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処方箋医薬品注)
本剤の脳血栓症急性期の臨床試験において、出血性脳梗塞の発現が認められている。脳血栓症の患者に使用する場合には、臨床症状及びコンピューター断層撮影による観察を十分に行い、出血が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。,,,
(アンチトロンビンⅢが正常の70%以下に低下し、かつ、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウムの使用では体外循環路内の凝血(残血)が改善しないと判断されたもの)ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)Ⅱ型患者
通常、成人に、はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し、24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回、1回3時間かけて点滴静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
通常、成人1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を輸液で希釈し、1日2回、1回2~3時間かけて点滴静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。
通常、成人に、体外循環開始時に1管(アルガトロバン水和物として10mg)を回路内に投与し、体外循環開始後は毎時2.5管(アルガトロバン水和物として25mg)より投与を開始する。凝固時間の延長、回路内凝血(残血)、透析効率及び透析終了時の止血状況等を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定するが、毎時0.5~4管(アルガトロバン水和物として5~40mg)を目安とする。
本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.1mg/kgを3~5分かけて静脈内投与し、術後4時間までアルガトロバン水和物として6μg/kg/分を目安に静脈内持続投与する。その後抗凝固療法の継続が必要な場合は、0.7μg/kg/分に減量し静脈内持続投与する。なお、持続投与量は目安であり、適切な凝固能のモニタリングにより適宜調節する。
本剤を適当量の輸液で希釈し、通常、成人にアルガトロバン水和物として0.7μg/kg/分より点滴静注を開始し、持続投与する。なお、肝機能障害のある患者や出血のリスクのある患者に対しては、低用量から投与を開始すること。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)を指標に投与量を増減し、患者毎の投与量を決定する。
体重
6μg/kg/分
アルガトロバン水和物として(mg/時)
希釈液として(mL/時)
40kg
14.4
50kg
18.0
60kg
21.6
70kg
25.2
0.7μg/kg/分
0.2μg/kg/分
1.7
3.4
0.5
1.0
2.1
4.2
0.6
1.2
2.5
5.0
0.7
1.4
2.9
5.8
0.8
1.6
出血を起こすおそれがある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。なお、65歳以上の高齢者における副作用発現率は、脳血栓症急性期の使用成績調査では7.8%(184/2,357例)、慢性動脈閉塞症の使用成績調査では3.4%(117/3,392例)であった。
抗凝固剤
出血傾向の増強を起こすおそれがあるので、本剤を減量するなど注意すること。
血液凝固作用を阻害することにより、凝固時間を延長するためと考えられる。
血栓溶解剤
プラスミノーゲンをプラスミンに変換させ、生成したプラスミンがフィブリンを分解し血栓を溶解するためと考えられる。
フィブリノーゲン低下作用を有する酵素製剤
フィブリノーゲンが低下するためと考えられる。
血小板凝集抑制作用を有する薬剤
経皮的冠インターベンション施行において併用が必須とされる薬剤(アスピリン、チクロピジン塩酸塩、クロピドグレル硫酸塩等)との併用を理由に本剤を減量しないこと。
血小板凝集を抑制するためと考えられる。
脳血栓症急性期の患者に使用した場合あらわれることがある。
蕁麻疹、血圧低下、呼吸困難等があらわれることがある。
0.1~5%未満
頻度不明
血液
血尿、貧血(赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット値の減少)、白血球増多、白血球減少、血小板減少
凝固時間の延長、出血
過敏症
皮疹(紅斑性発疹等)
そう痒、蕁麻疹
血管
血管痛、血管炎
肝臓
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇、総ビリルビン上昇
γ-GTP上昇
腎臓
BUN上昇
クレアチニン上昇
消化器
下痢、食欲不振、腹痛
嘔吐
その他
頭痛、不整脈、熱感、過換気症候群、呼吸困難、血圧上昇
四肢の疼痛、四肢のしびれ、ふらつき、心悸亢進、潮紅、悪寒、発熱、発汗、胸痛、血圧低下、浮腫、腫脹、倦怠感、血清総蛋白減少
出血の危険性が増大する。
