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生物由来製品
劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回5.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
通常、成人にはトラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)として1回6.4mg/kg(体重)を90分かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、初回投与の忍容性が良好であれば2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。
効能又は効果
化学療法歴のあるHER2陽性の手術不能又は再発乳癌、化学療法歴のあるHER2低発現の手術不能又は再発乳癌、がん化学療法後に増悪したHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌
通常投与量
5.4mg/kg
6.4mg/kg
一次減量
4.4mg/kg
二次減量
3.2mg/kg
中止
3.2mg/kgで忍容性が得られない場合、投与を中止する。
4.4mg/kgで忍容性が得られない場合、投与を中止する。
副作用
程度注5)
処置
間質性肺疾患
Grade 1の場合
投与を中止し、原則として再開しない。ただし、すべての所見が消失し、かつ治療上の有益性が危険性を大きく上回ると判断された場合のみ、1用量レベル減量して投与再開することもできる。再発した場合は、投与を中止する。
Grade 2~4の場合
投与を中止する。
左室駆出率(LVEF)低下
40%≦LVEF≦45%
ベースラインからの絶対値の低下<10%
休薬を考慮する。3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認する。
ベースラインからの絶対値の低下≧10%かつ≦20%
休薬し、3週間以内に再測定を行い、LVEFのベースラインからの絶対値の低下<10%に回復しない場合は、投与を中止する。
LVEF<40%又はベースラインからの絶対値の低下>20%
休薬し、3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<40%又はベースラインからの絶対値の低下>20%が認められた場合は、投与を中止する。
症候性うっ血性心不全
QT間隔延長
Grade 3の場合
Grade 1以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
Grade 4の場合
Infusion reaction
投与速度を50%減速する。他の症状が出現しない場合は、次回以降は元の速度で投与する。
Grade 2の場合
Grade 1以下に回復するまで投与を中断する。再開する場合は投与速度を50%減速する。次回以降も減速した速度で投与する。
Grade 3又は4の場合
好中球数減少
Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量又は同一用量で投与再開する。
Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
発熱性好中球減少症
回復するまで休薬し、回復後、1用量レベル減量して投与再開する。
貧血
Grade 2以下に回復するまで休薬し、回復後、同一用量で投与再開する。
血小板数減少
Grade 1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。7日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。
総ビリルビン増加
Grade 1以下に回復するまで休薬する。7日以内に回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。7日を過ぎてから回復した場合は、投与を中止する。
下痢又は大腸炎
Grade 1以下に回復するまで休薬する。3日以内に回復した場合は、同一用量で投与再開する。3日を過ぎてから回復した場合は、1用量レベル減量して投与再開する。
上記以外の副作用
間質性肺疾患が発現又は増悪し、死亡に至る可能性がある。,,,,
LVEF低下を悪化させるおそれがある。,
心不全等の心障害があらわれるおそれがある。,
本剤を構成するカンプトテシン誘導体の主要消失経路は肝臓を介した胆汁排泄であるため、肝機能障害はカンプトテシン誘導体の血中濃度を上昇させる可能性がある。なお、重度の肝機能障害患者注6)を対象とした臨床試験は実施していない。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。抗HER2抗体であるトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告がある。また、羊水過少を発現した症例で、胎児・新生児の腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児の肺形成不全等が認められ、死亡に至った例も報告されている。本剤を構成するカンプトテシン誘導体の類薬であるイリノテカンを用いた動物実験(ラット、ウサギ)において、催奇形性が報告されている。
授乳しないことが望ましい。ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、抗HER2抗体であるトラスツズマブを用いた動物実験(カニクイザル)において、乳汁への移行が報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
