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日本薬局方
イミダプリル塩酸塩錠
処方箋医薬品注)
通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5~10mgを1日1回経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、重症高血圧症、腎障害を伴う高血圧症又は腎実質性高血圧症の患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
通常、成人にはイミダプリル塩酸塩として5mgを1日1回経口投与する。ただし、重篤な腎障害を伴う患者では2.5mgから投与を開始することが望ましい。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。腎血流量の減少や糸球体ろ過圧の低下により急速に腎機能を悪化させるおそれがある。
治療上やむを得ないと判断される場合を除き、使用は避けること。高カリウム血症を増悪させるおそれがある。また、腎機能障害、コントロール不良の糖尿病等により血清カリウム値が高くなりやすい患者では、血清カリウム値に注意すること。
過度の降圧が脳血流不全を惹起し、病態を悪化させることがある。
投与は少量より開始し、増量する場合は患者の状態を十分に観察しながら徐々に行うこと。初回投与後一過性の急激な血圧低下を起こす場合がある。
投与量を半量にするか、若しくは投与間隔をのばすなど慎重に投与すること。排泄の遅延による過度の血圧低下及び腎機能を悪化させるおそれがある。,
妊娠していることが把握されずアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を使用し、胎児・新生児への影響(腎不全、頭蓋・肺・腎の形成不全、死亡等)が認められた例が報告されている1),2)。本剤の投与に先立ち、代替薬の有無等も考慮して本剤投与の必要性を慎重に検討し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、投与が必要な場合には次の注意事項に留意すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。また、投与中に妊娠が判明した場合には、直ちに投与を中止すること。妊娠中期及び後期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤又はアンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤を投与された患者で羊水過少症、胎児・新生児の死亡、新生児の低血圧、腎不全、高カリウム血症、頭蓋の形成不全及び羊水過少症によると推測される四肢の拘縮、頭蓋顔面の変形、肺の低形成等があらわれたとの報告がある。また、海外で実施されたレトロスペクティブな疫学調査で、妊娠初期にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与された患者群において、胎児奇形の相対リスクは降圧剤が投与されていない患者群に比べ高かったとの報告がある。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
低用量(例えば2.5mg)から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、一般に高齢者では腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがあり、副作用が発現又は作用が増強しやすい。高齢者では一般に過度の降圧は好ましくないとされている。脳梗塞等が起こるおそれがある。
デキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートを用いた吸着器によるアフェレーシスの施行
ショックを起こすことがある。
陰性に荷電したデキストラン硫酸固定化セルロース、トリプトファン固定化ポリビニルアルコール又はポリエチレンテレフタレートにより血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる。
アクリロニトリルメタリルスルホン酸ナトリウム膜を用いた透析(AN69®)
アナフィラキシーを発現することがある。
多価イオン体であるAN69®により血中キニン系の産生が亢進し、さらに本剤によりブラジキニンの代謝が妨げられて、ブラジキニンが蓄積すると考えられる。
アリスキレンフマル酸塩(ラジレス)(糖尿病患者に使用する場合。ただし、他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者を除く)
非致死性脳卒中、腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧のリスク増加が報告されている。
併用によりレニン・アンジオテンシン系阻害作用が増強される可能性がある。
サクビトリルバルサルタンナトリウム水和物(エンレスト)
血管浮腫があらわれるおそれがある。左記薬剤を投与する場合は、本剤を少なくとも36時間前に中止すること。また、左記薬剤の投与終了後に本剤を投与する場合は、36時間以上の間隔をあけること。
併用により相加的にブラジキニンの分解を抑制し、血管浮腫のリスクを増加させる可能性がある。
カリウム保持性利尿剤
カリウム補給剤
血清カリウム値が上昇することがある。併用する場合は血清カリウム値に注意すること。
本剤はアンジオテンシンⅡ産生を抑制し、アルドステロンの分泌を低下させるため、カリウム排泄を減少させると考えられる。腎機能障害のある患者には特に注意する。
アリスキレンフマル酸塩
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。なお、eGFRが60mL/min/1.73m2未満の腎機能障害のある患者へのアリスキレンフマル酸塩との併用については、治療上やむを得ないと判断される場合を除き避けること。
