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日本薬局方
アナストロゾール錠
劇薬
処方箋医薬品注)
閉経後乳癌
通常、成人にはアナストロゾールとして1mgを1日1回、経口投与する。
本剤の重度の腎障害患者での投与は臨床試験では除外されている。
本剤の重度の肝障害患者での投与は臨床試験では除外されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。本剤は、閉経後患者を対象とするものであることから、妊婦に対する投与は想定していないが、妊婦への投与の安全性については次の知見がある。動物実験(ラット)で胎児の発育遅延が認められている。また、動物実験(ラット及びウサギ)で胎児への移行が認められている。
授乳を避けさせること。本剤は、閉経後患者を対象とするものであることから、授乳婦に対する投与は想定しておらず、本剤の授乳中女性における使用経験はない。
慎重に投与すること。本剤の臨床試験成績から、高齢者と非高齢者において血漿中濃度及び副作用の発現率並びにその程度に差は見られていない。しかし、一般に高齢者では生理機能が低下しており、副作用があらわれやすい。
アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹等の過敏症状があらわれることがある。
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状を十分に観察し、異常が認められた場合には、胸部X線、胸部CT等の検査を実施すること。間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
深部静脈血栓症、肺塞栓症等があらわれることがある。
5%以上
5%未満
頻度不明
全身
頭痛、ほてり、倦怠感
疲労、無力症
肝臓
AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇
消化器
嘔気、嘔吐
下痢、食欲不振
精神神経系
感覚異常(錯感覚、味覚異常を含む)、傾眠、手根管症候群、抑うつ
皮膚
脱毛、発疹、皮膚血管炎、IgA血管炎
筋・骨格系
関節痛、硬直、骨折、関節炎、骨粗鬆症、骨痛、弾発指、筋肉痛
生殖器
性器出血、腟乾燥
血液
白血球減少
好中球減少
その他
高コレステロール血症
高カルシウム血症
閉経後健康女性にアナストロゾール1mgを空腹時に単回経口投与したとき、速やかに吸収され、投与後2時間以内に最高血漿中濃度17.8ng/mLに達し、血中半減期は約56時間であった。また、反復投与(1日1回1mg)による血中濃度の推移は、投与後7~10日目まで上昇し、その後ほぼ一定であった。定常状態における蓄積率は3~4であった1)。
Cmax
(ng/mL)
Tmax
(hr)
AUC0-∞
(μg·hr/mL)
t1/2
単回
17.8±1.0
1.3±0.2
1.04±0.12a)
56.3±4.5a)
反復
47.6±3.8
3.4±0.3
4.13±0.63
55.9±4.3
a)n=5
ヒトにおけるアナストロゾールの血漿蛋白結合率は約40%であった(in vitro)。
閉経後健康女性にアナストロゾールの放射能標識体10mg注1)を単回経口投与したとき、主要代謝物は、トリアゾール、グルクロン酸抱合体、アナストロゾール水酸化物のグルクロン酸抱合体であった(外国人のデータ)。
閉経後健康女性にアナストロゾールの放射能標識体10mg注1)を単回経口投与したとき、336時間後までに、投与量の70%以上が尿中に排泄された。また、本薬の約75%以上が肝代謝を受けて消失するものと考えられた(外国人のデータ)。
in vitro試験において本薬はCYP1A2、CYP2C9及びCYP3A4の活性を阻害したが、アンチピリン、ワルファリン及びタモキシフェンとの相互作用を検討する臨床試験において、その阻害能はアナストロゾールの臨床使用において問題となるものではないことが確認された2),3)。
ラット及びイヌでは1mg/kg以上の用量で酵素誘導作用が認められているが、外国人閉経後乳癌患者にアナストロゾール1mg或いは10mg注1)(計508例)を1日1回長期投与(投与期間の中央値142日間、最長534日間)した臨床試験において、定常状態におけるアナストロゾールの最小血漿中濃度を評価した結果、酵素誘導はみられなかった。
第I相試験及び前期第II相試験では、0.5mg/日~10mg/日注2)までの用量で合計90例の閉経後乳癌患者において、アナストロゾールの有効性及び安全性が検討されている4),5)。また、閉経後健康女性(単回、反復各12例)を対象とした臨床薬理試験においてアナストロゾール0.5mg/日及び1mg/日における薬力学的作用(血中エストロゲン濃度低下作用)について検討された1)。
第I相試験では、1mg群の6例中1例に副作用が認められ、嘔気、頭痛及びめまいが各1件であった。
前期第II相試験では、1mg群の34例中19例(55.9%)に副作用が認められ、主な副作用は、LDH上昇5例(14.7%)、白血球減少4例(11.8%)及び吐き気、AST上昇、ALT上昇、血清コレステロール上昇、アルブミン低下、好酸球増多、ほてりが各2例(5.9%)であった。
