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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
中等度から高度の疼痛を伴う各種癌における鎮痛
通常、成人にはヒドロモルフォンとして1日0.5~25mgを持続静脈内又は持続皮下投与する。なお、症状に応じて適宜増減する。
20mg注射液(1.0%製剤)は、2mg注射液(0.2%製剤)の5倍濃度であるので、製剤の切り替えにあたっては、持続注入器の注入速度、注入量を慎重に設定し、過量投与とならないように注意して使用すること。
オピオイド鎮痛剤による治療の有無を考慮して初回投与量を設定すること。
1日0.5~1.0mgから開始し、鎮痛効果及び副作用の発現状況を観察しながら用量調節を行うこと。
他のオピオイド鎮痛剤から本剤に変更する場合には、前治療薬の投与量等を考慮し、投与量を決めること。本剤の1日用量は、ヒドロモルフォンとして、モルヒネ注射剤1日用量の1/8量を目安とすること。
ヒドロモルフォン経口剤から本剤に変更する場合には、ヒドロモルフォン経口剤1日用量の1/5量を本剤の1日用量の目安とすること。
フェンタニル貼付剤から本剤へ変更する場合には、フェンタニル貼付剤剥離後にフェンタニルの血中濃度が50%に減少するまで17時間以上かかることから、剥離直後の本剤の使用は避け、本剤の使用を開始するまでに、フェンタニルの血中濃度が適切な濃度に低下するまでの時間をあけるとともに、本剤の低用量から投与することを考慮すること。
本剤投与開始後は患者の状態を観察し、適切な鎮痛効果が得られ副作用が最小となるよう用量調節を行うこと。増量の目安は1日用量の25~50%増とする。
連用中における急激な減量は、退薬症候があらわれることがあるので行わないこと。副作用等により減量する場合は、患者の状態を観察しながら慎重に行うこと。
本剤の投与を中止する場合には、退薬症候の発現を防ぐために徐々に減量すること。
疼痛が増強した場合や鎮痛効果が得られている患者で突発性の疼痛が発現した場合は、直ちに本剤の1日用量の1/24量(1時間量相当分)を目安とし早送りによる臨時追加投与を行い、鎮痛を図ること。ただし、臨時追加投与を連続して行う場合は、呼吸抑制等の副作用の発現に注意すること。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。治療期間の延長をきたすおそれがある。
循環不全を増強するおそれがある。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制や頭蓋内圧の上昇を起こすおそれがある。
循環不全や呼吸抑制を増強するおそれがある。
呼吸抑制を起こすおそれがある。
呼吸抑制や昏睡を起こすおそれがある。
呼吸抑制作用に対し、感受性が高くなっている。
依存性を生じやすい。
排尿障害を増悪することがある。
消化管運動を抑制する。
痙攣を誘発するおそれがある。
オッジ筋を収縮させ症状が増悪することがある。
連用した場合、巨大結腸症を起こすおそれがある。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。排泄が遅延し副作用があらわれるおそれがある。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。代謝が遅延し副作用があらわれるおそれがある。なお、重度の肝機能障害のある患者を対象とした臨床試験は実施していない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。マウス及びハムスターで胎児奇形(頭蓋奇形、軟部組織奇形、骨格変異)が、ラットで出生児の体重及び生存率の低下が報告されている。分娩前に投与した場合、出産後新生児に退薬症候(多動、神経過敏、不眠、振戦等)があらわれることがある。分娩時の投与により、新生児に呼吸抑制があらわれることがある。
本剤投与中は授乳しないことが望ましい。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。
ナルメフェン塩酸塩水和物
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。
μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
中枢神経抑制剤
吸入麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
β遮断剤
アルコール
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがある。
相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
クマリン系抗凝血剤
クマリン系抗凝血剤の作用が増強されることがある。
機序は不明である。
抗コリン作動性薬剤
麻痺性イレウスに至る重篤な便秘又は尿貯留が起こるおそれがある。
相加的に抗コリン作用が増強される。
ブプレノルフィン、ペンタゾシン等
本剤の鎮痛作用を減弱させることがある。また、退薬症候を起こすことがある。
ブプレノルフィン、ペンタゾシン等は本剤の作用するμ受容体の部分アゴニストである。
連用により生じることがある。また、連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により、あくび、くしゃみ、流涙、発汗、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、散瞳、頭痛、不眠、不安、せん妄、振戦、全身の筋肉・関節痛、呼吸促迫等の退薬症候があらわれることがある。,,
息切れ、呼吸緩慢、不規則な呼吸、呼吸異常等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)が拮抗する。
