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日本薬局方
ロスバスタチンカルシウム錠
処方箋医薬品注)
急性肝炎、慢性肝炎の急性増悪、肝硬変、肝癌、黄疸,,
高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症
通常、成人にはロスバスタチンとして1日1回2.5mgより投与を開始するが、早期にLDL-コレステロール値を低下させる必要がある場合には5mgより投与を開始してもよい。なお、年齢・症状により適宜増減し、投与開始後あるいは増量後、4週以降にLDL-コレステロール値の低下が不十分な場合には、漸次10mgまで増量できる。10mgを投与してもLDL-コレステロール値の低下が十分でない、家族性高コレステロール血症患者などの重症患者に限り、さらに増量できるが、1日最大20mgまでとする。
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が悪化又は再発することがある。
本剤とフィブラート系薬剤を併用する場合には、治療上やむを得ないと判断される場合にのみ併用すること。急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。やむを得ず併用する場合には、定期的に腎機能検査等を実施し、自覚症状(筋肉痛、脱力感)の発現、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇並びに血清クレアチニン上昇等の腎機能の悪化を認めた場合は直ちに投与を中止すること。
横紋筋融解症の報告例の多くが腎機能障害を有する患者であり、また、横紋筋融解症に伴って急激な腎機能悪化があらわれることがある。,,
本剤の血中濃度が高くなるおそれがある。,,
投与しないこと。これらの患者では、本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害を悪化させるおそれがある。,
本剤は主に肝臓に分布して作用するので、肝障害又はその既往歴のある患者では、肝障害を悪化させるおそれがある。特に、Child-Pughスコアが8~9の患者では、血漿中濃度が他に比べて高かったとの報告がある。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ラットに他のHMG-CoA還元酵素阻害剤を大量投与した場合に胎児の骨格奇形が報告されている。更にヒトでは、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤で、妊娠3ヵ月までの間に服用したとき、胎児に先天性奇形があらわれたとの報告がある。
投与しないこと。ラットで乳汁中への移行が報告されている。
小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
シクロスポリン
(サンディミュン、ネオーラル等)
,
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者に併用したとき、シクロスポリンの血中濃度に影響はなかったが、本剤のAUC0-24hが健康成人に単独で反復投与したときに比べて約7倍上昇したとの報告がある。
シクロスポリンがOATP1B1及びBCRP等の機能を阻害する可能性がある。
フィブラート系薬剤
フェノフィブラートとの併用においては、いずれの薬剤の血中濃度にも影響はみられていない。しかし一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。
両剤共に横紋筋融解症の報告がある。
危険因子:腎機能に関する臨床検査値に異常が認められる患者
ニコチン酸
一般に、HMG-CoA還元酵素阻害剤との併用で、筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とし、急激な腎機能悪化を伴う横紋筋融解症があらわれやすい。
危険因子:腎機能障害のある患者
アゾール系抗真菌薬
マクロライド系抗生物質
**チカグレロル
本剤の血漿中濃度上昇により横紋筋融解症やミオパチーのリスクが増加するおそれがある。
チカグレロルがBCRPを阻害することにより本剤の排出が阻害され、本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある1),2)。
クマリン系抗凝固剤
抗凝血作用が増強することがある。本剤を併用する場合は、本剤の投与開始時及び用量変更時にも頻回にプロトロンビン時間国際標準比(INR)値等を確認し、必要に応じてワルファリンの用量を調節する等、注意深く投与すること。
機序は不明
制酸剤
本剤の血中濃度が約50%に低下することが報告されている。本剤投与後2時間経過後に制酸剤を投与した場合には、本剤の血中濃度は非併用時の約80%であった。
ロピナビル・リトナビル
アタザナビル/リトナビル
ダルナビル/リトナビル
グレカプレビル・ピブレンタスビル
