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メチレンブルー静注50mg「第一三共」

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.2非臨床試験に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.5排泄
16.7薬物相互作用
17.臨床成績
17.2製造販売後調査等
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

メチレンブルー静注50mg「第一三共」

添付文書番号

3929412A1025_1_07

企業コード

430574

作成又は改訂年月

**2024年10月改訂(第4版、再審査結果)
2024年7月改訂(第3版)

日本標準商品分類番号

873929

薬効分類名

メトヘモグロビン血症治療剤

承認等

メチレンブルー静注50mg「第一三共」

販売名コード

YJコード

3929412A1025

販売名英語表記

METHYLENE BLUE INTRAVENOUS INJECTION “DAIICHI SANKYO”

承認番号等

承認番号

22600AMX01391

販売開始年月

2015年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

*48ヵ月

一般的名称

メチルチオニニウム塩化物水和物注

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分、フェノチアジン系化合物及びその類似化合物に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症と判明している患者[メトヘモグロビン血症の増悪及び溶血を起こす可能性がある。]
  3. 2.3 NADPH還元酵素欠損症と判明している患者[メトヘモグロビン血症の増悪及び溶血を起こす可能性がある。]
  4. 2.4 塩素酸塩によるメトヘモグロビン血症患者[毒性の強い次亜塩素酸塩が形成される可能性がある。]
  5. 2.5 シアン化合物中毒の解毒剤として投与した亜硝酸化合物によるメトヘモグロビン血症患者[シアンによる毒性が生じやすくなる。]

3. 組成・性状

3.1 組成

メチレンブルー静注50mg「第一三共」

有効成分1アンプル中
メチルチオニニウム塩化物水和物   50mg/10mL

3.2 製剤の性状

メチレンブルー静注50mg「第一三共」

pH3.0~4.5
浸透圧比0.03~0.041)(生理食塩液対比)
性状暗青色の液
1) 本剤1アンプルを5%ブドウ糖注射液50mLで希釈した場合の浸透圧比は0.85~0.86である。

4. 効能又は効果

中毒性メトヘモグロビン血症

6. 用法及び用量

通常、生後3ヵ月を過ぎた乳幼児、小児及び成人には、メチルチオニニウム塩化物水和物として1回1~2mg/kgを5分以上かけて静脈内投与する。投与1時間以内に症状が改善しない場合は、必要に応じ、同量を繰り返し投与できるが、累積投与量は最大7mg/kgまでとする。
通常、新生児及び生後3ヵ月以下の乳児には、メチルチオニニウム塩化物水和物として1回0.3~0.5mg/kgを5分以上かけて静脈内投与する。投与1時間以内に症状が改善しない場合は、必要に応じ、同量を繰り返し投与できる。

7. 用法及び用量に関連する注意

生後3ヵ月を過ぎた乳幼児、小児及び成人におけるアニリン又はジアフェニルスルホンによるメトヘモグロビン血症の場合の累積投与量は最大4mg/kgまでとする。,

8. 重要な基本的注意

本剤による効果が認められない場合、チトクロームb5還元酵素欠損症又はスルフヘモグロビン血症等の可能性が考えられるため、他の治療法への切り替えを考慮すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 アニリン又はジアフェニルスルホンによるメトヘモグロビン血症患者

    溶血を起こしやすい。,

9.2 腎機能障害患者

  1. 9.2.1 中等度又は高度の腎機能障害のある患者

    低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。本剤の主たる排泄経路は腎臓であるため、腎機能障害の悪化又は本剤の排泄遅延による副作用発現のおそれがある。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないことが望ましい。適応外であるが、羊膜内投与で胎児の小腸閉鎖症、死亡が報告されている1),2)。また、動物実験(マウス)で催奇形性及び胎児の死亡増加が報告されている3)

