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劇薬
処方箋医薬品注)
緊急治療を要する頻脈性不整脈(上室性及び心室性)
通常、成人には1回0.075mL/kg(ピルシカイニド塩酸塩水和物として0.75mg/kg)を必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液などで希釈し、血圧ならびに心電図監視下に10分間で徐々に静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。
通常、成人には1回0.1mL/kg(ピルシカイニド塩酸塩水和物として1.0mg/kg)を必要に応じて日本薬局方生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液などで希釈し、血圧ならびに心電図監視下に10分間で徐々に静注する。なお、年齢、症状に応じて適宜減量する。
心不全を来すおそれのある患者では、心室頻拍、心室細動等が発現するおそれが高い。
心不全を来すおそれがある。
刺激伝導抑制作用により、これらの障害を更に悪化させるおそれがある。
高度の徐脈、洞停止を来すおそれがある。
催不整脈作用が発現するおそれがある。
本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
慎重に観察しながら投与すること。
異常が認められた場合には直ちに投与を中止すること。本剤は心臓ペーシング閾値を上昇させる可能性がある。
本剤は腎臓からの排泄により体内から消失する薬剤であり、血中濃度が高くなりやすく、また高い血中濃度が持続するおそれがある。
AST、ALT、LDH等の上昇が報告されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎児に移行することが報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
肝・腎機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があるなど副作用が発現しやすい。
リファンピシン
本剤の作用を減弱させることがある。
リファンピシンによりチトクロームP450の産生が誘導され、本剤の代謝速度が促進し、血中濃度が低下する可能性が考えられている。
カルシウム拮抗薬
β-受容体遮断薬
ジギタリス製剤
硝酸・亜硝酸エステル系薬剤
,
動物実験(イヌ)において、本剤の作用が増強される可能性が報告されている。
機序は明らかではないが、作用増強の可能性が考えられている。
セチリジン
両剤の血中濃度が上昇し、本剤の副作用が発現するおそれがある。
腎でのトランスポーターを介した排泄が競合するためと考えられている。
ショック、心停止に至る場合もあるので、心電図の連続監視等を行うこと。
ショック等による急性腎障害があらわれることがある。
0.1~5%未満
頻度不明
循環器
QRS幅の増大、徐脈、心室性期外収縮、胸部不快感、胸痛、血圧低下
上室性期外収縮、QT延長、上室性頻拍、房室ブロック、心房粗動
消化器
口渇、悪心
嘔吐
精神神経系
ふわふわ感
血液
白血球数減少、白血球数増加、好酸球増加、リンパ球減少、リンパ球増加
肝臓
AST上昇、ALT上昇、LDH上昇
過敏症
発疹
腎臓
BUN上昇、尿蛋白陽性
クレアチニン上昇
その他
全身倦怠感、CK上昇
過量投与又は高度の腎機能障害により、本剤の血中濃度が上昇した場合、刺激伝導障害(著明なQRS幅の増大等)、心停止、心不全、心室細動、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、洞停止、徐脈、ショック、失神、血圧低下等の循環器障害、構語障害等の精神・神経障害を引き起こすことがある。
直ちに本剤の投与を中止し、体外ペーシングや直流除細動を考慮する等適切な対症療法を行うこと。なお、本剤の血液透析による除去率は最大約30%と報告されている。
健康成人男性18例にピルシカイニド塩酸塩水和物0.25、0.50及び0.75mg/kg注1)を10分間かけて単回静脈内投与した場合、血漿中濃度の推移は次のとおりであった1)。
投与量(mg/kg)
例数
Cmax(μg/mL)
t1/2α(min)
t1/2β(hr)
AUC(μg・hr/mL)
0.25
6注2)
0.28±0.06
1.99±0.68
4.34±1.98
0.73±0.33
0.50
6
0.65±0.28
3.95±1.54
5.74±0.85
