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日本薬局方
トラネキサム酸注射液
処方箋医薬品注)
2.5mL
10mL
トラネキサム酸として、通常成人1日250~500mgを1~2回に分けて静脈内又は筋肉内注射する。術中・術後等には必要に応じ1回500~1,000mgを静脈内注射するか、又は500~2,500mgを点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常成人1日5~10mL(1~2アンプル)を1~2回に分けて静注又は筋注する。術中・術後など、必要に応じ1回10~50mL(2~10アンプル)を点滴静注する。
通常成人1日2.5~5mLを1~2回に分けて静注又は筋注する。術中・術後など、必要に応じ1回5~10mLを静注するか、又は5~25mLを点滴静注する。
血栓を安定化するおそれがある。
ヘパリン等と併用すること。血栓を安定化するおそれがある。
静脈血栓を生じやすい状態であり、本剤投与により血栓を安定化するおそれがある。離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている。
血中濃度が上昇することがある。
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
トロンビン
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
血栓形成を促進する作用があり、併用により血栓形成傾向が増大する。
ヘモコアグラーゼ
大量併用により血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
ヘモコアグラーゼによって形成されたフィブリン塊は、本剤の抗プラスミン作用によって比較的長く残存し閉塞状態を持続させるおそれがあると考えられている。
バトロキソビン
血栓・塞栓症を起こすおそれがある。
バトロキソビンによって生成するdesAフィブリンポリマーの分解を阻害する。
凝固因子製剤
口腔等、線溶系活性が強い部位では凝固系がより亢進するおそれがある。
凝固因子製剤は凝固系を活性化させることにより止血作用を発現する。一方、本剤は線溶系を阻害することにより止血作用を発現する。
人工心肺を用いた心臓大血管手術の周術期に本剤を投与した患者において、術後に痙攣があらわれることがある。また、人工透析患者において痙攣があらわれたとの報告がある。
0.1~1%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
そう痒感、発疹等
消化器
悪心、嘔吐
食欲不振、下痢
眼
一過性の色覚異常(静脈内注射時)
その他
眠気、頭痛
ゆっくり静脈内に投与すること。急速に投与すると、まれに悪心、胸内不快感、心悸亢進、血圧低下等があらわれることがある。
組織・神経等への影響を避けるため、次の点に注意すること。
イヌに長期・大量投与したところ網膜変性があらわれたとの報告がある。
健康成人男性5例にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与したとき、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった1)。
投与量
投与法
例数
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
Vd(L)
500mg
筋注
3
21.2
0.5
2.0
-
1,000mg
静注
2
1.9
42.4
マウスに14C-トラネキサム酸を20mg/kgの投与量で単回静脈内投与及び単回筋肉内投与したときの組織内分布は、肝、腎、肺で高く、膵、副腎、脾、子宮、心、筋肉がこれに次ぎ、脳では低かった2)。
健康成人男性5例にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与したとき、投与後24時間以内に投与量のそれぞれ76%及び80%が未変化体として尿中に排泄された1)。
全身性線溶亢進が関与すると考えられる白血病、再生不良性貧血、紫斑病等の出血傾向、及び局所線溶亢進が関与すると考えられる肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血に対する止血効果について、709例を対象とした一般臨床試験の結果、83.8%(594/709例)に効果が認められた。
湿疹及び類症、蕁麻疹等の皮膚疾患の患者283例を対象とした一般臨床試験において、77.7%(220/283例)に改善が認められた。
線維素溶解現象(線溶現象)は生体の生理的ならびに病的状態において、フィブリン分解をはじめ、血管の透過性亢進等に関与し、プラスミンによって惹起される生体反応を含め、種々の出血症状やアレルギー等の発生進展や治癒と関連している。トラネキサム酸は、このプラスミンの働きを阻止し、抗出血・抗アレルギー・抗炎症効果を示す。
トラネキサム酸は、プラスミンやプラスミノゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位(LBS)と強く結合し、プラスミンやプラスミノゲンがフィブリンに結合するのを阻止する。このため、プラスミンによるフィブリン分解は強く抑制される。更に、α2-マクログロブリン等血漿中アンチプラスミンの存在下では、トラネキサム酸の抗線溶作用は一段と強化される3),4),5),6),7)。
異常に亢進したプラスミンは、血小板の凝集阻止、凝固因子の分解等を起こすが、軽度の亢進でも、フィブリン分解がまず特異的に起こる。したがって一般の出血の場合、トラネキサム酸は、このフィブリン分解を阻害することによって止血すると考えられる3)。
トラネキサム酸は、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変の原因になっているキニンやその他の活性ペプチド等のプラスミンによる産生を抑制する(モルモット、ラット)8),9),10),11)。
トラネキサム酸(Tranexamic Acid)
trans-4-(Aminomethyl)cyclohexanecarboxylic acid
C8H15NO2
157.21
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
1) 佐野光司ほか:臨床薬理 1976;7(4):375-382
2) 豊島 滋ほか:基礎と臨床 1971;5(4):740-748
3) 安孫子雍史:Med Pharm. 1976;10(1):7-11
4) Iwamoto M:Thrombos Diathes Haemorrh. 1975;33(3):573-585
5) Markus G, et al.:J Biol Chem. 1979;254(4):1211-1216
6) Abiko Y, et al.:Biochim Biophys Acta. 1969;185(2):424-431
7) Abiko Y, et al.:Biochim Biophys Acta. 1970;214(3):411-418
8) 山田外春ほか:プラスミン研究会報告集 1974;14:364-366
9) 木村義民ほか:アレルギー 1966;15(9):755-763
10) 近藤元治:プラスミン研究会報告集 1966;6:36-37
11) 山崎英正ほか:日本薬理学雑誌 1967;63(6):560-571
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