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日本薬局方
レボフロキサシン錠
処方箋医薬品注)
レボフロキサシン細粒
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、炭疽菌、結核菌、大腸菌、赤痢菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフス菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、ペスト菌、コレラ菌、インフルエンザ菌、緑膿菌、アシネトバクター属、レジオネラ属、ブルセラ属、野兎病菌、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍を含む)、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、子宮頸管炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チフス、パラチフス、コレラ、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱
「抗微生物薬適正使用の手引き」1)を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
通常、成人にはレボフロキサシンとして1回500mgを1日1回経口投与する。なお、疾患・症状に応じて適宜減量する。肺結核及びその他の結核症については、原則として他の抗結核薬と併用すること。腸チフス、パラチフスについては、レボフロキサシンとして1回500mgを1日1回14日間経口投与する。
腎機能クレアチニンクリアランス(CLcr)値(mL/min)
用法及び用量
20≦CLcr<50
初日500mgを1回、2日目以降250mgを1日に1回投与する。
CLcr<20
初日500mgを1回、3日目以降250mgを2日に1回投与する。
痙攣を起こすことがある。
QT延長を起こすことがある。
症状を悪化させることがある。
必要に応じて画像検査の実施を考慮すること。海外の疫学研究において、フルオロキノロン系抗菌薬投与後に大動脈瘤及び大動脈解離の発生リスクが増加したとの報告がある。,
高い血中濃度の持続が認められている。なお、血液透析又はCAPD(持続的外来腹膜透析)は、体内からのレボフロキサシン除去への影響は少ないと報告があり2),3),4)、透析後の追加投与は不要と考えられる。,
授乳しないことが望ましい。ヒト乳汁中へ移行することが報告されている。
フェニル酢酸系又はプロピオン酸系非ステロイド性消炎鎮痛薬
痙攣を起こすおそれがある。
中枢神経におけるGABAA受容体への結合阻害が増強されると考えられている。
アルミニウム又はマグネシウム含有の制酸薬等、鉄剤
本剤の効果が減弱されるおそれがある。これらの薬剤は本剤投与から1~2時間後に投与する。
これらの薬剤とキレートを形成し、本剤の吸収が低下すると考えられている。
クマリン系抗凝固薬
ワルファリンの作用を増強し、プロトロンビン時間の延長が認められたとの報告がある。
ワルファリンの肝代謝を抑制、又は蛋白結合部位での置換により遊離ワルファリンが増加する等と考えられている。
QT延長を起こすことが知られている薬剤
QT延長を起こすおそれがある。
QT延長作用が相加的に増加するおそれがある。
副腎皮質ホルモン剤(経口剤及び注射剤)
腱障害のリスクが増大するとの報告がある。これらの薬剤との併用は、治療上の有益性が危険性を上回る場合のみとすること。
機序は不明である。
ショック、アナフィラキシー(初期症状:紅斑、悪寒、呼吸困難等)があらわれることがある。
劇症肝炎、肝機能障害、黄疸(初期症状:嘔気・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒等)があらわれることがある。
汎血球減少症、無顆粒球症(初期症状:発熱、咽頭痛、倦怠感等)、ヘモグロビン尿等を伴う溶血性貧血、血小板減少があらわれることがある。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、このような症状が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤投与等の適切な処置を行うこと。
腹痛、頻回の下痢等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれることがある。
低血糖性昏睡に至る例も報告されている。糖尿病患者(特にスルホニルウレア系薬剤やインスリン製剤等を投与している患者)、腎機能障害患者、高齢者であらわれやすい。
腱周辺の痛み、浮腫、発赤等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。臓器移植の既往のある患者であらわれやすい。
発熱、腹痛、関節痛、紫斑、斑状丘疹や、皮膚生検で白血球破砕性血管炎等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
,
しびれ、筋力低下、痛み等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒症
蕁麻疹、光線過敏症
精神神経系
めまい、不眠、頭痛
傾眠、振戦、意識障害
幻覚、錐体外路障害、ぼんやり、しびれ感
泌尿器
血尿、クレアチニン上昇
頻尿、尿閉、無尿、尿蛋白陽性、BUN上昇
肝臓
ALT上昇、LDH上昇、AST上昇
肝機能異常、γ-GTP上昇、血中ビリルビン増加、ALP上昇
血液
白血球数減少、好酸球数増加、好中球数減少、血小板数減少