重篤な間質性肺疾患があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。異常が認められた場合は、本剤の投与を中止し、呼吸器疾患に精通した医師と連携の上、必要に応じて胸部CT検査、血清マーカー等の検査を実施するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。,,,
好中球数減少(37.0%)、貧血(29.5%)、白血球数減少(24.1%)、血小板数減少(23.0%)、リンパ球数減少(10.3%)、発熱性好中球減少症(0.8%)、汎血球減少症(0.1%)があらわれることがある。,
重度のInfusion reactionがあらわれた場合には本剤の投与を直ちに中止し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。
30%以上
10~30%未満
10%未満
皮膚
脱毛症(35.2%)
発疹、皮膚色素過剰、そう痒症
精神神経系
頭痛、浮動性めまい、嗜眠
*消化器
悪心(69.8%)、嘔吐(34.5%)
下痢、便秘、口内炎、腹痛
味覚障害、消化不良、腹部膨満、胃炎、鼓腸
肝臓
AST増加、ALT増加
血中ビリルビン増加、血中ALP増加、γ-GTP増加、肝機能異常、トランスアミナーゼ上昇、肝機能検査異常
呼吸器
呼吸困難、咳嗽、上気道感染、肺炎
循環器
駆出率減少、心電図QT延長、心不全
*その他
疲労(48.2%)
食欲減退
体重減少、筋骨格痛、低カリウム血症、鼻出血、発熱、ドライアイ、末梢性浮腫、脱水、霧視、血中クレアチニン増加
臨床試験において、本剤に対する抗体の産生が報告されている。
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
AUClast(μg・日/mL)
t1/2(日)
CL(mL/日/kg)
Vss(mL/kg)
トラスツズマブ デルクステカン(N=48)
126(37.7)
2.00(1.50~6.85)
559(178)
5.52(1.23)
10.2(3.95)
68.3(15.5)
Cmax(ng/mL)
AUClast(ng・日/mL)
カンプトテシン誘導体(N=48)
8.22(6.21)
5.78(1.93~75.75)
35.1(24.3)
5.58注7)(1.29)
-
平均値(標準偏差)、Tmax:中央値(最小値~最大値)
-:該当せず
トラスツズマブ デルクステカン(N=125)
127(28.4)
3.93(0.00~7.15)
611(150)
5.77注8)(1.37)
10.4注8)(2.91)
70.6注8)(16.5)
カンプトテシン誘導体(N=125)
12.1(4.79)
6.85(3.75~7.25)
46.7(16.3)
5.50注9)(1.11)
カンプトテシン誘導体をヒト血漿に10~100ng/mLの濃度で添加したときのヒト血漿蛋白結合率は超遠心法で96.8%~98.0%であった6)(in vitro)。また、カンプトテシン誘導体の血液/血漿中放射能濃度比は0.59~0.62であった7)(in vitro)。
トラスツズマブ デルクステカンは主として細胞内のリソゾームにより異化を受けると推測される。カンプトテシン誘導体の消失には代謝の寄与は少ないと推測されるが、主としてCYP3Aによることが示された8)(in vitro)。
カンプトテシン誘導体を14Cで標識したトラスツズマブ デルクステカンをカニクイザルに単回静脈内投与したとき、放射能は67%が糞中に排泄され、19%が尿中に排泄された9)。いずれにおいても検出された唯一の異化代謝物はカンプトテシン誘導体であった10)。14Cで標識したカンプトテシン誘導体を、胆管カニューレを施したラットに単回静脈内投与したとき、放射能は72%が胆汁に排泄され、22%が尿中に、3%が糞中に排泄された9)。いずれにおいても検出された主な放射性成分はカンプトテシン誘導体であった10)。
HER2陽性の進行固形癌患者26例(日本人を含む)に、本剤5.4mg/kgを①イトラコナゾール(CYP3A阻害剤)200mg(1日1回)又は②リトナビル(CYP3A及びOATP1B阻害剤)200mg(1日2回)と併用投与したときのトラスツズマブ デルクステカンのCmax及びAUC17dayの幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%信頼区間]は、それぞれ①1.03[0.96, 1.09]及び1.11[1.07, 1.15]、②1.05[0.98, 1.13]及び1.19[1.14, 1.25]であった。同様に、カンプトテシン誘導体のCmax及びAUC17dayの幾何平均値の比は、それぞれ①1.04[0.92, 1.18]及び1.18[1.11, 1.25]、②0.99[0.85, 1.14]及び1.22[1.08, 1.37]であった。カンプトテシン誘導体はMATE2-K、P-gp、BCRP及びMRP1の基質であることが示された11),12)(in vitro)。
トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性注11)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、非盲検非対照試験を実施した13)。被験者184例注12)(日本人30例を含む)に、本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。独立効果判定機関により標的病変が特定された被験者167例(日本人26例を含む)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は64.1[56.3~71.3]%であった。本剤が投与された184例(日本人30例を含む)において、副作用が98.9%(182/184例)に認められた。主な副作用は、悪心76.1%(140/184例)、脱毛症46.2%(85/184例)、疲労44.0%(81/184例)、嘔吐42.4%(78/184例)、好中球数減少29.9%(55/184例)、食欲減退28.3%(52/184例)、貧血及び下痢各21.7%(40/184例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は23.3%(7/30例)に認められた。
