当ウェブサイトを快適にご覧いただくには、ブラウザのJavaScript設定を有効(オン)にしていただく必要がございます。
日本薬局方
チクロピジン塩酸塩錠
処方箋医薬品注)
〈1g分包品〉
〈100g包装品〉
劇薬
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、無顆粒球症、重篤な肝障害等の重大な副作用が主に投与開始後2ヵ月以内に発現し、死亡に至る例も報告されている。,,
チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日200~300mg(錠:2~3錠または細粒:2~3g)を2~3回に分けて食後に経口投与する。
チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日300~600mg(錠:3~6錠または細粒:3~6g)を2~3回に分けて食後に経口投与する。
チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日200~300mg(錠:2~3錠または細粒:2~3g)を2~3回に分けて食後に経口投与する。なお、1日200mg(錠:2錠または細粒:2g)の場合には1回に投与することもできる。
チクロピジン塩酸塩として、通常成人1日300mg(錠:3錠または細粒:3g)を3回に分けて食後に経口投与する。
年齢、症状により適宜増減する。
投与開始後2ヵ月間は、原則として1回2週間分を処方すること。本剤による重大な副作用を回避するため、患者を来院させ、定期的な血液検査を実施する必要がある。,,,,,,,
月経血が増加するおそれがある。
出血を増強するおそれがある。
白血球減少症を起こすおそれがある。
出血を起こすおそれがある。
投与しないこと。
肝障害が悪化又はあらわれるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。妊娠動物(ラット)による実験で母体に出血傾向が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。高齢者では造血機能、代謝機能が低下していることが多く、また体重が少ない傾向があり、無顆粒球症等の副作用が起こりやすいとの報告がある。
これらの薬剤の作用を増強することがある。
本剤がこれらの薬剤の肝臓での代謝を阻害して、血中濃度を上昇させると考えられている。
フェニトイン中毒症状(運動失調等)があらわれるおそれがある。
本剤がフェニトインの血中濃度を上昇させるとの報告がある。
出血傾向が増強することがある。
相互に作用を増強すると考えられている。
シクロスポリンの作用が減弱することがある。
本剤がシクロスポリンの血中濃度を低下させるとの報告がある。
出血を助長するおそれがある。
SSRIの投与により血小板凝集が阻害され、本剤との併用により出血を助長すると考えられる。
特に投与開始2ヵ月以内に血小板減少、破砕赤血球の出現を認める溶血性貧血、動揺する精神・神経症状、発熱、腎機能障害を主徴とするTTPがあらわれることがある。初期症状である倦怠感、食欲不振、紫斑等の出血症状、意識障害等の精神・神経症状等が出現した場合には、ただちに投与を中止し、血液検査(網赤血球、破砕赤血球の同定を含む)を実施し、必要に応じ血漿交換等の適切な処置を行うこと。,,
特に投与開始後2ヵ月以内に発熱、咽頭痛、倦怠感等を初期症状とする無顆粒球症があらわれることがある。初期症状が認められた場合には、ただちに投与を中止し、血液検査(血球算定等)及び適切な処置を行うこと。,,
特に投与開始後2ヵ月以内に悪心・嘔吐、食欲不振、倦怠感、そう痒感、眼球黄染、皮膚の黄染、褐色尿等を初期症状とする著しいAST、ALT、ビリルビン、総コレステロールの上昇を伴う肝機能障害(劇症肝炎、胆汁うっ滞型肝障害)があらわれることがある。異常が認められた場合には投与を中止し、肝機能検査を実施すること。,,,
頭蓋内出血の初期症状として頭痛、意識障害、片麻痺等があらわれることがある。
発熱、関節痛、胸部痛、胸水貯留、抗核抗体陽性等があらわれることがある。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明注1)
血液
白血球減少、貧血、顆粒球減少
好酸球増多
過敏症
発疹、そう痒感、じん麻疹、発熱等
発赤、紅斑、浮腫等
肝臓
AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、黄疸等
LDH上昇、ビリルビン上昇、総コレステロール上昇等
腎臓
クレアチニン上昇、BUN上昇等
消化器
悪心、嘔吐、嘔気、食欲不振、胃不快感、下痢
口内炎、腹痛
味覚障害、膵酵素上昇
その他
頭痛、鼻出血、皮下出血、歯肉出血
めまい、易疲労感、心悸亢進、全身倦怠感、血尿
眼底出血、結膜出血
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
細粒剤の服用にあたっては速やかに飲み下すよう注意させること。長く口中に含むと舌に苦味が残ることがある。
チクロピジン塩酸塩細粒剤と錠剤を健康成人(16名)にそれぞれ500mg単回経口投与した場合の血清中濃度推移は以下のとおりであり、細粒剤と錠剤で同様の血清中濃度推移を示した。
剤形
投与量
tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
t1/2(hr)
細粒
500mg
2.06±0.13
1.95±0.18
1.58±0.03
錠
2.03±0.14
1.99±0.19
1.61±0.04
(mean±S.E.)