1.71±0.27
0.75
1.10±0.30
1.82±1.01
4.37±0.48
2.88±0.36
(平均±SD)
ヒトの1.0mg/kg投与時(10分間かけて投与)の血漿中濃度は1.74±0.85μg/mLであり、ラットにおける1.0mg/kg反復投与時(無毒性量)のラット血漿中濃度3.12±0.60μg/mLのほぼ1/2であった。
ラットに14C-ピルシカイニド塩酸塩水和物を静脈内投与した場合、主として肝臓、腎臓に分布し、脳への分布は少なかった2)。また、胎児及び乳汁中には母体の血漿中濃度とほぼ同程度かあるいはそれ以上の移行が認められた3)。
ヒト血漿蛋白結合率は、1.0μg/mL以下の濃度で約35%と一定であったが、50μg/mLでは約20%に低下した4)(in vitro)。
健康成人ではピルシカイニド塩酸塩水和物は代謝されにくい。経口投与時に検出された代謝物2-ヒドロキシメチル体の生成に関与するヒト肝チトクロームP450分子種を検討したところ、CYP2D6により上記代謝物の生成が僅かに認められた5)。
健康成人男性にピルシカイニド塩酸塩水和物0.125、0.25、0.50及び0.75mg/kg注1)を単回静脈内投与した場合に、いずれの投与量においても24時間以内に90%以上が未変化体として尿中に排泄された1)。
ピルシカイニド塩酸塩水和物は腎排泄型の薬剤であり、経口剤においては腎機能障害患者、腎機能が低下している高齢者では内因性クレアチニンクリアランス(CLcr)の低下に伴い半減期が延長した6)。
腎機能CLcr(mL/min)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
Vd(L/kg)
CLtot(mL/min)
CLcr≧80
3.1±0.6
0.41±0.08
3.4±0.2
1.48±0.19
280.0±37.5
80>CLcr≧50
10
2.7±0.8
0.46±0.03
5.7±0.3
1.46±0.11
182.8±11.8
50>CLcr≧20
8
3.1±0.8
0.51±0.05
9.3±1.1
1.70±0.15
123.4±19.3
20>CLcr
3.8±0.7
0.63±0.05
23.7±2.0
38.8±4.6
(平均±SE)
心室性期外収縮、上室性期外収縮、発作性上室性頻拍、発作性心房細動・粗動、発作性心室頻拍を対象とした臨床試験の概要は次表のとおりである。
疾患名
対象症例
全般改善度
著明改善
中等度改善以上
心室性期外収縮
184
100(54.3%)
127(69.0%)
上室性期外収縮
1
発作性上室性頻拍
130
94(72.3%)
95(73.1%)
発作性心房細動・粗動
120
37(30.8%)
50(41.7%)
発作性心室頻拍
9(90.0%)
臨床試験のうち、心室性期外収縮、発作性上室性頻拍、発作性心房細動・粗動の各不整脈を対象とした二重盲検比較試験において、本剤の有用性が確認された。
心室性期外収縮を対象とした二重盲検比較試験において、本剤0.75mg/kg投与群とジソピラミド1.5mg/kg投与群での全般改善度における改善率(中等度改善以上)はそれぞれ76.6%(59/77例)、70.8%(51/72例)であった。本剤投与群における副作用発現率は3.9%(3/77例)であった7)。
発作性上室性頻拍を対象とした二重盲検比較試験において、本剤1.0mg/kg投与群とプラセボ群での全般改善度における改善率(中等度改善以上)はそれぞれ89.3%(25/28例)、20.0%(5/25例)であった。本剤投与群における副作用発現率は3.6%(1/28例)であった8)。
発作性心房細動・粗動を対象とした二重盲検比較試験において、本剤1.0mg/kg投与群とプラセボ群での全般改善度における改善率(中等度改善以上)はそれぞれ45.0%(18/40例)、2.9%(1/34例)であった。本剤投与群における副作用発現率は4.9%(2/41例)であった9)。
本剤は、Vaughan Williamsらの分類のクラスIcに属する不整脈治療剤で、Naチャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す。Sicilian Gambitの提唱する薬剤分類(日本版)において、本剤はNaチャンネルを選択的に抑制し、K、Caチャンネル並びにα、β及びムスカリン受容体などには影響を与えないものとして位置づけられる。
