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ダイチロナ筋注

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)
3.製法の概要及び組成・性状
3.1製法の概要
3.2組成
3.3製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する者に関する注意
9.1接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)
9.2腎機能障害を有する者
9.3肝機能障害を有する者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副反応
11.1重大な副反応
11.2その他の副反応
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等

ダイチロナ筋注

添付文書番号

631341MA1025_1_06

企業コード

430574

作成又は改訂年月

**2025年8月改訂(第7版)
2025年3月改訂(第6版、用法及び用量変更)

日本標準商品分類番号

876313

薬効分類名

ウイルスワクチン類

承認等

ダイチロナ筋注

販売名コード

YJコード

631341MA1025

販売名英語表記

DAICHIRONA INTRAMUSCULAR INJECTION

販売名ひらがな

だいちろなきんちゅう

承認番号等

承認番号

30500AMX00171

販売開始年月

2023年12月

貯法・有効期間

貯法

2~8℃で保存

有効期間

**8ヵ月

基準名

生物学的製剤基準

コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン

一般的名称

コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン

2. 接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)

  1. 2.1 明らかな発熱を呈している者
  2. 2.2 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
  3. 2.3 本剤の成分に対し、重度の過敏症の既往歴のある者,
  4. 2.4 上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者

3. 製法の概要及び組成・性状

3.1 製法の概要

**SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインをコードするDNAを鋳型として転写したRNAを精製し、脂質ナノ粒子内に封入する。なお、本剤は製造工程でウシの乳由来成分(カゼインペプトン)を使用している。
抗原として用いる株(抗原株)は下表のとおり。
抗原株:SARS-CoV-2 オミクロン株XEC

3.2 組成

ダイチロナ筋注

有効成分1バイアル中
SARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合部位(RBD)をコードするmRNA   150.0μg/1.5mL
添加剤1バイアル中
(7R,9Z,26Z,29R)-18-({[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]カルボニル}オキシ)ペンタトリアコンタ-9,26-ジエン-7,29-ジイル=ジアセタート(T168-1857a)1602μg、コレステロール752.0μg、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)468.5μg、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポリオキシエチレン(PEG2000-DMG)177.9μg、精製白糖154.0mg、ʟ-ヒスチジン2327μg、pH調節剤

3.3 製剤の性状

ダイチロナ筋注

pH6.5~7.5
浸透圧比1.0~1.4(生理食塩液対比)
性状白濁した液

4. 効能又は効果

SARS-CoV-2による感染症の予防

5. 効能又は効果に関連する注意

  1. 5.1 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。

6. 用法及び用量

  • 〈12歳以上〉

    1回0.6mLを筋肉内に接種する。

  • *〈5歳以上11歳以下〉

    1回0.2mLを筋肉内に接種する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  1. 7.1 *接種対象者

    5歳以上の者

  2. 7.2 接種時期

    通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種することができる。

  3. 7.3 接種回数

    過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者には、およそ4週間の間隔をおいて2回目接種を行うことができる。

  4. 7.4 同時接種

    医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。

8. 重要な基本的注意

  1. 8.1 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
  2. 8.2 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること。
  3. 8.3 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
  4. 8.4 ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。また、本剤接種後にショック、アナフィラキシーが認められた被接種者に対しては、以降の本剤の接種を行わないこと。,,
  5. 8.5 ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
  6. 8.6 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。,,
  7. 8.7 コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、ギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
  8. 8.8 本剤と他のSARS-CoV-2に対するワクチンの互換性に関するデータはない。

9. 特定の背景を有する者に関する注意

9.1 接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)

被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。

  1. 9.1.1 血小板減少症又は凝固障害を有する者、抗凝固療法を施行している者

    本剤接種後に出血又は注射部位に内出血があらわれるおそれがある。

  2. 9.1.2 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者

    本剤に対する免疫応答が低下するおそれがある。

  3. 9.1.3 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者

    ,

  4. 9.1.4 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者
  5. 9.1.5 過去にけいれんの既往のある者
  6. 9.1.6 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者

    ,

9.2 腎機能障害を有する者

接種要注意者である。

9.3 肝機能障害を有する者

接種要注意者である。

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。

9.6 授乳婦

予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト乳汁中への移行は不明である。

9.7 小児等

*5歳未満を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

接種に当たっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。一般に、生理機能が低下している。

11. 副反応

次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副反応

  1. 11.1.1 ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)