本剤とロピナビル・リトナビルを併用したとき本剤のAUCが約2倍、Cmaxが約5倍、アタザナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約3倍、Cmaxが7倍、ダルナビル及びリトナビル両剤と本剤を併用したとき本剤のAUCが約1.5倍、Cmaxが約2.4倍上昇したとの報告がある。また本剤とグレカプレビル・ピブレンタスビル注1)を併用したとき、本剤のAUCが約2.2倍、Cmaxが約5.6倍上昇したとの報告がある。
左記薬剤がOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ダクラタスビル
アスナプレビル
ダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル
本剤とダクラタスビル、アスナプレビル、またはダクラタスビル・アスナプレビル・ベクラブビル注1)を併用したとき、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある。
ダクラタスビル、ベクラブビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。また、アスナプレビルがOATP1B1、1B3の機能を阻害する可能性がある。
グラゾプレビル/エルバスビル
本剤とグラゾプレビル注1)及びエルバスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.3倍、Cmaxが約5.5倍上昇したとの報告がある。
左記薬剤がBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ソホスブビル・ベルパタスビル
本剤とベルパタスビルを併用したとき、本剤のAUCが約2.7倍、Cmaxが約2.6倍上昇したとの報告がある。
ベルパタスビルがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
ダロルタミド
本剤とダロルタミドを併用したとき、本剤のAUCが5.2倍3)、Cmaxが5.0倍上昇したとの報告がある。
ダロルタミドがOATP1B1、1B3及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
レゴラフェニブ
本剤とレゴラフェニブを併用したとき、本剤のAUCが3.8倍、Cmaxが4.6倍上昇したとの報告がある。
レゴラフェニブがBCRPの機能を阻害する可能性がある。
カプマチニブ塩酸塩水和物
本剤とカプマチニブ塩酸塩水和物を併用したとき、本剤のAUCが約2.1倍、Cmaxが約3.0倍上昇したとの報告がある。
カプマチニブ塩酸塩がBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。
バダデュスタット
本剤とバダデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが約2.5倍、Cmaxが約2.7倍上昇したとの報告がある。
バダデュスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。
フェブキソスタット
本剤とフェブキソスタットを併用したとき、本剤のAUCが約1.9倍、Cmaxが約2.1倍上昇したとの報告がある。
フェブキソスタットがBCRPの機能を阻害することにより、本剤の血中濃度が増加する可能性がある。
エルトロンボパグ
本剤とエルトロンボパグを併用したとき、本剤のAUCが約1.6倍上昇したとの報告がある。
エルトロンボパグがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
*ホスタマチニブナトリウム水和物
本剤とホスタマチニブナトリウム水和物を併用したとき、本剤のAUCが1.96倍、Cmaxが1.88倍上昇したとの報告がある。
ホスタマチニブナトリウム水和物がBCRPの機能を阻害する可能性がある。
*ロキサデュスタット
本剤とロキサデュスタットを併用したとき、本剤のAUCが2.93倍、Cmaxが4.47倍上昇したとの報告がある。
ロキサデュスタットがOATP1B1及びBCRPの機能を阻害する可能性がある。
*タファミジス
本剤とタファミジスを併用したとき、本剤のAUCが1.97倍、Cmaxが1.86倍上昇したとの報告がある。
タファミジスがBCRPの機能を阻害する可能性がある。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれ、急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、このような場合には直ちに投与を中止すること。
広範な筋肉痛、高度な脱力感や著明なCKの上昇があらわれた場合には投与を中止すること。
近位筋脱力、CK高値、炎症を伴わない筋線維の壊死、抗HMG-CoA還元酵素(HMGCR)抗体陽性等を特徴とする免疫介在性壊死性ミオパチーがあらわれ、投与中止後も持続する例が報告されているので、患者の状態を十分に観察すること。なお、免疫抑制剤投与により改善がみられたとの報告例がある。
重症筋無力症(眼筋型、全身型)が発症又は悪化することがある。
