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日本薬局方
フドステイン錠
以下の慢性呼吸器疾患における去痰気管支喘息、慢性気管支炎、気管支拡張症、肺結核、塵肺症、肺気腫、非定型抗酸菌症、びまん性汎細気管支炎
通常、成人にはフドステインとして1回400mgを1日3回食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
類薬で心不全のある患者に悪影響を及ぼしたとの報告がある。
肝機能が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギを用いた胎児の器官形成期経口投与試験の600mg/kg(臨床用量の約30倍)で流産、ラットを用いた周産期及び授乳期経口投与試験の2000mg/kg(臨床用量の約100倍)で出生児の発育抑制がみられている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
AST、ALT、Al-P、LDHの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、胃部不快感、胸やけ、下痢
腹痛、胃痛、腹部膨満感、口渇、便秘、舌炎
口内炎、口唇炎
肝臓
AST、ALT、Al-Pの上昇
腎臓
BUN上昇、蛋白尿
過敏症
発疹、かゆみ
紅斑、じん麻疹
呼吸器
咳嗽、呼吸困難感
精神神経系
頭痛
ふらつき、しびれ感、めまい、眠気
感覚器
耳鳴、味覚異常
その他
熱感、顔面潮紅、脱力感、胸部圧迫感、頻尿、浮腫
動悸
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人男子に本剤400mgを食後に単回経口投与した時の血漿中未変化体濃度は、投与後1.17時間で最高値5.69μg/mLに達し、2.7時間の半減期で消失した1) 。
Cmax(μg/mL)
Tmax(h)
t1/2z(h)
AUC0–∞(μg・h/mL)
健康成人男子(食後投与、n=9)
5.69±2.14
1.17±0.43
2.7±0.3
20.49±4.24
t1/2z:最終相の消失半減期 (平均値±標準偏差)
健康成人男子に本剤400mgを絶食時単回経口投与(投与12時間前より絶食)した時の血漿中未変化体濃度は、投与後0.42時間で最高値10.19μg/mLに達し、2.6時間の半減期で消失し、食後投与との間で薬物動態パラメータに影響が認められた1) 。
健康成人男子(絶食時投与、n=9)
10.19±3.34**
0.42±0.13**
2.6±0.6
23.41±6.03*
(平均値±標準偏差)*: p<0.05、**:p<0.01(健康成人男子の食後投与との比較、t検定)t1/2z:最終相の消失半減期
14C-フドステインは0.2~20.0μg/mLの濃度範囲で、ヒト血漿蛋白とほとんど結合しなかった2) (in vitro)。
健康成人男子に本剤400mgを食後に経口投与した時の、投与後36時間までの尿中には、アミノ基のN-アセチル化された代謝物M1が53%、M1のアルコール部分が酸化されたM2が約5%、未変化体が約1%排泄された。絶食時投与(投与12時間前より絶食)では、M1が43%、M2が約6%、未変化体が約1%排泄された1) 。
未変化体
M1
M2
合計
0.6±0.2
53.0±6.3
5.1±1.4
58.7±6.6
0.7±0.2**
43.0±5.0**
6.2±1.5*
49.8±5.5**
(平均値±標準偏差)*: p<0.05、**:p<0.01(健康成人男子の食後投与との比較、t検定)
健康高齢男子に本剤400mgを食後に単回経口投与した時の血漿中未変化体濃度は、投与後1.94時間で最高値6.70μg/mLに達し、2.2時間の半減期で消失し、健康成人男子と比べて薬物動態パラメータに有意差は認められなかった3) 。
AUC0-∞(μg・h/mL)
健康高齢男子(食後投与、n=8)
6.70±3.44
1.94±1.70
2.2±1.1
27.01±8.24
健康高齢男子に本剤400mgを食後に経口投与した時の、投与後36時間までの尿中には、M1が約39%、M2が約5%、未変化体が約1%排泄された3) 。
0.7±0.2
39.2±5.3**
4.7±2.3
44.5±5.8**
(平均値±標準偏差)**:p<0.01(健康成人男子の食後投与との比較、t検定)
本剤の適応疾患を対象に効果判定が行われた369例中、最終全般改善度で中等度改善以上と評価されたものは266例(72.1%)であった4),5),6),7),8),9) 。
疾患名
改善率(%)(中等度改善以上/評価例数)
気管支喘息
80.9(38/47例)
慢性気管支炎
72.6(77/106例)
気管支拡張症
58.0(40/69例)
肺結核
89.7(26/29例)
塵肺症
60.5(26/43例)
肺気腫
78.9(45/57例)
非定型抗酸菌症
88.9(8/9例)
びまん性汎細気管支炎
66.7(6/9例)
計
72.1(266/369例)