    ,,

  2. 11.1.2 心筋炎(頻度不明)、心膜炎(頻度不明)

    ,,

11.2 その他の副反応

10%以上

1~10%未満

1%未満

*局所症状
(注射部位)

疼痛1)(91.9%)、熱感1)(43.6%)、腫脹1)、紅斑1)、そう痒感1)、硬結1)

遅発性反応2)(紅斑、腫脹、そう痒感、熱感、硬結、疼痛)

発疹、リンパ節腫脹

血液

リンパ節症

リンパ節痛、リンパ節炎

*精神神経系

頭痛1)(37.1%)

感覚鈍麻、傾眠

消化器

嘔吐・嘔気、下痢

皮膚

発疹1)

そう痒症

筋・骨格系

筋肉痛1)

関節痛、背部痛

*その他

倦怠感1)(54.6%)、発熱1)(34.7%)

腋窩痛

悪寒

1) 臨床試験において電子日誌により収集した副反応を含む発現頻度
2) 接種後7日目以降にあらわれることがある。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤調製時の注意

  1. 14.1.1 冷蔵庫から取り出し常温になってから使用すること。冷蔵庫から取り出してから12時間以内に使用すること。なお、1回に限り再度冷蔵庫に戻し最大で24時間保存することができるが、使用時には冷蔵庫から取り出し常温になってから直ちに使用すること。使用するまで室内照明による曝露を最小限に抑えること。直射日光及び紫外線が当たらないようにすること。
  2. 14.1.2 *本剤1バイアルには1回の接種用量0.6mLとして2回接種分、1回の接種用量0.2mLとして4回接種分が含まれる。
  3. 14.1.3 使用前に、白色の均一な液になるまでゆっくり転倒混和すること。振り混ぜないこと。転倒混和後に、変色、異物その他の異常がないことを目視により確認すること。異常を認めたものは使用しないこと。
  4. 14.1.4 吸引の際には容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒すること。また、注射針をさし込み、所要量を吸引すること。この操作に当たっては、雑菌が混入しないよう注意すること。
  5. 14.1.5 栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
  6. 14.1.6 保存剤を含まないため、一度針を刺したバイアルは2~8℃で保存し、24時間以内に使用すること。使用時には冷蔵庫から取り出し常温になってから直ちに使用すること。

14.2 薬剤接種時の注意

  1. 14.2.1 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
  2. 14.2.2 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
  3. 14.2.3 通常、三角筋に筋肉内接種すること。静脈内、皮内、皮下への接種は行わないこと。
  4. 14.2.4 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
  5. 14.2.5 組織・神経等への影響を避けるため次の点に注意すること。
    • 針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
    • 神経走行部位を避けること。
    • 注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

  1. 15.1.1 海外において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている。過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回目までの接種において報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現している。また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している1),
  2. 15.1.2 コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンの国内副反応疑い報告における心筋炎、心膜炎の報告率と、国内の医療情報データベースを用いて算出した一般集団から推測される心筋炎、心膜炎の発現率とを比較したところ、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回接種後の若年男性で頻度が高いことが示唆された2),
  3. 15.1.3 海外において、皮膚充填剤との関連性は不明であるが、皮膚充填剤注入歴のある被接種者において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、皮膚充填剤注入部位周辺の腫脹(特に顔面腫脹)が報告されている。

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

本項での「初回免疫」とは、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者を対象にコミナティ筋注を3週又はスパイクバックス筋注を4週間隔で2回接種すること、「追加免疫」とは、初回免疫完了者を対象に3回目以降のコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンを追加接種することである。

  1. 17.1.1 国内第Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ相試験(追加免疫)(参考:ダイチロナ筋注(1価:起源株))

    トジナメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるコミナティ筋注(1価:起源株)(以下、コミナティ(1価:起源株))又はエラソメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるスパイクバックス筋注(1価:起源株)(以下、スパイクバックス(1価:起源株))の初回免疫を完了後6ヵ月以上経過した18歳以上の成人及び高齢者を対象に、コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にはウフレンメランを有効成分として60μg含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチンであるダイチロナ筋注(1価:起源株)(以下、ダイチロナ(1価:起源株))又はコミナティ(1価:起源株)(トジナメランとして30μg)、スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にはダイチロナ(1価:起源株)(ウフレンメランとして60μg)又はスパイクバックス(1価:起源株)(エラソメランとして50μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者209例(ダイチロナ(1価:起源株)群:140例、コミナティ(1価:起源株)群:69例)及びスパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者212例(ダイチロナ(1価:起源株)群:142例、スパイクバックス(1価:起源株)群:70例)を対象としてSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMFR比の両側97.5%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(1価:起源株)のコミナティ(1価:起源株)及びスパイクバックス(1価:起源株)に対する非劣性が検証された3)

    コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はコミナティ(1価:起源株)を追加接種したときのSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価及び中和抗体応答率

    評価例数3)

    血清中和抗体価

    中和抗体応答率4),7)

    GMT4)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMFR5)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMFR比5),6)
    [97.5%信頼区間]

    応答例数

    %
    [95%信頼区間]

    ダイチロナ(1価:起源株)群

    137

    1345.327
    [1153.683~1568.806]

    57.700
    [50.330~66.149]

    1.464
    [1.112~1.927]

    133

    97.1
    [92.7~99.2]

    コミナティ(1価:起源株)群

    66

    951.373
    [768.559~1177.672]

    39.410
    [32.365~47.989]

    65

    98.5
    [91.8~100.0]

    スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はスパイクバックス(1価:起源株)を追加接種したときのSARS-CoV-2(起源株)血清中和抗体価及び中和抗体応答率

    評価例数3)

    血清中和抗体価

    中和抗体応答率4),7)

    GMT4)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMFR5)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMFR比5),6)
    [97.5%信頼区間]

    応答例数

    %
    [95%信頼区間]

    ダイチロナ(1価:起源株)群

    136

    2078.015
    [1795.209~2405.372]

    38.864
    [33.687~44.837]

    1.772
    [1.335~2.353]

    129

    94.9
    [89.7~97.9]

    スパイクバックス(1価:起源株)群

    69

    1096.038
    [878.747~1367.058]

    21.932
    [17.935~26.819]

    64

    92.8
    [83.9~97.6]

    GMT:幾何平均抗体価、GMFR:幾何平均上昇倍率

    3) 追加接種4週間後の評価例数

    4) 抗体価が定量下限未満の場合、解析には0.5×定量下限の値が用いられた。

    5) 調整済みGMFR及び95%信頼区間、並びに調整済みGMFR比及び97.5%信頼区間は、常用対数変換した中和抗体価を従属変数、投与群を独立変数、常用対数変換したベースライン中和抗体価を共変量とした共分散分析モデルに基づき算出された。

    6) 非劣性マージン:調整済みGMFR比(ダイチロナ(1価:起源株)群/コミナティ(1価:起源株)群又はダイチロナ(1価:起源株)群/スパイクバックス(1価:起源株)群)の両側97.5%信頼区間下限>0.67

    7) 中和抗体価が追加接種前から追加接種4週間後に4倍以上に上昇(中和抗体応答)した被験者の割合

    安全性は、18歳以上の成人及び高齢者4,743例(コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者2,433例[ダイチロナ(1価:起源株)群:1,604例、コミナティ(1価:起源株)群:829例]及びスパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者2,310例[ダイチロナ(1価:起源株)群:1,525例、スパイクバックス(1価:起源株)群:785例])を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(1価:起源株)群全体で20%以上の発現割合の副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(1価:起源株)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は2~4日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は4日(中央値)であった4)

    コミナティ(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はコミナティ(1価:起源株)を追加接種したときの主な副反応の発現状況

    ダイチロナ(1価:起源株)群

    コミナティ(1価:起源株)群

    評価例数

    発現例数(%)

    評価例数

    発現例数(%)

    全体

    重度8)

    全体

    重度8)

    注射部位疼痛

    1,604

    1,479(92.2)

    9(0.6)

    829

    761(91.8)

    6(0.7)

    倦怠感

    1,604

    876(54.6)

    31(1.9)

    829

    468(56.5)

    17(2.1)

    注射部位熱感

    1,604

    625(39.0)

    15(0.9)

    829

    361(43.5)

    7(0.8)

    頭痛

    1,604

    610(38.0)

    8(0.5)

    829

    326(39.3)

    6(0.7)

    発熱9)

    1,604

    590(36.8)

    42(2.6)

    829

    316(38.1)

    17(2.1)

    注射部位腫脹

    1,604

    327(20.4)

    15(0.9)

    829

    177(21.4)

    2(0.2)

    注射部位紅斑10)

    1,604

    281(17.5)

    21(1.3)

