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劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分又はピペリジン誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者
アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制
通常、軽度~中等度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、1日1回27.5mgを貼付する。高度のアルツハイマー型認知症患者にはドネペジルとして、27.5mgで4週間以上経過後、55mgに増量する。なお、症状により1日1回27.5mgに減量できる。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付し、24時間毎に貼り替える。
QT延長、心室頻拍(torsade de pointesを含む)、心室細動、洞不全症候群、洞停止、高度徐脈、心ブロック(洞房ブロック、房室ブロック)等があらわれることがある。
迷走神経刺激作用により、徐脈あるいは不整脈を起こす可能性がある。
胃酸分泌の促進及び消化管運動の促進により、消化性潰瘍を悪化させる可能性がある。
気管支平滑筋の収縮及び気管支粘液分泌の亢進により、症状が悪化する可能性がある。
線条体のコリン系神経を亢進することにより、症状を誘発又は増悪する可能性がある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療での有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること。ドネペジル塩酸塩経口製剤において、動物実験(ラット経口10mg/kg)で出生率の減少、死産児頻度の増加及び生後体重の増加抑制が報告されている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ラットに14C-ドネペジル塩酸塩を経口投与したとき、乳汁中へ移行することが認められている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
筋弛緩作用を増強する可能性がある。
併用薬剤の脱分極性筋弛緩作用を増強する可能性がある。
迷走神経刺激作用などコリン刺激作用が増強される可能性がある。
本剤とともにコリン作動性の作用メカニズムを有している。
本剤の代謝を阻害し、作用を増強させる可能性がある。
併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)阻害作用による。
併用薬剤のチトクロームP450(CYP2D6)阻害作用による。
本剤の代謝を促進し、作用を減弱させる可能性がある。
併用薬剤のチトクロームP450(CYP3A4)の誘導による。
本剤と抗コリン剤は互いに干渉し、それぞれの効果を減弱させる可能性がある。
本剤と抗コリン剤の作用が、相互に拮抗する。
消化性潰瘍を起こす可能性がある。
コリン系の賦活により胃酸分泌が促進される。
心停止に至ることがある。
本剤のコリン賦活作用による胃酸分泌及び消化管運動の促進によって消化性潰瘍(胃・十二指腸潰瘍)、十二指腸潰瘍穿孔、消化管出血があらわれることがある。
寡動、運動失調、ジスキネジア、ジストニア、振戦、不随意運動、歩行異常、姿勢異常、言語障害等の錐体外路障害があらわれることがある。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、使用を中止し、体冷却、水・電解質管理等の全身管理とともに適切な処置を行うこと。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。
筋肉痛、脱力感、CKの上昇、血中及び尿中ミオグロビンの上昇等があらわれた場合には、使用を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
3%以上
1~3%未満
1%未満
頻度不明注1)
適用部位障害
適用部位そう痒感(24.9%)、適用部位紅斑(24.3%)、接触皮膚炎(12.6%)
適用部位小水疱、適用部位丘疹、適用部位変色
