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アルタット静注用75㎎

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.2腎機能障害患者
9.3肝機能障害患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
14.適用上の注意
15.その他の注意
15.1臨床使用に基づく情報
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
16.6特定の背景を有する患者
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
18.2胃酸分泌抑制作用
18.3ペプシン分泌抑制作用
18.4血清ガストリンに及ぼす影響
18.5血清プロラクチン等に及ぼす影響
18.6胃液内ヘキソサミン量に対する作用
18.7実験的急性胃出血に対する作用
18.8胃粘膜電位差に対する作用
18.9胃粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度に対する作用
18.10胃粘膜プロスタグランジン産生能に対する作用
18.11胃粘膜障害抑制作用
18.12胃粘液生合成・分泌増加作用
19.有効成分に関する理化学的知見
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

アルタット静注用75㎎

添付文書番号

2325403D2022_1_01

企業コード

470007

作成又は改訂年月

2020年2月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872325

薬効分類名

H2受容体拮抗剤

承認等

アルタット静注用75㎎

販売名コード

YJコード

2325403D2022

販売名英語表記

ALTAT FOR I.V. INJECTION

販売名ひらがな

あるたっとじょうちゅうよう75みりぐらむ

承認番号等

承認番号

22400AMX00161

販売開始年月

1995年3月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

基準名

日本薬局方

注射用ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩

一般的名称

ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩

3. 組成・性状

3.1 組成

アルタット静注用75㎎

有効成分1バイアル中 日局ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩   75mg
添加剤1バイアル中 グリシン75mg、pH調節剤

3.2 製剤の性状

アルタット静注用75㎎

剤形*バイアル
pH3.5~4.51)
浸透圧比約1(生理食塩液に対する比)1)
性状白色の塊又は粉末の凍結乾燥製剤
1) 本品1バイアルを生理食塩液20mLに溶かした場合(無色澄明)

4. 効能又は効果

上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、麻酔前投薬

6. 用法及び用量

  • 〈上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)〉

    通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液20mLにて溶解し、1日2回(12時間毎)緩徐に静脈内投与する。又は輸液に混合して点滴静注する。なお、年齢、症状により適宜増減する。一般的に1週間以内に効果の発現をみるが、内服可能となった後は経口投与に切りかえる。

  • 〈麻酔前投薬〉

    通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mgを日局生理食塩液又は日局ブドウ糖注射液20mLにて溶解し、麻酔導入1時間前に緩徐に静脈内投与する。

8. 重要な基本的注意

肝機能、腎機能、血液像等に注意すること。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 薬物過敏症の既往歴のある患者

9.2 腎機能障害患者

血中濃度が持続することがあるので、投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど注意すること。,

9.3 肝機能障害患者

  1. 9.3.1 肝機能障害患者

9.5 妊婦

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ラット及びウサギの器官形成期投与試験におけるラットの63mg/kg投与群1) 及びウサギの32mg/kg投与群2) 、ラットの周産期・授乳期投与試験における60mg/kg投与群3) の少数例に死亡がみられている。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続または中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中への移行が認められている。

9.7 小児等

小児等を対象とした臨床試験は実施していない。

9.8 高齢者

投与量を減ずるか投与間隔をあけるなど慎重に投与すること。本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、血中濃度が持続するおそれがある。,

11. 副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

11.1 重大な副作用

  1. 11.1.1 ショック(0.1%未満)、アナフィラキシー(頻度不明)

    ショック(初期症状:不快感、顔面蒼白、血圧低下等)があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 11.1.2 再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(0.1%未満)

    再生不良性貧血、汎血球減少、無顆粒球症、血小板減少(初期症状:全身倦怠、脱力、皮下・粘膜下出血、発熱等)があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施し、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 11.1.3 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(0.1%未満)
  4. 11.1.4 肝機能障害、黄疸(0.1%未満)

    AST、ALT、γ-GTP上昇等の肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

  5. 11.1.5 横紋筋融解症(0.1%未満)

    CK、LDH等の筋逸脱酵素の急激な上昇、ミオグロビン尿、筋肉痛等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  6. 11.1.6 房室ブロック等の心ブロック(頻度不明)