    829

    158(19.1)

    1(0.1)

    筋肉痛

    1,604

    321(20.0)

    6(0.4)

    829

    197(23.8)

    7(0.8)

    スパイクバックス(1価:起源株)初回免疫完了者にダイチロナ(1価:起源株)又はスパイクバックス(1価:起源株)を追加接種したときの主な副反応の発現状況

    ダイチロナ(1価:起源株)群

    スパイクバックス(1価:起源株)群

    評価例数

    発現例数(%)

    評価例数

    発現例数(%)

    全体

    重度8)

    全体

    重度8)

    注射部位疼痛

    1,525

    1,434(94.0)

    10(0.7)

    785

    731(93.1)

    13(1.7)

    倦怠感

    1,525

    1,009(66.2)

    38(2.5)

    785

    521(66.4)

    29(3.7)

    注射部位熱感

    1,525

    784(51.4)

    22(1.4)

    785

    444(56.6)

    14(1.8)

    頭痛

    1,525

    693(45.4)

    11(0.7)

    785

    373(47.5)

    12(1.5)

    発熱9)

    1,525

    671(44.0)

    42(2.8)

    785

    377(48.0)

    29(3.7)

    注射部位腫脹

    1,525

    396(26.0)

    25(1.6)

    785

    252(32.1)

    11(1.4)

    注射部位紅斑10)

    1,525

    399(26.2)

    43(2.8)

    785

    223(28.4)

    14(1.8)

    筋肉痛

    1,525

    349(22.9)

    10(0.7)

    785

    203(25.9)

    9(1.1)

    8) 日常活動を妨げる程度

    9) 37.5℃以上。39℃以上又は日常活動を妨げる程度を重度とした。

    10) 日常活動を妨げる程度のほか、長径10cm超、又は壊死・剥脱性皮膚炎を重度とした。

  2. 17.1.2 国内第Ⅲ相試験(追加免疫)(参考:2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)

    コミナティ(1価:起源株)の初回免疫及びトジナメラン及びファムトジナメランを有効成分として含むコミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)(以下、コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5))の追加免疫を完了後3ヵ月以上経過した12歳以上の者、及びコミナティ(1価:起源株)の初回免疫及び追加免疫後にコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)の追加免疫を完了後3ヵ月以上経過した12歳以上の者を対象に、ウフレンメラン及びテグレンメランを有効成分として含むコロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン(未承認)(以下、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5))(ウフレンメラン及びテグレンメランとして計60μg)又はコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)(トジナメラン及びファムトジナメランとして計30μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者348例及びコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者350例を対象としてSARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMT比及び中和抗体応答率の差の両側95%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)のコミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)に対する非劣性が検証された5)

    SARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価及び中和抗体応答率

    評価例数11)

    血清中和抗体価

    中和抗体応答率12),15)

    調整済み
    GMT12),13)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMT比13),14)
    [95%信頼区間]

    応答例数

    %
    [95%信頼区間]

    差(%)16)
    [95%信頼区間]

    ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)17)

    328

    390.741
    [353.627~431.751]

    1.720
    [1.516~1.952]

    221

    67.4
    [62.0~72.4]

    21.6
    [14.0~28.8]

    コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群

    321

    227.113
    [205.169~251.405]

    147

    45.8
    [40.2~51.4]

    GMT:幾何平均抗体価

    11) 追加接種4週間後の評価例数

    12) 抗体価が定量下限未満の場合、解析には0.5×定量下限の値が用いられた。

    13) 調整済みGMT/GMT比及び95%信頼区間は、常用対数変換した中和抗体価を従属変数、投与群を独立変数、常用対数変換したベースライン中和抗体価、年齢(12歳以上65歳未満、65歳以上)、及び最終の追加免疫からの接種間隔(3ヵ月以上6ヵ月未満、6ヵ月以上)を共変量とした共分散分析モデルに基づき算出された。

    14) 非劣性マージン:調整済みGMT比(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群/コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群)の両側95%信頼区間下限>0.67

    15) 中和抗体価が追加接種前から追加接種4週間後に4倍以上に上昇(中和抗体応答)した被験者の割合

    16) 非劣性マージン:中和抗体応答率の差(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群-コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群)の両側95%信頼区間下限>-10%

    17) 未承認

    安全性は、12歳以上の701例(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群:349例、コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群:352例)を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群での主な副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1~2日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は2日(中央値)であった6)