適用部位浮腫、適用部位皮膚剥脱、適用部位びらん、適用部位発疹、適用部位乾燥、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、適用部位ざ瘡
皮膚
痒疹、湿疹
発疹、そう痒感
消化器
下痢、食欲不振
胃炎、嘔気、嘔吐、腹部不快感、消化不良、胃食道逆流性疾患、軟便
腹痛、便秘、流涎、嚥下障害、便失禁
精神神経系
不眠
易怒性、攻撃性、抑うつ、易刺激性
興奮、不穏、眠気、幻覚、せん妄、妄想、多動、無感情、リビドー亢進、多弁、躁状態、錯乱、悪夢
中枢・末梢神経系
めまい
徘徊、振戦、頭痛、昏迷
肝臓
ALT、γ-GTPの上昇
LDH、AST、Al-Pの上昇
循環器
心室性期外収縮、徐脈、心筋虚血、結節性調律、不整脈、上室性期外収縮、頻脈、血圧上昇
動悸、血圧低下、心房細動
泌尿器
夜間頻尿
BUNの上昇、尿失禁、頻尿、尿閉
血液
貧血
白血球減少、ヘマトクリット値減少
その他
CK、トリグリセライドの上昇、体重減少、体重増加、湿性咳嗽、鼻漏
総コレステロール、アミラーゼ、尿アミラーゼの上昇、倦怠感、むくみ、転倒、筋痛、顔面紅潮、脱力感、胸痛、発汗、顔面浮腫、発熱、縮瞳
コリンエステラーゼ阻害剤の過量投与は高度な嘔気、嘔吐、流涎、発汗、徐脈、低血圧、呼吸抑制、虚脱、痙攣及び縮瞳等のコリン系副作用を引き起こす可能性がある。筋脱力の可能性もあり、呼吸筋の弛緩により死亡に至ることもあり得る。
アトロピン硫酸塩水和物のような3級アミン系抗コリン剤が本剤の過量投与の解毒剤として使用できる。アトロピン硫酸塩水和物の1.0~2.0mgを初期投与量として静注し、臨床反応に基づいてその後の用量を決める。他のコリン作動薬では4級アンモニウム系抗コリン剤と併用した場合、血圧及び心拍数が不安定になることが報告されている。
健康高齢男性12例を対象にドネペジル27.5mg含有製剤を貼付した時の血漿中ドネペジル濃度は、初回貼付後、24時間でCmaxに達し、その後も緩やかに上昇を続け、血漿中トラフ濃度の推移から貼付17日には定常状態に達したと考えられた。ドネペジル27.5mg含有製剤とドネペジル塩酸塩経口製剤5mgの定常状態におけるAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は1.0(0.82~1.12)であったことから、本剤27.5mgの1日1回貼付がドネペジル塩酸塩5mg経口製剤1日1回投与と同等の曝露量を示すことが確認された1) 。
投与時点
薬物動態パラメータ
幾何平均値の比注2)
90%信頼区間
下限値
上限値
初回投与時
AUC0-24h(ng・h/mL)
0.7
0.45
0.97
Cmax(ng/mL)
1.1
0.79
1.41
最終投与時
1.0
0.82
1.12
0.8
0.67
0.92
健康高齢男性を対象に本剤27.5mg及び55mgを背部に1日1回1枚17日間反復貼付した時の血漿中ドネペジル濃度推移を図に示した。定常状態のCmax及びAUC0-24hは13.75~55mg注3) の用量範囲で線形性が確認され、血漿中ドネペジルは用量に比例して増加すると考えられた2) 。
貼付時点
投与量
例数
tmax(h)
t1/2(h)
初回貼付時
27.5mg
33
3.59±2.52
41.24±40.08
24
-
55mg
31
7.94±4.02
84.64±52.38
最終貼付時
25.46±11.58
557.48±262.43
81.54±22.50
52.82±20.11
1153.49±446.92
75.86±17.89
Cmax、AUC0-24h及びt1/2は平均値±標準偏差、tmaxは中央値
健康高齢男性64例を対象に、本剤13.75mg注3) を背部、上腕部又は胸部に1日1回1枚17日間反復貼付した際、定常状態(Day17)における背部と上腕部のCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.03(0.96~1.11)及び1.08(1.03~1.14)で、背部と胸部のCmax及びAUC0-24hの幾何平均値の比(90%信頼区間)は、それぞれ1.03(0.96~1.11)及び1.04(0.97~1.12)であることから、背部と上腕部及び胸部貼付時の薬物動態は同等であることが確認された3) 。
In vitroにおいてヒト血漿蛋白結合率の平均は88.9%であり、in vivoでの血清蛋白結合率は92.6%であった4) 。
