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毒薬
処方箋医薬品注)
下記におけるサイトメガロウイルス感染症
初期治療は、通常、ガンシクロビルとして1回体重1kg当たり5mgを1日2回、12時間毎に1時間以上かけて、点滴静注する。維持治療は、後天性免疫不全症候群の患者又は免疫抑制剤投与中の患者で、再発の可能性が高い場合は必要に応じ維持治療に移行することとし、通常、体重1kg当たり1日6mgを週に5日又は1日5mgを週に7日、1時間以上かけて点滴静注する。維持治療中又は投与終了後、サイトメガロウイルス感染症の再発が認められる患者においては必要に応じて再投与として初期治療の用法・用量にて投与することができる。なお、腎機能障害のある患者に対しては、腎機能障害の程度に応じて適宜減量する。(注射液の調製法)1バイアル(ガンシクロビル500mgを含有)を注射用水10mLに溶解し、投与量に相当する量を1バイアル当たり通常100mLの補液で希釈する。なお、希釈後の補液のガンシクロビル濃度は10mg/mLを超えないこと。
クレアチニンクリアランス値(mL/min)
初期治療
維持治療
用量(mg/kg)
投与間隔(時間)
≧70
5.0
12
24
50~69
2.5
25~49
1.25
10~24
0.625
<10
透析後週3回
本剤の投与により重篤な好中球減少が認められている。,,
本剤の投与により重篤な血小板減少が認められている。,,,
精神神経系障害を悪化させるおそれがある。
ガンシクロビルの血中半減期の延長とクリアランスの低下の報告がある。,
肝機能障害を悪化させるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。動物実験(ウサギ、静脈内投与)で、妊孕性の低下、催奇形性(外形異常等)及び遺伝毒性があることが報告されている。,,,,
投与期間中は授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)において、乳汁への移行が認められている。また、本剤は動物実験(マウス)において発がん性が認められている。,
長期投与による発がん性及び生殖毒性の可能性があることを慎重に考慮し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。,,,
腎機能障害例への投与を参考にし、用量を調節するなど、慎重に投与すること。本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがある。
**マリバビル(リブテンシティ)
併用により、本剤の抗ウイルス作用が阻害されるおそれがある。
マリバビルは、本剤の活性化又はリン酸化に必要なウイルス由来のUL97を阻害する。
ジドブジン
ジドブジンのAUCが17%増加したとの報告がある。また、併用により有意ではないがガンシクロビルの血漿中濃度の低下傾向がみられたとの報告がある。ガンシクロビル及びジドブジンはいずれも好中球減少、貧血の原因となる可能性があるので、併用する場合は本剤又はジドブジンを減量すること。
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させる。
ジダノシン
ジダノシンの血漿中濃度が上昇したとの報告がある(ガンシクロビル3g/日、6g/日の経口投与で、ジダノシンのAUCが84%、124%増加、5mg/kg/日、10mg/kg/日の静脈内投与でAUCが38%、67%増加)。併用により、ガンシクロビルの血漿中濃度が臨床的に有意に増加したとの報告はないが、併用する場合はジダノシンの毒性を注意深く観察すること。
生物学的利用率の増加もしくは代謝の遅延が考えられる。
イミペネム・シラスタチンナトリウム
痙攣が報告されている。
機序は不明である。
骨髄抑制作用のある薬剤及び腎機能障害作用のある薬剤
毒性が増強するおそれがある。
相加的に本剤及び併用薬剤の双方の作用を増強させることが考えられる。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
