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チラーヂンS静注液200μg

処方せん医薬品

添付文書番号
企業コード
作成又は改訂年月
日本標準商品分類番号
薬効分類名
承認等
一般的名称
2.禁忌(次の患者には投与しないこと)
3.組成・性状
3.1組成
3.2製剤の性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
9.1合併症・既往歴等のある患者
9.5妊婦
9.6授乳婦
9.7小児等
9.8高齢者
10.相互作用
10.2併用注意(併用に注意すること)
11.副作用
11.1重大な副作用
11.2その他の副作用
13.過量投与
14.適用上の注意
16.薬物動態
16.1血中濃度
16.3分布
16.4代謝
16.5排泄
18.薬効薬理
18.1作用機序
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
26.製造販売業者等

チラーヂンS静注液200μg

添付文書番号

2431400A1029_1_03

企業コード

470007

作成又は改訂年月

2021年4月改訂(第1版)

日本標準商品分類番号

872431

薬効分類名

甲状腺ホルモン製剤

承認等

チラーヂンS静注液200μg

販売名コード

YJコード

2431400A1029

販売名英語表記

THYRADIN-S I.V.INJECTION

販売名ひらがな

ちらーぢんえすじょうちゅうえき200まいくろぐらむ

承認番号等

承認番号

30200AMX00023

販売開始年月

2020年6月

貯法・有効期間

貯法

室温保存

有効期間

2年

一般的名称

レボチロキシンナトリウム水和物

2. 禁忌(次の患者には投与しないこと)

  1. 2.1 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
  2. 2.2 新鮮な心筋梗塞のある患者
    [基礎代謝の亢進により心負荷が増大し、病態が悪化することがある。]

3. 組成・性状

3.1 組成

チラーヂンS静注液200μg

有効成分  日局レボチロキシンナトリウム水和物
含量  1管(1mL)中、レボチロキシンナトリウムとして200μg
添加剤  水酸化ナトリウム

3.2 製剤の性状

チラーヂンS静注液200μg

剤形・性状アンプル(無色澄明の水性注射液)
pH9.0~11.0

4. 効能又は効果

  • 粘液水腫性昏睡
  • 甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)

5. 効能又は効果に関連する注意

  • 〈甲状腺機能低下症〉

    本剤の適用にあたっては、甲状腺機能低下症であって、以下のいずれかに該当する患者を対象とすること。

    • 吸収不良・経口投与困難等により、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が奏効しない患者
    • 胸腹水・心嚢水等がみられ、早急な改善が必要な患者

6. 用法及び用量

  • 〈粘液水腫性昏睡〉

    本剤を日局生理食塩液で希釈し、通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、1日目は50~400μgを緩徐に静脈内投与し、2日目以降は50~100μgを1日1回、緩徐に静脈内投与する。
    なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

  • 〈甲状腺機能低下症(ただし、レボチロキシンナトリウム経口製剤による治療が適さない場合に限る)〉

    本剤を日局生理食塩液で希釈し、通常、成人には、レボチロキシンナトリウムとして、25μgから投与を開始し、50~150μgを維持用量として、1日1回、緩徐に静脈内投与する。
    なお、患者の状態に応じて適宜増減する。

7. 用法及び用量に関連する注意

  • 〈効能共通〉
    1. 7.1 経口投与による治療が可能となった場合には、できるだけ速やかにレボチロキシンナトリウム経口製剤に切り替えること。
  • 〈粘液水腫性昏睡〉
    1. 7.2 治療開始時の用量は、患者の年齢、合併症、症状等により個別に決定すること。通常用量を超える投与が必要な場合は、狭心症等の心疾患の発現リスクが高まるおそれもあることから、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。500μgを超えたレボチロキシンナトリウムの静脈内投与に関する報告は少ない。,,,,,
  • 〈甲状腺機能低下症〉
    1. 7.3 本剤による治療開始時に、甲状腺ホルモン製剤による治療を受けていない場合は、甲状腺ホルモンに対する感受性が増大している可能性があるので、25μgから投与を開始すること。その際、患者の年齢、合併症等を踏まえて、25μgより低用量からの投与も考慮すること。また、患者の状態を観察しながら、徐々に増量すること。なお、T4は半減期が長く、T3に変換された後に作用が発揮されるため、投与開始及び増量後は1週間を目安に観察して増量の要否を検討すること。,,,,
    2. 7.4 本剤投与前にレボチロキシンナトリウム経口製剤による治療を受けている場合は、本剤投与前のレボチロキシンナトリウム経口製剤の投与量、本剤の維持用量等を参考に、25μgを超える用量の必要性も考慮して、本剤の開始用量を決定すること。