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤
腎機能障害、高カリウム血症及び低血圧を起こすおそれがあるため、腎機能、血清カリウム値及び血圧を十分に観察すること。
利尿降圧剤
利尿降圧剤で治療中の患者(特に最近利尿降圧剤投与を開始した患者)に本剤を初めて投与する場合、降圧作用が増強するおそれがあるので少量より投与するなど慎重に投与すること。
利尿剤の投与は血漿レニン活性を上昇させているため、本剤の投与により急激な血圧低下を起こすと考えられる。
リチウム製剤
リチウム中毒(眠気、振戦、錯乱等)を起こすことがある。定期的にリチウムの血中濃度を測定し、異常があれば減量もしくは投与中止する。
腎尿細管におけるリチウムの再吸収を促進すると考えられる。
非ステロイド性抗炎症剤
定期的に血圧を観察し、適切な処置をとる。
非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、本剤の降圧作用を減弱させると考えられる。
腎機能を悪化させるおそれがある。異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
非ステロイド性抗炎症剤のプロスタグランジン合成阻害作用により、腎血流量が低下するためと考えられる。
カリジノゲナーゼ製剤
過度の血圧低下が引き起こされる可能性がある。
本剤のキニン分解抑制作用とカリジノゲナーゼ製剤のキニン産生作用により、血管平滑筋の弛緩が増強すると考えられる。
他の降圧作用を有する薬剤
定期的に血圧を測定し、両剤の用量を調節する。
相加的に作用(降圧作用)を増強させると考えられる。
呼吸困難を伴う顔面、舌、声門、喉頭の腫脹を症状とする血管浮腫があらわれることがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、抗ヒスタミン剤、副腎皮質ホルモン剤の投与及び気道確保等の適切な処置を行うこと。
,
紅斑、水疱、そう痒、発熱、粘膜疹等があらわれた場合には投与を中止すること。
血中のアミラーゼ、リパーゼの上昇等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
0.1~5%未満
頻度不明
血液
赤血球、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、白血球の減少、好酸球増多
腎臓
血清クレアチニン、BUNの上昇、蛋白尿
精神神経系
頭痛、ふらつき、めまい、立ちくらみ、不眠
眠気
循環器
動悸
低血圧
呼吸器
咳、咽頭部異和感・不快感、痰
嗄声
消化器
悪心、嘔吐、胃部不快感、腹痛、下痢
嘔気、食欲不振
肝臓
AST、ALT、ALP、LDHの上昇
γ-GTPの上昇、黄疸
過敏症
発疹、そう痒
光線過敏症、蕁麻疹
その他
血清カリウムの上昇、口渇、CKの上昇、倦怠感、顔面潮紅
脱毛、しびれ、脱力感、低血糖、耳鳴、味覚異常、胸部不快感、疲労、浮腫
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
インスリン又は経口血糖降下剤の投与中にアンジオテンシン変換酵素阻害剤を投与することにより、低血糖が起こりやすいとの報告がある。
健康成人にイミダプリル塩酸塩錠10mgを単回経口投与した場合、イミダプリルは投与2時間前後に最高血漿中濃度(Cmax)に達し、以後約2時間の半減期(t1/2)で減少した。一方、活性代謝物であるイミダプリラートの血漿中濃度は投与後6~8時間にCmax(約15ng/mL)に達した後、t1/2約8時間で緩徐に血漿中より消失した3),4)。
健康成人にイミダプリル塩酸塩錠10mgを1日1回、7日間反復経口投与した時のイミダプリラートの血漿中濃度は投与3~5日目で定常状態に達した5)。
薬物動態パラメータ
イミダプリル
イミダプリラート
初回投与
反復投与
Cmax(ng/mL)
28.9
27.1
7.8
20.3
Tmax(hr)
2.0
2.3
9.3
7.0
t1/2(hr)
1.7
1.6
14.8
7.6
AUC0-24hr(ng・hr/mL)
113.3
113.6
107.8
246.6
(平均値、n=6)
イミダプリル塩酸塩錠2.5mg、5mg及び10mg「DSEP」とタナトリル錠2.5、5及び10を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(イミダプリル塩酸塩としてそれぞれ2.5mg、5mg及び10mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された6)。
n
AUC0→24(ng・hr/mL)
イミダプリル塩酸塩錠2.5mg「DSEP」
21
53.83±17.21
11.15±3.92
2.1±0.6
1.9±1.0
タナトリル錠2.5
50.77±19.79
10.40±4.37
2.2±0.5
1.9±0.8
(mean±SD)
イミダプリル塩酸塩錠5mg「DSEP」
46
71.66±31.64
14.97±7.14
2.6±0.8
タナトリル錠5
64.38±22.28
13.06±5.04
2.2±0.6
2.7±1.0
イミダプリル塩酸塩錠10mg「DSEP」
22
151.67±54.06
32.95±12.79
1.8±0.4
2.9±0.8
タナトリル錠10
153.83±39.85
32.50±11.43
2.0±0.6
2.8±0.5
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、血液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
