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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
小児が誤って口に入れた場合、過量投与となり死に至るおそれがあることを患者等に説明し、必ず本剤を小児の手の届かないところに保管するよう指導すること。
強オピオイド鎮痛剤を定時投与中の癌患者における突出痛の鎮痛
通常、成人には1回の突出痛に対して、フェンタニルとして50又は100μgを開始用量とし、上顎臼歯の歯茎と頬の間で溶解させる。用量調節期に、症状に応じて、フェンタニルとして1回50、100、200、400、600、800μgの順に一段階ずつ適宜調節し、至適用量を決定する。なお、用量調節期に1回の突出痛に対してフェンタニルとして1回50~600μgのいずれかの用量で十分な鎮痛効果が得られない場合には、投与から30分後以降に同一用量までの本剤を1回のみ追加投与できる。至適用量決定後の維持期には、1回の突出痛に対して至適用量を1回投与することとし、1回用量の上限はフェンタニルとして800μgとする。ただし、用量調節期の追加投与を除き、前回の投与から4時間以上の投与間隔をあけ、1日当たり4回以下の突出痛に対する投与にとどめること。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
気管支収縮を起こすおそれがある。
徐脈を助長させるおそれがある。
呼吸抑制を起こすおそれがある。
血中濃度が上昇し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。
依存性を生じやすい。,
排泄が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。
代謝が遅延し、副作用があらわれやすくなるおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。フェンタニルクエン酸塩注射液において、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれたとの報告がある。妊娠中の本剤投与により、新生児に退薬症候がみられることがある。動物実験(ラット静脈内投与試験)で胎児死亡が報告されている。
授乳を避けさせること。ヒトで母乳中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、特に呼吸抑制の感受性が高い。フェンタニルのクリアランスが低下し、血中濃度半減期の延長が認められる。
ナルメフェン塩酸塩水和物(セリンクロ)
ナルメフェン塩酸塩水和物は本剤の鎮痛作用を減弱させるため、効果を得るために必要な用量が通常用量より多くなるおそれがある。また、退薬症候を起こすおそれがある。
ナルメフェン塩酸塩水和物はμ受容体のアンタゴニストであり、μ受容体のアゴニストである本剤に対して、競合的に阻害する。
呼吸抑制、低血圧及び顕著な鎮静又は昏睡が起こることがあるので、減量するなど慎重に投与すること。
相加的に中枢神経抑制作用が増強する。
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。
相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。
本剤の血中濃度を上昇させるおそれがある。
肝代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
グレープフルーツジュースに含まれる成分によって代謝酵素CYP3A4による本剤の代謝が阻害される。
本剤の血中濃度を低下させるおそれがある。また、CYP3A4誘導剤を中止又は減量する場合は、本剤の効果が増強する可能性があるため、本剤の用量を適宜調節すること。
肝代謝酵素CYP3A4が誘導されることにより、本剤の代謝が促進される。
小腸のトランスポーターに対する阻害作用により、本剤の吸収に影響する。
連用により薬物依存を生じることがある。連用中に投与量の急激な減量又は中止により退薬症候があらわれることがある。また、乱用や誤用により過量投与や死亡に至る可能性があるので、これらを防止するため観察を十分に行うこと。,
無呼吸、呼吸困難、呼吸異常、呼吸緩慢、不規則な呼吸、換気低下等があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、本剤による呼吸抑制には、麻薬拮抗剤(ナロキソン塩酸塩、レバロルファン酒石酸塩等)が有効である。,
意識レベルの低下、意識消失等の意識障害があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
血液
貧血
循環器
徐脈、上室性期外収縮、心室性期外収縮、低血圧
呼吸器
呼吸数減少
低酸素症
睡眠時無呼吸症候群
精神神経系
眠気・傾眠、めまい
頭痛、せん妄、多幸気分、幻覚
**錯乱状態、鎮静、精神状態変化、うつ病、不安、痛覚過敏注1) 、アロディニア
消化器
悪心、嘔吐
便秘、口内炎、口内乾燥
口唇炎、下痢
**出血・疼痛・潰瘍・刺激感・錯感覚・感覚消失・紅斑・浮腫・腫脹・小水疱を含む適用部位反応、腹痛、イレウス、胃食道逆流疾患、味覚異常、食道運動障害
肝臓
血中ビリルビン増加、γ-GTP増加
ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、Al-P増加
胆管拡張
泌尿器
排尿困難
尿閉
皮膚
紅斑、そう痒症
