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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
通常、成人にはヒドロモルフォンとして1日4~24mgを4~6回に分割経口投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。
疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の臨時追加投与を行い鎮痛を図ること。本剤の1回量は定時投与中のヒドロモルフォン塩酸塩経口製剤の1日用量の1/6~1/4を経口投与すること。
1日用量を4分割して使用する場合には、6時間ごとの定時に経口投与すること。1日用量を6分割して使用する場合には、4時間ごとの定時に経口投与すること。この場合、深夜の睡眠を妨げないように就寝前の投与は2回分を合わせて投与することもできる。
オピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮して初回投与量を設定すること。
1回1mg、1日4mgから開始し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量等を考慮し、投与量を決めること。本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ経口剤1日用量の1/5量を目安とすること。
フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には、フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこと。4mgから8mgへの増量(1日4回分割投与時)又は6mgから12mgへの増量(1日6回分割投与時)の場合を除き、増量の目安は使用量の30~50%増とする。
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
本剤の投与を中止する場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長をきたすおそれがある。
循環不全を増強するおそれがある。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制を起こすおそれがある。
呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
依存性を生じやすい。
排尿障害を増悪することがある。
消化管運動を抑制する。
痙攣を誘発するおそれがある。
オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。
連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある。なお、重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。マウス及びハムスターで胎児奇形(頭蓋奇形、軟部組織奇形、骨格変異)が、ラットで出生児の体重及び生存率の低下が報告されている。分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。
ナルメフェン塩酸塩水和物
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。
μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
中枢神経抑制剤
吸入麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β遮断剤
アルコール
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。
機序は不明である。
抗コリン作動性薬剤
麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。
相加的に抗コリン作用が増強される。
ブプレノルフィン、ペンタゾシン等
本剤の鎮痛作用を減弱させることがある。また、退薬症候を起こすことがある。
ブプレノルフィン、ペンタゾシン等は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである。
連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがある。,,
息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
昏睡、昏迷、錯乱、せん妄等の意識障害があらわれることがある。
炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒症、蕁麻疹
*精神神経系
傾眠
めまい、頭痛、味覚異常
ミオクローヌス、縮瞳、痛覚過敏注1)、アロディニア
呼吸器
呼吸困難
消化器
悪心、嘔吐、便秘
食欲不振、腹部不快感
口渇
肝臓
肝機能異常
その他
発熱、異常感、尿閉
倦怠感
呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤なめまい、嗜眠、心拍数の減少、神経過敏、不安、縮瞳、重度の低酸素症による著明な散瞳、皮膚冷感等を起こすことがある。
以下の治療を行うことが望ましい。
日本人健康成人男性に本剤1mg、2mg及び4mgを空腹時に単回経口投与したときの、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった1)。