ラットに14C-イミダプリルを経口投与した場合、投与30分~1時間後の時点では消化管内容を除いて腎臓、肺に高濃度で分布し、次いで肝臓で高かった。他の臓器はいずれも血漿中濃度より低かった。動脈壁の濃度は投与2時間後まで血漿中濃度の約1/2であったが、6時間後以降は逆に2~4倍高くなった。投与24時間後における各組織の放射能濃度は検出限界近くまで減少したが、特に肺では血漿中濃度の約80倍の濃度を示した7)。
ヒトにおけるイミダプリル及びイミダプリラートの血漿蛋白結合率は、それぞれ、85%、51%(限外ろ過法)であった8)(in vitro)。
本剤は、ヒトにおいて未変化体のほかに4種の代謝物が生成されるが、これらの代謝物の中で活性を有する代謝物はジアシド体(イミダプリラート)のみである9)。
健康成人にイミダプリル塩酸塩錠10mgを単回経口投与した場合、投与後24時間までの尿中総排泄率は投与量の25.5%である4)。
高度腎障害を伴う高血圧症患者3例(血清クレアチニン:3.3、2.9、1.9mg/dL)にイミダプリル塩酸塩錠5mgを1日1回反復経口投与した時の血漿中イミダプリラート濃度推移は、腎障害を伴わない高血圧症患者13例に10mgを投与した成績と比較すると、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)の延長(約11時間)ならびにt1/2の延長(約18時間)が認められた。腎障害患者のCmax(約18ng/mL)は腎障害を伴わない患者の値(約11ng/mL)に比べ高かった10),11)。,
国内で実施された二重盲検比較試験を含む臨床試験の概要は次のとおりである。
イミダプリル塩酸塩錠5mg又は錠10mgを1日1回12週間経口投与した二重盲検比較試験における有効率は、71.3%(77例/108例)であった。副作用発現頻度は5.6%(6例/108例)であった。主な副作用は動悸1.9%(2例/108例)であった12)。
重症高血圧症を対象とした一般臨床試験の有効率は100%(24例/24例)であった13)。
イミダプリル塩酸塩錠2.5~20mgを1日1回(外来4~8週間、入院2~4週間)経口投与した時の有効率は78.8%(26例/33例)であった。副作用発現頻度は5.9%(2例/34例)であった。副作用の内訳は咽頭不快感、口渇感いずれも2.9%(1例/34例)であった14)。
イミダプリル塩酸塩錠5mgを1日1回3年間経口投与した、二重盲検比較試験における尿中アルブミン排泄量の変化量はプラセボ群が72%増加したのに対し、イミダプリル塩酸塩投与群では41%減少し、両群間で有意な差が認められた(p<0.001)。副作用発現頻度は8%(2例/26例)であった。副作用の内訳は握力低下、不眠いずれも4%(1例/26例)であった15)。
イミダプリル塩酸塩は経口投与後、加水分解により活性代謝物であるジアシド体(イミダプリラート)に変換される。イミダプリラートが血中・組織中のACE活性を阻害し、昇圧物質であるアンジオテンシンⅡの生成を抑制することによって降圧作用を発現する4)。
イミダプリル塩酸塩(Imidapril Hydrochloride)
(4S)-3-{(2S)-2-[(1S)-1-Ethoxycarbonyl-3-phenylpropylamino]propanoyl}-1-methyl-2-oxoimidazolidine-4-carboxylic acid monohydrochloride
C20H27N3O6・HCl
441.91
白色の結晶である。メタノールに溶けやすく、水にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。本品1.0gを水100mLに溶かした液のpHは約2である。
約203℃(分解)
アルミピロー開封後は湿気を避けて保存すること。
1) 阿部真也 ほか:周産期医学 2017;47:1353-1355
2) 齊藤大祐 ほか:鹿児島産科婦人科学会雑誌 2021;29:49-54
3) 弘田雄三 ほか:臨床医薬 1992;8(3):507-522
4) 第十八改正日本薬局方解説書 廣川書店 2021:C665-669
5) 弘田雄三 ほか:基礎と臨床 1992;26(4):1457-1468
6) 社内資料:生物学的同等性に関する資料
7) Yamada Y, et al.:Arzneimittelforschung 1992;42(4):466-474
8) Yamada Y, et al.:Arzneimittelforschung 1992;42(4):457-465
9) Matsuoka M, et al.:J Chromatogr. 1992;581(1):65-73
10) 鈴木 伸 ほか:臨牀と研究 1992;69(2):636-648
11) 石井當男 ほか:臨床医薬 1992;8(2):299-313
12) 猿田享男 ほか:臨床医薬 1992;8(3):661-697
13) 猿田享男 ほか:基礎と臨床 1991;25(15):4809-4825
14) 猿田享男 ほか:基礎と臨床 1992;26(1):363-383
15) 臨床試験成績(タナトリル錠:2002年1月17日承認、申請資料概要ト.Ⅰ)
16) 菅谷 健 ほか:日薬理誌 1992;100(1):39-45
17) Kubo M, et al.:Jpn J Pharmacol. 1990;53(2):201-210
18) 猿田享男 ほか:臨床医薬 1991;7(10):2205-2219
19) Katoh M, et al.:Eur J Pharmacol. 2000;398(3):381-387
20) STZ誘発糖尿病ラットの腎微小循環に対する作用(タナトリル錠:2002年1月17日承認、申請資料概要ホ.Ⅰ.1.(2))
21) Nishiyama S, et al.:Arzneimittelforschung 1992;42(4):451-456
22) Kubo M, et al.:Jpn J Pharmacol. 1991;57(4):517-526
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