11.2 その他の副作用

0.1~5%未満

0.1%未満

頻度不明

過敏症

発疹、そう痒感等

血液

好酸球増多、白血球減少

貧血

消化器

悪心等

便秘、下痢、腹部膨満感、口渇等

肝臓

肝機能異常、AST、ALT、LDH上昇等

ALP上昇等

精神神経系

めまい、幻覚、可逆性の錯乱状態

頭痛、眠気、しびれ、不眠、痙攣等

投与部位

一過性の疼痛

その他

血圧上昇、BUN上昇

女性型乳房、乳汁分泌、倦怠感

注)発現頻度は使用成績調査を含む。

14. 適用上の注意

14.1 薬剤投与時の注意

  1. 14.1.1 投与経路

    本剤は静脈内注射にのみ使用すること。

  2. 14.1.2 投与速度

    本剤を投与する場合には、1バイアルを20mLに希釈して少なくとも2分以上かけて緩徐に注入すること。

  3. 14.1.3 投与時の注意

    静脈内投与により注射部位の一過性の疼痛を起こすことがあるので、注射部位、注射方法等に十分注意すること。また、注射に際しては血管外に漏出しないように注意すること。

15. その他の注意

15.1 臨床使用に基づく情報

本剤の投与が胃癌による症状を隠蔽することがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。

16. 薬物動態

16.1 血中濃度

健康成人に1回75mgを静脈内投与した結果、最大血漿中濃度は773ng/mL、血漿中半減期は3.36時間であった。
また、健康成人に75mgを1日2回3日間連続静脈内投与したときの血漿中薬物動態の解析結果から蓄積性は認められなかった4)

16.3 分布

  1. 16.3.1 蛋白結合率

    6~11%(平衡透析法、in vitro5) 。腎機能障害患者においても同程度であった6)

  2. 16.3.2 胎児への移行

    帝王切開患者に75mgを手術前2回経口投与した結果、臍帯血漿中濃度は母体静脈血漿中濃度の約60%であり、羊水への移行量は投与量の0.3%以下であった7)

  3. 16.3.3 乳汁への移行

    授乳期ラットに[14C]ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩を経口投与した結果、乳汁中濃度は血漿中の約2倍であったが、半減期は血漿中と同程度であった8)

16.4 代謝

健康成人に75mgを経口投与した結果、尿中代謝物は主に脱アセチル体であり、ついで多かったのはカルボン酸誘導体であった9)

16.5 排泄

健康成人に75mgを静脈内投与した結果、24時間以内に投与量の約67.5%が脱アセチル体として尿中に排泄された4)

16.6 特定の背景を有する患者

  1. 16.6.1 腎機能障害患者

    腎機能障害患者に75mgを経口投与すると、表1に示すとおり健康成人と比較して吸収過程に変化はみられなかったが、最大血漿中濃度に到達した後の血漿からの消失は腎機能の低下とともに遅延した6) 。したがって腎機能障害患者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。,

    表1 腎機能とT1/2及びAUC

    クレアチニンクリアランス
    (mL/min)

    T1/2
    (hr)

    AUC
    (ng・hr/mL)

    Ccr≧90

    3.94±0.34

    2362±160

    90>Ccr≧60

    5.68±0.51

    4101±618

    60>Ccr≧30

    7.70±0.49

    4981±477

    30>Ccr

    12.13±1.13

    12993±1245

17. 臨床成績

17.1 有効性及び安全性に関する試験

  1. 17.1.1 国内第III相臨床試験
    • 〈上部消化管出血〉

      用量設定試験10)

      二重盲検
      比較試験11)

      一般臨床
      試験12),13),14)

      1回75mg
      1日2回
      静脈内投与

      3日以内の止血率

      96.8%(30/31)

      87.8%(72/82)

      86.5%(45/52)

      36時間以内の止血率

      62.4%(103/165)

      二重盲検比較試験により、本剤の有用性が認められた。

    • 〈麻酔前投薬〉

      麻酔時における嚥下性肺炎の発生防止を目的とした二重盲検比較試験を含む臨床試験において、胃液に対する総合効果(胃液量減少、胃液pH上昇)の有効率及び有用率はともに96.8%(90/93例)であった。副作用発現頻度は2.1%(2/97例)で、いずれも注射部疼痛であった15),16)

18. 薬効薬理

18.1 作用機序

胃粘膜壁細胞のヒスタミンH2受容体を選択的に遮断することにより胃酸分泌抑制作用を示す。

18.2 胃酸分泌抑制作用

  1. 18.2.1 基礎分泌

    健康成人男性に75mgを静脈内投与した結果、投与後3時間の総酸分泌量は92.6%抑制された17)

  2. 18.2.2 ペンタガストリン刺激分泌

    健康成人男性に75mgを静脈内投与した結果、ペンタガストリン(6μg/kg)筋注による刺激後90分間の総酸分泌量は90.0%抑制された18)

  3. 18.2.3 24時間分泌

    消化性潰瘍患者に1回75mgを1日2回(12時間ごと)静脈内投与した結果、胃内のpHは著明に上昇した。
    24時間の平均pHは4.39とプラセボ投与時(2.66)より有意に上昇した19)

18.3 ペプシン分泌抑制作用

健康成人男性に75mgを静脈内投与した結果、投与後3時間の総ペプシン分泌量は85.5%抑制された17) 。また、健康成人男性に75mgを静脈内投与した結果、ペンタガストリン(6μg/kg)筋注による刺激後90分間の総ペプシン分泌量は65.4%抑制された18)

18.4 血清ガストリンに及ぼす影響

上部消化管出血患者に1日150mgを7日間静脈内投与した結果、血清ガストリン値は投与前後において有意な変動は認められなかった12) 。注射剤の第I相試験において健康成人男性に1日150mgを3日間静脈内投与した結果、1例において血清ガストリン値が投与15及び30分後に約400pg/mLに上昇した4)