トリメトプリムの併用により、ガンシクロビルの腎クリアランスが16%低下し、血漿中消失半減期が15%延長したとの報告がある。しかし、ガンシクロビルのAUC及びCmaxに影響はなく臨床的に有意な変化とは考えられなかった。また、トリメトプリムのCminが12%上昇したとの報告がある。
シクロスポリン
シクロスポリンの薬物動態に影響を与えたとの報告はないが、血清クレアチニン濃度が上昇するとの報告がある。
プロベネシド
ガンシクロビルの腎クリアランスが20%低下し、その結果、曝露量が40%上昇したとの報告がある。
腎尿細管での分泌が競合する。
ミコフェノール酸 モフェチル
ガンシクロビル及びミコフェノール酸 モフェチルの代謝物であるグルクロン酸抱合体の血漿中濃度が上昇するおそれがあるが、ミコフェノール酸 モフェチルの活性代謝物の薬物動態に実質的な変化はないと考えられる。腎機能障害患者に、ミコフェノール酸 モフェチルと本剤(腎機能障害患者への推奨量)を併用する場合は、患者の症状に注意し慎重に投与すること。
免疫抑制剤
本剤との併用により、重篤な血小板減少が報告されている。
投与中に重篤な白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少を伴う場合には、造血促進因子を投与するか又は本剤の投与を中止すること。,,,,,
,,,
5%以上
頻度不明
血液
好酸球増多
低色素性貧血、脾腫、貧血
全身症状
無力症、浮腫、疼痛、倦怠感、胸痛、腹部腫脹、悪寒、発熱
循環器
不整脈、低血圧、血管拡張、高血圧
呼吸器
呼吸困難、咳の増加
過敏症
そう痒、発疹
消化器
悪心
腹痛、食欲不振、鼓腸放屁、消化不良、口渇、おくび、便秘、アフタ性口内炎、便失禁、食道炎、胃炎、潰瘍性口内炎、嚥下障害、下痢、嘔吐、胃腸障害
精神神経系
頭痛(12.5%)
不眠症、眩暈、神経障害、異夢、傾眠、鎮静、思考異常、健忘症、緊張亢進、歩行異常、異常感覚、不安、多幸症、偏頭痛、情緒不安、運動過多、振戦、せん妄、性欲減退、ミオクロヌス、運動失調、躁病反応、うつ病、神経質、精神病
皮膚
皮膚乾燥、斑状丘疹、ざ瘡、発汗、脱毛
腎臓
クレアチニンクリアランス低下、クレアチニン上昇、BUN上昇等の腎機能障害
頻尿、尿路感染、血尿
肝臓
AST上昇、ALT上昇、ALP上昇、LDH上昇等の肝機能障害
黄疸、肝炎
筋・骨格系
両下肢痙直、筋肉痛、筋無力症、背痛、骨痛、CK上昇、関節痛
感覚器
味覚倒錯、視覚障害、硝子体混濁、眼痛、耳痛、耳鳴、失明、結膜炎、難聴、網膜剥離、網膜炎、霧視
投与部位
静脈投与による静脈炎、痛み
その他
体重減少、感染、インポテンス、高血糖、低血糖、乳房痛、低カリウム血症、蜂巣炎、低ナトリウム血症
血中濃度を下げるために透析及び水分補給を行うことが勧められる。
本剤は強アルカリ性(pH 約11)を呈することから、点滴静注部位の血管痛を訴えたり、静脈炎があらわれることがあるので、薬液が速やかに希釈分散するよう十分な血液のある静脈にのみ慎重に投与すること。
*海外で実施された非無作為化非盲検の市販後臨床試験において、サイトメガロウイルス感染症の発症抑制のため本剤のプロドラッグであるバルガンシクロビルを最長200日間投与された成人の腎移植患者(24例)では、非投与患者(14例)と比較して、精子濃度が低下したとの報告がある。ただし、バルガンシクロビル投与終了6ヵ月後には、バルガンシクロビル投与患者(20例)の精子濃度は非投与患者(10例)と同程度まで回復した。,
腎機能正常患者にガンシクロビル5mg/kgを1時間点滴静注時の平均血中半減期は約3.6時間、全身クリアランスは4.20±2.13mL/min/kgであった1)(外国人のデータ)。
血漿蛋白結合率は、0.5~51μg/mLの濃度範囲において、1~2%(外国人のデータ、平衡透析法)。
大部分が未変化体のままで尿中に排泄される1)(外国人のデータ)。
患者に3日間で総量1,800~2,550mgを点滴静注したときの3日間の尿中回収率は37~126%であった1)(外国人のデータ)。