閉経後健康女性を対象とした臨床薬理試験では、単回投与1mg群の6例中1例に副作用が認められ、頭重感であった。反復投与1mg群の6例中1例(16.7%)に副作用が認められ、発汗、のぼせ感及び四肢のむくみ感が各1件であった。
海外臨床データを国内へ外挿する妥当性を確認するために臨床薬理及び薬効に関するブリッジング試験が実施されている6),7),8)。
アナストロゾールの薬力学的作用及び薬物動態に人種間で差がないことを確認する目的で実施した臨床薬理に関するブリッジング試験においては、日本人と白人の閉経後健康女性(各24例)を比較し、アナストロゾールの薬力学的効果及び薬物動態は日本人と白人で同様であることが確認された。
また、日本人におけるアナストロゾールの有効性の確認を目的として、閉経後進行・再発乳癌患者(日本人31例)を対象に下記海外試験と同様のデザインで実施した薬効に関するブリッジング試験では、日本人におけるアナストロゾールの有効性及び安全性が白人と同程度であることが確認された。
海外で実施された閉経後進行・再発乳癌患者を対象とした二重盲検比較試験(対照薬:タモキシフェンクエン酸塩)を上記薬効に関するブリッジング試験と合わせて解析した結果、評価対象例699例(海外668例、日本31例)のUICC判定基準にもとづく抗腫瘍効果は奏効率でタモキシフェン群32.8%(114/348例)に対し、アナストロゾール群で33.3%(117/351例)であった。また、病勢の進行までの期間(Time to progression:TTP)の中央値は251日間(約8.3ヵ月)に対し252日間(約8.3ヵ月)であり、本薬はタモキシフェンと少なくとも同等の有用性が認められた(追跡期間の中央値:約18ヵ月)。
後期第II相試験注1)
実施国/地域
(試験番号)
抗腫瘍効果奏効率注2)
(奏効例/評価例)
アナストロゾール群
タモキシフェン群
病勢の進行までの期間
(TTP)の中央値
(評価例)注3)
日本
(JP0027)
45.5%
(5/11)
35.0%
(7/20)
-
海外
(IL0027)
32.9%
(112/340)
32.6%
(107/328)
251日間
(340)
252日間
(328)
日本+海外
(JP0027+IL0027)
33.3%
(117/351)
32.8%
(114/348)
(351)
(348)
注1)ブリッジングにより、欧州で実施した試験データ(IL0027)を日本人データ(JP0027)と合わせて解析した。
注2)奏効率=(CR例数+PR例数)/(評価例数)×100
注3)1999年3月データカットオフ時の評価
臨床薬理に関するブリッジング試験において、アナストロゾールが投与された48例のうち、日本人24例中8例(33%)、白人24例中17例(71%)に副作用が認められた。主な副作用は、頭痛(日本人5例[21%]、白人8例[33%])、下痢(日本人3例[13%]、白人4例[17%])、不眠(日本人0例、白人3例[13%])及び腹痛(日本人3例[13%]、白人0例)であった。
薬効に関するブリッジング試験において、アナストロゾールが投与された347例(日本人11例、外国人336例)のうち、123例(35.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、ほてり(血管拡張)64例(18.4%)、嘔気26例(7.5%)及び脱毛症8例(2.3%)であった。日本では、アナストロゾールが投与された11例中4例(36.4%)に副作用が認められ、ほてり(血管拡張)、嘔気、間質性肺炎及び性器出血を伴った子宮内膜増殖症が各1例であった。
世界21ヵ国で実施した閉経後早期乳癌患者の術後補助療法大規模比較試験において9),10)、追跡期間の中央値約68ヵ月時点(2004年3月31日データカットオフ)での再発・死亡・対側乳癌の発生率は、アナストロゾール群(アナストロゾール1mg/日+プラセボ)18.4%(575/3,125例)、タモキシフェン群(タモキシフェン20mg/日+プラセボ)20.9%(651/3,116例)であった。無病期間のハザード比は0.87(95%信頼区間0.78-0.97、p=0.01)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して乳癌再発リスクを13%低下させた。遠隔再発までの期間のハザード比は0.86(95%信頼区間0.74-0.99、p=0.04)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して遠隔転移の再発リスクを14%低下させた。また、ホルモン受容体陽性患者における対側乳癌のハザード比は0.47(95%信頼区間0.29-0.75、p=0.001)であり、アナストロゾール群はタモキシフェン群と比較して対側乳癌発生リスクを53%低下させた。なお、追跡期間の中央値約47ヵ月時点でのアナストロゾール・タモキシフェン併用群(アナストロゾール1mg/日+タモキシフェン20mg/日)とタモキシフェン群との比較においては、無病期間のハザード比1.04(95%信頼区間0.92-1.19、p=0.5)であり、アナストロゾールの併用による追加効果は認められなかった。