肝炎、AST、ALTの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
血管浮腫を含む過敏症状があらわれることがある。
長期投与であっても、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
四肢の感覚鈍麻、しびれ感等の感覚障害、疼痛、あるいは筋力低下等の末梢神経障害があらわれることがある。
2~5%未満
0.1~2%未満
0.1%未満
頻度不明
*皮膚
そう痒症、発疹、蕁麻疹
苔癬様皮疹
消化器
腹痛、便秘、嘔気、下痢
膵炎、口内炎
筋・骨格系
CK上昇
無力症、筋肉痛、関節痛
筋痙攣
精神神経系
頭痛、浮動性めまい
健忘、睡眠障害(不眠、悪夢等)、抑うつ
内分泌
女性化乳房
代謝異常
HbA1c上昇、血糖値上昇
肝臓
肝機能異常(AST上昇、ALT上昇)
腎臓
蛋白尿注2)、腎機能異常(BUN上昇、血清クレアチニン上昇)
本剤は一包化調剤を避けること。
海外において、本剤を含むHMG-CoA還元酵素阻害剤投与中の患者では、糖尿病発症のリスクが高かったとの報告がある。
健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウムを5mgの用量で空腹時に単回経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度は投与後5時間にCmaxを示し、消失半減期(t1/2)は20.2±7.8時間であった。また、Cmax及びAUC0-24hrはそれぞれ3.56±1.35ng/mL及び31.3±13.6ng・hr/mLであった(平均値±標準偏差)4)。なお、ロスバスタチンの体内動態は線形であると考えられている(外国人データ)5)。
健康成人男性にロスバスタチン錠5mg又はロスバスタチンOD錠5mgそれぞれ1錠をクロスオーバー法にて空腹時に単回経口投与し、薬物動態を比較した。Cmax及びAUCの対数の平均値の差について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.8)~log(1.25)の範囲内であり、ロスバスタチンOD錠は、水なしで服用又は水ありで服用した場合のいずれにおいてもロスバスタチン錠と生物学的に同等であった6)。
ロスバスタチンOD錠2.5mg「DSEP」は、「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性ガイドライン」(平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号)に基づき、ロスバスタチンOD錠5mg「DSEP」を標準製剤としたとき、溶出挙動が等しく、生物学的に同等とみなされた。
用量
n
Cmax注3)(ng/mL)
Tmax注4)(hr)
AUC0-last注3)(ng・hr/mL)
t1/2注4)(hr)
ロスバスタチン錠5mg
65
4.56(50.3)
4.02±1.49
48.90(39.7)
14.0±10.9注5)
ロスバスタチンOD錠5mg
水なし
4.31(49.1)
3.89±1.35
48.26(40.1)
14.2±11.8注5)
水あり
64
4.53(51.3)
3.92±1.47
48.31(40.6)
14.7±10.3注6)
健康成人男性6例にロスバスタチンカルシウム10及び20mgを1日1回7日間、空腹時に反復経口投与したところ、投与後24時間の血漿中ロスバスタチン濃度は徐々に上昇し、反復投与3回目にはほぼ定常状態に到達した7)。定常状態におけるAUC0-24hrは単回投与時の1.2倍であり、その値は単回投与での結果からの予測値と同程度であった。したがって、反復投与による予想以上の蓄積性はないと考えられた。なお、日本人におけるCmax及びAUCは白人の約2倍であった。
用量(mg)
Cmax注7)(ng/mL)
Tmax注8)(hr)
AUC0-24hr注7)(ng・hr/mL)
AUC0-∞注7)(ng・hr/mL)
t1/2注9)(hr)
10
単回
7.87(54.4)
5(4-5)
74.2(56.0)
126(39.3)注10)
15.1±5.36注10)
反復
9.38(71.5)
5(5-5)
90.5(67.0)
167(30.0)注11)
18.4±4.62注11)
20
20.5(54.6)
4(3-5)
171(53.0)
209(50.1)
19.1±5.81
22.1(68.0)
206(63.9)
248(62.2)
14.8±5.76
高コレステロール血症患者に本剤2.5~20mgを1日1回6週間反復経口投与し、定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度を測定した8)。高コレステロール血症患者の血漿中ロスバスタチン濃度は用量にほぼ比例して増加し、健康成人男性での値(投与後10時間の幾何平均値、10mg:4.06ng/mL、20mg:9.82ng/mL)とほぼ同程度であった。なお、本試験で日本人と白人の結果を比較したところ、日本人における定常状態の血漿中ロスバスタチン濃度は白人の約2倍であった。
投与量
血漿中ロスバスタチン濃度(ng/mL)