リンパ球数減少、貧血
消化器
悪心、嘔吐、下痢、腹部不快感、食欲不振
腹痛、口渇、腹部膨満、胃腸障害、消化不良、便秘
口内炎、舌炎
感覚器
味覚異常、耳鳴
味覚消失、視覚異常、無嗅覚、嗅覚錯誤
循環器
動悸
低血圧、頻脈
その他
胸部不快感、CK上昇、四肢痛、関節痛注1)、咽喉乾燥、尿中ブドウ糖陽性、熱感、浮腫
高血糖、筋肉痛、発熱、関節障害、発汗、胸痛、脱力感、倦怠感
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人40例にレボフロキサシン500mgを空腹時に単回経口投与した場合、血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
Tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
t1/2(hr)
AUC0-72hr(μg・hr/mL)
500mg空腹時経口投与
0.99±0.54
8.04±1.98
7.89±1.04
50.86±6.46
健康成人にレボフロキサシン500mgを単回経口投与(40例)した場合又は60分間で単回点滴静注(8例)した場合、薬物動態パラメータは、次のとおりであった。
500mg経口投与
500mg点滴静注
1.00±0.00
9.79±1.05
8.05±1.54
51.96±4.96
患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、口蓋扁桃(投与後2.6~4.1時間で対血漿中濃度比:1.42~1.89)、前立腺(投与後2.9~4.0時間で対血漿中濃度比:0.76~1.58)、耳漏(投与後1~4時間で対血漿中濃度比:0.40~0.88)、上顎洞粘膜(投与後2.3~5.8時間で対血漿中濃度比:0.89~2.29)、鼻汁(投与後1~4時間で対血漿中濃度比:0.11~1.39)であり、高い移行性を示した。なお、健康成人又は患者にレボフロキサシン水和物として100mg又は200mg注2)を単回経口投与した場合、皮膚(投与後0.8~4時間で対血清中濃度比:平均1.1)、唾液(対血清中濃度比:約0.7)、口蓋扁桃(対血清中濃度比:約2)、喀痰(対血清中濃度比:0.8~1.1)、前立腺(投与後1~6時間で対血清中濃度比:0.8~1.9)、前立腺液(投与後1.5時間で対血清中濃度比:約0.6)、胆嚢(対血清中濃度比:0.3~4.2)、房水(投与後2~9時間で対血清中濃度比:0.14~0.31)、涙液(100mg投与で最高濃度0.61μg/mL)、耳漏(投与後2時間で対血清中濃度比:0.6)、上顎洞粘膜(投与後2~6時間で対血清中濃度比:1.1~1.9)、女性性器(100mg投与後3~4時間で0.6~2.1μg/g)に移行性を示した。
健康成人又は患者にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、炎症性滲出液(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:0.2~1.5)、気管支粘膜(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:0.9~1.8)、気管支肺胞洗浄液(投与後0.5~8時間で対血漿中濃度比:1.1~3.0)、肺マクロファージ(投与後0.5~24時間で対血漿中濃度比:4.1~18.9)、肺組織(投与後2.28~25.43時間で対血漿中濃度比:1.06~9.98)に移行性を示した。
レボフロキサシン1~50μg/mLのin vitroでのヒト血漿蛋白結合率は、限外ろ過法で約26~36%であった。
健康成人にレボフロキサシン水和物として100mg注2)を単回経口投与した場合、投与後24時間までの累積尿中排泄率は、未変化体が投与量の79.6%、脱メチル体が1.75%、N-オキサイド体が1.63%であった。
患者4例にレボフロキサシン水和物として100mg注2)を単回経口投与後2~3.5時間での胆嚢胆汁中グルクロン酸抱合体濃度は0.05~0.44μg/mLであり、未変化体に対する割合は3.9~25.8%であった。また、胆管胆汁中にもほぼ同程度のグルクロン酸抱合体が認められた5)。
健康成人にレボフロキサシンとして500mgを単回経口投与した場合、投与後0~24時間の尿中濃度は、138.8~877.7μg/mLであり、投与後72時間までに投与量の83.76%が未変化体として尿中に排泄された。レボフロキサシンは、主に未変化体の尿中排泄によって体内から消失する。また、健康成人男性5例にレボフロキサシン水和物として200mg注2)を食後投与した場合、糞中には投与後72時間で投与量の3.9%が未変化体として排泄された6)。
CLcr値により群分けし、レボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した場合、腎機能の低下に伴い血漿中濃度の生物学的半減期の延長、尿中濃度の低下及び尿中排泄率の低下が認められた。,,
CLcr(mL/min)
患者数
尿中排泄率(%)(0~48hr)
50≦CLcr
11
9.17±1.28
81.74±20.78
80.02±6.08
7
15.88±3.79
150.96±18.03
56.39±13.51
4
33.69±14.57
250.66±58.30
28.28±11.83
レボフロキサシン100mg注2)単回経口投与時に、水酸化アルミニウム(1g)、硫酸鉄(160mg)又は酸化マグネシウム(500mg)を併用投与した場合、レボフロキサシンのバイオアベイラビリティーは単回投与に比較し、それぞれ56%、81%及び78%に減少した。また、Cmaxも有意に低下した7)。