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 新生児及び生後3ヵ月以下の乳児

    繰り返し投与を行う場合は、特に注意すること。本剤によりメトヘモグロビン血症の増悪や溶血を起こしやすい。

9.8 高齢者

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。

10. 相互作用

  • 本剤はチトクロームP450(1A2、2B6、2C9、2C19)を阻害する作用がある。

10.2 併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

選択的セロトニン再取り込み阻害剤

  • フルボキサミンマレイン酸塩
  • パロキセチン塩酸塩水和物
  • セルトラリン塩酸塩
  • エスシタロプラムシュウ酸塩等

セロトニン作動薬との併用により、セロトニン症候群があらわれるおそれがある。本剤の低用量からの投与開始を考慮すること。

本剤のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。

セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤

  • ミルナシプラン塩酸塩
  • デュロキセチン塩酸塩等

セロトニン作動薬との併用により、セロトニン症候群があらわれるおそれがある。本剤の低用量からの投与開始を考慮すること。

本剤のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。

三環系抗うつ剤

  • アミトリプチリン塩酸塩
  • ノルトリプチリン塩酸塩
  • イミプラミン塩酸塩
  • クロミプラミン塩酸塩等

セロトニン作動薬との併用により、セロトニン症候群があらわれるおそれがある。本剤の低用量からの投与開始を考慮すること。

本剤のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。

ノルアドレナリン・セロトニン作動性抗うつ剤

  • ミルタザピン

セロトニン作動薬との併用により、セロトニン症候群があらわれるおそれがある。本剤の低用量からの投与開始を考慮すること。

本剤のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。

オピオイド系薬剤

  • トラマドール塩酸塩
  • ペチジン塩酸塩等

デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物

これらの薬剤との併用により、セロトニン症候群があらわれるおそれがある。本剤の低用量からの投与開始を考慮すること。

本剤のモノアミン酸化酵素阻害作用によりセロトニン作用が増強される。

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)
  2. 11.1.2 メトヘモグロビン血症の増悪(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)

    グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠損症もしくはNADPH還元酵素欠損症である可能性又は投与量が過剰となっているおそれがある。,

  3. 11.1.3 腎不全(頻度不明)

    腎機能障害があらわれることがある。

11.2 その他の副作用

頻度不明

精神神経系

錯乱状態、激越、浮動性めまい、頭痛、不安、振戦、失語症

過敏症

蕁麻疹

消化器

腹痛、悪心、嘔吐、変色便(青緑色)

循環器

胸痛、不整脈、頻脈、高血圧、低血圧

呼吸器

呼吸困難、頻呼吸、低酸素症

腎臓・泌尿器

排尿困難、腎機能障害、着色尿(青緑色)

肝臓

高ビリルビン血症

血液

ヘモグロビン減少

散瞳

投与部位
(適用部位)

注射部位の局所組織壊死

その他

発熱、発汗、皮膚変色(青色)

12. 臨床検査結果に及ぼす影響

本剤の投与により、パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定において、血中酸素飽和度が見かけ上低値を示すことがあるので注意すること。

13. 過量投与

  1. 13.1 症状

    メトヘモグロビン血症を誘発し、チアノーゼ、呼吸困難、溶血性貧血等の症状があらわれることがある。

  2. 13.2 処置

    酸素吸入、輸血等の適切な処置を行うこと。なお、重度の溶血性貧血の場合は血液透析等を考慮すること。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 メチルチオニニウム塩化物が析出する場合があるので、体温付近の温度で約3分間振とうし溶解後使用すること。
  2. 14.1.2 本剤1アンプルに対し5%ブドウ糖注射液50mLで希釈すること。
  3. 14.1.3 本剤の有効成分であるメチルチオニニウム塩化物は、塩化ナトリウムにより溶解度が低下するため生理食塩液と混合しないこと。
  4. 14.1.4 調製後、やむを得ず保存を必要とする場合でも、室温保存では6時間以内に使用すること。

14.2 薬剤投与時の注意

血管外に本剤が漏出した場合に、注射部位に皮膚壊死等が起こる可能性があるため、薬液が血管外に漏れないよう慎重に投与すること。

15. その他の注意

15.2 非臨床試験に基づく情報

  1. 15.2.1 細菌及び細胞を用いたin vitro試験で、遺伝子突然変異及び染色体異常の誘発が認められている4),5),6),7)
  2. 15.2.2 動物実験(マウス)で、小腸の腺癌と腺腫及び腺癌の発生頻度、並びに悪性リンパ腫の発生頻度の増加傾向が認められている。また、動物実験(ラット)で、膵島細胞の腺腫と腺腫及び腺癌の発生頻度の増加が認められている7)
  3. 15.2.3 動物実験(マウス)及びin vitro試験(ヒト)で精子の運動性低下が認められている7),8)

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人12名にメチルチオニニウム塩化物水和物を1mg/kgの用量で約5分間かけて単回静脈内注射した場合の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは、次のとおりであった9)(外国人データ)。

メチルチオニニウム塩化物水和物1mg/kg単回静脈内注射時の血漿中濃度推移
メチルチオニニウム塩化物水和物1mg/kg単回静脈内注射時の薬物動態パラメータ

投与量

n

t1/2
(hr)

AUC0-∞
(ng・hr/mL)

1mg/kg

12

17.5

3069.4

16.3 分布

  1. 16.3.1 血漿蛋白結合率

    ヒト血漿蛋白結合率は平衡透析法で94%であった10)in vitro)。

  2. 16.3.2 ラットにおける組織分布

    ラットにメチルチオニニウム塩化物水和物10mg/kgを単回静脈内投与したとき、投与1時間後における組織中メチルチオニニウム塩化物濃度は胆汁、脳、肝臓で高く、いずれも血液中よりも高かった11)

