当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
劇薬
処方箋医薬品注)
統合失調症
通常成人には、フルフェナジンデカン酸エステルとして1回12.5mg~75mgを4週間隔で筋肉内注射する。薬量及び注射間隔は病状又は本剤による随伴症状の程度に応じて適宜増減並びに間隔を調節する。なお、初回用量は、可能な限り少量より始め、50mgを超えないものとする。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。高熱反応があらわれるおそれがあるので、このような場合には全身を氷で冷やすか、又は解熱剤を投与するなど適切な処置を行うこと。
血液障害を悪化させるおそれがある。
血圧の急速な変動が見られることがある。
呼吸抑制があらわれることがある。
痙攣閾値を低下させることがある。
体温調節中枢を抑制するため、環境温度に影響されるおそれがある。
Syndrome malin(悪性症候群)が起こりやすい。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されている。
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤は動物実験で催奇形性は認められていないが、ラットにおいて死産児の増加が認められている。類似化合物(フルフェナジンエナント酸エステル)で動物における催奇形性が報告されている。また、妊娠後期に抗精神病薬が投与されている場合、新生児に哺乳障害、傾眠、呼吸障害、振戦、筋緊張低下、易刺激性等の離脱症状や錐体外路症状があらわれたとの報告がある。
投与中及び投与後一定期間は授乳しないことが望ましい。ラットで乳汁移行するとの報告がある。
幼児、小児では錐体外路症状、特にジスキネジアが起こりやすい。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。錐体外路症状、脱力感、運動失調、排泄障害が起こりやすい。
*アドレナリン(アナフィラキシーの救急治療、又は歯科領域における浸潤麻酔もしくは伝達麻酔に使用する場合を除く)(ボスミン)
アドレナリンの作用を逆転させ、重篤な血圧低下を起こすことがある。
アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強される。
クロザピン(クロザリル)
クロザピンは、原則として単剤で使用し、他の抗精神病薬とは併用しないこととされている。本剤は筋肉内投与後緩徐に血中に移行し、直ちに薬物を体外に排除する方法がないため、クロザピンと併用しないこと。
本剤が血中から消失するまでに時間を要する。
中枢神経抑制剤(バルビツール酸誘導体・麻酔剤等)
睡眠(催眠)・精神機能抑制の増強、麻酔効果の増強・延長、血圧低下等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相互に中枢神経抑制作用を増強させることがある。
降圧剤
起立性低血圧等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相互に降圧作用を増強させることがある。
アトロピン様作用を有する薬剤
口渇、眼圧上昇、排尿障害、頻脈、腸管麻痺等を起こすことがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相互にアトロピン様作用を増強させることがある。
アルコール(飲酒)
眠気、精神運動機能低下等を起こすことがある。
ドンペリドンメトクロプラミド
内分泌機能調節異常又は錐体外路症状が発現するおそれがある。
ともに中枢ドパミン受容体遮断作用を有する。
リチウム
心電図変化、重症の錐体外路症状、持続性のジスキネジア、突発性のSyndrome malin(悪性症候群)、非可逆性の脳障害を起こすおそれがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止すること。
機序は不明であるが、併用による抗ドパミン作用の増強等が考えられている。
ドパミン作動薬(レボドパ製剤、ブロモクリプチンメシル酸塩)
相互に作用を減弱させるおそれがある。
ドパミン作動性神経において、作用が拮抗することによる。
有機燐殺虫剤
縮瞳、徐脈等の症状があらわれることがあるので、接触しないように注意すること。
本剤は有機燐殺虫剤の抗コリンエステラーゼ作用を増強し毒性を強めることがある。
*アドレナリン含有歯科麻酔剤
*(リドカイン・アドレナリン)
*重篤な血圧低下を起こすことがある。
*アドレナリンはアドレナリン作動性α,β-受容体の刺激剤であり、本剤のα-受容体遮断作用により、β-受容体刺激作用が優位となり、血圧低下作用が増強されるおそれがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