2.5mg(n=16)
1.26(72.7)
5mg(n=12)
2.62(41.5)
10mg(n=13)
4.17(75.5)
20mg(n=17)
11.7(50.0)
幾何平均値(変動係数)
採血時間:投与後7~16時間
外国人健康成人21例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、午前7時あるいは午後6時に経口投与したところ、血漿中ロスバスタチン濃度推移は両投与時間で同様であり、本剤の体内動態は投与時間の影響を受けないと考えられた9)。
健康成人男性10例におけるロスバスタチンの生物学的利用率は29.0%(90%信頼区間:24.1~34.9)であった10)。また、静脈内投与して得られたロスバスタチンの全身クリアランス及び腎クリアランスはそれぞれ31.9及び11.6L/hrであり、ロスバスタチンは主に肝臓による消失を受けると考えられた。
外国人健康成人20例にロスバスタチンカルシウム10mgをクロスオーバー法で1日1回14日間、空腹時(食後3時間)あるいは食後に経口投与した11)。食後投与したときの本剤の吸収は空腹時に比べて緩やかであり、Cmaxは食事によって20%低下した。しかし、食後投与時のAUC0-24hrは空腹時投与の94%であり、本剤の吸収量への食事の影響はないと考えられた。
ヒト血漿中におけるロスバスタチンの蛋白結合率は89.0%(日本人)~88.0%(外国人)であり、主結合蛋白はアルブミンであった12)。
外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、尿及び糞中に存在する放射能の主成分は未変化体であり、尿糞中の主な代謝物は、N-脱メチル体及び5S-ラクトン体であった13)。ヒト血漿中にはN-脱メチル体及び5S-ラクトン体が検出されたが、HMG-CoA還元酵素阻害活性体濃度はロスバスタチン濃度と同様の推移を示し、血漿中におけるHMG-CoA還元酵素阻害活性に対する代謝物の寄与はわずかであると考えられた(外国人データ)14)。
外国人健康成人男性6例に14C-ロスバスタチンカルシウム20mgを単回経口投与したところ、放射能は主に糞中に排泄され(90.2%)、尿中放射能排泄率は10.4%であった。また、尿及び糞中への未変化体排泄率は、それぞれ投与量の4.9%及び76.8%であった13)。
外国人の男性若年者、男性高齢者、女性若年者及び女性高齢者各8例にロスバスタチンカルシウム40mg(承認外用量)を単回経口投与したところ、男性のCmax及びAUC0-tはそれぞれ女性の82%及び91%であった15)。また、若年者のCmax及びAUC0-tはそれぞれ高齢者の112%及び106%であり、臨床上問題となる性差や加齢の影響はないと考えられた。
Child-Pugh A(スコア:5~6)あるいはChild-Pugh B(スコア:7~9)の肝障害を有する外国人患者各6例にロスバスタチンカルシウム10mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した16)。肝障害患者のCmax及びAUC0-24hrは健康成人群のそれぞれ1.5~2.1倍及び1.05~1.2倍であり、特に、Child-Pughスコアが8~9の患者2例における血漿中濃度は、他に比べて高かった。,
重症度の異なる腎障害を有する外国人患者(4~8例)にロスバスタチンカルシウム20mgを1日1回14日間反復経口投与し、血漿中ロスバスタチン濃度を測定した17)。軽度から中等度の腎障害のある患者では、ロスバスタチンの血漿中濃度に対する影響はほとんど認められなかった。しかし、重度(クレアチニンクリアランス<30mL/min/1.73m2)の腎障害のある患者では、健康成人に比べて血漿中濃度が約3倍に上昇した。,
制酸剤を同時併用投与した場合、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrはそれぞれ50%及び46%まで低下したが、ロスバスタチン投与後2時間に制酸剤を投与した場合には、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrはそれぞれ非併用時の84%及び78%であった(外国人データ)18)。
シクロスポリンを投与されている心臓移植患者にロスバスタチンを併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-24hrは、健康成人に単独で反復投与したときに比べてそれぞれ10.6倍及び7.1倍上昇した(外国人データ)19)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、シクロスポリンはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。,
ゲムフィブロジル(本邦未承認)と併用投与したとき、ロスバスタチンのCmax及びAUC0-tはそれぞれ2.21倍及び1.88倍に増加した(外国人データ)20)。ロスバスタチンはOATP1B1を介して肝臓に取り込まれ、ゲムフィブロジルはその取り込みを阻害することによって、ロスバスタチンの血漿中濃度を増加させると考えられている。