健康成人に、シメチジン400mgを1日2回7日間又はプロベネシド500mgを1日4回7日間投与し、4日目にレボフロキサシン500mgを空腹時単回経口投与した。シメチジン又はプロベネシドとの併用によりレボフロキサシンのAUC0-72hrはそれぞれ27.0%及び38.2%上昇し、t1/2はそれぞれ30.5%及び31.8%延長したが、Cmaxに影響はみられなかった8)(外国人データ)。
国内・海外で実施された各科領域の各種感染症に対する経口剤の臨床試験の概要は次のとおりである。なお、炭疽、ブルセラ症、ペスト、野兎病、肺結核及びその他の結核症、Q熱に対する臨床試験は国内外とも実施されていない。
成人の市中肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、又は急性気管支炎に対するレボフロキサシン(500mg×1回/日)の非盲検試験におけるブドウ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率は次のとおりである。
疾患名
有効症例/総症例
有効率(%)
急性気管支炎
14/14
100
肺炎
94/101注3)
93.1
慢性呼吸器病変の二次感染
28/28
計
136/143
95.1
副作用発現頻度は39.5%(60/152例)であった。主な副作用は悪心7.9%(12/152例)、好酸球数増加7.2%(11/152例)、嘔吐、下痢、頭痛が各5.3%(8/152例)であった。
下気道感染症(市中肺炎、慢性気管支炎の急性増悪)に対するレボフロキサシン(500mg×1回/日)の非盲検試験(中国)におけるブドウ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、クレブシエラ属、インフルエンザ菌、緑膿菌等による呼吸器感染症に対する有効率は次のとおりである。
348/357注4)
97.5
399/411注5)
97.1
747/768
97.3
副作用発現頻度は31.4%(277/883例)であった。主な副作用は浮動性めまい、白血球数減少が各4.2%(37/883例)、不眠症3.5%(31/883例)であった。
国内の市中肺炎患者を対象としたテリスロマイシンの実薬対照二重盲検比較試験において本剤が対照薬として使用され、レジオネラ肺炎に対する本剤100mg×3回/日注7)投与の有効率は100%(6/6例)であった9)。
海外のレジオネラによる市中肺炎患者を対象とした臨床試験において、本剤500~750mg×1回/日注7)投与の有効率は93.0%(66/71例)であった10)。
複雑性尿路感染症患者に対するレボフロキサシン(500mg×1回/日)の非盲検試験におけるブドウ球菌属、腸球菌属、淋菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による尿路感染症に対する有効率は次のとおりである。
膀胱炎
120/142
84.5
腎盂腎炎
11/15
73.3
131/157
83.4
副作用発現頻度は17.8%(33/185例)であった。主な副作用は下痢3.8%(7/185例)、消化不良2.2%(4/185例)、浮動性めまい、血中クレアチンホスホキナーゼ増加が各1.6%(3/185例)であった。
尿路感染症(急性単純性下部尿路感染症、急性腎孟腎炎、反復性尿路感染症、複雑性尿路感染症)に対するレボフロキサシン(500mg×1回/日)の非盲検試験(中国)におけるブドウ球菌属、腸球菌属、淋菌、大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による尿路感染症に対する有効率は次のとおりである。
76/86
88.4
70/78
89.7
146/164
89.0
副作用発現頻度は24.9%(90/362例)であった。主な副作用は浮動性めまい4.4%(16/362例)、悪心4.1%(15/362例)、血中乳酸脱水素酵素増加3.9%(14/362例)であった。
子宮内感染、子宮付属器炎、バルトリン腺炎、バルトリン腺膿瘍、子宮頚管炎(クラミジア性、淋菌性)、乳腺炎・膿瘍患者に対するレボフロキサシン水和物の非盲検試験におけるブドウ球菌属、大腸菌、ペプトストレプトコッカス属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)等による産婦人科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。
(参考)100~200mg×3注7)
子宮頸管炎
29/31
93.5
バルトリン腺炎
49/50
98.0
子宮内感染
58/61
子宮付属器炎
35/41
85.4
171/183
93.4
500mg×1回/日の用法及び用量における日本及び海外の臨床試験データはない。
皮膚科領域感染症患者に対するレボフロキサシン水和物の臨床試験において、ブドウ球菌属等による皮膚科領域感染症(表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡)に対する有効率は次のとおりである。
皮膚科領域感染症
390/436
89.4
表在性皮膚感染症(毛のう炎等)ざ瘡(化膿性炎症を伴うもの)
71/85
83.5
深在性皮膚感染症(せつ、せつ腫症等)
142/153
92.8
リンパ管・リンパ節炎
15/16
93.8
慢性膿皮症(皮下膿瘍、汗腺炎等)
162/182
皮膚科領域感染症患者及び外科領域感染症患者に対するレボフロキサシン(500mg×1回/日)の臨床試験(欧米)において、ブドウ球菌属等による皮膚科領域感染症(表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、ざ瘡)、外科・整形外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。