16.5 排泄

健康成人(19~53歳)7例にメチルチオニニウム塩化物水和物100mgを単回静脈内注射した結果、投与後24時間までのメチルチオニニウム塩化物(還元型を含む)の累積尿中排泄率は28.6%であった12)(外国人データ)。

16.7 薬物相互作用

  1. 16.7.1 モノアミン酸化酵素に対する阻害作用

    本剤はヒト肝臓由来MAO(モノアミン酸化酵素)Aに対する阻害作用を有し、Ki値は27nMであった13)in vitro)。

17. 臨床成績

17.2 製造販売後調査等

  1. 17.2.1 **国内使用成績調査(全例調査)

    有効性評価対象症例41例におけるメトヘモグロビン濃度は、以下のとおりであった。安全性評価対象症例46例における副作用発現割合は10.9%(5/46例)で、その内訳は溶血性貧血6.5%(3/46例)、発疹及び前立腺炎各2.2%(1/46例)であった14)

    本剤投与前後のメトヘモグロビン濃度(%)

    本剤投与前

    本剤投与後2)

    変化量

    中央値

    26.00

    1.20

    -22.70

    平均値±標準偏差

    32.44±23.870

    1.97±2.967

    -30.48±23.985

    2) 観察期間終了日(投与終了後30日)までの最終測定値を採用した。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

赤血球において、NADPH還元酵素存在下でメチルチオニニウム塩化物(メチレンブルー)より生成したロイコメチレンブルーが、メトヘモグロビンをヘモグロビンに還元して、メトヘモグロビン血症を改善する15),16)

18.2 病態モデルにおける作用

メトヘモグロビン血症を誘発させたイヌにメチルチオニニウム塩化物を静脈内注射すると、血中メトヘモグロビン濃度の低下、あるいは正常化が認められた17),18),19),20)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

メチルチオニニウム塩化物水和物(Methylthioninium Chloride Hydrate)

化学名

3,7-Bis(dimethylamino)phenothiazin-5-ium chloride hydrate

分子式

C16H18ClN3S・xH2O

分子量

319.85(脱水物として)

性状

金属光沢のある暗青色又は暗緑色の結晶性の粉末である。水又はエタノールに溶けにくい。

化学構造式

分配係数

0.06(pH7.4、1-オクタノール/リン酸緩衝生理食塩水)

注)本剤はメチルチオニニウム塩化物水和物を三水和物として50.0mg含む。

22. 包装

10mL 1アンプル

23. 主要文献

1) Kidd SA, et al.:Prenat Diagn. 1996;16(1):39-47

2) van der Pol JG, et al.:Br J Obstet Gynaecol. 1992;99(2):141-143

3) Tiboni GM, et al.:Teratology 2001;64(4):213-220

4) 社内資料:本剤の細菌を用いた復帰突然変異試験(2014年12月26日承認、CTD2.6.6.4)

5) 社内資料:メチレンブルー試薬(Methylene Blue Cooper Officinal)の細菌を用いた復帰突然変異試験(2014年12月26日承認、CTD2.6.6.4)

6) 社内資料:メチレンブルー試薬(Methylene Blue Alfa Aesar)の細菌を用いた復帰突然変異試験(2014年12月26日承認、CTD2.6.6.4)

7) National Toxicology Program.:2008 May. Report No.:NTP TR540. NIH Publication No.:08-4429

8) Coddington CC, et al.:Fertil Steril. 1989;51(3):480-485

9) 社内資料:メチレンブルー注射剤USP品を健康成人に単回静脈内投与したときの安全性、忍容性及び薬物動態を評価する第Ⅰ相試験

10) 社内資料:本剤とメチレンブルー注射剤USP品のヒト血漿蛋白結合試験

11) 社内資料:ラット単回静脈内投与後の組織分布(2014年12月26日承認、CTD2.6.4.4)

12) Peter C, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2000;56(3):247-250

13) 社内資料:ヒトのモノアミン酸化酵素に対する阻害作用(2014年12月26日承認、CTD2.7.2.2)

14) **社内資料:使用成績調査(2024年9月25日通知、再審査申請資料概要1.4.2、1.5.1)

15) 田勢長一郎:救急医学 1993;17:74-75

16) Umbreit J.:Am J Hematol. 2007;82(2):134-144

17) Marrs TC, et al.:Hum Toxicol. 1989;8(5):359-364

18) Kiese M, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 1972;4(2):115-118

19) Toothill C.:Br J Anaesth. 1967;39(5):405-412

20) Wray JD.:J Small Anim Pract. 2008;49(4):211-215

24. 文献請求先及び問い合わせ先

第一三共株式会社 製品情報センター

〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1

TEL:0120-189-132

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

第一三共株式会社

東京都中央区日本橋本町3-5-1

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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