ロスバスタチンの体内動態に及ぼすP450阻害剤の影響を検討するために、フルコナゾール21)(CYP2C9及びCYP2C19の阻害剤)、ケトコナゾール22)、イトラコナゾール23)及びエリスロマイシン24)(以上CYP3A4及びP糖蛋白の阻害剤)との併用試験を実施したが、明らかな相互作用は認められなかった(外国人データ)。ワルファリン25)(CYP2C9及びCYP3A4の基質)あるいはジゴキシン26)の体内動態に及ぼす影響を検討したが、薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。CYP3A4誘導作用の有無を検討するために、経口避妊薬との併用試験を実施したが、エチニルエストラジオールの血漿中濃度に減少はみられず、ロスバスタチンはCYP3A4に対する誘導作用を示さないと考えられた(外国人データ)27)。
ヒト遊離肝細胞を用いるin vitro試験においてN-脱メチル体が生成したが、その代謝速度は非常に緩徐であった。また、N-脱メチル化に関与する主なP450分子種はCYP2C9及びCYP2C19であったが、CYP2D6やCYP3A4が関与する可能性も示唆された28)。
ロスバスタチン(50μg/mL)によるP450(CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1及びCYP3A4)活性の阻害率は10%以下であった28)。
高コレステロール血症患者を対象として二重盲検法により実施された試験において、本剤(5~80mg)又はアトルバスタチン(10~80mg)を1日1回6週間投与した結果、本剤は、LDL-コレステロール、総コレステロール、トリグリセリドには低下効果を、HDL-コレステロールには増加効果を示した。また、アポ蛋白B、非HDL-コレステロールを低下させ、アポ蛋白A-Iを増加させた。更に、LDL-コレステロール/HDL-コレステロール比、総コレステロール/HDL-コレステロール比、非HDL-コレステロール/HDL-コレステロール比、アポ蛋白B/アポ蛋白A-I比を低下させた。本剤の薬効は、投与後1週間以内にあらわれ、通常2週間までに最大効果の90%となった。最大効果は通常4週間までにあらわれ、その後持続した。
副作用発現頻度は、本剤5mg投与群で10.5%(4/38例)、10mg投与群では15.6%(7/45例)、及び20mg投与群で17.9%(7/39例)であった。いずれの投与群でも、3例以上発現した副作用はなかった。
二重盲検法により実施された試験において、本剤2.5~20mgを1日1回6週間投与した際の血清脂質値の平均変化率は表1のとおりであった。
2.5mg(n=17)
10mg(n=14)
20mg(n=18)
LDL-コレステロール(%)
-44.99
-52.49
-49.60
-58.32
総コレステロール(%)
-31.59
-36.40
-34.60
-39.58
トリグリセリド(%)
-17.35
-23.58
-19.59
-17.01
HDL-コレステロール(%)
7.64
9.09
14.04
11.25
アポ蛋白B(%)
-38.56
-45.93
-43.97
-50.38
アポ蛋白A-I(%)
5.42
6.25
10.61
9.72
アポ蛋白A-II(%)
0.38
4.27
7.78
7.73
副作用発現頻度は、本剤2.5mg投与群で38.9%(7/18例)、5mg投与群で20.0%(3/15例)、10mg投与群で13.3%(2/15例)、及び20mg投与群で47.4%(9/19例)であった。計67例において3例以上認められた副作用は、腹痛、CK上昇及びγ-GTP上昇(各3例)であった。
二重盲検法により実施された3試験の集積データをまとめた。本剤5mg又は10mgを1日1回12週間投与した際の血清脂質の平均変化率は表2のとおりであり、高コレステロール血症患者の脂質レベルを総合的に改善することが認められた。
5mg(n=390)
10mg(n=389)
-41.9
-46.7
-29.6
-33.0
-16.4
-19.2
8.2
8.9
非HDL-コレステロール(%)
-38.2
-42.6
-32.7
-36.5
6.0
7.3
高コレステロール血症患者を対象として二重盲検法により実施された試験において、本剤5mg又は10mgから投与を開始し、LDL-コレステロール値がNCEP IIガイドラインの目標値に達するまで増量した。52週時において初回投与量の5mg又は10mgの継続投与を受けていた症例の割合は、それぞれ76%(92/121例)及び82%(88/107例)であった。
副作用の発現率は本剤5mg群で29.4%(40/136例)、本剤10mg群で26.5%(35/132例)であった。いずれかの投与群で3例以上発現した副作用は便秘、下痢、消化不良、鼓腸、筋痛、不眠症、発疹、味覚倒錯、腹痛及び無力症であった。
家族性高コレステロール血症へテロ接合体患者に本剤10mgから投与を開始し、6週間隔で強制増量した。そのときの血清脂質値の平均変化率は表3のとおりであった。
10mg(n=36)
