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処方箋医薬品注)
A型又はB型インフルエンザウイルス感染症及びその予防
成人
クレアチニンクリアランス(mL/分)
投与法
治療
予防
Ccr>30
1回75mg 1日2回
1回75mg 1日1回
10<Ccr≦30
1回75mg 隔日又は1回30mg 1日1回
Ccr≦10
推奨用量は確立していない
Ccr:クレアチニンクリアランス
(参考)国外では、幼小児における本剤のクリアランス能を考慮し、以下に示す体重群別固定用量が用いられている。
体重
固定用量注)
15kg以下
1回30mg
15kgを超え23kg以下
1回45mg
23kgを超え40kg以下
1回60mg
40kgを超える
1回75mg
注)用量(mg)はオセルタミビルとして治療に用いる場合は1日2回、予防に用いる場合は1日1回
腎機能の低下に応じて用法及び用量を調節すること。血漿中濃度が増加する。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性に投与する場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過性が報告されている。
治療の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。
副作用の発現に十分注意すること。低出生体重児又は2週齢未満の新生児、腎機能障害を有する小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。,
状態を観察しながら投与すること。一般に高齢者では、生理機能(腎機能、肝機能等)の低下や、種々の基礎疾患を有することが多い。国外で実施されたカプセル剤による臨床試験成績では、副作用の頻度及び種類は非高齢者との間に差は認められていない。
ワルファリン
併用後にプロトロンビン時間が延長した報告がある。併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序は不明である。
*経鼻弱毒生インフルエンザワクチン
経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの効果が得られないおそれがある。
ワクチンウイルスの増殖が抑制され、経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの効果が減弱する可能性がある。
蕁麻疹、顔面・喉頭浮腫、呼吸困難、血圧低下等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
異常が認められた場合にはX線等の検査により原因(薬剤性、感染性等)を鑑別し、適切な処置を行うこと。
重篤な肝炎、AST、ALT、γ-GTP、Al-Pの著しい上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
精神・神経症状(意識障害、譫妄、幻覚、妄想、痙攣等)があらわれることがある。因果関係は不明であるものの、インフルエンザ罹患時には、転落等に至るおそれのある異常行動(急に走り出す、徘徊する等)があらわれることがある。
血便、血性下痢等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
0.1%以上注1)
0.1%未満注1)
頻度不明
皮膚
発疹(0.8%)、紅斑(多形紅斑を含む)
蕁麻疹、そう痒症
皮下出血注2)
消化器
下痢(2.8%)、嘔吐(2.0%)、腹痛、悪心
口内炎(潰瘍性を含む)、便異常
口唇炎、血便注2)、メレナ注2)、吐血注2)、消化性潰瘍、腹部膨満、口腔内不快感、食欲不振
精神神経系
激越、嗜眠、傾眠、振戦
めまい、頭痛、不眠症、感覚鈍麻、悪夢
循環器
上室性頻脈、心室性期外収縮、心電図異常(ST上昇)、動悸
肝臓
ALT増加、AST増加
γ-GTP増加、Al-P増加
腎臓
血尿注2)、蛋白尿
血液
好酸球数増加
呼吸器
鼻出血注2)、気管支炎
咳嗽
眼
結膜炎
視覚障害(視野欠損、視力低下)、霧視、複視、眼痛
その他
低体温(0.8%)
発熱
疲労、不正子宮出血注2)、耳の障害(灼熱感、耳痛等)、浮腫、血中ブドウ糖増加、背部痛、胸痛
嘔吐、傾眠、浮動性めまい等が発現することがある。
カプセル剤及びドライシロップ剤は成人被験者による生物学的同等性試験成績より、両製剤は同等であることが示された1)(外国人データ)。
剤形
AUCinf(ng・hr/mL)
Cmax(ng/mL)
Tmax(hr)