302/311米国注6)133/137欧州注6)
97.1米国注6)97.1欧州注6)
外科・整形外科領域感染症
外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
外科領域感染症患者に対するレボフロキサシン水和物の臨床試験において、ブドウ球菌属等による外科・整形外科領域感染症、クレブシエラ属、緑膿菌等による胆嚢炎・胆管炎に対する有効率は次のとおりである。
146/181
80.7
101/129
78.3
乳腺炎
23/29
79.3
肛門周囲膿瘍
22/23
95.7
胆嚢炎・胆管炎
19/26
73.1
胆嚢炎・胆管炎については500mg×1回/日の用法及び用量における日本及び海外の臨床試験データはない。
咽喉頭炎、扁桃炎、扁桃周囲炎(膿瘍)、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎患者に対するレボフロキサシン水和物の非盲検試験におけるブドウ球菌属、緑膿菌等による耳鼻咽喉科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。
外耳炎
23/30
76.7
中耳炎
111/150
74.0
副鼻腔炎
52/68
76.5
化膿性唾液腺炎
9/11
81.8
195/259
75.3
細菌性眼感染症患者に対するレボフロキサシン水和物の非盲検試験におけるブドウ球菌属、アクネ菌等による眼科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。
涙嚢炎、麦粒腫、瞼板腺炎
68/70
感染性腸炎患者に対するレボフロキサシン水和物の非盲検試験における赤痢菌、サルモネラ属、カンピロバクター属等による腸管感染症に対する有効率は次のとおりである。
感染性腸炎
115/119
96.6
腸チフス
1/1
コレラ
3/3
119/123
96.7
歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎患者に対するレボフロキサシン水和物の非盲検試験におけるレンサ球菌属、ペプトストレプトコッカス属等による歯科・口腔外科領域感染症に対する有効率は次のとおりである。
歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
171/205
急性咽頭・扁桃炎の成人患者に本剤500mg 1日1回投与し、疾患重症度、局所所見及び臨床的症状より本剤の有効性を検討した。投与終了7日後の臨床効果(治癒率)は95.0%(19/20例)であった11)。
尿路・性器感染症(急性単純性膀胱炎、複雑性膀胱炎、非淋菌性尿道炎(クラミジア・トラコマティス性)、急性細菌性前立腺炎及び急性精巣上体炎(細菌性及びクラミジア・トラコマティス性))を対象に本剤500mgを1日1回投与し、有効性及び安全性を検討した。各疾患の有効率は、急性単純性膀胱炎97.4%(37/38例)、複雑性膀胱炎82.9%(29/35例)、非淋菌性尿道炎84.8%(28/33例)、急性細菌性前立腺炎100%(2/2例)、急性精巣上体炎80%(4/5例)であった12)。
本剤500mg1日1回7日間経口投与し、非淋菌性子宮頸管炎(クラミジア・トラコマティス性)及び子宮内感染に対する有効性及び安全性を検討した。各疾患の有効率は、非淋菌性子宮頸管炎(クラミジア・トラコマティス性)92.3%(12/13例)、子宮内感染94.7%(18/19例)であった13)。
中耳炎・副鼻腔炎の成人患者に本剤500mg1日1回投与し、上顎洞粘膜内への移行性及び有効性を検討した。各疾患の有効率は、中耳炎100.0%(13/13例)、副鼻腔炎85.9%(73/85例)であった14)。
本剤は、ラセミ体であるオフロキサシンの一方の光学活性S体であるレボフロキサシンの水和物を含有するニューキノロン系経口抗菌製剤で、細菌のDNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣに作用し、DNA複製を阻害する。DNAジャイレース及びトポイソメラーゼⅣ阻害活性はオフロキサシンの約2倍の強さであった15),16),17),18),19),20)。抗菌作用は殺菌的であり15),21)、MIC付近の濃度で溶菌が認められた22)。
レボフロキサシンは、嫌気性菌を含むグラム陽性菌群及びグラム陰性菌群に対し、広範囲な抗菌スペクトルを有し、ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、ならびに大腸菌、クレブシエラ属、セラチア属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属を含む腸内細菌科、緑膿菌を含むブドウ糖非発酵グラム陰性菌群、淋菌、インフルエンザ菌、レジオネラ属、ペプトストレプトコッカス属、アクネ菌などに強力な抗菌活性を示した。また、炭疽菌、結核菌、ペスト菌、ブルセラ属、野兎病菌、Q熱リケッチア(コクシエラ・ブルネティ)、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)、肺炎クラミジア(クラミジア・ニューモニエ)、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)に対しても抗菌力を示した15),21),23),24),25),26),27),28),29),30),31),32),33)。実験的マウス感染治療試験において、本剤は優れた治療効果を示した24)。