血圧低下、心電図異常(QT間隔の延長、T波の平低化や逆転、二峰性T波ないしU波の出現等)に続く突然死が報告されているので、特にQT部分に変化があれば投与を中止すること。また、フェノチアジン系化合物投与中の心電図異常は、大量投与されていた例に多いとの報告がある。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
長期投与により、遅発性ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動)が発症することがある。通常、抗パーキンソン剤を投与しても、この症状は軽減しない場合があり、本剤投与の継続の必要性を、他の抗精神病薬への変更も考慮して慎重に判断すること。
長期又は大量投与により、角膜・水晶体の混濁、網膜・角膜の色素沈着があらわれることがある。
肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
5%以上
0.1~5%未満
頻度不明
循環器
血圧低下、頻脈、心悸亢進
脈拍上昇、心電図異常
肝臓
ビリルビン上昇、アルブミン減少、AST、ALT、γ-GTP上昇、総タンパクの減少、ALP、LDH、A/G比の上昇
錐体外路症状注1)
パーキンソン症候群(振戦、筋強剛、流涎等)(18.5%)、アカシジア(静坐不能)(13.9%)
ジスキネジア(口周部、四肢等の不随意運動等)、ジストニア(眼球上転、眼瞼痙攣、舌突出、痙性斜頸、頸後屈、体幹側屈、後弓反張、構音障害、舌のもつれ等)
眼
視覚障害
過敏症
発疹、光線過敏症
血液
リンパ球減少、単球減少、血小板減少性紫斑病、貧血、顆粒球減少、血小板減少
消化器
便秘、口渇
嘔吐、腹部膨満、食欲亢進
悪心
内分泌
月経異常、体重増加、体重減少、射精不能
精神神経系
不眠
不安、易刺激、眠気、眩暈、頭痛、興奮、抑うつ、昏迷、焦燥感
その他
倦怠感
鼻閉、脱力感、脱毛、発汗、集中力障害、痙攣
BUN上昇、発熱、CK上昇
主な症状は呼吸抑制、血圧低下、過度の鎮静等である。
筋肉内注射にのみ使用し、深部に注射すること。
本剤を雌ラットに14週間筋肉内投与した試験において、3.2mg/kg/週以上の投与量で乳腺の過形成が認められている。
統合失調症患者(6例)にフルフェナジンデカン酸エステル(FD)25mgを1回筋肉内投与後の血漿中フルフェナジン濃度は、1日目以降0.12~0.64ng/mLで推移し、投与後28日目には0.15~0.21ng/mLを示した1)。
統合失調症患者(4例)にFD25mgを4週間隔で筋肉内投与した試験では、血漿中フルフェナジン濃度は個体差はあるものの5回投与でほぼプラトーに達した。12回にわたる長期投与例においてもプラトーに達した後は血漿中濃度の上昇傾向は認められなかった1)。
FDは筋肉内投与後緩徐に血中に移行する(外国人のデータ)。
雄ラットに14C-FDを筋肉内投与後、7日目の放射能濃度は、下垂体に血漿中濃度の13倍、線条体に11倍、以下大脳皮質、視床、海馬、橋・延髄、中脳視床下部、小脳の順に5.6~7.1倍の濃度が認められた2)。
雄ラットに14C-FDを筋肉内投与後、7日目に放射能濃度は内側腸骨リンパ節で最高値を示し、次いでハーダー腺、肝臓、肺、腎臓、精巣上体、膵臓及び甲状腺で高値であった。投与後28日ではハーダー腺及び肝臓で高値を示し、次いで腎臓、内側腸骨リンパ節、甲状腺、肺及び脾臓で高値であった。投与後84日目には甲状腺と脾臓が7日目の37及び32%に、他の組織は15%以下に低下した。
FDは筋肉内投与後、エステラーゼによりフルフェナジンに変換される。その後は肝臓で代謝され、主代謝物として、7-ヒドロキシフルフェナジン及びフルフェナジンスルホキシドが同定された3)。7-ヒドロキシフルフェナジン及びフルフェナジンスルホキシドはフルフェナジン同様ドパミン受容体を遮断する作用を有する4)(外国人のデータ)。
CYP2D6
統合失調症患者(3例)にFD25mgを単回筋肉内投与後の累積尿糞中回収率(30日間)は10~23%であった3),5)(外国人のデータ)。
統合失調症の患者を対象とした本剤(FD)投与群(経口ハロペリドール1日量の4倍(ただし50mgを超えない)量を4週間ごとに筋注、最高投与量1回75mg)及びハロペリドール(HP)投与群(1日18mg、補充薬の最高投与量は1日12mg)の結果は、以下のとおりであった6)。
著明改善(+++)
中等度改善(++)
軽度改善(+)
不変(-)
軽度悪化(X)
中等度悪化(XX)
著明悪化(XXX)
不明
合計
U検定
Χ2-検定
+++
> ++
> +
<X
FD投与群
6
20
40
45
7
1
127
FD>HP*Z=2.390
5%
N.S.