20mg(n=36)
-49.17
-53.91
-39.35
-43.30
-18.20
-23.62
9.57
13.75
3例以上に認められた副作用はCK上昇(3/37例、8.1%)であった。
ロスバスタチンカルシウムは、肝臓内に能動的に取り込まれ、肝臓でのコレステロール生合成系の律速酵素であるHMG-CoA還元酵素を選択的かつ競合的に阻害し、コレステロール生合成を強力に抑制する。その結果、肝臓内のコレステロール含量が低下し、これを補うためLDL受容体の発現が誘導される。このLDL受容体を介して、コレステロール含有率の高いリポ蛋白であるLDLの肝臓への取り込みが増加し、血中コレステロールが低下する。本剤は、肝臓では主として能動輸送系を介して取り込まれ35)、脂質親和性が比較的低いため、能動輸送系を持たない他の臓器には取り込まれにくく、肝特異的なHMG-CoA還元酵素阻害剤であると考えられる。
ロスバスタチンカルシウムは、ラット及びヒト肝ミクロソーム由来のHMG-CoA還元酵素及びヒトHMG-CoA還元酵素の触媒ドメインに対して阻害作用を示した(in vitro)36)。
ロスバスタチンカルシウムは、ラット肝細胞のコレステロール合成を用量依存的に阻害した。また、その阻害作用は、他のHMG-CoA還元酵素阻害剤に比べて長期間持続した36)。
ロスバスタチンカルシウムは、ヒト肝癌由来HepG2細胞のLDL受容体mRNAの発現を濃度依存的に誘導し、また、LDL結合活性を増加させた(in vitro)37)。
ロスバスタチンカルシウムは、イヌ38)、カニクイザル39)、WHHLウサギ(ヒト家族性高コレステロール血症のモデル動物)40)において血清総コレステロールを、また、アポ蛋白E*3Leidenトランスジェニックマウス(高VLDL血症モデル動物)41)及びヒトアポ蛋白B/CETP(コレステロールエステル転送蛋白)トランスジェニックマウス(ヒトのコレステロール代謝に類似した脂質代謝環境を有するモデル動物)42)においては血漿中コレステロールを有意に低下させた。イヌにおいては、HMG-CoA還元酵素の反応産物であるメバロン酸の血中濃度を用量依存的に低下させた38)。
ロスバスタチンカルシウムは、WHHLウサギにおいて、大動脈の脂質沈着面積、コレステロール含量の低下をもたらし、動脈硬化病変の進展を抑制した40)。
ロスバスタチンカルシウムは、アポ蛋白E*3Leidenトランスジェニックマウス及びヒトアポ蛋白B/CETPトランスジェニックマウスの血漿中トリグリセリドを低下させた41),42)。
ロスバスタチンカルシウム(Rosuvastatin Calcium)
Monocalcium bis[(3R,5S,6E)-7-{4-(4-fluorophenyl)-6-(1-methylethyl)-2-[methyl(methylsulfonyl)amino]pyrimidin-5-yl}-3,5-dihydroxyhept-6-enoate]
(C22H27FN3O6S)2Ca
1001.14
白色の粉末である。アセトニトリルに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水又はエタノール(99.5)に溶けにくい。吸湿性である。
1) **Lehtisalo M, et al.:Br J Clin Pharmacol. 2023;89(7):2309-2315
2) **Lehtisalo M, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2024;115(1):71-79
3) Zurth C, et al.:Eur J Drug Metab Pharmacokinet. 2019;44(6):747-759
4) 単回投与後の血漿中濃度 1996(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.3.1.2)
5) Martin PD, et al.:Clin Ther. 2003;25(8):2215-2224
6) 社内資料:生物学的同等性 2014
7) 反復投与後の血漿中濃度 2001(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.4)
8) 患者における血漿中濃度 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.6)
9) Martin PD, et al.:Br J Clin Pharmacol. 2002;54(5):472-477
10) 生物学的利用率 2001(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.5)
11) 食事の影響 2000(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.7.5)
12) 蛋白結合率 2000(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ2.2.5)