8. 重要な基本的注意

血中濃度が急速に上昇し、経口投与と比べて過量投与に伴う副作用発現のリスクが高まるおそれがあることから、臨床症状、血中甲状腺ホルモン濃度等の患者の状態を観察しながら投与すること。,,

9. 特定の背景を有する患者に関する注意

9.1 合併症・既往歴等のある患者

  1. 9.1.1 狭心症、陳旧性心筋梗塞、動脈硬化症、高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者

    低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。基礎代謝の亢進による心負荷により、病態が悪化するおそれがある。,,,

  2. 9.1.2 副腎皮質機能不全、脳下垂体機能不全のある患者

    副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)をはかってから投与すること。粘液水腫性昏睡等で、本剤の投与が直ちに必要な場合は、副腎皮質ホルモン製剤の併用も考慮すること。副腎クリーゼを誘発し、ショック等を起こすことがある。,,

  3. 9.1.3 糖尿病患者

    血糖コントロールの条件が変わることがある。,,

9.5 妊婦

治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

9.6 授乳婦

治療上の有益性および母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。

9.7 小児等

  1. 9.7.1 児の状態(血圧、尿量、血清ナトリウム値等)を観察しながら慎重に投与すること。
  2. 9.7.2 低出生体重児、早産児では、晩期循環不全を起こすことがある。なお、低出生体重児、早産児のうち、特に極低出生体重児や超早産児では、晩期循環不全を起こしやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすい。小児におけるレボチロキシンナトリウムの静脈内投与に関する報告は少ない。

9.8 高齢者

通常より低用量から投与を開始するなど、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下しており、本剤を投与すると基礎代謝の亢進による心負荷により、狭心症等を来すおそれがある。,

10. 相互作用

    10.2 併用注意(併用に注意すること)

    薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子

    クマリン系抗凝血剤1)

    • ワルファリンカリウム等

    クマリン系抗凝血剤の作用を増強することがあるので、併用する場合にはプロトロンビン時間等を測定しながらクマリン系抗凝血剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    甲状腺ホルモンがビタミンK依存性凝血因子の異化を促進すると考えられている。

    交感神経刺激剤

    • アドレナリン、
      ノルアドレナリン、
      エフェドリン・メチルエフェドリン含有製剤

    交感神経刺激剤の作用を増強し、冠動脈疾患のある患者に併用すると冠不全のリスクが増大するおそれがあるので、併用する場合には慎重に投与すること。

    甲状腺ホルモンがカテコールアミン類のレセプターの感受性を増大すると考えられている。

    強心配糖体製剤

    • ジゴキシン、
      ジギトキシン等

    甲状腺機能亢進状態では血清ジゴキシン濃度が低下し、甲状腺機能低下状態では上昇するとの報告があるため、甲状腺機能亢進状態では通常より多量の、甲状腺機能低下状態では通常より少量の強心配糖体製剤の投与を必要とすることがある。併用する場合には強心配糖体製剤の血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。

    強心配糖体製剤の吸収率、分布容積、肝代謝、腎排泄速度等の増減が関与していると考えられている。

    血糖降下剤

    • インスリン製剤、
      スルフォニル尿素系製剤等

    血糖降下剤を投与している患者において、本剤を投与すると血糖コントロールの条件が変わることがあるので、併用する場合には血糖値その他患者の状態を十分観察しながら両剤の用量を調節するなど慎重に投与すること。

    糖代謝全般に作用し血糖値を変動させると考えられている。

    コレスチラミン2)
    コレスチミド、鉄剤3)
    アルミニウム含有制酸剤4),5)
    炭酸カルシウム6)
    炭酸ランタン水和物、
    セベラマー塩酸塩、
    ポリスチレンスルホン酸カルシウム、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム

    同時投与により本剤の吸収が遅延又は減少することがあるので、併用する場合には本剤との投与間隔をできる限りあけるなど慎重に投与すること。

    消化管内で本剤と結合し吸収を抑制すると考えられている。

    フェニトイン製剤7)
    カルバマゼピン、
    フェノバルビタール

    これらの薬剤は本剤の血中濃度を低下させることがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    これらの薬剤は甲状腺ホルモンの異化を促進すると考えられている。