トラスツズマブ エムタンシンによる治療歴のあるHER2陽性注13)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、本剤と治験担当医師が選択した治療薬(トラスツズマブとカペシタビン又はラパチニブとカペシタビン)を比較する非盲検無作為化試験を実施した14)。本剤群では本剤 5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者608例(日本人70例を含む。本剤群406例、医師選択治療群202例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で17.8[14.3~20.8]ヵ月、医師選択治療群で6.9[5.5~8.4]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.36[0.28~0.45]、層別ログランク検定:P<0.000001、有意水準[両側]=0.05)。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目の一つである全生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値[95%信頼区間]:本剤群39.2[32.7~推定不能]ヵ月、医師選択治療群26.5[21.0~推定不能]ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.66[0.50~0.86]、層別ログランク検定:P=0.0021、有意水準[両側]=0.0040)。本剤群404例(日本人45例を含む)において、副作用が97.5%(394/404例)に認められた。主な副作用は、悪心68.6%(277/404例)、疲労51.7%(209/404例)、脱毛症35.1%(142/404例)、好中球数減少33.2%(134/404例)、嘔吐32.4%(131/404例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は13.3%(6/45例)に認められた。
トラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による治療歴のある注14)HER2陽性注15)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、本剤とトラスツズマブ エムタンシンを比較する非盲検無作為化試験を実施した15)。本剤群では本剤5.4mg/kgを、対照薬群ではトラスツズマブ エムタンシン3.6mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者524例(日本人68例を含む。本剤群261例、対照薬群263例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で推定不能[18.5~推定不能]ヵ月、対照薬群で6.8[5.6~8.2]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.28[0.22~0.37]、層別ログランク検定:P<0.000001、有意水準[両側]=0.000204)。本剤群257例(日本人36例を含む)において、副作用が98.1%(252/257例)に認められた。主な副作用は、悪心72.8%(187/257例)、疲労44.7%(115/257例)、嘔吐44.0%(113/257例)、好中球数減少42.8%(110/257例)、脱毛症36.2%(93/257例)、貧血30.4%(78/257例)、白血球数減少30.0%(77/257例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は22.2%(8/36例)に認められた。
化学療法歴のある注16)HER2低発現注17)の手術不能又は再発乳癌患者を対象として、治験担当医師が選択した治療薬(カペシタビン、エリブリン、ゲムシタビン、パクリタキセル又はパクリタキセル[アルブミン懸濁型])を対照薬とした非盲検無作為化試験を実施した16)。本剤群では本剤5.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者557例(日本人85例を含む。本剤群373例、医師選択治療群184例)のうち、ホルモン受容体陽性集団494例(本剤群331例、医師選択治療群163例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は本剤群で10.1[9.5~11.5]ヵ月、医師選択治療群で5.4[4.4~7.1]ヵ月であり、本剤群で統計学的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.51[0.40~0.64]、層別ログランク検定:P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目である全体集団(ホルモン受容体陰性63例を含む)での無増悪生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値[95%信頼区間]:本剤群9.9[9.0~11.3]ヵ月、医師選択治療群5.1[4.2~6.8]ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.50[0.40~0.63]、層別ログランク検定:P<0.0001、有意水準[両側]=0.05)。