13) 尿糞中排泄率 1999(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.7.9.5)
14) HMG-CoA還元酵素阻害活性体の血漿中濃度 2000(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.7.9.4)
15) Martin PD, et al.:J Clin Pharmacol. 2002;42(10):1116-1121
16) Simonson SG, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2003;58(10):669-675
17) 腎障害の影響 2001(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.7.11)
18) 薬物相互作用-制酸剤 2000(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要へ3.7.12.2 (f))
19) Simonson SG, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2004;76(2):167-177
20) Schneck DW, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2004;75(5):455-463
21) Cooper KJ, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2002;58(8):527-531
22) Cooper KJ, et al.:Br J Clin Pharmacol. 2003;55(1):94-99
23) Cooper KJ, et al.:Clin Pharmacol Ther. 2003;73(4):322-329
24) Cooper KJ, et al.:Eur J Clin Pharmacol. 2003;59(1):51-56
25) Simonson SG, et al.:J Clin Pharmacol. 2005;45(8):927-934
26) Martin PD, et al.:J Clin Pharmacol. 2002;42(12):1352-1357
27) Simonson SG, et al.:Br J Clin Pharmacol. 2004;57(3):279-286
28) McCormick AD, et al.:J Clin Pharmacol. 2000;40:1055
29) Schneck DW, et al.:Am J Cardiol. 2003;91(1):33-41
30) 日本人高コレステロール血症患者における有効性 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ト1.2.3)
31) 外国人高コレステロール血症患者における有効性 2001(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ト2.1.2.1)
32) 外国人高コレステロール血症患者の長期投与における有効性 2001(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ト1.5.2)
33) Olsson AG, et al.:Am Heart J. 2002;144(6):1044-1051
34) Mabuchi H, et al.:J Atheroscler Thromb. 2004;11(3):152-158
35) Nezasa K, et al.:Xenobiotica. 2003;33(4):379-388
36) McTaggart F, et al.:Am J Cardiol. 2001;87(5A):28B-32B
37) LDL受容体に対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.2.3)
38) イヌの血中脂質に対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.1.1)
39) カニクイザルの血清コレステロール及びリポ蛋白コレステロールに対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.1.2)
40) WHHLウサギの血清コレステロール及び動脈硬化病変に対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.1.3)
41) アポ蛋白E*3Leidenトランスジェニックマウスに対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.1.4)
42) ヒトアポ蛋白B/CETPトランスジェニックマウスに対する作用 2002(クレストール錠:2005年1月19日承認、申請資料概要ホ1.1.5)
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