昏睡、昏迷、錯乱、せん妄等の意識障害があらわれることがある。
炎症性腸疾患の患者に投与した場合、中毒性巨大結腸があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
過敏症
発疹、そう痒症、蕁麻疹
*精神神経系
傾眠(22.0%)
めまい、頭痛
味覚異常、ミオクローヌス、縮瞳、痛覚過敏注1)、アロディニア
呼吸器
呼吸困難
消化器
悪心、嘔吐、便秘
食欲不振
腹部不快感、口渇
肝臓
肝機能異常
その他
カテーテル留置部位反応注2)
倦怠感、発熱
異常感、注射部位反応(疼痛、紅斑、腫脹等)、尿閉
呼吸抑制、意識不明、痙攣、錯乱、血圧低下、重篤な脱力感、重篤なめまい、嗜眠、心拍数の減少、神経過敏、不安、縮瞳、重度の低酸素症による著明な散瞳、皮膚冷感等を起こすことがある。
以下の治療を行うことが望ましい。
本剤をブドウ糖を含有する輸液に希釈して用いる場合、遮光すること。
オピオイド製剤のがん疼痛における臨床使用方法としては、経口投与又は直腸内投与が不可能なとき、はじめて注射を用いる。
急速静注により、アナフィラキシー、重篤な呼吸抑制、低血圧、末梢循環虚脱、心停止が起こるおそれがあるので、静注する場合には緩徐に行うことが望ましい。
日本人がん疼痛患者に持続静脈内投与(28例)又は持続皮下投与(8例)したときの、1日あたりの投与量と定常状態における血漿中ヒドロモルフォン濃度(投与開始72時間後)の関係は次のとおりであった。なお、採血の30時間以内に本剤の投与量変更又は臨時追加投与が行われた患者は除外した1),2)。
日本人健康成人にヒドロモルフォン塩酸塩注射剤1mgを静脈内又は皮下に急速単回投与注5)したときの、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった3)。
投与経路・投与量
例数
AUClast(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax注3)(hr)
t1/2(hr)
静脈内投与1mg
6
8.4±1.3
20±7.2
0.083(0.033~0.10)
2.5±0.36注4)
皮下投与1mg
9.9±1.6
9.8±3.5
0.26(0.083~0.28)
5.1±3.5
平均値±標準偏差
健康成人男女各18例に、ヒドロモルフォン塩酸塩即放性製剤8mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移に差は認められなかった4)(外国人データ)。
健康授乳婦8例に、ヒドロモルフォン塩酸塩即放性製剤2mgを経鼻投与したとき、ヒドロモルフォンの乳汁/血漿中のAUCの比は2.56であった5)(外国人データ)。
平衡透析法で測定したヒト血漿蛋白結合率は24~30%であった6)(in vitro)。
ヒトにおけるヒドロモルフォンの主代謝経路は、3位水酸基のグルクロン酸抱合によるヒドロモルフォン-3-グルクロニドへの代謝である7)(外国人データ)。ヒドロモルフォン及びヒドロモルフォン-3-グルクロニドは、CYP1A2、2A6、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、2E1及び3A4/5を阻害せず8)、CYP1A2、2B6及び3A4を誘導しなかった9)(in vitro)。
日本人健康成人にヒドロモルフォン塩酸塩注射剤1mgを静脈内及び皮下に急速単回投与注5)したとき、投与後48時間までの尿中に、静脈内投与では投与量の約8%、皮下投与では約11%がヒドロモルフォンとして、静脈内投与では約36%、皮下投与では約27%がヒドロモルフォン-3-グルクロニドとして排泄された3)。
腎機能正常者7例、中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス40~60mL/min)8例及び重度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30mL/min未満)8例にヒドロモルフォン塩酸塩即放性製剤4mgを単回経口投与したとき、腎機能正常者よりも、中等度腎機能障害患者ではAUCが2倍、重度腎機能障害患者では4倍高かった10)(外国人データ)。
肝機能正常者及び中等度肝機能障害患者(Child-Pughスコア7~9)各12例にヒドロモルフォン塩酸塩即放性製剤4mgを単回経口投与したとき、肝機能正常者よりも、中等度肝機能障害患者ではAUCが4倍高かった11)(外国人データ)。
健康高齢者(65~74歳)及び健康非高齢者(18~38歳)各18例に、ヒドロモルフォン塩酸塩即放性製剤4mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中ヒドロモルフォン濃度推移に差は認められなかった12)(外国人データ)。
オピオイド鎮痛剤(オキシコドン経口剤・注射剤、モルヒネ経口剤・注射剤、トラマドール経口剤又はフェンタニル貼付剤・注射剤)使用中及びオピオイド鎮痛剤非使用のがん疼痛患者を対象に、非盲検非対照試験(静脈内投与)を実施した。オピオイド鎮痛剤使用患者群では前治療のオピオイド鎮痛剤の1日投与量に基づく用量、オピオイド鎮痛剤非使用患者群では0.5~1.0mg/日を初回投与量として適宜増減しながら本剤を最長28日間静脈内に持続投与したところ、投与開始後7日目までの疼痛コントロール達成率は73.9%(51/69例)であり、95%信頼区間の下限は事前に設定した閾値の70%を上回らなかった。なお、一時的な疼痛の増強に対して本剤を臨時追加投与したところ、投与10分後の鎮痛効果の有効率注6)は、評価例数の50例で39.8%(74/186件)であった1)。
達成例数
達成率(%)[95%信頼区間]
オピオイド鎮痛剤から切り替え
61
44
72.1[59.2~82.9]
オピオイド鎮痛剤非使用
8
7
87.5[47.3~99.7]
合計
69
51
73.9[61.9~83.7]