出血性の合併症が発現した場合は本剤の投与を中止し、出血の原因を確認すること。本剤の抗凝固作用を中和する薬剤は知られていないので、症状に応じて、外科的止血や新鮮凍結血漿輸注など適切な処置を行うこと。
本剤はそのまま静脈内に投与せずに希釈して使用すること。本剤を原液のまま投与すると、溶血を起こすおそれがある。
健康成人6例に本剤2.25、4.5、9.0mgを30分間かけて点滴静注したときの血漿中濃度の最高値は0.08μg/mL、0.25μg/mL、0.51μg/mLであった。血中からの消失は速やかで半減期は15分(α相)、30分(β相)であった1)。
投与量(mg/30min)
AUC0-3h(μg・h/mL)
2.25
0.063±0.010
4.5
0.187±0.036
9.0
0.398±0.070
健康成人5例に本剤9.0mg、3時間の点滴静注を1日1回、3日間繰り返したとき、血中濃度は速やかに上昇した後プラトーに達し、蓄積性は認められなかった1)。
14C-アルガトロバン(5×10-7M)のヒト血清蛋白及びヒト血清アルブミンに対する結合率は、53.7%及び20.3%であった(in vitro)2)。
酸化的代謝に関与する主な薬物代謝酵素はCYP3A4であった3)。
健康成人に本剤を300μg/分の速度で30分間点滴静注したとき、投与後24時間までに未変化体及びキノリン環の酸化による代謝物が尿中にそれぞれ22.8%及び1.7%、糞中にそれぞれ12.4%及び13.1%排泄された4)。
脳血栓症急性期患者を対象として、はじめの2日間に本剤30mg/日あるいは60mg/日を持続点滴静注し、3日目以降5日間は本剤10mgを1日2回、3時間かけて点滴静注したプラセボ対照二重盲検比較試験において、投与開始7日後の最終全般改善度(改善以上)は本剤30mg群で43.5%(20/46例)、本剤60mg群で47.7%(21/44例)、プラセボ群で31.9%(15/47例)であった。副作用の発現頻度は本剤群で3.2%(3/94例)であった。主な副作用は頭痛2.1%(2/94例)であった5)。
注)本剤の脳血栓症急性期に対し、承認されている用法及び用量は「通常、成人に、はじめの2日間は1日6管(アルガトロバン水和物として60mg)を適当量の輸液で希釈し、24時間かけて持続点滴静注する。その後の5日間は1回1管(アルガトロバン水和物として10mg)を適当量の輸液で希釈し1日朝夕2回、1回3時間かけて点滴静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜増減する。」である。
脳血栓症患者を対象として、本剤60mgをはじめの2日間に持続点滴静注し、3日目以降5日間は本剤10mg/回を1日2回、3時間かけて持続点滴静注した二重盲検比較試験において、投与開始7日後の最終全般改善度(改善以上)は35.7%(35/98例)であった。副作用の発現頻度は6.0%(6/100例)であった。副作用の内訳は嘔気、心窩部膨満感、不整脈、発疹・皮疹(薬疹)・紅斑、胸部不快感、過換気症候群、血尿、出血性梗塞いずれも1.0%(1/100例)であった6)。
慢性動脈閉塞症患者を対象として、本剤10mgを1日2回4週間点滴静注した二重盲検比較試験において、改善度(改善以上)は59.2%(29/49例)であった。副作用の発現頻度は10.0%(7/70例)であった。主な副作用は上腹部(胃)痛(心窩部疼痛)、四肢の疼痛でいずれも2.9%(2/70例)であった7)。
HIT患者6例、血栓塞栓症を伴うHIT患者2例の計8例を対象とした医師主導治験で、死亡、四肢切断に至った症例は認められず、新たに血栓塞栓症が発現した症例は1例であった8)。
HIT患者及び血栓塞栓症を伴うHIT患者に対し、抗トロンビン剤を使用しなかったヒストリカルコントロールを対照とした有効性及び安全性試験(試験1)と追加の有効性及び安全性試験(試験2)が米国で実施された。試験1では、HIT患者160例、血栓塞栓症を伴うHIT患者144例の計304例が登録された。主要評価項目(複合評価項目)「37日の観察期間中における死亡(すべての原因)、四肢切断(すべての原因)又は新規血栓症」の発現率は、HIT患者ではヒストリカルコントロール群38.8%(57/147例)に対し、本剤投与群25.6%(41/160例)であった。血栓塞栓症を伴うHIT患者ではヒストリカルコントロール群56.5%(26/46例)に対し、本剤投与群43.8%(63/144例)であった。試験2では、HIT患者125例、血栓塞栓症を伴うHIT患者139例の計264例が登録された。試験1と同一の複合評価項目における発現率は、HIT患者ではヒストリカルコントロール群38.8%(57/147例)に対し、本剤投与群25.6%(32/125例)であった。血栓塞栓症を伴うHIT患者ではヒストリカルコントロール群56.5%(26/46例)に対し、本剤投与群41.0%(57/139例)であった9)。
先天性アンチトロンビンⅢ欠乏患者及びアンチトロンビンⅢ活性が70%未満の患者80例を対象とした調査で、アンチトロンビンⅢ活性の回復及び透析回路内残血等の改善が認められ10)、有効率(有効以上)は79.7%(47/59例)であった。80例中報告された副作用は17.5%(14例)で、その内訳は血小板・出血凝血障害12.5%(10例)、赤血球障害6.3%(5例)、肝臓・胆管系障害2.5%(2例)、代謝・栄養障害2.5%(2例)、白血球・網内系障害1.3%(1例)であった。