t1/2(hr)
ドライシロップ剤
6,870±1,360
546±101
5.1±1.5
7.2±1.7
カプセル剤
6,940±1,620
615±147
4.5±1.0
6.4±1.5
mean±SD
注1)治療投与:成人に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日2回、5日間投与である。幼小児に対して承認された用法及び用量は、1回2mg/kgを1日2回、5日間投与である。予防投与:成人に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日1回、7~10日間投与である。幼小児に対して承認された用法及び用量は、1回2mg/kgを1日1回、10日間投与である。
雌雄ラットに[14C]-オセルタミビル20mg/kgを単回経口投与した際、放射能は各組織に速やかに分布し、雌雄で類似していた。消化管を除くと肝臓、腎臓で高濃度を示し、標的組織の1つと考えられている肺では血漿の約2倍であったが、中枢神経系への移行は少なかった。雌において胎児への移行が認められ、移行放射能は母体側血漿の約1/2であった。放射能は投与48時間後までに各組織からほぼ完全に消失した2)。
オセルタミビル及びその活性体のヒト、ラット、ウサギ及びイヌ血漿蛋白との結合率は、オセルタミビルでは全ての種類において50%以下の結合であったが、活性体ではいずれの種類においても平均で3%以下の弱いものであった3)(in vitro試験)。
オセルタミビルはヒトにおいて経口投与後速やかに主として肝臓で活性体に加水分解される。また、ヒト肝ミクロソームを用いた代謝試験において、P450による代謝は認められなかった4)(in vitro試験)。
健康成人男子に対しオセルタミビルとして37.5~300mgを単回経口投与注1)したとき、未変化体及び活性体あわせて投与48時間後までに70~80%が尿中に排泄された5)。
授乳ラットに[14C]-オセルタミビル10mg/kgを単回経口投与した際、放射能は乳汁中に移行し、投与1時間後で最高濃度に達した。その後、血漿中とほぼ同様な推移で消失したが、乳汁中/血漿中濃度比は常に乳汁中において高かった6)。
国内第Ⅱ相臨床試験において、オセルタミビルとして2mg/kgを1日2回投与時の定常状態におけるオセルタミビル活性体の投与後4時間及び12時間における血漿中濃度を可能な患児において測定した。その結果、トラフに相当する血漿中活性体濃度12hr値はいずれの年齢層においても115ng/mL以上であり、抗インフルエンザウイルス効果を期待できる濃度を維持していた7)。
血漿中活性体濃度(ng/mL)
項目
1~4歳
5~8歳
9~12歳
全体
4hr
例数
7
5
4
16
平均
264.0
328.6
354.8
306.9
標準偏差
56.0
30.8
81.2
66.7
中央値
252.0
330.0
346.5
308.5
最小-最大
188.0-366.0
280.0-355.0
265.0-461.0
188.0-461.0
CV
21.2
9.4
22.9
21.7
90%信頼区間
222.9-305.1
299.3-357.9
259.2-450.3
277.6-336.1
12hr
8
2
15
170.4
165.4
240.5
178.1
31.6
40.7
13.4
40.4
162.5
167.0
128.0-217.0
115.0-216.0
231.0-250.0
115.0-250.0
18.6
24.6
5.6
22.7
149.2-191.6
126.6-204.2
180.5-300.5
159.7-196.4
健康な男女小児を対象とした2つの臨床試験において、1~5歳を1~2歳、3~5歳の2グループ(各12例)及び5~18歳を5~8歳、9~12歳及び13~18歳の3グループ(各6例)に分け、食後にオセルタミビルとして2.0~3.9mg/kgを単回経口投与注1)したとき、1~2歳における活性体のAUCinfは2,810ng・hr/mLで3~5歳に比較して16%低かった。また、年齢5~18歳において年齢5~8歳のグループでは13~18歳のグループに比較し活性体の消失は速く、結果として曝露量の低下が認められた。年齢5~8歳のグループにおける活性体のAUCinfは年齢13~18歳のグループに比較し60%であった。これら小児グループにおける活性体の薬物動態パラメータをオセルタミビル75mg及び150mg反復投与注1)した日本人及び白人の成人における臨床試験より得られた薬物動態パラメータと比較したとき、年齢5~8歳のグループにおけるAUCinfは成人の75mg(1mg/kgに相当)投与における投与1日目のAUCinfと同様であり、年齢9~12歳のグループでは成人の75mg及び150mgの間にあり、年齢13~18歳のグループでは成人の150mg(2mg/kgに相当)と同様であった8)(外国人データ)。同様に、すべての年齢グループにおける投与12時間後における血漿中活性体濃度は成人における投与量150mgにおける値を越えるものでなく、抗インフルエンザウイルス活性を期待できる濃度を維持した。