アナストロゾール・タモキシフェン併用群3,097例中1,979例(63.9%)に副作用が認められ、主な副作用は、血管拡張1,171例(37.8%)、白帯下227例(7.3%)及び体重増加170例(5.5%)であった。アナストロゾール群3,092例中1,734例(56.1%)に副作用が認められ、主な副作用は、血管拡張976例(31.6%)及び体重増加160例(5.2%)であった(2001年6月29日データカットオフ)。
ホルモン受容体陽性閉経後乳癌患者への多施設共同無作為化二重盲検比較試験(日本人97例、日本人以外354例)において11)、術前療法としてアナストロゾール又はタモキシフェンを3ヵ月間投与した後の抗腫瘍効果(奏効率)は、アナストロゾール群39.5%(90/228例)、タモキシフェン群35.4%(79/223例)で群間に有意差は認めなかった。
アナストロゾール群228例に認められた主な有害事象は、悪心47例(20.6%)、脱毛症35例(15.4%)、ほてり19例(8.3%)、頭痛15例(6.6%)及び嘔吐12例(5.3%)であった。
アナストロゾールはアロマターゼの活性を阻害することにより、アンドロゲンからのエストロゲン生成を阻害し、乳癌の増殖を抑制する。
閉経後進行乳癌患者にアナストロゾール1日1回1mgを反復投与したとき、アロマターゼ活性は約96%阻害された(外国人のデータ)12)。
閉経後進行乳癌患者にアナストロゾール1日1回1mg及び10mgを反復投与したときの血漿中エストラジオール濃度は投与前値に対してそれぞれ約90%低下し、本薬の血漿中エストラジオール濃度低下作用は両用量でほぼ同程度であった4)。
DMBA(7,12-Dimethylbenz[a]anthracene)により誘発したラットの乳癌に対し、アナストロゾールは10mg/kg/日の反復経口投与により、腫瘍の増殖を有意に抑制した13)。
卵巣摘除ヌードマウスに移植したヒト乳癌細胞株MCF-7CAに対し、アナストロゾールは5μg/日の反復皮下投与により、エストロゲン依存性の増殖を有意に抑制した14)。
ラット、イヌ、サルを用いた試験で、アナストロゾールはアロマターゼを阻害する用量でステロイドホルモン生合成に関与する他のチトクロームP450酵素に対し阻害作用を示さなかった15)。
アナストロゾール(Anastrozole)
*2,2'-[5-(1H-1,2,4-Triazol-1-ylmethyl)benzene-1,3-diyl]bis(2-methylpropanenitrile)
C17H19N5
293.37
*白色の結晶性の粉末又は粉末である。アセトニトリルに極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすく、水に極めて溶けにくい。結晶多形が認められる。
(PTP)30錠(10錠×3) 100錠(10錠×10)
1) Nomura Y, et al.:Clin Drug Invest. 2000;20(5):357-369
2) Grimm SW, et al.:Drug Metab Dispos. 1997;25(5):598-602
3) Dowsett M, et al.:Eur J Cancer. 1998;34(S1), abs. 100, S39-S40
4) 小山博記ほか:乳癌の臨床 2000;15(5):577-583
5) 小山博記ほか:乳癌の臨床 2000;15(5):567-576
6) Dowsett M, et al.:Cancer Chemother Pharmacol. 2000;46(1):35-39
7) Watanabe T, et al.:Proc Am Soc Clin Oncol. 2000;19:abs. 396, 103a
8) Bonneterre J, et al.:J Clin Oncol. 2000;18(22):3748-3757
9) The ATAC(Arimidex, Tamoxifen Alone or in Combination)Trialists' Group. Cancer. 2003;98(9):1802-1810
10) The ATAC(Arimidex, Tamoxifen Alone or in Combination)Trialists' Group. Lancet. 2005;365(9453):60-62
11) Cataliotti L, et al.:Cancer 2006;106(10):2095-2103
12) Geisler J, et al.:Br J Cancer. 1996;74(8):1286-1291
13) Dukes M.:Oncology 1997;54(Suppl.2):6-10
14) Lu Q, et al.:Breast Cancer Res Treat. 1999;57(2):183-192
15) Dukes M, et al.:J Steroid Biochem Molec Biol. 1996;58(4):439-445
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