ラットに14C-チクロピジン塩酸塩を経口投与した場合、放射能濃度は、大部分の臓器において投与後1時間に最高値を示し、消化管・肝・腎の順に高く、時間的推移は血中濃度とほぼ同様の傾向にあった。また、連続投与による各臓器への蓄積性は認められていない1) 。
本剤は肝で代謝される。
健康成人にチクロピジン塩酸塩250mgを単回経口投与した場合、主要代謝物のo-クロル馬尿酸は2~4時間に最も多く排泄され、尿中排泄率は投与後24時間までで投与量の4.1mol%であった。また、未変化体の尿中排泄はきわめて少なく、投与量の0.01~0.02%であった。
国内の多くの研究機関で実施された血管手術及び血液体外循環に伴う血栓・塞栓ならびに血流障害患者287例の臨床試験において、血液透析患者のシャントの血栓性閉塞あるいは血流障害に対して64%(184例)の症例に明らかな効果が認められ、また透析後の残血量の低下、透析中の透析効率の改善あるいは肺機能障害の改善等の効果も認められている。なお以上の効果は国内で血液透析中の慢性腎不全患者を対象に実施したプラセボとの二重盲検比較試験によっても立証されている2) 。また、血行再建術、腎移植術、人工弁置換術等における術後の血栓と塞栓の防止効果も認められている。
Buerger病、閉塞性動脈硬化症、末梢動脈硬化症、SLEあるいは白ろう病等四肢動脈の閉塞あるいは狭窄に基づく末梢血流障害により潰瘍、疼痛及び冷感等の阻血性症状のある246例において、53%(130例)の症例に明らかな症状の改善効果が認められている。また、以上の効果は国内で慢性動脈閉塞症を対象に実施したプラセボとの二重盲検比較試験によっても立証されている3) 。
TIAあるいは脳梗塞等の虚血性脳血管障害患者257例の国内臨床試験において、78%(200例)の症例に虚血性脳血管障害等の発生防止あるいは虚血性症状の改善効果が認められた。なお、TIAにおける効果は国内で実施したアスピリンとの二重盲検比較試験によっても立証された4) 。
脳血管攣縮の危険性が特に高いクモ膜下出血患者107例の国内臨床試験において、49%(52例)の症例で脳血管攣縮に基づく麻痺あるいは死亡等の脳虚血の発生防止効果が認められた。なお、以上の効果は国内で実施したプラセボとの二重盲検比較試験によっても立証された5) 。
本剤を対照薬とした臨床試験において、副作用は957例中221例(23.1%)に認められた。主な症状は皮下出血(3.9%)、鼻出血(3.0%)等の出血傾向、皮疹(1.3%)等の過敏症状、胃不快感(1.3%)等の消化器症状であった。また、臨床検査値の異常はγ-GTP上昇20.1%(189/942例)、ALT(GPT)上昇13.6%(129/948例)、AST(GOT)上昇10.6%(101/949例)、Al-P上昇7.8%(74/944例)、白血球減少4.5%(43/950例)等であった。
血小板のアデニレートシクラーゼ活性を増強して血小板内cAMP産生を高め血小板凝集能・放出能を抑制する6) 。
血小板機能亢進のある患者への経口投与でADP、コラーゲンあるいはアドレナリン誘導等による血小板凝集及び血小板粘着能を抑制する7) 。血小板凝集能の低下は投与24時間後には発現し、その作用は継続投与によって減弱することなく維持され、投与中止後はリバウンド(凝集亢進現象)を示さず投与前の状態まで漸次回復する。ラットへの経口投与で各種の凝集誘導薬(ADP、コラーゲン、アドレナリン、トロンボキサンA2、アラキドン酸、トロンビン)による血小板の凝集及び血小板粘着能を強力に抑制し、しかもその作用は持続的である。血小板に対するin vitroの作用は弱く、体内で代謝されて血小板に持続的に作用する。また生体の持つ重要な抗血栓機構である血管壁のプロスタグランジンI2(プロスタサイクリン)の生成には影響を与えず8) 、トロンボキサンA2産生・放出の抑制9) 、β-トロンボグロブリン放出の抑制作用を有する。