18.5 血清プロラクチン等に及ぼす影響

上部消化管出血患者に1日150mgを7日間静脈内投与した結果、血清プロラクチン、血清LH、FSH、テストステロン、エストラジオール、DHEA-S及びコルチゾールは投与前後において臨床上問題となる変動を示さなかった12)

18.6 胃液内ヘキソサミン量に対する作用

健康成人男性に75mgを静脈内投与した結果、胃液中のヘキソサミン濃度は有意に増加したが、ヘキソサミン分泌量には有意な変動は認められなかった17)

18.7 実験的急性胃出血に対する作用

ラットの実験的急性胃出血に対し、用量依存的に胃出血量を抑制した20)

18.8 胃粘膜電位差に対する作用

ラットに25mg/kgを静脈内投与した結果、基礎状態の胃粘膜電位差には影響がみられなかったが、アスピリン胃内注入による胃粘膜電位差の低下は有意に抑制された21)

18.9 胃粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度に対する作用

ラットに10mg/kgを静脈内投与した結果、基礎状態の粘膜血液量及び粘膜内ヘモグロビン酸素飽和度には影響がみられなかったが、脱血ショックによるこれら指標の低下は有意に抑制された22)

18.10 胃粘膜プロスタグランジン産生能に対する作用

ラットに200mg/kgを経口投与した結果、胃粘膜のプロスタグランジンE2及びプロスタグランジンI2の産生能を低下させなかった23)

18.11 胃粘膜障害抑制作用

ラットに30mg/kgを腹腔内投与した結果、無水エタノール、0.6N塩酸及び0.2N水酸化ナトリウム投与による胃粘膜障害の発生を有意に抑制した24)

18.12 胃粘液生合成・分泌増加作用

ラット胃組織培養系において粘液生合成増加作用が認められた(in vitro25) 。また、ラットに50、100及び200mg/kgを経口投与した結果、100mg/kg以上で胃粘液分泌を増加させた26)

19. 有効成分に関する理化学的知見

一般的名称

ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩(Roxatidine Acetate Hydrochloride)

化学名

(3- {3- [(Piperidin-1-yl) methyl] phenoxy} propylcarbamoyl) methyl acetate monohydrochloride

分子式

C19H28N2O4・HCl

分子量

384.90

性状

白色の結晶又は結晶性の粉末である。
水に極めて溶けやすく、酢酸(100)に溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくい。

化学構造式

融点

147~151℃(乾燥後)

22. 包装

10バイアル

23. 主要文献

1) 社内資料:ラットにおける胎児毒性試験

2) 社内資料:ウサギにおける胎児毒性試験

3) 臼井哲夫他:応用薬理.1991;42(5):449-455

4) 青井禮子他:臨床医薬.1989;5(12):2485-2512

5) 圷 玲子他:薬理と治療.1985;13(3):1435-1443

6) 高畠利一他:薬理と治療.1985;13(6):3377-3388

7) 河西 稔他:麻酔.1986;35(1):130-138

8) 岩村 敏他:応用薬理.1985;30(2):299-320

9) 本間誠次郎他:応用薬理.1985;30(3):555-563

10) 三好秋馬他:消化器科.1990;13(1):123-136

11) 三好秋馬他:臨床医薬.1991;7(12):2737-2752

12) 三澤 正他:医学と薬学.1991;25(6):1591-1596

13) 細川俊彦他:診療と新薬.1991;28(2):323-328

14) 長町幸雄他:診療と新薬.1991;28(7):1261-1267

15) 野口純一他:診療と新薬.1990;27(11):2113-2120

16) 河西 稔他:麻酔.1991;40(9):1364-1370

17) 杉山 貢他:消化器科.1990;12(1):120-134

18) 杉山 貢他:消化器科.1990;13(4):505-514

19) 長尾房大他:消化器科.1991;14(2):194-204

20) 布施宏昭他:薬理と治療.1990;18(8):2965-2972

21) 白土賢治他:薬理と治療.1985;13(3):1413-1420

22) 川野 淳他:薬理と治療.1985;13(3):1429-1433

23) Mikami,T.:薬理と治療.1988;16(9):3743-3748

24) Shiratsuchi,K.et al.:Arch.int.Pharmacodyn.Ther.1988;294:295-304

25) Ichikawa,T.et al.:Br.J.Pharmacol.1997;122(6):1230-1236

26) 高橋伸行他:薬理と治療.1998;26(10):1701-1704

24. 文献請求先及び問い合わせ先

あすか製薬株式会社 くすり相談室

〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号

TEL 0120-848-339
FAX 03-5484-8358

26. 製造販売業者等

26.1 製造販売元

あすか製薬株式会社

東京都港区芝浦二丁目5番1号

26.2 販売元

武田薬品工業株式会社

大阪市中央区道修町四丁目1番1号

〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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