トロンビンを選択的かつ直接的に阻害する。アルガトロバン水和物の三本足(トライポッド)構造がトロンビンの活性部位の近傍に立体的に結合することにより、トロンビンによるフィブリン生成、血小板凝集及び血管収縮の3つの作用を抑制する(in vitro)11),12),13)。
脳血栓症急性期患者において本剤投与によりフィブリノペプチドA(FPA)が有意に低下した14)。
慢性動脈閉塞症患者において本剤投与により阻血肢の経皮的組織酸素分圧、皮膚温度、深部温度が有意に上昇した17)。
in vitro試験において、トロンビンによるフィブリンの生成、血小板凝集及び血管収縮を強力に阻害した。他のトリプシン様セリンプロテアーゼに対する阻害作用は著しく弱く、作用はトロンビン選択的であった11),18),19),20)。
in vitro試験において、aPTTを濃度に依存して延長した。ヘパリンのような急激な延長は認められなかった21)。
光増感反応による中大脳動脈血栓症モデル(ラット)に対し、Ischemic Penumbraにおける局所脳血流量改善、フィブリン微小血栓生成抑制、梗塞領域の拡大抑制及び片麻痺様神経症候の改善作用を示した22),23)。
大腿動脈内乳酸注入による末梢動脈閉塞症モデル(ラット)に対し、病変の進展を抑制した24)。
アルガトロバン水和物(Argatroban Hydrate)
(2R, 4R)-4-Methyl-1-((2S)-2-{[(3RS)-3-methyl-1, 2, 3, 4-tetrahydroquinolin-8-yl]-sulfonyl}amino-5-guanidinopentanoyl)piperidine-2-carboxylic acid monohydrate
C23H36N6O5S・H2O
526.65
白色の結晶又は結晶性の粉末で、味は苦い。酢酸(100)に溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水に極めて溶けにくい。光によって徐々に分解する。
180~220℃(分解)
0.031(pH6.0、クロロホルム/緩衝液)
外箱開封後は遮光保存すること。
2mL(10mg)×10管(褐色アンプル)
1) 長沢 洋, 他:臨床薬理. 1981;12(3):359-375
2) 龍野 淳, 他:薬理と治療. 1986;14(S5):1105-1111
3) 田辺三菱製薬(株):アルガトロバンの代謝に関与するヒトチトクロームP450(CYP)分子種の推定(社内資料)(2008年7月16日承認、CTD2.7.2.2)
4) 井澤 修, 他:薬理と治療. 1986;14(S5):1113-1125
5) 田崎義昭, 他:臨床と研究. 1986;63(9):3047-3057
6) 田崎義昭, 他:医学のあゆみ. 1987;141(8):499-515
7) 田辺達三, 他:循環器科. 1987;22(2):185-202
8) 田辺三菱製薬(株):アルガトロバンのヘパリン起因性血小板減少症に対する臨床試験(自らが実施する治験)(社内資料)(2008年7月16日承認、CTD2.7.6(1))
9) 田辺三菱製薬(株):An open-label study of argatroban in patients with heparin-induced thrombocytopenia(HIT). (社内資料)(2008年7月16日承認、CTD2.7.6(2))
10) Ota K, et al.:Nephrol Dial Transplant. 2003;18(8):1623-1630
11) Kikumoto R, et al.:Biochemistry. 1984;23(1):85-90
12) 岡本彰祐:血液のはたらきを探る, 岩波書店. 1977;145-182
13) 佐々木千津子, 他:Mitsubishi Kasei R&D Rev. 1989;3(2):11-17
14) 田中友二, 他:臨床医薬. 1987;3(1):133-142
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17) 伊藤勝朗, 他:外科診療. 1987;29(1):122-126
18) 玉尾嘉邦, 他:薬理と治療. 1986;14(S5):869-874
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20) Nakamura K, et al.:Thromb Res. 1985;40(5):715-720
21) 藤巻道男, 他:厚生省特定疾患 汎発性血管内血液凝固症調査班 昭和56年度業績報告集. 1982;110-114
22) Kawai H, et al.:J Pharmacol Exp Ther. 1996;278(2):780-785
23) Kawai H, et al.:Jpn J Pharmacol. 1995;69(2):143-148
24) 岩本政博, 他:薬理と治療. 1986;14(S5):903-911
25) Kumada T, et al.:Thromb Res. 1981;24(4):285-298
26) Kawada T, et al.:Artif Organs Today. 1992;2(3):177-184
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