬理. 1988;19(3):511-517
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