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劇薬
処方箋医薬品注)
診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に投与すること。
通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。
小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。
通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回500~1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。しかし、本剤の耐薬量及び有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。
小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回150~600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。
成人:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とし、1日3回食後経口投与することもできる。
通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回250~1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。
[参考:懸濁液の投与量(mL)]
ミコフェノール酸 モフェチルの1回投与量
懸濁液200mg/mLの液量
200mg
1mL
500mg
2.5mL
1,000mg
5mL
2,000mg
10mL
症状を増悪させるおそれがある。
血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。
肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルスの再活性化やC型肝炎の悪化の徴候や症状の発現に注意すること。免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎の悪化がみられることがある。
症状を増悪させるおそれがある。調製後の懸濁液は1mL中1mgのアスパルテーム(L-フェニルアラニン化合物)を含有する。
症状を増悪させるおそれがある。調製後の懸濁液は1mL中399mgのD-ソルビトールを含有する。
重度の腎障害のある心移植、肝移植、肺移植患者に対する臨床試験は実施していない。
*妊娠する可能性のある女性への使用に際しては、患者に次の注意事項についてよく説明し理解させた後、使用すること。本剤には催奇形性がある。
*妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。妊娠中に本剤を服用した患者において、耳(外耳道閉鎖、小耳症等)、眼(眼欠損症、小眼球症等)、顔面(両眼隔離症、小顎症等)、手指(合指、多指、短指等)、心臓(心房中隔欠損症、心室中隔欠損症等)、食道(食道閉鎖等)、神経系(二分脊椎等)等の催奇形性が報告されている。本剤を服用した妊婦における流産は45~49%との報告がある1),2)。また、ラットで、脳露出、腹壁破裂(6mg/kg/日)等が、ウサギで、動脈管開存、胸部及び腹壁破裂(90mg/kg/日)等が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行(6mg/kg単回投与)が報告されている。ヒトでの乳汁移行に関するデータはない。
国外で行われた生後3カ月から18歳以下の小児患者100例を対象とした臨床試験において発現した副作用の種類及び発現率は、成人に投与した場合と類似していたが、下痢、白血球減少、敗血症、感染、貧血は小児での発現率が10%以上であり、小児(特に6歳未満)の方が成人に比べて高かった。低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
観察を十分に行い、必要に応じて用量等の調節を行うこと。感染症、消化管出血等の副作用発現の危険性が増加するおそれがある。
生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン 等)
類薬による免疫抑制下で、生ワクチン接種により発症したとの報告がある。
免疫抑制作用により発症の可能性が増加する。
*イサブコナゾニウム硫酸塩
本剤の作用が増強するおそれがある。
グルクロン酸抱合を阻害する薬剤との併用により、本薬の曝露量が増加すると考えられる。イサブコナゾニウム硫酸塩の活性代謝物であるイサブコナゾールがUGTを阻害することにより、本薬のAUCが35%増加したとの報告がある。
アザチオプリンミゾリビン
骨髄機能抑制が起こるおそれがある。
両剤とも骨髄機能抑制作用が報告されている。
*シクロスポリン
本剤の作用が減弱するおそれがある。
併用により、本薬の腸肝循環が阻害され、本薬の血中濃度が低下すると考えられる。
*腸肝循環に影響を与える薬剤コレスチラミンコレスチミド
コレスチラミンとの併用により、本薬のAUCが40%低下したとの報告がある。
*マグネシウム及びアルミニウム含有制酸剤