20%
52%
FD>HP**X2=7.73
12%
HP投与群
5
17
23
66
11
4
0
132
4%
17%
34%
16%
*:p<0.05、**:p<0.01 N.S.:not significant
副作用発現頻度は、FD投与群で40.2%(51/127例)、HP投与群で39.4%(52/132例)に認められた。FD投与群の主な副作用は、パーキンソニズム19.7%(25/51例)、便秘8.7%(11/51例)、アカシジア7.9%(10/51例)等であった。
フルフェナジンデカン酸エステルは筋肉内投与後緩徐に血中へ移行し、移行後は速やかに加水分解されてフルフェナジンとなり、薬理作用を発現する2)。フルフェナジンの作用機序は、まだ完全に明らかにされていないが、中枢神経系におけるドパミン作動性、ノルアドレナリン作動性神経等に対する抑制作用によると考えられている7)。
マウス及びラットでは、筋肉内投与により、弁別回避反応に対する持続的抑制作用8),9)、メタンフェタミン誘発運動興奮に対する抑制作用10)及びアポモルフィン誘発常同行動に対する持続的抑制作用11)が認められた。
フルフェナジンデカン酸エステル(Fluphenazine Decanoate)
2-[4-[3-[2-(trifluoromethyl)phenothiazin-10-yl]propyl]-1-piperazinyl]ethyl decanoate
C32H44F3N3O2S
591.77
淡黄色~褐黄色の粘稠な液又はろう状の塊、粉末、若しくはそれらの混じり合ったもので、僅かにエステルようのにおいがある。メタノール、エタノール(99.5)又はジエチルエーテルに極めて溶けやすく、酢酸(100)に溶けやすく、水にほとんど溶けない。
クロロホルム/水系(pH1~10)及びオクタノール/水系(pH1~10)での分配係数を求めた。その結果、各pH域とも有機溶媒層に100%分配された。
25mg[1mL×5瓶]
1) 工藤義雄, 他: 臨床精神医学. 1990; 19(13): 1935-1953
2) 江角凱夫, 他: 薬理と治療. 1991; 19(1): 67-85
3) Curry, S. H. et al.:Br J Clin. Pharmacol. 1979;7:325-331
4) 山下謙二, 他: 臨床精神医学. 1990; 19(13): 1973-1983
5) Schreiber EC, et al.: Therapie. 1973; 28(3): 441-449
6) 金野 滋, 他: 臨床評価. 1991; 19(1): 15-45
7) Andén NE, et al.: Eur J Pharmacol. 1970; 11(3): 303-314
8) Kurihara H, et al.: Psychopharmacology. 1979; 65(1): 1-6
9) Kurihara H, et al.: J Toxicol Sci. 1979; 4(2): 87-98
10) Yamada K, et al.: Arch Int Pharmacodyn Ther. 1980; 248(1): 76-85
11) 陳 博忠: 日薬理誌. 1978; 74(7): 871-883
田辺三菱製薬株式会社 くすり相談センター
〒541-8505 大阪市中央区道修町3-2-10
電話 0120-753-280
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区道修町3-2-10
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.