投与量
例数
AUClast(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax注2)(hr)
t1/2(hr)
1mg
6
1.80±0.583
0.664±0.302
0.50(0.25~1.00)
5.26±3.35
2mg
4.05±0.949
0.980±0.352
0.76(0.25~1.50)
9.24±5.88
4mg
10.3±3.31
1.95±0.563
1.00(0.50~1.02)
18.3±11.7
平均値±標準偏差
日本人健康成人に、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤1.3mgを6時間間隔で5回反復投与したときの、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。5回目投与後の血漿中ヒドロモルフォンのAUCは、初回投与後の約2倍であった。また、5回目投与後には定常状態に達していた2)。
AUC0-6hr(ng・hr/mL)
Tmax注3)(hr)
1.48±0.470(0.822~2.03)
0.849±0.432(0.239~1.40)
1.00(0.500~3.00)
平均値±標準偏差(最小値~最大値)
AUCtau(ng・hr/mL)
Cmax, ss(ng/mL)
Tmax, ss注4)(hr)
t1/2, ss注5)(hr)
5
2.90±1.12(1.52~4.51)
1.52±0.937(0.571~3.07)
0.650(0.250~1.52)
13.3±3.37(9.04~16.4)
健康成人男女各18例に、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤8mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移に差は認められなかった3)(外国人データ)。
日本人健康成人6例に、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤を空腹時単回経口投与したとき、バイオアベイラビリティは24%であった2)。
日本人健康成人男性6例に、本剤2mgを単回経口投与したとき、空腹時と比較して食後投与時でCmaxは1.3倍、AUCinfは1.3倍に増大した1)。
健康授乳婦8例に、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤2mgを経鼻投与注)したとき、ヒドロモルフォンの乳汁/血漿中のAUCの比は2.56であった4)(外国人データ)。
平衡透析法で測定したヒト血漿蛋白結合率は24~30%であった5)(in vitro)。
ヒトにおけるヒドロモルフォンの主代謝経路は、3位水酸基のグルクロン酸抱合によるヒドロモルフォン-3-グルクロニドへの代謝である6)(外国人データ)。ヒドロモルフォン及びヒドロモルフォン-3-グルクロニドは、CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5を阻害せず7)、CYP1A2、2B6及び3A4を誘導しなかった8)(in vitro)。
日本人健康成人男性に本剤1mg、2mg及び4mgを単回経口投与したとき、投与後48時間までの尿中に、投与量の約3%がヒドロモルフォンとして、投与量の約30%がヒドロモルフォン-3-グルクロニドとして排泄された1)。
腎機能正常者7例、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス40~60mL/min)8例及び重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)8例にヒドロモルフォン塩酸塩製剤4mgを単回経口投与したとき、腎機能正常者よりも、中等度腎機能障害患者ではAUCが2倍、重度腎機能障害患者では4倍高かった9)(外国人データ)。
肝機能正常者及び中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)各12例にヒドロモルフォン塩酸塩製剤4mgを単回経口投与したとき、肝機能正常者よりも、中等度肝機能障害患者ではAUCが4倍高かった10)(外国人データ)。
健康高齢者(65~74歳)及び健康非高齢者(18~38歳)各18例に、ヒドロモルフォン塩酸塩製剤4mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移に差は認められなかった11)(外国人データ)。
注)本剤の承認された用法及び用量は、1日4~24mgを4~6回に分割経口投与である。
非オピオイド鎮痛剤では疼痛が改善しない、オピオイド鎮痛剤非使用のがん疼痛患者を対象に、無作為化二重盲検比較試験を実施した。本剤1mg又は対照薬オキシコドン塩酸塩散2.5mgを1日4回にて経口投与を開始し、適宜増減しながら5日間投与したところ、主要評価項目の投与前後の視覚的評価スケール(VAS)値の変化量の最小二乗平均値の群間差は-3.4mmであり、95%信頼区間の上限値の3.1mmが非劣性限界値の10mmを下回ったことから、本剤のオキシコドン塩酸塩に対する非劣性が検証された12)。
ヒドロモルフォン群
オキシコドン群
評価例数
88
84
投与前VAS値(mm)注6)
54.8±15.44
53.9±12.09
投与終了/中止時VAS値(mm)注6)
24.7±22.11
27.9±21.05
VAS値変化量(mm)注6)
-30.0±24.12
-26.0±23.65
最小二乗平均値(mm)注7)
-29.7