小児グループ(例数)
1~2歳注2)(12)
2,810±871
121±51
5.6±2.2
14.9±7.3
3~5歳注2)(12)
3,350±678
179±73
5.0±2.3
11.3±5.5
5~8歳(6)
2,746±368
183±36
3.7±0.5
8.8±2.0
9~12歳(6)
3,208±394
231±46
7.8±1.8
13~18歳(6)
4,534±929
319±76
4.3±0.8
8.1±2.2
注2)各パラメータは1~2歳30mg、3~5歳45mg投与を2mg/kgに補正したもの
投与量(mg)
75(日本人)
2,107±374
191±32.5
4.91±1.02
6.46±1.42
75(白人)
2,274±1,105
142±39.7
5.84±1.16
10.0±6.86
150(日本人)
5,189±1,187
468±84.3
5.16±0.754
6.30±1.95
150(白人)
5,036±1,524
383±98.6
4.42±1.11
7.81±5.23
1~18歳の小児に2mg/kgの用量で1日2回投与した場合、活性体の曝露量は、成人における安全性及び有効性が示された曝露量と同様であった。国外ではこれら小児での薬物動態の傾向から、活性体のクリアランス能が低年齢児で高く、年齢に伴い減少することを踏まえ、目標とする活性体の曝露量を得るため、年齢に相関する体重を基準とした体重群別固定用量として設定された(外国人データ)。
用量を2mg/kgに補正した日本人小児における定常状態での血漿中活性体濃度4hr値及び12hr値につき、3つの国外小児試験より用量(2mg/kg)及び定常状態への補正を行った4hr値及び12hr値と比較した。この結果、日本人小児における4hr値及び12hr値は国外小児における4hr値及び12hr値の分布の範囲内にあった9)(日本人及び外国人データ)。
年齢80歳以上の高齢者5例にオセルタミビルとして75mgを単回経口投与(絶食時)したときのオセルタミビル活性体の薬物動態パラメータは以下のとおりであった10)。
75
6,063±604
439±29
5.0±0.0
7.0±0.6
クレアチニンクリアランス(Ccr)値により規定された腎機能障害者を含む20例を対象とし、オセルタミビルとして100mg1日2回を6日間反復投与注1)したときの活性体薬物動態は、以下の表のとおり腎機能に依存した。高度な腎機能障害者においては投与量の調整が必要であると考えられた11)(外国人データ)。,,
Ccr値(mL/分)
AUC0-12h(ng・hr/mL)
CLr0-12h(L/hr)
Ccr≦30
43,086±18,068
4,052±1,519
1.54±0.55
30<Ccr≦60
15,010±4,158
1,514±392
4.19±0.67
60<Ccr≦90
9,931±1,636
1,058±183
7.25±1.15
Ccr>90
4,187±630
494±80
17.50±2.78
P450を介した薬物相互作用の検討において、オセルタミビルはヒト肝ミクロソームにおける各種P450基質の代謝に対してほとんど影響を与えなかった12)(in vitro試験)。また、オセルタミビルは尿酸排泄促進薬のプロベネシドとの併用により腎クリアランスの低下、AUCinf及びCmaxの約2倍の増加が認められた。このことはアニオン型輸送過程を経て腎尿細管分泌されるオセルタミビルは同経路で排泄される薬剤との併用により競合的相互作用を生ずる可能性を示唆している。しかし、この競合による薬物動態の変化の割合は、投与量の調整が必要であるほど臨床的に重要ではない13)(外国人データ)。なお、インフルエンザウイルス感染症に伴う症状緩和のために併用される可能性がある薬物(抗ヒスタミン薬、マクロライド系抗生物質、NSAIDs等)及び心電図に影響を与える可能性のある薬剤(抗不整脈薬等)の多くの薬物との相互作用は検討されていない。