    主な副反応の発現状況

    ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)18)

    コミナティRTU(2価:起源株/BA.4-5)群

    評価例数

    発現例数(%)

    評価例数

    発現例数(%)

    全体

    重度19)

    全体

    重度19)

    注射部位疼痛

    349

    301(86.2)

    4(1.1)

    352

    302(85.8)

    2(0.6)

    倦怠感

    349

    116(33.2)

    3(0.9)

    352

    138(39.2)

    2(0.6)

    注射部位熱感

    349

    133(38.1)

    2(0.6)

    352

    128(36.4)

    2(0.6)

    頭痛

    349

    66(18.9)

    0(0.0)

    352

    79(22.4)

    0(0.0)

    発熱20)

    349

    47(13.5)

    5(1.4)

    352

    44(12.5)

    1(0.3)

    注射部位腫脹

    349

    57(16.3)

    3(0.9)

    352

    36(10.2)

    0(0.0)

    注射部位紅斑21)

    349

    29(8.3)

    1(0.3)

    352

    19(5.4)

    0(0.0)

    筋肉痛

    349

    45(12.9)

    1(0.3)

    352

    42(11.9)

    1(0.3)

    18) 未承認

    19) 日常活動を妨げる程度

    20) 37.5℃以上。39℃以上又は日常活動を妨げる程度を重度とした。

    21) 日常活動を妨げる程度のほか、長径10cm超、又は壊死・剥脱性皮膚炎を重度とした。

  3. 17.1.3 *国内第Ⅱ/Ⅲ相試験(追加免疫)(参考:2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)

    コミナティ筋注5~11歳用(1価:起源株)の初回免疫を完了後3ヵ月以上経過した5歳以上11歳以下の者を対象に、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)(未承認)(ウフレンメラン及びテグレンメランとして計20μg)又はコミナティ筋注5~11歳用(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)(以下、コミナティ(2価:起源株/BA.4-5))(トジナメラン及びファムトジナメランとして計10μg)を追加接種したときの免疫原性及び安全性を検討した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者74例及びコミナティ(2価:起源株/BA.4-5)の追加接種を受けた被験者75例を対象としてSARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価を評価した結果、追加接種4週間後のGMT比及び中和抗体応答率の差の両側95%信頼区間の下限がいずれも非劣性マージンを上回り、ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)のコミナティ(2価:起源株/BA.4-5)に対する非劣性が検証された7)

    SARS-CoV-2(オミクロン株BA.5系統)血清中和抗体価及び中和抗体応答率

    評価例数22)

    血清中和抗体価

    中和抗体応答率23),26)

    調整済み
    GMT23),24)
    [95%信頼区間]

    調整済み
    GMT比24),25)
    [95%信頼区間]

    応答例数

    %
    [95%信頼区間]

    差(%)27),28)
    [95%信頼区間]

    ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)29)

    67

    1644.228
    [1346.417~2007.912]

    1.636
    [1.221~2.190]

    62

    92.5
    [83.4~97.5]

    2.6
    [-7.8~13.8]

    コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群

    59

    1005.274
    [812.690~1243.494]

    53

    89.8
    [79.2~96.2]

    GMT:幾何平均抗体価

    22) 追加接種4週間後の評価例数

    23) 抗体価が定量下限未満の場合、解析には0.5×定量下限の値が用いられた。

    24) 調整済みGMT/GMT比及び95%信頼区間は、常用対数変換した中和抗体価を従属変数、投与群を独立変数、常用対数変換したベースライン中和抗体価及びSARS-CoV-2感染歴の有無を共変量とした共分散分析モデルに基づき算出された。

    25) 非劣性マージン:調整済みGMT比(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群/コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群)の両側95%信頼区間下限>0.67

    26) 中和抗体価が追加接種前から追加接種4週間後に4倍以上に上昇(中和抗体応答)した被験者の割合

    27) 調整済み中和抗体応答率の差(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群-コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群)は、SARS-CoV-2感染歴の有無を層とするMantel-Haenszel法、その95%信頼区間は層別化されたNewcombe-Wilson score法に基づき算出された。

    28) 非劣性マージン:調整済み中和抗体応答率の差(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群-コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群)の両側95%信頼区間下限>-10%