同様に、ホルモン受容体陽性集団及び全体集団での全生存期間でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(ホルモン受容体陽性集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.48~0.86]、層別ログランク検定:P=0.0028、有意水準[両側]=0.00748、全体集団:ハザード比[95%信頼区間]:0.64[0.49~0.84]、層別ログランク検定:P=0.0010、有意水準[両側]=0.00748)。本剤群371例(日本人56例を含む)において、副作用が96.2%(357/371例)に認められた。主な副作用は、悪心73.0%(271/371例)、疲労47.7%(177/371例)、脱毛症37.7%(140/371例)、嘔吐34.0%(126/371例)、貧血及び好中球数減少各33.2%(123/371例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は26.8%(15/56例)に認められた。,
白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のあるHER2(ERBB2)遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象として、無作為化試験を実施した17)。被験者151例(日本人52例を含む)に、本剤5.4mg/kg又は6.4mg/kg注18)を3週間間隔で点滴静注した。中間解析の結果、本剤5.4mg/kgが投与された52例(日本人23例を含む)注19)において、主要評価項目である盲検下独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は53.8[39.5~67.8]%であった。本剤5.4mg/kgが投与された101例(日本人37例を含む)において、副作用が92.1%(93/101例)に認められた。主な副作用は、悪心59.4%(60/101例)、好中球数減少33.7%(34/101例)、貧血及び食欲減退各28.7%(29/101例)、疲労25.7%(26/101例)、便秘24.8%(25/101例)、白血球数減少23.8%(24/101例)、嘔吐22.8%(23/101例)等であった。また、本剤5.4mg/kgが投与された日本人集団において、間質性肺疾患は2.7%(1/37例)に認められた。
トラスツズマブ、白金系抗悪性腫瘍剤、及びフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤を含む2レジメン以上の治療で増悪が認められたHER2陽性注20)の治癒切除不能な進行・再発の胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者を対象として、本剤と治験担当医師が選択した治療(イリノテカン塩酸塩水和物又はパクリタキセル)を比較する非盲検無作為化試験を実施した4),18)。本剤群では本剤6.4mg/kgを3週間間隔で点滴静注した。被験者187例(日本人149例を含む。本剤群125例、医師選択治療群62例)のうち、独立効果判定機関により標的病変が特定された被験者175例(日本人140例を含む。本剤群119例、医師選択治療群56例)において、主要評価項目である独立効果判定機関での評価に基づく奏効率[95%信頼区間]は、本剤群で51.3[41.9~60.5]%、医師選択治療群で14.3[6.4~26.2]%であり、本剤群で統計学的に有意に高い奏効率を示した(P<0.0001、Cochran-Mantel-Haenszel検定)。また、奏効率に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目の一つである全生存期間の中間解析でも、本剤は治験担当医師が選択した治療に対し、統計学的に有意な延長を示した(中央値:本剤群12.5ヵ月、医師選択治療群8.4ヵ月、ハザード比[95%信頼区間]:0.59[0.39~0.88]、層別ログランク検定:P=0.0097、有意水準[両側]=0.0202)。本剤群125例(日本人99例を含む)において、副作用が97.6%(122/125例)に認められた。主な副作用は、好中球数減少62.4%(78/125例)、悪心57.6%(72/125例)、食欲減退52.8%(66/125例)、貧血40.8%(51/125例)、血小板数減少38.4%(48/125例)、白血球数減少37.6%(47/125例)、倦怠感34.4%(43/125例)、下痢24.8%(31/125例)、脱毛症22.4%(28/125例)、リンパ球数減少21.6%(27/125例)、嘔吐20.8%(26/125例)等であった。また、日本人集団において、間質性肺疾患は11.1%(11/99例)に認められた。
トラスツズマブ デルクステカンは、HER2に対するヒト化モノクローナル抗体とトポイソメラーゼⅠ阻害作用を有するカンプトテシン誘導体を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体である。トラスツズマブ デルクステカンは、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するHER2に結合し、細胞内に取り込まれた後にリンカーが加水分解され、遊離したカンプトテシン誘導体がDNA傷害作用及びアポトーシス誘導作用を示すこと等により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている19)。