皮膚乾燥
多汗症
眼
目の異常感
霧視
その他
倦怠感、血中ブドウ糖増加、尿中ブドウ糖陽性、尿中蛋白陽性、尿中ウロビリノーゲン増加
発熱、口渇、ほてり、灼熱感、血中カルシウム減少、血中カリウム減少、血中尿酸増加、血中アルブミン減少
性腺機能低下、末梢性浮腫、無力症、体重減少、食欲不振
薬理作用の増強により重篤な換気低下を示す。また、フェンタニルの過量投与により白質脳症が認められている。
健康成人(22例)を対象に、本剤を単回バッカル投与(30分で嚥下)したときの平均血清中フェンタニル濃度推移及び薬物動態パラメータをそれぞれ図1及び表1に示し、嚥下しなかったときの薬物動態パラメータを表2に示した1),2) 。いずれの投与法においても血清中フェンタニル濃度は本剤の用量に依存した増加を示した。
薬物動態パラメータ
50μg×2(N=22)
200μg(N=22)
600μg(N=22)
800μg(N=22)
Cmax(ng/mL)
0.357±0.160
0.627±0.292
1.885±0.723
2.336±1.058
AUC0-∞(ng・hr/mL)
1.252±0.369a)
2.037±0.671
7.999±2.737
10.441±4.452
tmax(hr)b)
0.585(0.330, 2.000)
0.670(0.330, 2.000)
0.670(0.330, 3.000)
t1/2(hr)
3.369±2.705a)
3.035±1.636
10.174±5.419
10.487±5.193
平均値±標準偏差錠剤を投与した30分後にも依然錠剤の一部が残存していれば、被験者は嚥下するように指示され、必要に応じて水で嚥下した。a)N=21b)中央値(範囲)
100μg(N=21)
200μg(N=21)
400μg(N=22)
800μg(N=21)
0.45±0.17
0.91±0.22
1.62±0.43
2.99±0.80
1.86±0.47(N=16)
4.21±0.95(N=19)
9.18±2.24(N=18)
17.44±3.88(N=20)
tmax(hr)a)
1.5(0.50, 3.00)
1.5(0.50, 2.00)
2.60±0.940(N=16)
5.56±3.236(N=19)
10.44±3.576(N=18)
10.06±2.954(N=20)
平均値±標準偏差錠剤を投与した10分後に薬剤が残っている場合には、薬剤を崩壊させるため投与部位を5分間マッサージし、その後はそのままの状態とした。a)中央値(範囲)
がん突出痛を有する患者(6例)を対象に、本剤100、200又は400μgを単回バッカル投与したときの平均血清中フェンタニル濃度推移を図2に、薬物動態パラメータを表3に示す。血清中フェンタニル濃度は健康成人と同様の推移を示した3) 。
100μg(N=6)
200μg(N=6)
400μg(N=6)
0.464±0.363
0.939±0.596
1.553±0.665
2.461±1.136
3.429±1.100a)
7.264±1.758
0.75(0.5, 1)
1.25(0.5, 1.5)
1.50(0.5, 2)
7.69±5.67
5.03±1.00a)
5.25±1.87
平均値±標準偏差a)N=5b)中央値(範囲)
本剤をバッカル投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約65%であった。総投与量の約50%が口腔粘膜から吸収され、残る半分は嚥下され、その約1/3(総投与量の約1/6)が消化管から吸収されたものと考えられた4) (外国人データ)。
61歳以上の高齢患者(4例)にフェンタニル10μg/kgを静脈内投与したとき、50歳未満の患者(5例)に比べてt1/2の明らかな延長(高齢:945min、50歳未満:265min)、高い血清中フェンタニル濃度、クリアランスの明らかな減少が認められた(高齢:275mL/min、50歳未満:991mL/min)5) (外国人データ)。
肝硬変患者(8例)と肝腎機能の正常な患者(13例)にフェンタニルを静脈内投与(5μg/kg)したとき、フェンタニルの薬物動態パラメータは両者にほとんど差がなかった6) (外国人データ)。
腎不全患者8例にフェンタニル25μg/kgを静脈内投与したとき、フェンタニルの全身クリアランス(CL)と血液尿素窒素値(BUN)には負の相関が認められた7) 。したがって、BUNが高値を示す腎障害患者ではCLが低下し血清中濃度が上昇する可能性がある(外国人データ)。
[14C]フェンタニル(100μg/kg)をラットに口腔粘膜経由で投与したとき、投与後5分で全身組織への放射能の移行がみられ、投与後30分ではハーダー氏腺、膵臓、脾臓及び腎臓皮質が高く、次いで褐色脂肪、胸腺、脊髄及び唾液腺が高く、大脳、舌体、心筋、肺及び肝臓もこれらと同程度の放射能濃度であった。投与後24時間では全身の放射能濃度は減少し、盲腸内容物が高かった他、唾液腺、肝臓及び腎臓皮質に放射能が認められ、その他の組織ではほとんど消失した8) 。
妊娠している雌性ヒツジに50、75及び100μgのフェンタニルを静脈内に単回投与したとき、胎児の血漿中濃度は投与5分後に最大濃度に到達した後、母獣血漿中の約40%の濃度で推移した9) 。
分娩中(妊娠37~41週間)の女性にフェンタニルクエン酸塩を静脈内投与(総投与量:50~400μg)したとき、分娩後4及び24時間後の乳汁中にわずかではあるが、フェンタニルが移行することが報告されている10) 。
平衡透析法によって求めたフェンタニルのin vitroヒト血漿蛋白結合率(最終濃度10ng/mL)は84.4%であった11) 。
