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日本薬局方
L-カルボシステイン錠
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
カルボシステインとして、通常成人1回500mgを1日3回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告がある。
肝機能が悪化することがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
AST、ALT、Al-P、LDHの上昇等があらわれることがある。
呼吸困難、浮腫、蕁麻疹等があらわれることがある。
0.1~5%未満注1)
0.1%未満注1)
頻度不明
消化器
食欲不振、下痢、腹痛
悪心、嘔吐、腹部膨満感、口渇
過敏症
発疹
湿疹、紅斑
浮腫、発熱、呼吸困難
その他
そう痒感
PTP包装の薬剤はPTPシー卜から取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
カルボシステイン錠250mg「TCK」とムコダイン錠250mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ2錠(L-カルボシステイン500mg)健康成人に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について95%信頼区間法にて統計解析を行った結果、±20%の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された1)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0→8hr(µg・hr/mL)
Cmax(µg/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
カルボシステイン錠250mg「TCK」
12.15±2.17
4.21±0.48
2.08±0.29
2.07±1.61
ムコダイン錠250mg
12.36±1.84
4.34±0.65
2.00±0.30
1.85±0.85
(Mean±S.D.,n=12)
カルボシステイン錠500mg「TCK」とムコダイン錠500mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(L-カルボシステイン500mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された2)。
AUC0→10hr(µg・hr/mL)
カルボシステイン錠500mg「TCK」
11.69±2.76
3.20±0.85
2.08±0.56
2.00±0.78
ムコダイン錠500mg
12.87±3.71
3.48±0.99
2.17±0.54
1.96±0.52
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
喀痰喀出困難を訴える慢性気管支炎、気管支拡張症、肺気腫、気管支喘息、肺結核などの慢性呼吸器疾患患者を対象に、1週間の観察期の後カルボシステイン、実薬対照であるメチルシステイン又はプラセボを2週間投与する二重盲検比較試験を実施した。解析対象集団250例での全般改善度(軽度改善以上を有効とした場合の有効率)は、カルボシステイン群72.0%(59/82例)、メチルシステイン群64.6%(53/82例)、プラセボ群48.8%(42/86例)であり、カルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.01)。また、痰の切れの改善度はカルボシステイン群58.5%(48/82例)、メチルシステイン群51.2%(42/82例)、プラセボ群40.7%(35/86例)であり、カルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.01)。その他、痰の回数、咳の頻度、咳の強さにおいてもカルボシステイン群はプラセボ群と比べて有意に改善した(p<0.05)。カルボシステイン群の副作用発現頻度は12.0%(11/92例)であり、主な副作用は、食欲不振、腹部不快感などの消化器症状であった3) 。
慢性副鼻腔炎患者を対象に、カルボシステイン又は実薬対照であるL-システインエチル塩酸塩を4週間投与する二重盲検比較試験を実施した。解析対象集団242例での全般改善度は下表のとおりであり、カルボシステインの有用性が認められている。カルボシステイン群の副作用発現頻度は1.5%(2/134例)、嘔吐1例、口渇感1例であった4) 。
薬剤
改善率
カルボシステイン
L-システインエチル塩酸塩
評価項目
著明改善
20.2%#(25/124例)
6.8%(8/118例)
中等度改善以上
53.2%#(66/124例)
32.2%(38/118例)
軽度改善以上
91.1%(113/124例)
84.7%(100/118例)
# p<0.01
カルボシステインは、粘液の調整作用及び粘膜の正常化作用により粘液線毛輸送能を改善し、喀痰、鼻汁の排泄を促進する。
慢性気道疾患患者の喀痰中のシアル酸、フコースの構成比を正常化した5) 。亜硫酸ガス曝露により変化するシアル酸/フコース分解酵素及びシアル酸/フコース合成酵素活性を正常化した。同時に、その分泌粘液の主成分であるムチン(Muc-5acタンパク質)生成の増加を抑制した(ラット)6) 。
慢性気道疾患患者の組織学的検査において気道粘膜の杯細胞過形成を抑制した(外国人データ)7) 。亜硫酸ガス曝露モデルにおいて気道の杯細胞過形成を抑制した(ラット)8) 。
亜硫酸ガス曝露により増加する気道への炎症細胞浸潤(数)、活性酸素量及びエラスターゼ活性を抑制した(ラット)8),9) 。fMLPにより刺激したヒト好中球の活性化を抑制した(in vitro)10) 。
慢性気管支炎患者の気管支粘膜上皮の線毛細胞の修復を促進した11) 。
慢性副鼻腔炎患者で、低下した鼻粘膜粘液線毛輸送能を改善した12) 。
エンドトキシン注入あるいは亜硫酸ガス曝露による副鼻腔粘膜の障害を軽減し、修復を促進した(ウサギ)13),14) 。
L-カルボシステイン(L-Carbocisteine)
(2R )-2-Amino-3-carboxymethylsulfanylpropanoic acid
C5H9NO4S
179.19
白色の結晶性の粉末で、においはなく、わずかに酸味がある。水に極めて溶けにくく、エタノール(95)にほとんど溶けない。希塩酸又は水酸化ナトリウム試液に溶ける。
約186℃(分解)
100錠(10錠×10)1,000錠(10錠×100)
1) 社内資料:生物学的同等性試験(錠250mg)
2) 社内資料:生物学的同等性試験(錠500mg)
3) 伊藤和彦, 他. :臨床と研究. 1980 ;57(4) :1296-1309
4) 馬場駿吉, 他. :耳鼻と臨床. 1988 ;34(1) :33-47
5) 安岡劭, 他. :気管支学. 1986 ;8(3) :312-320
6) Ishibashi, Y. et al. :Eur. J. Pharmacol. 2004 ;487 :7-15
7) Miskovits, G. et al. :Forum. Ser. R. Soc. Med. 1982 ;5 :1-3
8) Sueyoshi, S. et al. :Int. Arch. Allergy Immunol. 2004 ;134 :273-280
9) 石橋祐二, 他. :日本呼吸器学会雑誌. 2001 ;39 :17-23
10) Ishii, Y. et al. :Eur. J. Pharmacol. 2002 ;449 :183-189
11) 荻原正雄, 他. :気管支学. 1982 ;4(3) :235-244
12) 間島雄-, 他. :耳鼻臨床. 1987 ;80 :1313-1319
13) 前山拓夫, 他. :耳鼻咽喉科展望. 1986 ;29 :447-457
14) 大橋淑宏, 他. :日本耳鼻咽喉科学会会報. 1985 ;88 :1056-1060
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