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日本薬局方
ビソプロロールフマル酸塩錠
処方箋医薬品注)
効能又は効果
錠0.625mg
錠2.5mg
錠5mg
本態性高血圧症(軽症~中等症)
-
○
狭心症
心室性期外収縮
虚血性心疾患又は拡張型心筋症に基づく慢性心不全
頻脈性心房細動
○:効能あり -:効能なし
通常、成人にはビソプロロールフマル酸塩として、5mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはビソプロロールフマル酸塩として、1日1回0.625mg経口投与から開始する。1日1回0.625mgの用量で2週間以上経口投与し、忍容性がある場合には、1日1回1.25mgに増量する。その後忍容性がある場合には、4週間以上の間隔で忍容性をみながら段階的に増量し、忍容性がない場合は減量する。用量の増減は1回投与量を0.625、1.25、2.5、3.75又は5mgとして必ず段階的に行い、いずれの用量においても、1日1回経口投与とする。通常、維持量として1日1回1.25~5mgを経口投与する。なお、年齢、症状により、開始用量は更に低用量に、増量幅は更に小さくしてもよい。また、患者の本剤に対する反応性により、維持量は適宜増減するが、最高投与量は1日1回5mgを超えないこと。
通常、成人にはビソプロロールフマル酸塩として、1日1回2.5mg経口投与から開始し、効果が不十分な場合には1日1回5mgに増量する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、最高投与量は1日1回5mgを超えないこと。
気管支を収縮させ、症状を発現させるおそれがある。
血糖値に注意すること。低血糖の前駆症状である頻脈等の交感神経系反応をマスクしやすい。
末梢血管の拡張を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。
心刺激伝導系を抑制し、症状を悪化させるおそれがある。
血圧を更に低下させるおそれがある。
症状を悪化させるおそれがある。
症状を悪化又は誘発させるおそれがある。
本剤の単独投与により急激に血圧が上昇することがある。,
心機能検査を行う等、観察を十分に行うこと。心不全の症状を悪化させる可能性がある。
薬物の排泄が遅延し、作用が増強するおそれがある。
薬物の代謝が遅延し、作用が増強するおそれがある。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。投与に際しては、母体及び胎児の状態を十分に観察すること。また、出生後も新生児の状態を十分に観察し、新生児の低血糖、徐脈、哺乳不良等の異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
妊婦にβ遮断薬を投与した場合に、胎児の発育不全、新生児の低血糖、徐脈、哺乳不良等が認められたとの報告がある。また、動物実験(ラット、ウサギ)で胎児毒性(致死、発育抑制)及び新生児毒性(発育毒性等)が報告されている(安全域注1):ラット胎児で58倍、ウサギ胎児で39倍、ラット新生児で19倍)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
次の点に注意し、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
交感神経系に対し抑制的に作用する薬剤
過剰の交感神経抑制作用(徐脈、血圧低下等)があらわれることがある。異常が認められた場合には両剤の減量若しくは投与を中止する。
相加的に作用(交感神経抑制作用)を増強させる。
*血糖降下剤
血糖降下作用が増強することがある。また、低血糖症状(頻脈、発汗等)をマスクすることがある。血糖値に注意し、異常が認められた場合には本剤の減量若しくは投与を中止する。
β2遮断により肝臓でのグリコーゲン分解が抑制される。また、低血糖時に分泌されるアドレナリンにより生じる低血糖症状をマスクする。
Ca拮抗剤
徐脈、房室ブロック、洞房ブロック等があらわれることがある。定期的に脈拍数を測定し、必要に応じて心電図検査を行い、異常が認められた場合には、両剤の減量若しくは投与を中止する。
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用、陰性変力作用、降圧作用)を増強させる。特にジギタリス製剤との3剤併用時には注意を要する。
ジギタリス製剤
徐脈、房室ブロック等があらわれることがある。定期的に心電図検査を行い、異常が認められた場合には、両剤の減量若しくは投与を中止する。
相加的に作用(心刺激生成・伝導抑制作用)を増強させる。特にCa拮抗剤との3剤併用時には注意を要する。
クロニジン塩酸塩
グアナベンズ酢酸塩
クロニジン、グアナベンズ投与中止後のリバウンド現象(急激な血圧上昇)が増強することがある。クロニジンを中止する場合は、あらかじめ本剤の投与中止等適切な処置を行う。
クロニジンを中止した場合、血中ノルアドレナリンが上昇する。β遮断剤と併用している場合、クロニジンの中止により、α作用が強調され、より急激な血圧上昇を起こす。グアナベンズも作用機序から同様な反応が予測される。
クラスⅠ抗不整脈剤
クラスⅢ抗不整脈剤
過度の心機能抑制(徐脈、低血圧等)があらわれることがある。臨床症状を観察し、異常が認められた場合には本剤の減量若しくは投与を中止する。
非ステロイド性抗炎症剤