In vitroでヒト血中濃度推移を培地中に再現したモデルにおいて、500mg1日1回投与は100mg1日3回投与と比較して、肺炎球菌及び大腸菌の耐性菌出現を抑制した34)。
レボフロキサシン水和物(Levofloxacin Hydrate)
(3S)-9-Fluoro-3-methyl-10-(4-methylpiperazin-1-yl)-7-oxo-2,3-dihydro-7H-pyrido[1,2,3-de][1,4]benzoxazine-6-carboxylic acid hemihydrate
C18H20FN3O4・1/2H2O
370.38
淡黄白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくい。0.1mol/L塩酸試液に溶ける。光によって徐々に暗淡黄白色になる。
約226℃(分解)
n-オクタノール-Sörensen緩衝液(pH7.0);0.553(37℃)
LVFX
プラスチックボトル開封後は遮光して保存すること。
1) 厚生労働省健康・生活衛生局 感染症対策部 感染症対策課編:抗微生物薬適正使用の手引き
2) 社内資料:Effects of Renal Dysfunction(2009年4月22日承認、CTD2.7.6.4)
3) 梅田 優ほか:日本透析医学会雑誌 1997;30(2):109-115
4) Kanamori M, et al.:臨床薬理 2001;32(3):91-99
5) 谷村 弘ほか:Jpn J Antibiot. 1992;45(5):557-568
6) Nakashima M, et al.:臨床薬理 1992;23(2):515-520
7) Shiba K, et al.:Antimicrob Agents Chemother 1992;36(10):2270-2274
8) 社内資料:シメチジン、プロベネシドによる影響(2009年4月22日承認、CTD2.7.6.6)
9) 河野 茂ほか:日本化学療法学会雑誌 2003;51(S-1):255-278
10) Yu VL, et al.:Chest 2004;125(6):2135-2139
11) 山中 昇ほか:耳鼻咽喉科臨床 2011;104(9):657-666
12) 安田 満ほか:日本化学療法学会雑誌2011;59(6):585-596
13) 三鴨廣繁ほか:Jpn J Antibiot 2011;64(4):217-228
14) 山中 昇ほか:耳鼻咽喉科臨床 2011;104(8):591-605
15) Fujimoto T, et al.:Chemotherapy 1990;36:268-276
16) Imamura M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1987;31(2):325-327
17) Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(2):309-312
18) Hoshino K, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1994;38(11):2623-2627
19) Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1991;35(7):1489-1491
20) Tanaka M, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1997;41(11):2362-2366
21) Une T, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1988;32(9):1336-1340
22) Tanaka M, et al.:Arzneimittel-Forsch/Drug Res. 1989;39(Ⅱ)(7):750-754
23) 社内資料:Legionella pneumophilaに対するin vitro抗菌活性
24) Tanaka M, et al.:J Antimicrob Chemother. 1990;26(5):659-666
25) 五島瑳智子ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):14-26
26) 渡辺邦友ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):57-63
27) 西野武志ほか:Chemotherapy 1992;40(S-3):36-50
28) Frean JA, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1996;40(11):2646-2647
29) Ikäheimo I, et al.:J Antimicrob Chemother. 2000;46(2):287-290
30) Trujillano-Martin I, et al.:Antimicrob Agents Chemother. 1999;43(1):194-195
31) Maurin M, et al.:J Antimicrob Chemother. 1997;39(6):725-730
32) 社内資料:臨床分離株に対する抗菌活性
33) 社内資料:新鮮臨床分離結核菌(多剤耐性結核菌を含む)に対する抗菌活性
34) 神田裕子ほか:日本化学療法学会雑誌 2009;57(1):1-14
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