併用により、本薬の吸収が減少したとの報告がある。
*ランソプラゾール
併用により、本薬の吸収が減少したとの報告がある。併用薬によるpHの上昇により、本剤の溶解性が低下すると考えられる。
*セベラマー
併用により、本薬のCmaxが30%、AUCが25%低下したとの報告がある。
*シプロフロキサシンアモキシシリン・クラブラン酸(合剤)
併用により、本薬のトラフ値が約50%低下したとの報告がある。併用薬により腸内細菌叢が変化することにより、本薬の腸肝循環が阻害され、本薬の血中濃度が低下すると考えられる。
*リファンピシン
リファンピシンが肝代謝酵素を誘導することにより本薬の代謝が促進され、本薬の血中濃度が低下すると考えられる。
*アシクロビルバラシクロビルガンシクロビルバルガンシクロビル
副作用があらわれるおそれがある。
腎尿細管での分泌が競合し、本薬の代謝物及びアシクロビル、ガンシクロビル等の血中濃度が上昇する。
不活化ワクチン
ワクチンの効果を減弱させるおそれがある。
本剤の免疫抑制作用により、接種されたワクチンに対する抗体産生が抑制される。
免疫抑制療法は、二次的感染症に対し感受性を高め、日和見感染を起こす可能性がある。サイトメガロウイルス感染症、非定型抗酸菌感染症、アスペルギルス感染症、カンジダ感染症、ムコール感染症、ニューモシスティス感染症、パルボウイルス感染症、ノカルジア感染症、黄色ブドウ球菌感染症、リステリア感染症、結核等があらわれることがある。また、肺炎、敗血症、感染性心内膜炎、帯状疱疹、単純疱疹、上気道感染、気管支炎、感冒、髄膜炎、創感染、腹膜炎、食道炎、腸炎、胆管炎、膿瘍があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。異常が認められた場合には、減量・休薬、抗生物質、抗ウイルス剤の投与等の適切な処置を行うこと。
本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
汎血球減少(1.4%)、好中球減少(0.6%)、無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(12.0%)、血小板減少(1.7%)、貧血(5.8%)、赤芽球癆(0.1%)があらわれることがある。
他の免疫抑制剤と併用する場合に、過度の免疫抑制により発現の可能性が高まることがある。
消化管潰瘍(1.1%)、消化管出血(0.3%)、消化管穿孔(0.1%)、イレウス(0.4%)があらわれることがある。
脱水症状に至った症例も報告されている。患者の状態により止瀉薬の投与、補液等の適切な処置を行うこと。
脳梗塞、網膜静脈血栓症、動脈血栓症があらわれることがある。
腎不全、腎尿細管壊死、水腎症、腎機能障害があらわれることがある。
心不全(0.3%)、狭心症(0.1%)、心停止(頻度不明)、不整脈(期外収縮、心房細動、心房粗動、上室性・心室性頻脈等)(0.1%)、肺高血圧症、心嚢液貯留(以上頻度不明)があらわれることがある。
AST、ALT、γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDHの上昇、黄疸があらわれることがある。
異常が認められた場合には、神経学的検査やCT、MRIによる画像診断を行うこと。
1%以上
1%未満
頻度不明
血液
ヘマトクリット値減少、ヘモグロビン減少、赤血球数減少、好中球数増加、白血球数増加
網赤血球増加・減少、低色素性貧血
赤血球増加症、プロトロンビン時間延長、トロンボプラスチン時間延長、斑状出血、点状出血
消化器
下痢(12.0%)、腹痛、嘔吐、嘔気、食欲不振、アミラーゼ上昇、腸炎、腹部膨満
胃炎、口内炎、便秘、膵炎、メレナ、消化不良、嚥下障害
腸絨毛萎縮注2)、直腸障害、鼓腸、歯肉炎、歯肉肥厚、口渇、口内乾燥
精神神経系
頭痛、しびれ(四肢・舌等)、めまい、うつ、振戦、不眠、失神、ニューロパシー、不安、譫妄
筋緊張亢進、異常感覚、傾眠、発声障害、激越、情動障害、思考異常
肝臓
AST、ALT 、γ-GTP、LDHの上昇
Al-P、ビリルビン、LAPの上昇
腎臓
尿路感染
出血性膀胱炎、BUN上昇、蛋白尿、クレアチニン上昇、血尿、尿閉
頻尿、遺尿、尿失禁、排尿困難
代謝異常
高尿酸血症(4.9%)、Mg上昇、トリグリセライド上昇、高脂血症
コレステロール上昇、コリンエステラーゼ低下、血清総蛋白減少、AG比異常、血清アルブミン低下、血糖値上昇、K上昇・低下、P、Cl、Naの低下、低カルシウム血症、高リン酸血症、痛風、低マグネシウム血症
循環血液量増加・減少、高カルシウム血症、低血糖、アルカローシス
皮膚
脱毛、発疹、蜂巣炎、痤瘡、小水疱性皮疹、皮膚潰瘍
真菌性皮膚炎、皮膚肥厚、瘙痒、発汗、男性型多毛症
呼吸器
鼻咽頭炎
副鼻腔炎、咳増加、胸水、喘息
呼吸困難、喀痰増加、過換気、無気肺、鼻出血、喀血、しゃっくり
筋・骨格
骨粗鬆症、関節痛、筋力低下、筋痛
下腿痙直
循環器
高血圧、頻脈
起立性低血圧、低血圧、血管拡張、徐脈、静脈圧増加、血管痙攣
眼
白内障
結膜炎、視覚障害、弱視、眼出血
耳
耳痛、耳鳴
内分泌
甲状腺機能低下
副甲状腺障害、クッシング症候群
その他
免疫グロブリン減少(3.6%)、発熱、サイトメガロウイルス抗体増加注3)、CRP上昇
倦怠感、浮腫、胸痛、体重減少、免疫グロブリン増加、ヘルニア、悪寒、出血、無力症
顔面浮腫、腹水、嚢腫(リンパ嚢腫、陰嚢水腫を含む)、体重増加、インフルエンザ様症状、疼痛、骨盤痛、頚部痛、インポテンス、蒼白、急性炎症反応注4)