病態が比較的安定しており、喀痰喀出困難を表明する慢性呼吸器疾患患者(慢性気管支炎、気管支拡張症、肺気腫、非活動性肺結核、塵肺症)153例に対してフドステイン200mgを含有する白色のフィルムコーティング錠、あるいはプラセボ錠を1回2錠、1日3回、2週間反復投与し、有効性、安全性及び有用性を検討した。最終全般改善度:「中等度改善」以上の改善率はフドステイン群64.6%、プラセボ群23.7%で、Wilcoxonの順位和検定よりフドステイン群はプラセボ群に比して有意な改善を示した。
著明改善
中等度改善
軽度改善
不変
悪化
中等度改善以上
Wilcoxonの順位和検定
フドステイン群
13(20.0)
29(44.6)
6(9.2)
17(26.2)
0
65
42(64.6)
**
プラセボ群
2(3.4)
12(20.3)
7(11.9)
33(55.9)
5(8.5)
59
14(23.7)
**:p<0.01(%)
副作用発現頻度は、フドステイン群6.3%(5/79例)、プラセボ群2.7%(2/74例)であった。フドステイン群で認められた副作用は、食欲不振2.5%(2/79例)、かゆみ、手足のしびれ、偏頭痛、下痢各1.3%(1/79例)であった5) 。
気道上皮杯細胞過形成抑制作用、漿液性気道分泌促進作用、抗炎症作用などを有し、粘液過分泌を抑制すると考えられている10) 。
気道上皮におけるラットの予防効果モデルとして、杯細胞過形成誘発物質であるイソプロテレノールの投与前に本剤を反復経口投与した場合、10、30及び100mg/kgで杯細胞の過形成抑制作用がみられた。更に、ラットの治療効果モデルとして、イソプロテレノール投与により気道上皮の杯細胞を過形成させた後、本剤を反復経口投与した場合、10、30及び100mg/kgで過形成抑制作用がみられた11) 。
気道上皮におけるラットの予防効果モデルとして、杯細胞過形成誘発物質であるリポポリサッカライドの投与前に本剤を反復経口投与した場合、10、30及び100mg/kgで杯細胞の過形成抑制作用がみられた。更に、ラットの治療効果モデルとして、リポポリサッカライド投与により気道上皮の杯細胞を過形成させた後、本剤を反復経口投与した場合、10、30及び100mg/kgで過形成抑制作用がみられた12) 。
気管支炎ウサギの痰中フコース/シアル酸比に対して、本剤の20、100及び500mg/kgの反復経口投与は用量依存的な抑制作用を示し、500mg/kgでは有意な抑制を示した。
本剤は500mg/kg経口投与で、ウサギ漿液性気道分泌を有意に増大した。更に、本剤は500mg/kg経口投与で、気管支肺胞洗浄液中のCl-濃度を有意に増大した。
本剤の10、30及び100mg/kgを、リポポリサッカライド誘発ラットに反復経口投与した時、30及び100mg/kgで気管支肺胞洗浄液中の好中球数の増加を有意に抑制し、10~100mg/kgでcytokine-induced neutrophil chemoattractant-1(CINC-1)量を有意に抑制した。
フドステイン(fudosteine)
(2R)-2-Amino-3-(3-hydroxypropylsulfanyl) propanoic acid
C6H13NO3S
179.24
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、酢酸(100)に溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。6mol/L塩酸試液に溶ける。
約200℃(分解).
100錠[10錠(PTP)×10]、1,000錠[10錠(PTP)×100]、1,000錠[バラ、乾燥剤入り]
1) 関野久之,他:臨床医薬.2002;18(1):25-43
2) 木暮敏博,他:薬物動態.1997;12(5):491-513
3) 中道 昇,他:臨床医薬.2002;18(1):45-52
4) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):81-107
5) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):109-140
6) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):141-180
7) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):181-208
8) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):209-232
9) 長岡 滋,他:臨床医薬.2002;18(1):233-243
10) 第十八改正日本薬局方解説書 廣川書店.2021;C-4724-4727
11) Takahashi K,et al.:Jpn J Pharmacol.1998;77(1):71-77
12) Takahashi K,et al.:Environ Toxicol Pharmacol.1998;5(3):173-178
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