小児(1~12歳)を対象とした第Ⅱ相臨床試験(JV16284、5日間投与)において、インフルエンザ感染が確認された59例(インフルエンザ感染はウイルス分離より判定した。)におけるインフルエンザ罹病期間(咳、鼻症状が改善し、体温37.4℃以下に回復するまでの時間)は72.5時間(中央値)であった。また、投薬中の体温が37.8℃未満に回復するまでの時間は21.3時間(中央値)であり、平熱(37.4℃以下)に回復するまでの時間は35.3時間(中央値)であった14)。副作用は70例中35例(50.0%)に認められ、嘔吐17件(24.3%)、下痢14件(20.0%)等であった。
米国及びカナダにおいて1~12歳の小児で実施されたプラセボを対照とした第Ⅲ相臨床試験(WV15758)の5日間投与におけるインフルエンザ罹病期間(咳、鼻症状が改善し、体温37.2℃以下、罹患前の日常生活に回復するまでの時間)に対する有効性を以下に示す。
薬剤
投与期間
症例数注2)
インフルエンザ罹病期間中央値(95%信頼区間)
オセルタミビルリン酸塩注1)
5日間
217例
101.3時間注3)(88.8-118.3)
プラセボ
235例
137.0時間(124.5-149.6)
注1)オセルタミビルリン酸塩の用法及び用量:オセルタミビルとして1回2mg/kgを1日2回注2)インフルエンザ感染はウイルス分離又は抗体反応により判定した。注3)p<0.0001(プラセボとの比較)
オセルタミビルリン酸塩により、罹病期間の短縮効果の他、重症度の低下、インフルエンザ二次症状の発現率低下が認められ、本剤の有効性が認められた15)(外国人データ)。本剤投与群の因果関係が否定できない有害事象は342例中77例(22.5%)に認められ、嘔吐43例(12.6%)、下痢12例(3.5%)、嘔気10例(2.9%)等であった。
慢性喘息合併患児(5~12歳)に対するプラセボを対照とした第Ⅲ相臨床試験(WV15759/WV15871、5日間投与)は、目標症例数500例に対し登録例数は335例であった。このため、本剤の有効性を検証するには至っていないが、インフルエンザ罹病期間(中央値)は本剤123.9時間、プラセボ134.3時間であった。また、本試験において、開始時と比較した努力性呼気1秒量(FEV1)の変化率は本剤10.8%、プラセボ4.7%であった16)(外国人データ)。本剤投与群の因果関係が否定できない有害事象は170例中45例(26.5%)に認められ、嘔吐22例(12.9%)、下痢7例(4.1%)、腹痛6例(3.5%)等であった。
プラセボを対照とした第Ⅲ相臨床試験(JV15824)の42日間投与注4)におけるインフルエンザ感染症の発症抑制効果を以下に示す。本試験は高齢者を含む健康成人308例(プラセボ:19歳-83歳、平均34.0歳、65歳以上の高齢者は10例、本剤:18歳-77歳、平均34.2歳、65歳以上の高齢者は11例)を対象とした。国内二重盲検比較試験において、インフルエンザ感染症発症率はプラセボ群8.5%、本剤投与群1.3%であった17)。注4)治療投与:成人に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日2回、5日間投与である。幼小児に対して承認された用法及び用量は、1回2mg/kgを1日2回、5日間投与である。予防投与:成人に対して承認された用法及び用量は、1回75mgを1日1回、7~10日間投与である。幼小児に対して承認された用法及び用量は、1回2mg/kgを1日1回、10日間投与である。
オセルタミビルリン酸塩注5)
p=0.0032(95%信頼区間:2.4%-12.0%)
対象例数
153
155
感染症発症例(率)注6)
13(8.5%)
2(1.3%)
注5)オセルタミビルリン酸塩の用法及び用量:オセルタミビルとして1回75mgを1日1回注6)発熱及び症状が2つ以上認められ、ウイルス分離又は抗体価の上昇により確認された症例
本剤投与群の副作用は155例中34例(21.9%)に認められ、上腹部痛8例(5.2%)、下痢7例(4.5%)等であった。
米国において実施された健康成人(18歳以上)を対象としたプラセボ対照第Ⅲ相臨床試験(WV15673/697)の42日間投与注4)におけるインフルエンザ感染症の発症抑制効果及び患者背景を以下に示す。二重盲検比較試験において、インフルエンザ感染症発症率はプラセボ群4.8%、本剤投与群1.2%であった18)(外国人データ)。
p=0.0006(95%信頼区間:1.6%-5.7%)
519
520
感染症発症例(率)注7)
25(4.8%)
6(1.2%)
年齢(歳)(平均)
18-64(35.0)
18-65(34.4)
注7)発熱及び呼吸器系、全身系症状が各1つ以上認められ、ウイルス分離又は抗体価の上昇により確認された症例