副作用発現頻度は40.0%(28/70例)であり、主な副作用は傾眠20.0%(14/70例)、悪心10.0%(7/70例)、便秘7.1%(5/70例)、嘔吐7.1%(5/70例)であった。
オピオイド鎮痛剤(オキシコドン経口剤・注射剤、モルヒネ経口剤・注射剤、トラマドール経口剤又はフェンタニル貼付剤・注射剤)使用中及びオピオイド鎮痛剤非使用のがん疼痛患者を対象に、非盲検非対照試験(皮下投与)を実施した。オピオイド鎮痛剤使用患者群では前治療のオピオイド鎮痛剤の1日投与量に基づく用量、オピオイド鎮痛剤非使用患者群では0.5~1.0mg/日を初回投与量として適宜増減しながら本剤を最長28日間皮下に持続投与したところ、投与開始後7日目までの疼痛コントロール達成率は85.7%(18/21例)であった。なお、一時的な疼痛の増強に対して本剤を臨時追加投与したところ、投与10分後の鎮痛効果の有効率注6)は、評価例数の18例で48.5%(33/68件)であった2)。
19
16
84.2[60.4~96.6]
2
100[15.8~100.0]
21
18
85.7[63.7~97.0]
副作用発現頻度は33.3%(7/21例)であり、主な副作用は傾眠28.6%(6/21例)であった。
ヒドロモルフォンはδ及びκよりもμオピオイド受容体に対し高い親和性を示した13)。また、ヒドロモルフォンはμオピオイド受容体に対してアゴニスト活性を示し、代謝物のヒドロモルフォン-3-グルクロニドの同活性はその約1/2,280と低かった14)(in vitro)。
ヒドロモルフォンはマウス及びラットにおいて、試験方法(Hot plate法及びTail flick法は熱刺激、Writhing法は化学刺激による方法)、投与経路(経口、静脈内、皮下)に関わらず、鎮痛作用を示した15)。
動物種
試験方法
投与経路
ED50(mg/kg)[95%信頼区間]
マウス
Hot plate法
皮下
0.160[0.146~0.174]
Writhing法
0.210[0.165~0.266]
ラット
経口
23.0[18.4~28.7]
静脈内
0.170[0.149~0.193]
0.220[0.191~0.253]
Tail flick法
0.220[0.166~0.290]
ヒドロモルフォン塩酸塩(Hydromorphone Hydrochloride)
(5R)-4,5-Epoxy-3-hydroxy-17-methylmorphinan-6-one monohydrochloride
C17H19NO3・HCl
321.80
白色~微黄褐色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、ジメチルスルホキシドにやや溶けやすく、エタノール(99.5)に極めて溶けにくい。
0.67(1-オクタノールとpH9の緩衝液)
外箱開封後は遮光して保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
1) 社内資料:がん疼痛患者を対象としたDS-7113b注射剤の一般臨床・継続投与試験(静脈内投与)(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.2)
2) 社内資料:がん疼痛患者を対象としたDS-7113b注射剤の一般臨床・継続投与試験(皮下投与)(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.3)
3) 社内資料:日本人及び白人健康成人を対象とした臨床薬理試験(2018年1月19日承認、CTD2.7.6.1)
4) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:77-78
5) Edwards JE, et al.:Pharmacotherapy 2003;23(2):153-158
6) 社内資料:血漿蛋白結合率の検討(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
7) 社内資料:代謝物の検討(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
8) 社内資料:チトクロームP450に対する直接的及び時間依存的阻害能の検討(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
9) 社内資料:チトクロームP450の誘導能の検討(2018年1月19日承認、CTD2.7.2.2)
10) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:81-82
11) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:83-84
12) Durnin C, et al.:Proc West Pharmacol Soc. 2001;44:79-80
13) 社内資料:オピオイド受容体サブタイプに対する親和性(2018年1月19日承認、CTD2.6.2.2)
14) 社内資料:オピオイド受容体サブタイプに対するアゴニスト活性(2018年1月19日承認、CTD2.6.2.2)
15) Knoll J, et al.:J Pharm Pharmacol. 1975;27(2):99-105
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〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
TEL:0120-065-132(がん・医療用麻薬専用)
本剤は厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、1回14日分を限度として投与する。
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