本剤は通常血液透析では除去されないが、コレスチラミン(胆汁酸結合剤)投与により排泄を促進することによって除去できる。
腎移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1回500~2,000mg注1)を1日2回反復経口投与したとき、投与開始3週目におけるMPAの血漿中濃度及び薬物動態パラメータは以下のとおりであり、AUCに用量比例性が認められた4),5)。
投与量(mg)
AUC0-12h(μg・hr/mL)
Cmax(μg/mL)
Cmin(μg/mL)
500(n=9)
18.4±3.16
4.74±2.36
0.56±0.23
1,000(n=5)
48.8±16.4
12.6±5.22
1.95±0.99
1,500(n=5)
57.8±21.3
11.8±2.73
1.99±2.01
2,000(n=4)注1)
80.6±16.7
19.3±5.17
2.61±0.91
平均値±SD、n;症例数
注1) 本剤の腎移植における承認最大用量は1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与である。
懸濁用散(試験製剤)とカプセル(標準製剤)を、クロスオーバー法によりそれぞれ1.25mL又は1カプセル(ミコフェノール酸 モフェチルとして250mg)を健康成人男性に絶食時単回経口投与したときの血漿中MPA濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(Cmax、AUC0-48h)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内にあり、両剤形の生物学的同等性が確認された6)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0-48h(μg・hr/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
懸濁用散(n=37)
9.35±1.86
15.5±3.74
0.460±0.138
12.9±4.87
カプセル(n=36)
10.9±3.44
16.4±4.17
0.639±0.211
13.1±3.65
健康成人12例にミコフェノール酸 モフェチルとして1,000mgを単回経口投与したときの血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった7)(外国人データ)。
AUC0-∞(μg・hr/mL)
MPA
0.726±0.443
24.0±11.9
15.8±8.40
57.9±16.4
平均値±SD
14C-ミコフェノール酸 モフェチル5mg/kgを経口投与した雄ラットから投与後1時間までに排泄された胆汁を別の雄ラットに経口投与したところ、胆汁中に排泄された放射能の約85%が再吸収された8)。
MPAの血漿蛋白結合率は、0.3~200μg/mLの濃度範囲では97~98%であり、そのうち約96%が血清アルブミンへの結合であった(in vitro)(外国人データ)。
ミコフェノール酸 モフェチルは投与後速やかにヒトの消化管粘膜、肝臓、血液でMPAと非活性代謝物ヒドロキシエチルモルフォリン(HEM)に加水分解される(外国人データ)。
MPA由来の代謝物については、健康成人4例に14C-ミコフェノール酸 モフェチルを1,000mg単回経口投与したとき、投与後72時間までに約90%が尿中に、約5%が糞中に排泄された。このうち尿中排泄物の約95%はMPAのグルクロン酸抱合体(MPAG)であった。HEM由来の代謝物は、投与後24時間までに約92.1%が尿中に排泄され、主代謝物としてはHEMの酸化反応生成物カルボキシメチルモルフォリンであった(外国人データ)。
14C-ミコフェノール酸 モフェチル6mg/kgを授乳ラットに単回経口投与したところ、投与後24時間までの乳汁中放射能のAUCは血漿中放射能のAUCの19%であった。また、乳汁中には未変化体は認められず主代謝物はMPA及びMPAGであった9)。
小児腎移植患者(2~17歳)にミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回反復経口投与した時の投与3カ月目における血漿中のMPAの薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。なお、試験全期間(12カ月)における平均投与量は655.0mg/m2/日であった10)。
年齢範囲(例数)
<6歳(3)6歳~<12歳(5)12歳~(7)全患者(15)
0.5±0.00.5±0.21.0±0.6-
11.5±7.825.3±10.419.1±8.020.9±10.2
---46.7±19.0
小児腎移植患者(生後3カ月~18歳以下)にミコフェノール酸 モフェチル(懸濁用散)として1回600mg/m2を1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは、以下のとおりであった。小児腎移植患者におけるMPAの平均AUC0-12hは、ミコフェノール酸 モフェチル(カプセル)として1回1,000mgを1日2回反復経口投与した成人腎移植患者の結果と同様であった(外国人データ)。
測定時期
Cmax(μg/mL)注2)
AUC0-12h(μg・hr/mL)注2)
移植後7日目