主代謝経路はN-脱アルキル化反応であり、それに次いでO-脱メチル化反応とそれに続くグルクロン酸抱合反応であると考えられた。N-脱アルキル化反応には主としてCYP3A4が、またO-脱メチル化反応には主としてCYP2D6が関与していることが示唆された5) 。
健康成人男性を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤2mgを単回経口投与したとき、投与後7日目までに尿中に排泄された未変化体は投与量の9.4%であり、代謝物を含めると29.6%であった。また、10mgの単回経口投与後、11日目までに排泄された未変化体は尿中で10.6%、糞中で1.7%であった。未変化体及び代謝物を合計した尿中排泄率は35.9%であり、糞中排泄率は8.4%であった6) 。
腎機能障害患者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、健康成人と比較して差異は認められなかった7) (外国人データ)。
アルコール性肝硬変患者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは、健康成人と比較して肝疾患患者のCmaxが1.4倍高く有意差が認められたが、他のパラメータに有意差は認められなかった8) (外国人データ)。
高齢者を対象にドネペジル塩酸塩経口製剤2mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは健康成人と比較して、消失半減期が1.5倍有意に延長したが、Cmax、tmax及びAUCに有意な差は認められなかった9) 。
軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤27.5mgを24週間又はドネペジル塩酸塩経口製剤5mgを24週間(3mg/日を2週間投与後、5mg/日を22週間投与)投与する二重盲検比較試験を実施した。組み入れられた被験者の平均年齢±標準偏差は本剤27.5mg群79.5±5.8歳、ドネペジル塩酸塩経口製剤群79.0±6.8歳であり、コリンエステラーゼ阻害剤の投与歴有りの被験者の割合は本剤27.5mg群63.3%、ドネペジル塩酸塩経口製剤群64.9%であった。24週時のADAS-J cog(認知機能検査)のベースラインからの変化量を以下に示す。本剤27.5mg群とドネペジル塩酸塩経口製剤群との最小二乗平均値の差(95%信頼区間)は-0.9(-2.01~0.14)であり、群間差の95%信頼区間の上限が非劣性限界値2.15を下回ったことから、ドネペジル塩酸塩経口製剤群に対する本剤27.5mg群の非劣性が検証された。
統計量
本剤27.5mg(n=138)
ドネペジル塩酸塩経口製剤(n=123)
24週後変化量
最小二乗平均値±標準誤差
-0.71±0.37
0.23±0.40
95%信頼区間
-1.44~0.03
-0.55~1.01
投与群間差
-0.93±0.54
-2.01~0.14
解析モデル:ADAS-J cogの変化量=群+ベースラインのADAS-J cog
二重盲検期の副作用の発現率は本剤27.5mg群で52.6%(91/173例)であった。主な副作用は、適用部位紅斑24.9%(43/173例)、適用部位そう痒感22.5%(39/173例)及び接触皮膚炎11.0%(19/173例)等であった10) 。
二重盲検期を完了した軽度及び中等度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤27.5mgを28週間投与する非盲検継続投与試験(本剤27.5mg群は二重盲検期と併せて52週間投与、ドネペジル塩酸塩経口製剤群は本剤27.5mgに切り替えて28週間投与)を実施した。非盲検期の副作用の発現率は本剤27.5mg群で20.5%(32/156例)、切り替え群で46.9%(68/145例)であった。主な副作用は、本剤27.5mg群で適用部位紅斑が9.0%(14/156例)、適用部位そう痒感が7.7%(12/156例)、接触皮膚炎が2.6%(4/156例)であり、切り替え群で適用部位そう痒感が23.4%(34/145例)、適用部位紅斑が15.9%(23/145例)、接触皮膚炎が9.0%(13/145例)であった10) 。
ドネペジル塩酸塩経口製剤10mgを3ヵ月以上投与している高度のアルツハイマー型認知症患者を対象に本剤55mgを52週間投与する非盲検長期投与試験を実施した。本剤55mg投与後のMMSE(認知機能検査)及びABC認知症スケール(全般臨床症状評価)のベースラインからの変化量は下表のとおりであった。