-26.4
最小二乗平均値の差(mm)、[95%信頼区間]注7)
-3.4[-9.8~3.1]
副作用発現頻度はヒドロモルフォン群で61.4%(54/88例)であり、主な副作用はヒドロモルフォン群で傾眠25.0%(22/88例)、便秘22.7%(20/88例)、嘔吐17.0%(15/88例)、悪心14.8%(13/88例)であった。
オピオイド鎮痛剤使用中、オピオイド鎮痛剤非使用、及び本剤第Ⅲ相比較試験に参加したがん疼痛患者を対象に、長期投与試験を実施した。オピオイド鎮痛剤使用患者群では前治療オピオイド鎮痛剤の投与量に基づく用量、オピオイド鎮痛剤非使用患者群では4mg/日、第Ⅲ相比較試験参加患者群では第Ⅲ相比較試験の投与終了時の用量を初回用量として本剤を1日4~6回に分けて経口投与を開始し、適宜増減しながら最長12週間投与したところ、投与1週後及び投与終了/中止時の有効率注8)は、80.9%(38/47例)及び66.0%(31/47例)であった。なお、各種オピオイド鎮痛剤(モルヒネ経口剤、オキシコドン経口剤、フェンタニル貼付剤又はトラマドール経口剤)から本剤に切り替え1週後及び投与終了/中止時の有効率注8)は、80.0%(24/30例)及び73.3%(22/30例)であり、また、一時的な疼痛の増強に対して本剤を臨時追加投与したところ、投与60分後の鎮痛効果の有効率注9)は50.0%(20/40件)であった13)。副作用発現頻度は60.4%(29/48例)であり、主な副作用は悪心27.1%(13/48例)、嘔吐22.9%(11/48例)、傾眠22.9%(11/48例)、便秘16.7%(8/48例)、めまい6.3%(3/48例)であった。
ヒドロモルフォンはδ及びκよりもμオピオイド受容体に対し高い親和性を示した14)。また、ヒドロモルフォンはμオピオイド受容体に対してアゴニスト活性を示し、代謝物のヒドロモルフォン-3-グルクロニドの同活性はその約1/2,280と低かった15)(in vitro)。
ヒドロモルフォンはマウス及びラットにおいて、試験方法(Hot plate法及びTail flick法は熱刺激、Writhing法は化学刺激による方法)、投与経路(経口、静脈内、皮下)に関わらず、鎮痛作用を示した16)。
動物種
試験方法
投与経路
ED50(mg/kg)[95%信頼区間]
マウス
Hot plate法
皮下
0.160[0.146~0.174]
Writhing法
0.210[0.165~0.266]
ラット
経口
23.0[18.4~28.7]
静脈内
0.170[0.149~0.193]
0.220[0.191~0.253]
Tail flick法
0.220[0.166~0.290]
ヒドロモルフォン塩酸塩(Hydromorphone Hydrochloride)
(5R)-4,5-Epoxy-3-hydroxy-17-methylmorphinan-6-one monohydrochloride
C17H19NO3・HCl
321.80
白色~微黄褐色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
0.67(1-オクタノールとpH9の緩衝液)
ナルラピド錠1mg、ナルラピド錠2mgは、それぞれ錠剤表面に使用色素による黄色、赤色の斑点がみられることがある。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1) Toyama K, et al.:J Clin Pharmacol. 2015;55(9):975-984
2) 社内資料:日本人及び白人健康成人を対象とした臨床薬理試験(2017年3月30日承認、CTD 2.7.6.2)
3) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:77-78
4) Edwards JE, et al.:Pharmacotherapy 2003;23(2):153-158
5) 社内資料:血漿蛋白結合の検討(2017年3月30日承認、CTD 2.7.2.2)
6) 社内資料:代謝物の検討(2017年3月30日承認、CTD 2.7.2.2)
7) 社内資料:チトクロームP450に対する直接的及び時間依存的阻害能の検討(2017年3月30日承認、CTD 2.7.2.2)
8) 社内資料:チトクロームP450の誘導能の検討(2017年3月30日承認、CTD 2.7.2.2)
9) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:81-82
10) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:83-84
11) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:79-80
12) 社内資料:オピオイド非使用のがん疼痛患者を対象としたオキシコドン即放性製剤との無作為化二重盲検比較試験(2017年3月30日承認、CTD 2.7.6.4)
13) 社内資料:がん疼痛患者を対象としたDS-7113b錠の長期投与試験(2017年3月30日承認、CTD 2.7.6.6)
14) 社内資料:オピオイド受容体サブタイプに対する親和性(2017年3月30日承認、CTD 2.6.2.2)
15) 社内資料:オピオイド受容体サブタイプに対するアゴニスト活性(2017年3月30日承認、CTD 2.6.2.2)
16) Knoll J, et al.:J Pharm Pharmacol. 1975;27(2):99-105
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