フェンタニルは肝臓と小腸粘膜においてCYP3A4によって主としてノルフェンタニルへ代謝される12) 。また、動物試験において、ノルフェンタニルの薬理活性はほとんど認められていない13) (ヒト、in vitro)。
健康被験者に6.4μg/kgの[3H]フェンタニルを静脈内投与したとき、72時間までに総投与放射能の76±3%が尿中に排泄され、投与量の6.4±1.2%が未変化体として排泄された。一方、糞中への放射能の累積排泄率は投与量の9%であり、投与量の1.2±0.3%が未変化体として排泄された14) (外国人データ)。
投与群
例数
平均値±標準偏差
最小二乗平均値±標準誤差
薬剤間の差(95%信頼区間)a)
p値b)
本剤
72
2.4±1.0
2.440±0.117
0.401(0.165-0.637)
0.001
プラセボ
2.0±1.1
2.039±0.144
a)最小二乗平均値における本剤とプラセボの差(95%信頼区間)b)個々の突出痛を用いた線形混合効果モデルによる薬剤間の差の検定
なお、臨床第III相比較試験に先行して実施した日本人がん疼痛患者を対象とした比較臨床試験では、主要評価項目である投与後30分の疼痛強度変化量で本剤のプラセボに対する優越性を検証することができなかった。この結果を受けて、臨床第III相比較試験では、患者の適格性を判断する観察期間を本剤投与前に設け、用量漸増期間において適切な本剤の有効用量を決定することを目的に有効用量決定基準を変更し、二重盲検期間における投与回数を6回(実薬4錠、プラセボ2錠)から9回(実薬6錠、プラセボ3錠)に変更した。
チャイニーズハムスター卵巣細胞に発現させた各オピオイド受容体結合試験の結果、フェンタニルはμオピオイド受容体に対してδオピオイド受容体及びκオピオイド受容体に比べ120~220倍高い親和性が示されていることから、μオピオイド受容体を介して鎮痛作用を示すものと考えられている16) 。
フェンタニルクエン酸塩(Fentanyl Citrate)(JAN)
N-(1-Phenethylpiperidin-4-yl)-N-phenylpropanamide monocitrate
C22H28N2O・C6H8O7
528.59
白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
150~154℃
20錠(4錠/シート×5枚)
1) 社内資料:日本人健康者を対象とした臨床薬理試験(海外、用量比例性)(2013年6月28日承認、CTD2.7.6.5)
2) Darwish M, et al.:Arch. Drug Inf. 2008;1:43-49
3) 社内資料:日本人がん疼痛患者における臨床第I相試験(2013年6月28日承認、CTD2.7.6.13)
4) Darwish M, et al.:J. Clin. Pharmacol. 2007;47:343-350
5) Bentley JB, et al.:Anesth. Analg. 1982;61:968-971
6) Haberer JP, et al.:Br. J. Anaesth. 1982;54:1267-1270
7) Koehntop DE, et al.:Pharmacotherapy. 1997;17:746-752
8) 社内資料:ラットを用いたフェンタニルクエン酸塩の口腔内投与における薬物動態試験(2013年6月28日承認、CTD2.6.5)
9) Craft JB Jr, et al.:Anesth. Analg. 1983;62:894-898
10) Leuschen MP, et al.:Clin. Pharm. 1990;9:336-337
11) Meuldermans WE, et al.:Arch. Int. Pharmacodyn. Ther. 1982;257:4-19
12) Labroo RB, et al.:Drug. Metab. Dispos. 1997;25:1072-1080
13) Schneider E, et al.:Naunyn. Schmiedebergs. Arch. Pharmacol. 1986;334:267-274
14) McClain DA, et al.:Clin. Pharmacol. Ther. 1980;28:106-114
15) 社内資料:第III相二重盲検比較試験(2013年6月28日承認、CTD2.7.6.15)
16) Toll L, et al.:NIDA Res. Monogr. 1998;178:440-466
17) Gardocki JF, et al.:Toxicol. Appl. Pharmacol. 1964;6:48-62
18) Blane GF:J. Pharm. Pharmacol. 1967;19:367-373
19) 社内資料:ウサギ歯髄刺激モデルを用いたフェンタニルクエン酸塩製剤(OVF)の鎮痛作用(2013年6月28日承認、CTD2.6.2.2)
大鵬薬品工業株式会社 医薬品情報課
〒101-8444 東京都千代田区神田錦町1-27
TEL 0120-20-4527
本剤は厚生労働省告示第107号(平成18年3月6日付)に基づき、1回14日分を限度として投薬する。
帝國製薬株式会社
香川県東かがわ市三本松567番地
大鵬薬品工業株式会社
東京都千代田区神田錦町1-27
Cephalon® 米国
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