発作性上室性頻拍患者に本剤0.5~1.0mg/kgを、また心室頻拍患者に本剤0.25~1.0mg/kgを単回静脈内投与した場合、洞周期(SCL)を短縮させ10),11)、房室結節内伝導(AH)時間10),11)、順行性房室結節機能的有効不応期(AVNFRP)10)を延長させた。また、頻拍誘発試験において発作性上室性頻拍及び心室頻拍の誘発抑制効果が認められた10),11)。
発作性上室性頻拍患者に本剤0.5~1.0mg/kgを単回静脈内投与した場合、肺動脈楔入圧は有意に増加したが正常範囲内の変化であった(投与前値7mmHg、投与終了時10mmHg)10),11)。また心室頻拍患者に0.25~1.0mg/kgを単回静脈内投与した場合、心拍数及び肺動脈楔入圧が有意に増加した(心拍数;投与前値71回/分、投与終了時76回/分、肺動脈楔入圧;投与前値14mmHg、投与終了時18mmHg)11)。
モルモット乳頭筋において、静止膜電位にほとんど影響を与えることなく、最大脱分極速度(Vmax)を用量依存的に抑制した17)。
モルモット乳頭筋の活動電位持続時間(APD)及び有効不応期(ERP)に影響を与えなかった17)。
イヌにおいて電気刺激による心室細動の発生閾値を上昇させた16)。
イヌのプルキンエ線維においてアセチルストロファンチジンで誘発される遅延後脱分極及び誘発自動能を抑制した18)。
モルモットの単一心房筋細胞においてアセチルコリンで惹起されるKチャンネル電流に対する抑制作用はフレカイニド、ジソピラミド、キニジンと比べて弱かった19)。
イヌにおいて心電図のPQの延長及びQRS幅の増大作用を有するがQTcの延長作用はジソピラミドと比べて弱かった14)。
イヌ冠動脈二段結紮不整脈に対する2-ヒドロキシメチル体の抗不整脈作用強度はピルシカイニド塩酸塩水和物の1/8であった14)。
ピルシカイニド塩酸塩水和物(Pilsicainide Hydrochloride Hydrate)
N-(2,6-Dimethylphenyl)tetrahydro-1H-pyrrolizin-7a(5H)-ylacetamide monohydrochloride hemihydrate
C17H24N2O・HCl・1/2H2O
317.85
白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)に極めて溶けやすく、水、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
210.5~213.5℃(あらかじめ浴液を160℃に加熱しておく)
1.73(pH7.00、クロロホルム/緩衝液)
5mL 10アンプル
1) 中島光好ほか:臨床医薬 1998;14(1):47-61
2) 林 敏郎ほか:基礎と臨床 1989;23(6):2197-2229
3) 小森谷和美ほか:応用薬理 2003;65(5/6):89-95
4) 社内資料:ヒト血漿蛋白結合率(2000年1月18日承認、申請資料概要へ.2.3.3)
5) 藤谷朝通ほか:薬物動態 1997;12(S):255
6) 高畠利一ほか:薬理と治療 1989;17(7):3195-3205
7) 加藤和三ほか:臨床医薬 1998;14(4):719-745〈1999年改訂〉
8) 加藤和三ほか:臨床医薬 1998;14(4):747-768〈1999年改訂〉
9) 加藤和三ほか:臨床医薬 1998;14(4):769-790〈1999年改訂〉
10) 新 博次ほか:臨床医薬 1998;14(1):63-74
11) 庄田守男ほか:臨床医薬 1998;14(1):75-88
12) 日高寿範ほか:応用薬理 1989;37(4):359-372
13) Aisaka K, et al.:Arzneimittelforschung 1985;35(Ⅱ)(8):1239-1245
14) 日高寿範ほか:日本薬理学雑誌 2000;115(5):295-308
15) 日高寿範ほか:基礎と臨床 1992;26(13):4927-4931
16) 日高寿範ほか:応用薬理 1988;36(6):439-447
17) Hattori Y, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1986;8(5):998-1002
18) Inomata N, et al.:Eur J Pharmacol. 1988;145(3):313-322
19) Inomata N, et al.:Br J Pharmacol. 1991;104(4):1007-1011
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