評価時期
本剤55mg
ベースライン
63
平均値±標準偏差
8.1±3.4
7.25~8.94
52
-0.2±3.0
-1.02~0.63
64.5±11.5
61.65~67.43
-3.5±10.0
-6.26~-0.66
副作用の発現率は本剤55mg群で68.8%(44/64例)であった。主な副作用は、適用部位紅斑29.7%(19/64例)、適用部位そう痒感25.0%(16/64例)、接触皮膚炎20.3%(13/64例)、適用部位小水疱4.7%(3/64例)、適用部位皮膚剥脱及び適用部位浮腫が各3.1%(2/64例)等であった11) 。
アルツハイマー型認知症では、脳内コリン作動性神経系の顕著な障害が認められている。ドネペジルは、アセチルコリン(ACh)を分解する酵素であるアセチルコリンエステラーゼ(AChE)を可逆的に阻害することにより脳内ACh量を増加させ、脳内コリン作動性神経系を賦活する12),13),14),15) 。
ドネペジル塩酸塩においてin vitroでのAChE阻害作用のIC50値は6.7nmol/Lであり、ブチリルコリンエステラーゼ阻害作用のIC50値は7,400nmol/Lであった。AChEに対し選択的な阻害作用を示した12) 。
ドネペジル塩酸塩の経口投与により、ラット脳のAChEを阻害し、また脳内AChを増加させた13),14) 。
ドネペジル(Donepezil)(JAN、INN)
(2RS)-2-[(1-Benzylpiperidin-4-yl)methyl]-5,6-dimethoxy-2,3-dihydro-1H-inden-1-one
C24H29NO3
379.49
白色の結晶性の粉末である。
95.0~96.7℃
医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。
14枚(1枚×14)、28枚(1枚×28)
1) 社内資料:相対バイオアベイラビリティ試験(2022年12月23日承認、CTD2.7.1.2.2)
2) 社内資料:用量比例性(2022年12月23日承認、CTD2.7.2.2.2.1)
3) 社内資料:貼付部位検討試験(2022年12月23日承認、CTD2.7.2.2.2.2)
4) 社内資料:ドネペジル塩酸塩の蛋白結合率(2022年12月23日承認、CTD2.7.2.3.2.2)
5) 松井賢司ほか:薬物動態. 2000;15(2):101-111
6) 社内資料:ドネペジル塩酸塩の経口投与時の排泄(2022年12月23日承認、CTD2.7.2.3.3.3)
7) Tiseo PJ, et al.:Br.J.Clin.Pharmacol. 1998;46(S.1):56-60
8) Tiseo PJ, et al.:Br.J.Clin.Pharmacol. 1998;46(S.1):51-55
9) 社内資料:特定の背景を有する患者(2022年12月23日承認、CTD2.7.2.3.5)
10) 社内資料:軽度及び中等度アルツハイマー型認知症を対象とした非劣性試験及び継続投与試験(2022年12月23日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
11) 社内資料:高度アルツハイマー型認知症を対象とした長期投与試験(2022年12月23日承認、CTD2.7.3.3、2.7.4.2)
12) 山西嘉晴ほか:薬理と治療. 1998;26(S):S1277-S1282
13) 山西嘉晴ほか:薬理と治療. 1998;26(S):S1283-S1294
14) 小笹貴史ほか:薬理と治療. 1998;26(S):S1303-S1311
15) 小倉博雄ほか:薬理と治療. 1998;26(S):S1313-S1320
16) 社内資料:イボテン酸注入学習障害モデルラットに対する効力を裏付ける試験(2022年12月23日承認、CTD2.6.2.2.1)
興和株式会社 くすり相談センター
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電話 0120-508-51403-3279-7587受付時間 9:00~17:00(土・日・祝日・弊社休日を除く)
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