3カ月~<2歳(6)注3)3カ月~<6歳(17)6歳~<12歳(16)12歳~18歳(21)全患者(54)
3.03±4.701.63±2.850.940±0.5461.16±0.8301.24±1.70
10.3±5.8013.2±7.1613.1±6.3011.7±10.712.6±8.37
22.5±6.6627.4±9.5433.2±12.126.3±9.14注4)28.7±10.5
移植後3カ月目
3カ月~<2歳(4)注3)3カ月~<6歳(15)6歳~<12歳(14)12歳~18歳(17)全患者(46)
0.725±0.2760.989±0.5111.21±0.5320.978±0.4841.05±0.507
23.8±13.422.7±10.127.8±14.317.9±9.5722.5±11.8
47.4±14.749.7±18.261.9±19.653.6±20.3注5)54.9±19.6注6)
移植後9カ月目
3カ月~<2歳(4)注3)3カ月~<6歳(12)6歳~<12歳(11)12歳~18歳(14)全患者(37)
0.604±0.2080.869±0.4791.12±0.4621.09±0.5181.03±0.488
25.6±4.2530.4±9.1629.2±12.618.1±7.2925.4±11.1
55.8±11.661.0±10.766.8±21.256.7±14.061.1±15.7
注2)600mg/m2用量に補正した
注3)3カ月~<6歳と重複する
注4)n=20
注5)n=16
注6)n=45
健康成人、腎機能低下患者及び透析患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1,000mgを単回経口投与したときの血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった11)(外国人データ)。,,
GFR(mL/min/1.73m2)
AUC0-96h(μg・hr/mL)
>80(n=6)
0.8±0.3
25.3±8.0
45.0±22.6
50-80(n=6)
26.0±3.8
59.9±12.9
25-49(n=6)
19.0±13.2
52.9±25.5
<25(n=6)
1.0±0.4
16.3±10.8
78.6±46.4
透析後投与(n=6)
16.1±7.3
76.9±25.4
投与後透析(n=6)
2.3±3.8
7.1±2.8
60.5±38.1
心移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1,500mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった12)(外国人データ)。
心移植後1日目
2.02±1.83(n=17)
11.6±7.45(n=17)
36.7±11.9(n=16)
心移植後5日目
1.58±0.998(n=10)
13.3±7.80(n=10)
実施せず
心移植後退院前日
1.77±1.32(n=11)
11.5±6.76(n=11)
43.3±20.8(n=9)
心移植後6カ月
1.12±0.655(n=52)
19.8±9.27(n=54)
53.9±20.0(n=53)
肝移植患者にミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mg 1日2回7日間の静脈投与注7)に引き続き、ミコフェノール酸 モフェチルとして1,500mgを1日2回反復経口投与した時の血漿中MPAの薬物動態パラメータは以下のとおりであった13)(外国人データ)。
初回投与日(n=21)
1.13±0.430
13.2±6.64
31.0±14.3
投与開始6カ月後(n=14)
1.07±0.600
29.3±17.2
60.6±18.4
注7)本剤の肝移植における承認最大用量は1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与である。
腎移植後の難治性拒絶反応患者41例に対して、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,500mgを1日2回12週間経口投与したときの治療効果を検討した国内臨床試験において、有効性評価対象症例26例の成績概要は以下のとおりであった14)。
著 効
有 効
やや有効
無 効
計
12(46.2)
6(23.1)
3(11.5)
5(19.2)
26
18(69.2)
8(30.8)
再発なし
再発あり
22(84.6)
4(15.4)
生 着
機能廃絶
23(88.5)
腎移植後の難治性拒絶反応患者77例に対して、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,500mgを1日2回8週間経口投与したときの治療効果を検討した米国での第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験成績をもとに、投与前の血清クレアチニン値が5.0mg/dL以上群と5.0mg/dL未満群の2群で層別解析した結果、完全寛解例数は以下のとおりであった(外国人データ)。
≧5.0mg/dL
<5.0mg/dL
7/13(53.8)
45/64(70.3)
52/77(67.5)