本剤投与群の因果関係が否定できない有害事象は520例中250例(48.1%)に認められ、頭痛124例(23.8%)、嘔気50例(9.6%)、疲労32例(6.2%)等であった。
高齢者を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験(WV15825、42日間投与注4))におけるインフルエンザ感染症発症率は非予防群4.4%、オセルタミビルリン酸塩投与群0.4%であった。ワクチン接種者におけるインフルエンザ感染症発症率は、プラセボ投与群5.0%、オセルタミビルリン酸塩投与群0.5%であった19)(外国人データ)。患者背景を以下に示す。
試験番号
WV15825n=548
対象
高齢者(65歳以上)注8)
プラセボn=272
オセルタミビルリン酸塩n=276
64-96(81.8)
65-96(80.5)
注8)約80%の高齢者がワクチン接種を受け、約14%の高齢者が慢性閉塞性気道疾患を合併していた。
本剤投与群の因果関係が否定できない有害事象は276例中40例(14.5%)に認められ、疲労5例(1.8%)、インフルエンザ5例(1.8%)、嘔気4例(1.4%)等であった。
インフルエンザ感染症患者接触後のプラセボ対照二重盲検比較試験(WV15799、7日間投与)におけるインフルエンザ感染症発症率は非予防群12.0%、オセルタミビルリン酸塩投与群1.0%であった20)(外国人データ)。患者背景を以下に示す。
WV15799n=955
13歳以上
プラセボn=461
オセルタミビルリン酸塩n=494
12-85(33.8)
13-82(33.2)
本剤投与群の有害事象は494例中124例(25.1%)に認められ、嘔気27例(5.5%)、頭痛12例(2.4%)、上腹部痛9例(1.8%)等であった。
インフルエンザ感染症患者接触後の予防群と非予防群のオープン比較試験(WV16193、10日間投与)におけるインフルエンザ感染症発症率は非予防群11.3%、オセルタミビルリン酸塩投与群1.8%であった21)(外国人データ)。患者背景を以下に示す。
WV16193n=808
1歳以上
非予防群n=392
予防群n=416
1-83(26.2)
1-80(27.7)
また、本試験では1~12歳の小児が含まれており、この集団には本薬ドライシロップ剤が年齢別固定用量注4)で投与された。発症抑制効果について、小児におけるインフルエンザ感染症発症率は非予防群で21.4%、予防群で4.3%であった。
非予防群
予防群
p=0.0206(95%信頼区間:22.0%-94.9%)
70
47
感染症発症例(率)注9)
15(21.4%)
2(4.3%)
注9)発熱及び咳/鼻症状が認められ、ウイルス分離又は抗体価の上昇により確認された症例
オセルタミビルリン酸塩の活性体はヒトA型及びB型インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼを選択的に阻害し(IC50:0.1~3nM)、新しく形成されたウイルスの感染細胞からの遊離を阻害することにより、ウイルスの増殖を抑制する22)。
オセルタミビルリン酸塩はプロドラッグであり、代謝により活性体に変換された後、抗ウイルス作用を示す。オセルタミビルリン酸塩の活性体はin vitroでのA型及びB型インフルエンザウイルスの複製を低濃度(実験室株IC50:0.6~155nM、臨床分離株IC50:<0.35μM)で阻害した23)。
マウス及びフェレットのA型及びB型インフルエンザウイルス感染モデルでは、オセルタミビルリン酸塩の経口投与(0.1~100mg/kg/日)により、用量に依存して生存数の増加、感染に伴う症状の減少、ウイルス力価の減少などの治療効果が認められた24),25)。また、ニワトリ感染モデルにおいてウイルス感染24時間前からの経口投与(10、100mg/kg、1日2回)で、生存率の上昇などウイルス感染に対する抑制効果が認められた26)。
国外及び国内臨床試験における本剤に対する耐性ウイルスの出現率は、成人及び青年(13歳以上)では0.67%(15/2,253例)、幼小児(1~12歳)では4.24%(72/1,698例)、新生児、乳児(1歳未満)では、18.31%(13/71例)であった。耐性ウイルスは全てA型ウイルスに由来し、B型では出現が認められなかった。耐性を獲得したウイルスでは、マウス及びフェレットにおいて感染性の低下が認められ、感染部位での増殖、伝播力は低いと考えられる。耐性を獲得したウイルスでは、ノイラミニダーゼのアミノ酸変異が認められている。
オセルタミビルリン酸塩(Oseltamivir Phosphate)(JAN)