本剤の降圧作用が減弱することがある。
非ステロイド性抗炎症剤は、血管拡張作用を有するプロスタグランジンの合成・遊離を阻害する。
降圧作用を有する薬剤
降圧作用が増強することがある。定期的に血圧を測定し、両剤の用量を調節する。
相加的に作用(降圧作用)を増強させる。
フィンゴリモド塩酸塩
フィンゴリモド塩酸塩の投与開始時に併用すると重度の徐脈や心ブロックが認められることがある。
共に徐脈や心ブロックを引き起こすおそれがある。
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0.1~5%未満
頻度不明
循環器
徐脈、心胸比増大、低血圧、動悸、心室性期外収縮
房室ブロック、心房細動、胸痛
精神神経系
頭痛・頭重感、めまい、ふらつき、立ちくらみ、眠気、不眠
悪夢
消化器
悪心、嘔吐、胃部不快感、腹部不快感、食欲不振
下痢
肝臓
AST、ALT、ビリルビン、LDH、ALP、γ-GTPの上昇
肝腫大
腎臓・泌尿器
尿酸、クレアチニン、BUNの上昇、尿糖、頻尿
呼吸器
呼吸困難
気管支痙れん
過敏症
発疹
皮膚そう痒感
眼
霧視、涙液分泌減少
その他
倦怠感、浮腫、脱力感、気分不快感、疲労感、四肢冷感、悪寒、しびれ感、CKの上昇
糖尿病増悪、血清脂質の上昇
5%以上
徐脈
心胸比増大、房室ブロック、低血圧、動悸、胸痛
心房細動、心室性期外収縮
めまい(16.0%)、立ちくらみ
頭痛・頭重感、ふらつき、眠気、不眠
悪心、腹部不快感、食欲不振
嘔吐、胃部不快感、下痢
AST、ALTの上昇
肝腫大、ビリルビン、LDH、ALP、γ-GTPの上昇
尿酸、クレアチニンの上昇
BUNの上昇、尿糖、頻尿
呼吸困難(11.0%)
霧視
涙液分泌減少
倦怠感(10.0%)、浮腫(11.0%)、血清脂質の上昇
脱力感、気分不快感、疲労感、四肢冷感、しびれ感、CKの上昇、糖尿病増悪
悪寒
徐脈、完全房室ブロック、心不全、低血圧、気管支痙れん等があらわれることがある。
下記等の適切な処置を行うこと。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
健康成人10例にビソプロロールフマル酸塩錠5mgを単回経口投与した場合、3.1±0.4時間で最高血漿中濃度(23.7±1.0ng/mL)に達し、半減期は8.6±0.3時間であった2)。
88%4)(ビソプロロールフマル酸塩10mg静脈内投与と単回経口投与のAUCで比較。外国人のデータ)。
健康成人6例にビソプロロールフマル酸塩錠10mgを絶食あるいは食後に経口投与した場合の薬物動態パラメータを比較した時、食事の影響はなかった4)(外国人のデータ)。
ヒト血清蛋白に対する結合率は26~33%であった5)(限外ろ過法、in vitro)。
ヒトにおいてビソプロロールフマル酸塩の代謝は、アルキル側鎖の開裂とその酸化的代謝産物のみである。ビソプロロールは、CYP2D6とCYP3A4に代謝される3),6)。
外国人のデータでは健康成人5例に14C-ビソプロロールフマル酸塩20mgを単回経口投与したとき、投与72時間までに尿中へ投与量の90.0±6.0%が排泄された。未変化体は47.8±10.5%で残りは代謝産物(アルキル側鎖の開裂体及びその酸化体)であった4)。
腎疾患14例あるいは肝疾患18例の患者にビソプロロールフマル酸塩錠10mgを1日1回7日間反復経口投与した時の血漿中濃度及び尿中への排泄率を調べ、健康成人8例のそれと比較検討した。定常状態での最高血中濃度及び最低血中濃度は、健康成人に比べて高くなり、全身クリアランスの低下、半減期の延長が認められた7)(外国人のデータ)。
健康成人(n=8)
中等度腎障害a(n=11)
重症の腎障害b(n=3)
急性肝炎(n=5)
肝硬変(n=13)
定常状態での最高血中濃度(μg/L)
52±5
74±5
54±5
62±5
定常状態での最低血中濃度(μg/L)
11±1
32±4
19±3
22±3
全身クリアランス(L/hr)
14.2±1.4
7.8±0.6
5.0±1.2
11.9±1.1
10.8±1.2
半減期(hr)
10.0±0.9
18.5±1.7
24.2±2.4
12.5±1
13.5±1.1
Mean±SEM
a:平均クレアチニンクリアランスは28±5ml/minb:クレアチニンクリアランスは<5ml/min
注)本剤の承認用量は1日1回0.625~5mgである。
本態性高血圧症患者を対象として、ビソプロロールフマル酸塩錠5mg/日を1日1回、12週間経口投与した二重盲検比較試験において、有効率は67.8%(75/111例)であった。副作用発現頻度は9.9%(11/111例)であった。主な副作用は倦怠感・脱力感2.7%(3/111例)、心胸比増大、尿酸上昇1.8%(2/111例)であった。
狭心症患者を対象として、ビソプロロールフマル酸塩錠5mg/日を1日1回、2週間経口投与した二重盲検比較試験において、有効率は79.1%(34/43例)であった。副作用発現頻度は8.0%(4/50例)であった。副作用の内訳は徐脈、頭重・頭重感、倦怠感・脱力感、AST上昇いずれも2.0%(1/50例)であった。
心室性期外収縮患者を対象として、ビソプロロールフマル酸塩錠5mg/日を1日1回、2週間経口投与した二重盲検比較試験において、有効率は57.1%(28/49例)であった。