トラスツズマブ デルクステカンは、in vitroにおいて、HER2陽性のヒト乳癌由来KPL-4及びSK-BR-3細胞株、並びにヒト胃癌由来NCI-N87細胞株に対して増殖抑制作用を示した20)。また、in vivoにおいて、HER2陽性のKPL-4細胞株、乳癌患者由来CTG-0708腫瘍組織片、NCI-N87細胞株、胃癌患者由来NIBIO G016腫瘍組織片、HER2低発現の乳癌患者由来CTG-2308腫瘍組織片、HER2(ERBB2)遺伝子のエクソン20挿入変異を有するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H1781細胞株、HER2(ERBB2)遺伝子変異(点突然変異又はエクソン20挿入変異)を導入したヒト非小細胞肺癌由来NCI-H322細胞株等をそれぞれ皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した21),22)。
トラスツズマブ デルクステカン(遺伝子組換え)(Trastuzumab Deruxtecan(Genetical Recombination))
デルクステカンC52H57FN9O13抗体部分C6460H9972N1724O2014S44(タンパク質部分、4本鎖)H鎖 C2198H3391N585O672S16L鎖 C1032H1599N277O335S6
デルクステカン1,035.06抗体部分約148,000トラスツズマブ デルクステカン約157,000
トラスツズマブ デルクステカンは、抗体薬物複合体であり、遺伝子組換えモノクローナル抗体の平均8個のCys残基に、カンプトテシン誘導体とリンカーからなるデルクステカン((3RS)-1-[(10S)-10-ベンジル-1-{[(1S,9S)-9-エチル-5-フルオロ-9-ヒドロキシ-4-メチル-10,13-ジオキソ-2,3,9,10,13,15-ヘキサヒドロ-1H,12H-ベンゾ[de]ピラノ[3',4':6,7]インドリジノ[1,2-b]キノリン-1-イル]アミノ}-1,6,9,12,15,18-ヘキサオキソ-3-オキサ-5,8,11,14,17-ペンタアザトリコサン-23-イル]-2,5-ジオキソピロリジン-3-イル基)が結合している。抗体部分は、ヒト化モノクローナル抗体で、マウス抗ヒト上皮成長因子受容体2型(HER2)モノクローナル抗体の相補性決定部、ヒトフレームワーク部及びヒトIgG1の定常部からなり、チャイニーズハムスター卵巣細胞により産生される。タンパク質部分は、450個のアミノ酸残基からなるH鎖(γ1鎖)2本及び214個のアミノ酸残基からなるL鎖(κ鎖)2本で構成される糖タンパク質である。
n=約8※抗体部分のCys残基の硫黄原子
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1バイアル
1) 社内資料:反復投与毒性試験(2020年3月25日承認、CTD2.6.6.3)
2) 社内資料:遺伝毒性試験(2020年3月25日承認、CTD2.6.6.4)
3) 社内資料:国際共同第Ⅰ相試験(DS8201-A-J101試験)(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
4) 社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(DS8201-A-J202試験、DESTINY-Gastric01)
5) 社内資料:国内第Ⅰ相試験(DS8201-A-J102試験)(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
6) 社内資料:ヒト血漿蛋白結合試験(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
7) 社内資料:ヒト血球移行性試験(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
8) 社内資料:CYP分子種同定試験(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
9) 社内資料:排泄試験(2020年3月25日承認、CTD2.6.4.6)
10) 社内資料:In vivo代謝プロファイル(2020年3月25日承認、CTD2.6.4.5)
11) 社内資料:トランスポーターを介した輸送試験(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
12) 社内資料:MRPを介した輸送試験(2020年3月25日承認、CTD2.7.2.2)
13) 社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(DS8201-A-U201試験、DESTINY-Breast01)(2020年3月25日承認、CTD2.7.6.5)
14) *社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(DS8201-A-U301試験、DESTINY-Breast02)
15) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(DS8201-A-U302試験、DESTINY-Breast03)
16) 社内資料:国際共同第Ⅲ相試験(DS8201-A-U303試験、DESTINY-Breast04)
17) 社内資料:国際共同第Ⅱ相試験(DS8201-A-U206試験、DESTINY-Lung02)(2023年8月23日承認、CTD2.7.6.1)
18) Shitara K, et al.:N Engl J Med. 2020;382(25):2419-2430
19) 社内資料:トポイソメラーゼⅠ阻害活性(2020年3月25日承認、CTD2.6.2.2)
20) 社内資料:HER2陽性ヒト癌細胞に対する細胞増殖抑制作用(2020年3月25日承認、CTD2.6.2.2)
21) 社内資料:癌細胞移植マウスモデルでの抗腫瘍効果(2020年3月25日承認、CTD2.6.2.2)
22) 社内資料:変異型HER2遺伝子発現非小細胞肺癌移植マウスモデルでの抗腫瘍効果(2023年8月23日承認、CTD2.6.2.2)
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