(-)-Ethyl(3R,4R,5S)-4-acetamido-5-amino-3-(1-ethylpropoxy)cyclohex-1-ene-1-carboxylate monophosphate
C16H28N2O4・H3PO4
410.40
白色~微黄白色の粉末又は塊のある粉末である。水及びメタノールに溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすく、N,N-ジメチルアセトアミドに溶けにくく、アセトニトリルにほとんど溶けない。
192~195℃(分解)
酸性~中性領域で水相に分配し、アルカリ性領域で油相に分配する。
30g(瓶、乾燥剤入り)
1) ドライシロップ剤(市販用, 治験用)及びカプセル剤間の生物学的同等性(海外:WP16225)(2002年1月17日承認、申請資料概要ヘ.1-3-1)
2) 臓器、組織内濃度(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.2-2-1)
3) 血漿蛋白質との結合(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.2-2-4)
4) in vitro代謝(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.2-3-2)
5) 健康成人における単回投与試験(国内:JP15734)(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.3-1)
6) 乳汁中への移行(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.2-4-3)
7) 小児における薬物動態(国内:JV16284)(2002年1月17日承認、申請資料概要ヘ.1-2-3)
8) 小児における薬物動態(海外:NP15826,WV15758,PP16351)(2002年1月17日承認、申請資料概要ヘ.1-2-1)
9) 国内小児と海外小児及び国内外の成人における血中濃度の比較(2002年1月17日承認、申請資料概要ヘ.1-2-4)
10) Abe M, et al. Ann Pharmacother. 2006;40:1724-30.
11) 腎機能障害を伴う被験者による反復投与試験(海外:WP15648)(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.3-7-1)
12) in vitro薬物相互作用(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.2-3-5)
13) 腎排泄型薬剤(シメチジン/プロベネシド)との薬物相互作用(海外:WP15728)(2000年12月12日承認、申請資料概要ヘ.3-8-2)
14) 小児における第Ⅱ相試験(国内:JV16284)(2002年1月17日承認、申請資料概要ト.1-2-1)
15) Whitley RJ, et al. Pediatr Infect Dis J. 2001;20:127-33.
16) 慢性喘息合併小児における第Ⅲ相治療試験(海外:WV15759/15871)(2002年1月17日承認、申請資料概要ト.1-1-4)
17) 柏木征三郎, 他. 感染症学雑誌. 2000;74:1062-76.
18) 成人に対する第Ⅲ相予防試験(42日間投与)(海外:WV15673/15697)(2004年7月9日承認、申請資料概要ト.1-3-2)
19) 高齢者に対する第Ⅲ相予防試験(42日間投与)(海外:WV15825)(2004年7月9日承認、申請資料概要ト.1-3-2)
20) 第Ⅲ相予防試験(7日間投与)(海外:WV15799)(2004年7月9日承認、申請資料概要ト.1-3-2)
21) 第Ⅲ相予防試験(10日間投与)(海外:WV16193)(2004年7月9日承認、申請資料概要ト.1-3-2)
22) 社内資料:ノイラミニダーゼ阻害作用
23) 社内資料:ヒトインフルエンザA型及びB型ウイルスにおけるin vitro増殖抑制作用
24) Sidwell RW, et al. Antiviral Res. 1998;37:107-20.
25) Mendel DB, et al. Antimicrob Agents Chemother. 1998;42:640-6.
26) 社内資料:動物モデルにおける効果:ニワトリ感染モデル
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