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チラーヂンS散0.01%

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.4代謝
17.臨床成績
17.1有効性及び安全性に関する試験
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

チラーヂンS散0.01%

添付文書番号

2431004B1038_1_07

企業コード

470007

作成又は改訂年月

2024年6月改訂(第2版)
2021年4月改訂

日本標準商品分類番号

872431

薬効分類名

甲状腺ホルモン製剤

承認等

チラーヂンS散0.01%

販売名コード

YJコード

2431004B1038

販売名英語表記

THYRADIN-S POWDER

販売名ひらがな

ちらーぢんえすさん0.01ぱーせんと

承認番号等

承認番号

22100AMX00790

販売開始年月

1994年12月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

3年

一般的名称

レボチロキシンナトリウム水和物

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

新鮮な心筋梗塞のある患者[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

チラーヂンS散0.01%

*有効成分
(1g中)
  日局レボチロキシンナトリウム水和物
(乾燥物として100μg)
添加剤  トウモロコシデンプン

3.2 製剤の性状

チラーヂンS散0.01%

剤形白色の散剤

4. 効能又は効果

乳幼児甲状腺機能低下症

6. 用法及び用量

通常、乳幼児にはレボチロキシンナトリウムとして1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する。
未熟児に対しては1回5μg/kg(本剤50mg/kg)から投与を開始して8日目から1回10μg/kg(本剤100mg/kg)を1日1回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

本剤を投与する際には、少量から投与を開始し、観察を十分に行い漸次増量して維持量とすることが望ましい。

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者

    投与する場合には少量から開始し、通常より長期間をかけて増量し維持量は最小必要量とすること。基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。,

  2. 9.1.2 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者

    副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。

  3. 9.1.3 糖尿病患者

    血糖コントロールの条件が変わることがある。

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 児の状態(血圧、尿量、血清ナトリウム値等)を観察しながら慎重に投与すること。
  2. 9.7.2 低出生体重児、早産児では、晩期循環不全を起こすことがある。なお、低出生体重児、早産児のうち、特に極低出生体重児や超早産児では、晩期循環不全を起こしやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすい。

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    クマリン系抗凝血剤1)

    • ワルファリンカリウム等

    クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、併用する場合にはプロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝血因子の異化を促進すると考えられている。

    交感神経刺激剤

    • アドレナリン、ノルアドレナリン、エフェドリン・メチルエフェドリン含有製剤

    交感神経刺激剤の作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    甲状腺ホルモンがカテコールアミン類のレセプターの感受性を増大すると考えられている。

    強心配糖体製剤

    • ジゴキシン、ジギトキシン等

    甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。

    強心配糖体製剤の吸収率、分布容積、肝代謝、腎排泄速度等の増減が関与していると考えられている。

    血糖降下剤

    • インスリン製剤、スルフォニル尿素系製剤等

    血糖降下剤を投与している患者において、本剤を投与すると血糖コントロールの条件が変わることがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。

    コレスチラミン2)、コレスチミド、鉄剤3)、アルミニウム含有制酸剤4),5)、炭酸カルシウム6)、炭酸ランタン水和物、セベラマー塩酸塩、ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

    同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。

    消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。

    フェニトイン製剤7)、カルバマゼピン、フェノバルビタール

    これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    これらの薬剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。

    アミオダロン

    アミオダロンは甲状腺ホルモン値を上昇又は低下させるおそれがあるので、併用する場合には甲状腺ホルモン値に注意し、慎重に投与すること。

    アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。

    経口エストロゲン製剤

    • 結合型エストロゲン、エストラジオール、エストリオール等

    経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられている。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 狭心症(頻度不明)

      狭心症があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。

    2. 11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

      AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

    3. 11.1.3 副腎クリーゼ(頻度不明)

      副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者では、副腎クリーゼがあらわれることがあるので、副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること。全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれることがある。

    4. 11.1.4 晩期循環不全(頻度不明)

      低出生体重児や早産児では、晩期循環不全があらわれることがある。特に極低出生体重児や超早産児で起こりやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすいので、血圧低下、尿量低下、血清ナトリウム低下等があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

    5. 11.1.5 ショック(頻度不明)
    6. 11.1.6 うっ血性心不全(頻度不明)

      うっ血性心不全があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。

    11.2 その他の副作用

    頻度不明

    過敏症

    過敏症状

    肝臓

    肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等)

    循環器注)

    心悸亢進、脈拍増加、不整脈

    精神神経系注)

    頭痛、めまい、不眠、振戦、神経過敏・興奮・不安感・躁うつ等の精神症状

    消化器注)

    嘔吐、下痢、食欲不振

    その他注)