腎機能障害患者に5mg/kgを1時間点滴静注時の平均血中半減期は約11.5時間、全身クリアランスは1.20±0.87mL/min/kgであった1)(外国人のデータ)。,
免疫機能の低下した患者17例(後天性免疫不全症候群、臓器移植、悪性腫瘍等)にガンシクロビルとして通常5mg/kgを12時間毎(腎機能異常患者ではクレアチニンクリアランス値を指標として適宜減量)、14~21日間点滴静注した結果、発症した重篤なサイトメガロウイルス感染症に対する感染部位別有効率は、網膜炎100%(8/8例)、肺炎66.7%(4/6例)、腎症100%(2/2例)、大腸炎、肝炎、髄膜炎がそれぞれ100%(1/1例)であった。副作用発現頻度は50%(8例/16例)であった。主な副作用は白血球減少25%(4例/16例)及び血小板減少25%(4例/16例)であった2)。
米国で実施された314例の免疫低下時における重篤なサイトメガロウイルス感染症患者にガンシクロビルとして主に5mg/kgを12時間毎もしくは2.5mg/kgを8時間毎(腎不全患者ではクレアチニンクリアランス値を指標として適宜減量)、14~21日間点滴静注した結果、感染部位別有効率は、網膜炎84%(91/108例)、大腸炎83%(35/42例)、肺炎72%(26/36例)及びその他の感染症(中枢神経、全身性など)61%(11/18例)であった。副作用発現頻度は59%(184例/314例)であった。主な副作用は好中球減少31%(97例/314例)及び血小板減少6%(20例/314例)であった3)。
ガンシクロビルはサイトメガロウイルス感染細胞内においてウイルス由来のプロテインキナーゼ(UL97)にリン酸化されてガンシクロビル一リン酸になり、さらにウイルス感染細胞に存在するプロテインキナーゼにリン酸化されて活性型のガンシクロビル三リン酸になる。ガンシクロビル三リン酸はウイルスDNAポリメラーゼの基質であるデオキシグアノシン三リン酸(dGTP)の取り込みを競合的に阻害し、ガンシクロビル三リン酸がDNAに取り込まれ、ウイルスDNAの延長を停止又は制限することによってDNA鎖の複製を阻害する4),5),6)。
免疫機能の低下した患者に発症したサイトメガロウイルス感染症の治療のためにガンシクロビルを点滴静注あるいは経口で長期間投与した場合、耐性ウイルスが検出される場合がある。耐性ウイルスには、ガンシクロビルのモノリン酸化に関与するウイルスキナーゼ(UL97)遺伝子又はウイルスDNAポリメラーゼ(UL54)遺伝子の変異がみられる。UL97遺伝子が変異したウイルスはガンシクロビルに対してのみ耐性を示し、一方、UL54遺伝子が変異したウイルスは、類似の作用機序を持つ他の抗ウイルス剤にも交差耐性を示す。サイトメガロウイルス網膜炎と診断されたAIDS患者にガンシクロビルが点滴静注され、3ヵ月以内の投与では耐性ウイルスは検出されなかったが、3ヵ月以上の投与では7.6%の患者に耐性ウイルスが検出された。固形臓器移植患者に移植後10日以内から100日までガンシクロビルが経口投与され、移植後100日目に採血できた103例の血液サンプルから分離した多形核白血球について、サイトメガロウイルスの遺伝子型変異解析を実施した結果、2例にUL97耐性変異体(1.9%)が検出された。また、移植後12ヵ月までにサイトメガロウイルス感染症が疑われた患者33例の内、2例にUL97耐性変異体(6.1%)が検出されたが、UL54耐性変異体は検出されなかった13),14),15),16),17),18)。
ガンシクロビル(Ganciclovir)
9-[[2-hydroxy-1-(hydroxymethyl)ethoxy]methyl]guanine
C9H13N5O4
255.23
白色~灰白色又は淡黄白色の結晶性の粉末である。水に溶けにくく、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。希塩酸又は希水酸化ナトリウム試液にやや溶けにくく、0.005mol/Lリン酸二水素アンモニウム溶液に溶けにくい。吸湿性である。
[500mg×1瓶]
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