慢性(持続性・永続性)心房細動患者を対象に、ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg/日を2週間投与(第1期:非盲検・非対照)、その後、増量が必要と判断された被験者に対しビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg/日、5mg/日のいずれかに割付け、更に2週間投与した(第2期:ランダム化・二重盲検・並行群間比較)。ビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg/日投与群において、第1期終了時の24時間ホルター心電図の平均心拍数(Mean±SD)は、投与開始前と比較して有意な低下が見られた。増量が必要と判断された被験者の治療期間(第1期及び第2期)におけるビソプロロールフマル酸塩錠5mg/日投与群の24時間ホルター心電図の平均心拍数は、第1期投与開始前と比較して第2期終了時では有意な低下が見られた8)。
n
平均心拍数(Mean±SD)
登録時
74
94.6±14.0拍/分
第1期終了時
82.4±12.4拍/分
変化量
-12.2±9.1拍/分(p<0.001 paired t検定)
2.5mg/日継続投与(n=24)
5mg/日投与(n=24)
97.9±12.9拍/分
99.8±16.8拍/分
第1期終了(割付)時
87.3±13.3拍/分
85.1±12.1拍/分
第2期終了時
86.5±11.2拍/分
82.5±10.7拍/分
登録時から第2期終了時までの変化量
-11.4±7.4拍/分(p<0.001 paired t検定)
-17.3±12.9拍/分(p<0.001 paired t検定)
LSmeanに基づく投与群間差の推定値(95%CI):-5.0(-9.5~-0.4)拍/分
第1期終了(割付)時から第2期終了時までの変化量
-0.8±6.6拍/分(p=0.565 paired t検定)
-2.6±6.0拍/分(p=0.045 paired t検定)
副作用発現頻度は11.5%(9/78例)であった。第1期のビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg/日投与群の副作用はγ-GTP増加2.6%(2/78例)のみであった。第2期のビソプロロールフマル酸塩錠2.5mg/日継続投与群の副作用は肝機能検査異常8.3%(2/24例)、頭痛4.2%(1/24例)であり、5mg/日投与群の副作用は心室性期外収縮4.2%(1/24例)のみであった。
本態性高血圧症、狭心症及び心室性期外収縮患者8,818例中、65歳以上の高齢者における副作用発現率は3.29%(97/2951例)であり、成人(15歳以上~65歳未満)のそれは2.02%(118/5848例)であった。
選択性が高いβ1アンタゴニストでISA(内因性交感神経刺激作用)はなく、降圧作用、抗狭心症作用、抗不整脈(心室性期外収縮)作用を示す。
心室性期外収縮患者に1日1回5mg、3週間以上連続経口投与したところ、心拍数の減少、PQ時間の延長とともに、期外収縮数の減少が認められた14)。
ビソプロロールフマル酸塩(Bisoprolol Fumarate)
(2RS)-1-(4-{[2-(1-Methylethoxy)ethoxy]methyl}phenoxy)-3-[(1-methylethyl)amino]propan-2-ol hemifumarate
(C18H31NO4)2・C4H4O4
766.96
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水又はメタノールに極めて溶けやすく、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすい。水溶液(1→10)は旋光性を示さない。
101~105℃
1) 医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:ビソプロロールフマル酸塩 慢性心不全の追加
2) 野田和夫 ほか:田辺製薬研究報告 1990;27-33
3) 鈴木 伸 ほか:基礎と臨床 1988;22(16):5790-5798
4) Leopold G.:J Cardiovasc Pharmacol. 1986;8 Suppl. 11:S16-S20
5) Bühring KU, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 1986;8 Suppl. 11:S21-S28
6) Horikiri Y, et al.:J Pharm Sci. 1998;87(3):289-294
7) Kirch W, et al.:Clin Pharmacokinet. 1987;13(2):110-117
8) Yamashita T, et al.:J Cardiol. 2013;62(1):50-57
9) Manalan AS, et al.:Circ Res. 1981;49(2):326-336
10) 田口 治 ほか:循環器科 1989;25(3):296-304
11) 池田正男 ほか:基礎と臨床 1989;23(3):981-989
12) 加藤和三 ほか:臨牀と研究 1989;66(7):2285-2294
13) 加藤和三 ほか:基礎と臨床 1989;23(6):2395-2407
14) 杉本恒明 ほか:新薬と臨牀 1988;37(11):2033-2045
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