    筋肉痛、体重減少、脱力感、皮膚の潮紅、発汗、発熱、倦怠感

    注)発現した場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。

    13. 過量投与

    1. 13.1 処置

      状況に応じ催吐・胃洗浄、コレスチラミンや活性炭の投与等及び換気維持のための酸素投与、交感神経興奮症状に対するプロプラノロール等のβ-遮断剤の投与、うっ血性心不全に対する強心配糖体の投与や発熱、低血糖及び体液喪失に対する処置等を行う。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    新生児マススクリーニングで発見され、初回より本剤投与した先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)患者24例における血中TSH、T4、T3、遊離T4、遊離T3、TBGの平均値は以下とおりであった8)

    項目
    投与期間

    血中濃度

    TSH
    (μU/mL)

    T4
    (μg/dL)

    T3
    (ng/dL)

    遊離T4
    (ng/dL)

    遊離T3
    (pg/mL)

    TBG
    (μg/mL)

    症例数

    24

    21

    21

    23

    20

    14

    投与
    開始時

    242.0
    ±319.3

    5.5
    ±3.8

    136.2
    ±70.0

    0.8
    ±0.4

    3.4
    ±1.6

    29.1
    ±5.3

    1週後

    42.2
    ±67.1

    16.0
    ±3.9

    171.3
    ±47.6

    2.2
    ±0.8

    4.2
    ±1.3

    27.8
    ±5.0

    2週後

    9.0
    ±18.8

    16.2
    ±3.4

    170.7
    ±45.6

    2.4
    ±0.7

    4.4
    ±1.8

    27.5
    ±5.1

    4週後

    4.1
    ±12.8

    16.4
    ±4.1

    166.5
    ±42.0

    2.6
    ±0.7

    4.9
    ±1.0

    28.2
    ±4.3

    8週後

    1.4
    ±2.8

    16.7
    ±4.8

    176.7
    ±44.3

    2.9
    ±1.2

    5.5
    ±1.1

    30.6
    ±6.4

    12週後

    1.3
    ±2.7

    16.8
    ±5.1

    184.2
    ±43.9

    2.7
    ±1.0

    5.7
    ±1.2

    32.1
    ±7.2

    16.4 代謝

    ヒト及び動物におけるT4の主な代謝は脱ヨード化であり、それ以外にグルクロン酸抱合、硫酸抱合、脱アミノ化などを受ける9),10)

    17. 臨床成績

    17.1 有効性及び安全性に関する試験

    1. 17.1.1 新鮮例(初回より本剤投与例)

      新生児マススクリーニングで発見された先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)患者に本剤を投与した結果、全般改善度は「中等度改善」以上は100%(24/24)であった。副作用発現割合は8.0%(2/25)で、発現した副作用は頻脈、易刺激性、多動、発熱及び下痢(2例6件)であった8)

    2. 17.1.2 既治療例(チラーヂンS錠50投与からの切り替え例)

      チラーヂンS錠50で治療中の幼小児甲状腺機能低下症患者にチラーヂンS錠50から本剤に替えて投与した結果、全般改善度は「不変」以上97.1%(33/34)(切り替え前のチラーヂンS錠50が全例有効なので「不変」は「改善」と評価する)であった。副作用発現割合は2.9%(1/35)で、発現した副作用は嘔気・嘔吐(1例2件)であった8)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    レボチロキシンナトリウムは、生体内で甲状腺から分泌されるT4と同じ薬理作用を示す。T4は甲状腺の他、肝臓や腎臓などの末梢組織でトリヨードチロニン(T3)に代謝された後、核内に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合することにより、標的遺伝子の転写及びタンパク質の発現を調節し、エネルギー代謝、タンパク質代謝、脂質代謝の調整等の生理作用をもたらす11)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    レボチロキシンナトリウム水和物
    (Levothyroxine Sodium Hydrate)

    化学名

    Monosodium O-(4-hydroxy-3,5-diiodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosinate hydrate

    分子式

    C15H10I4NNaO4xH2O

    分子量

    798.85(anhydrous)

    性状

    微黄白色~淡黄褐色の粉末で、においはない。
    エタノール(95)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
    水酸化ナトリウム試液に溶ける。
    光によって徐々に着色する。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    外箱から開封後は遮光して保存すること。

    22. 包装

    100g[瓶]

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    あすか製薬株式会社 くすり相談室

    〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号

    TEL 0120-848-339
    FAX 03-5484-8358

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    あすか製薬株式会社

    東京都港区芝浦二丁目5番1号

    26.2 販売元

    武田薬品工業株式会社

    大阪府中央区道修町四丁目1番1号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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