腎移植後の患者136例に対して、シクロスポリン及びステロイド併用下にミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mg又は1,500mgを1日2回24週間経口投与したときの拒絶反応抑制効果を検討した二重盲検比較試験において、有効性評価対象症例125例の成績は以下のとおりであった15)。
1回投与量
急性拒絶反応の発現例数(%)
投与例数
22(34.9)
63
1,500mg
17(27.4)
62
生存例数(%)
63(100)
61(98.4)
生着例数(%)
62(98.4)
58(93.5)
小児腎移植患者25例(2~17歳)に対して、他の免疫抑制剤との併用下でミコフェノール酸 モフェチルとして1回300~600mg/m2を1日2回経口投与したときの拒絶反応抑制効果を検討した臨床試験において、腎移植後6カ月の拒絶反応発現率は24.0%(6/25例)、腎移植後1年の生存率及び生着率はいずれも100.0%(25/25例)であった10)。副作用は25例中16例(64.0%)に30件発現し、主な副作用は、サイトメガロウイルス血症9件、サイトメガロウイルス感染4件、下痢3件等であった。
心移植後患者578例を対象とした二重盲検比較試験において、シクロスポリン及びステロイド併用下でミコフェノール酸 モフェチル(MMF;1回1,500mgを1日2回経口投与)あるいはアザチオプリン(AZA;1.5~3.0mg/kg/日の経口投与)を投与したときの有効性に関する成績は以下のとおりであった16)(外国人データ)。
評価項目
MMF群n=289
AZA群n=289
移植後6カ月間における心血行動態に影響を伴った拒絶反応の発現例数(死亡又は再移植を含む)(%)
92(31.8)
100(34.6)
移植後1年以内に死亡又は再移植した例数(%)
18(6.2)
33(11.4)
肝移植後患者565例を対象とした二重盲検比較試験において、シクロスポリン及びステロイド併用下でミコフェノール酸 モフェチル(MMF;1回1,500mgを1日2回経口投与)あるいはアザチオプリン(AZA;1.0~2.0mg/kg/日の経口投与)を投与したときの有効性に関する成績は以下のとおりであった17)(外国人データ)。
MMF群n=278
AZA群n=287
移植後6カ月間に生検により確認され、治療を受けた拒絶反応の発現例数(死亡又は再移植を含む)(%)
106(38.1)
137(47.7)
39(14.0)
42(14.6)
肺移植患者における拒絶反応の抑制効果が認められている18),19),20)(外国人データ)。
膵移植(膵腎同時移植)患者における拒絶反応の抑制効果が認められている21),22),23),24),25),26),27),28)(外国人データ)。
ミコフェノール酸 モフェチルは、生体内で速やかにMPAに加水分解される。MPAは、de novo系、salvage系2つのプリン生合成経路の内、de novo経路の律速酵素であるイノシンモノホスフェイト脱水素酵素を不競合的、可逆的かつ特異的に阻害することにより、GTP、デオキシGTPを枯渇させ、DNA合成を抑制する29),30),31),32)。T、Bリンパ球細胞は核酸合成を主としてde novo系に依存するのに対して、免疫系以外の細胞はde novo、salvage両系に依存している29),33)。MPAはsalvage系酵素には影響しないため、結果的にリンパ球細胞の増殖を選択的に抑制し、臓器移植後に発症する拒絶反応の形成不全を誘導する29),30)。
ヒトリンパ球系細胞株の増殖、マイトジェン刺激したヒト末梢血リンパ球及び脾臓Bリンパ球の増殖や抗体産生、並びにヒトリンパ球の混合リンパ球反応を強力に抑制した32),34),35)。一方、ヒト線維芽細胞、臍帯内皮細胞の増殖抑制は軽度であった32)。
マウス細胞傷害性Tリンパ球の誘導抑制、感作マウス及びラット脾臓の抗体産生抑制、脾臓摘出ラットの血中自然抗体産生能低下、感作マウスリンパ節、脾臓のDNA合成の特異的抑制を示した3),35),36),37)。
動物の同種臓器移植において、進行性急性拒絶反応の改善を認めた(イヌ腎臓、ラット心臓・小腸)。また、急性拒絶反応を抑制し、移植臓器片の生着・生存期間を延長させ、他剤との併用投与により免疫抑制作用を増強した(イヌ腎臓・肝臓、ラット心臓・小腸、マウス膵臓)38),39),40),41),42),43),44),45)。さらに、ラット脈管炎モデルでの冠状動脈炎、内膜増殖・肥厚を抑制した46)。
ミコフェノール酸 モフェチル(Mycophenolate Mofetil)(JAN)
2-morpholinyl(E)-6-(1,3-dihydro-4-hydroxy-6-methoxy-7-methyl-3-oxoisobenzofuran-5-yl)-4-methyl-4-hexenoate
C23H31NO7
433.49
白色の結晶性の粉末である。N, N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)及びジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
94~98℃(融解開始点と融解終点の差は2.5℃以内)
カプセルは、湿気を避けて保存すること。
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
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