経口投与により、乳酸アシドーシスによる肺血栓・塞栓形成(ラット)、大腿動脈移植血管の血栓性閉塞(イヌ)、腹部大動脈狭窄による血栓形成(ウサギ)、動静脈シャントの血栓性閉塞(ラット)、静脈血栓(ラット)に対し、すぐれた抗血栓効果を示す。また、血管炎に基づく血栓性末梢動脈閉塞(ラット)、脳虚血後の脳微小循環障害(ラット)10) に対しても効果を示す。
本剤の抗血小板作用は非可逆的であるので11) 、その作用が消失するには8~10日間(血小板の寿命)12) かかると考えられている。
血小板機能亢進のある患者への経口投与で血液のミクロポア通過能が改善する7) 。ラットへの経口投与により赤血球の変形能が増大し、血液粘度の低下、血液のミクロポア通過能の亢進等血液レオロジー的性状を改善する13) 。
Ticlopidine Hydrochloride(チクロピジン塩酸塩)
5-(2-Chlorobenzyl)-4,5,6,7-tetrahydrothieno[3,2-c]-pyridine monohydrochloride
C14H14ClNS・HCl
300.25
本品は白色~微黄白色の結晶性の粉末である。本品は酢酸(100)に溶けやすく、水またはメタノールにやや溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[10錠(PTP)×50]
1g×120包[乾燥剤入り]100g[缶、乾燥剤入り]
1) 竹越敏夫 他.:応用薬理. 1980;19(3):349-361
2) 小林快三 他.:医学のあゆみ. 1980;112(5):294-308
3) 勝村達喜 他.:循環器科. 1980;7(5):396-406
4) 村上元孝 他.:医学のあゆみ. 1983;127(9):950-971
5) 水上公宏 他.:外科診療. 1983;25(9):1189-1202
6) Ashida, S. et al.:Thromb. Haemost. 1979;41(2):436-449
7) 安部 英 他.:血液と脈管. 1980;11(1):142-151
8) Ashida, S. et al.:Thromb. Res. 1978;13(5):901-908
9) 長束一行 他.:脈管学. 1983;23(6):465-471
10) 小池順平 他.:脳卒中. 1983;5(1):28-37
11) Ashida, S. et al.:Thromb. Haemost. 1978;40(3):542-550
12) Harker, L.A. et al.:J. Clin. Invest. 1969;48(6):963-974
13) Ono, S. et al.:Thromb. Res. 1983;31(4):549-556
*チェプラファーム株式会社 メディカルインフォメーションセンター
〒101-0021 東京都千代田区外神田4丁目14-1
TEL:0120-772-073https://www.cheplapharm.jp/
チェプラファーム株式会社
東京都千代田区外神田4丁目14-1
Copyright © Pharmaceuticals and Medical Devices Agency, All Rights reserved.