    29) 未承認

    安全性は、5歳以上11歳以下の157例(ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群:78例、コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群:79例)を対象に、治験薬を追加接種後28日間に発現した副反応を電子日誌又は問診等で収集し評価した。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群での主な副反応の発現状況(事象全体及び重度)は次のとおりであった。ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)群でみられた注射部位紅斑を除く事象は接種翌日(中央値)に発現し、持続期間は1~3日(中央値)であった。注射部位紅斑は接種3日目(中央値)に発現し、持続期間は4日(中央値)であった8)

    主な副反応の発現状況

    ダイチロナ(2価:起源株/BA.4-5)30)

    コミナティ(2価:起源株/BA.4-5)群

    評価例数

    発現例数(%)

    評価例数

    発現例数(%)

    全体

    重度31)

    全体

    重度31)

    注射部位疼痛

    78

    67(85.9)

    0(0.0)

    79

    69(87.3)

    0(0.0)

    倦怠感

    78

    19(24.4)

    0(0.0)

    79

    14(17.7)

    1(1.3)

    注射部位熱感

    78

    37(47.4)

    1(1.3)

    79

    20(25.3)

    0(0.0)

    頭痛

    78

    16(20.5)

    0(0.0)

    79

    14(17.7)

    0(0.0)

    発熱32)

    78

    13(16.7)

    4(5.1)

    79

    11(13.9)

    1(1.3)

    注射部位腫脹

    78

    20(25.6)

    1(1.3)

    79

    13(16.5)

    0(0.0)

    注射部位紅斑33)

    78

    14(17.9)

    0(0.0)

    79

    13(16.5)

    0(0.0)

    筋肉痛

    78

    6(7.7)

    0(0.0)

    79

    5(6.3)

    0(0.0)

    30) 未承認

    31) 日常活動を妨げる程度

    32) 37.5℃以上。39℃以上又は日常活動を妨げる程度を重度とした。

    33) 日常活動を妨げる程度のほか、長径10cm超、又は壊死・剥脱性皮膚炎を重度とした。

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

本剤は脂質ナノ粒子に封入されたヌクレオシド修飾mRNAを含有する。mRNAは脂質ナノ粒子により宿主細胞に送達され、mRNAにコードされるSARS-CoV-2のスパイクタンパク質の受容体結合ドメインが一過性に発現する。発現した受容体結合ドメインタンパク質が免疫細胞により外来抗原として認識され、これに対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導されることで、SARS-CoV-2による感染症の予防に寄与すると考えられる。

18.2 **変異株に対する中和抗体産生能

SARS-CoV-2組換えスパイクタンパク質(起源株)を1回、その2週後に1価(オミクロン株JN.1)製剤を1回、さらにその2週後に1価(オミクロン株XEC)製剤を1回投与したマウスにおいて、最終投与の2週後にオミクロン株(XEC)に対する中和抗体の産生が認められた9)。また、1価(オミクロン株XEC)製剤を2週間隔で2回投与したマウスにおいて、最終投与の2週後にオミクロン株(XEC)に対する中和抗体の産生が認められた10)

20. 取扱い上の注意

  1. 20.1 本剤は激しく振とうしないこと。
  2. 20.2 本剤は凍結を避け、凍結した場合は使用しないこと。
  3. 20.3 外箱開封後は遮光して保存すること。

21. 承認条件

  1. 21.1 医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
  2. 21.2 現時点での知見が限られていることから、製造販売後、副反応情報等の本剤の安全性に関するデータを、あらかじめ定めた計画に基づき早期に収集するとともに、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出し、本剤の適正使用に必要な措置を講じること。
  3. 21.3 現在国内で実施中又は計画中の本剤に係る臨床試験の成績が得られた際には、速やかに当該成績を独立行政法人医薬品医療機器総合機構に提出するとともに、本剤の有効性及び安全性に係る最新の情報を、医療従事者及び被接種者が容易に入手可能となるよう必要な措置を講じること。
  4. 21.4 本剤の接種に際し、本剤の有効性及び安全性については今後も情報が集積されることを踏まえ、あらかじめ被接種者又は代諾者に最新の有効性及び安全性に関する情報が文書をもって説明され、予診票等で文書による同意を得てから接種されるよう、医師に対して適切に説明すること。

22. 包装

1.5mL 1バイアル

24. 文献請求先及び問い合わせ先

第一三共株式会社 製品情報センター

〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1

TEL:0120-189-132

25. 保険給付上の注意

本剤は保険給付の対象とならない(薬価基準未収載)。

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

第一三共株式会社

東京都中央区日本橋本町3-5-1

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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