    アミオダロン

    アミオダロンは甲状腺ホルモン値を上昇又は低下させるおそれがあるので、併用する場合には甲状腺ホルモン値に注意し、慎重に投与すること。

    アミオダロンが甲状腺ホルモンの脱ヨード化を阻害することが考えられている。

    経口エストロゲン製剤

    • 結合型エストロゲン、エストラジオール、エストリオール等

    経口エストロゲン製剤は甲状腺ホルモン値を低下させるおそれがあるので、併用する場合には本剤を増量するなど慎重に投与すること。

    経口エストロゲン製剤がサイロキシン結合グロブリンを増加させることが考えられる。

    11. 副作用

    次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    11.1 重大な副作用

    1. 11.1.1 狭心症(頻度不明)

      狭心症があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。,

    2. 11.1.2 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)

      AST、ALT、γ-GTP等の著しい上昇、発熱、倦怠感等があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    3. 11.1.3 副腎クリーゼ(頻度不明)

      全身倦怠感、血圧低下、尿量低下、呼吸困難等の症状があらわれることがある。

    4. 11.1.4 晩期循環不全(頻度不明)

      低出生体重児や早産児では、晩期循環不全があらわれることがある。特に極低出生体重児や超早産児で起こりやすく、また、本剤の投与後早期に起こりやすいので、血圧低下、尿量低下、血清ナトリウム低下等があらわれた場合には適切な処置を行うこと。

    5. 11.1.5 ショック(頻度不明)
    6. 11.1.6 うっ血性心不全(頻度不明)

      うっ血性心不全があらわれることがある。このような場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬など適切な処置を行うこと。

    11.2 その他の副作用

    頻 度 不 明

    過敏症

    過敏症状

    肝臓

    肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等)

    循環器注)

    心悸亢進、脈拍増加、不整脈

    精神神経系注)

    頭痛、めまい、不眠、振戦、神経過敏・興奮・不安感・躁うつ等の精神症状

    消化器注)

    嘔吐、下痢、食欲不振

    その他注)

    筋肉痛、月経障害、体重減少、脱力感、皮膚の潮紅、発汗、発熱、倦怠感

    注)発現した場合には過剰投与のおそれがあるので、減量、休薬等適切な処置を行うこと。

    13. 過量投与

    1. 13.1 処置

      換気維持のための酸素投与、交感神経興奮症状に対するプロプラノロール等のβ-遮断剤の投与、うっ血性心不全に対する強心配糖体の投与、発熱、低血糖及び体液喪失に対する処置等を行う。

    14. 適用上の注意

    14.1 薬剤調製時の注意

    1. 14.1.1 本剤1管(1mL)を日局生理食塩液100mLで希釈して投与すること。
    2. 14.1.2 析出が認められることがある。日局生理食塩液の温度が低い場合には溶けにくいので、生理食塩液の温度をあらかじめ常温に戻してから使用すること。また、希釈時によく混和すること。
    3. 14.1.3 日局生理食塩液以外の溶解液、輸液、補液及び他剤との混合注射はしないこと。
    4. 14.1.4 調製後は直射日光を避け、常温で保存し、2時間以内に投与を完了すること。

    14.2 薬剤投与時の注意

    1. 14.2.1 溶液中に析出等の異物が認められる場合は、使用しないこと。
    2. 14.2.2 本剤は点滴静注又は静脈内投与のみとし、緩徐に投与すること。なお、国内臨床薬理試験では、本剤1管を生理食塩液に混和して100mLとし、その90mL(レボチロキシンナトリウムとして180μg)を約20分かけて静脈内投与された。
    3. 14.2.3 有効成分が吸着するため、インラインフィルターの使用は避けること。

    16. 薬物動態

    16.1 血中濃度

    1. 16.1.1 単回投与

      健康成人男性8例を対象として、本剤180μgを前腕部に約20分かけて静脈内投与したとき内因性の血清中チロキシン(T4)濃度で補正した薬物動態パラメータは、以下のとおりであった8)

      AUC0-∞
      (μg・hr/dL)

      Cmax
      (μg/dL)

      Tmax
      (hr)

      t1/2
      (hr)

      174.2
      ±62.7

      3.23
      ±0.40

      0.34
      ±0.03

      65.22
      ±31.28

      (mean±S.D., n=8)

    16.3 分布

    T4は血中において殆どがthyroxine-binding globulin、transthyretin及びalbuminと結合しており、ヒトにおける遊離型T4は総T4の0.02%である9)。雄性ラットに[125I]T4を静脈内投与したとき、放射能は血漿中及び肝臓、腎臓に多く分布し、脳への分布は少なかった10)。妊娠ラットに[125I]T4を静脈内投与したところ、放射能移行量は胎児のT4産生量の1%に満たなかった11)

    16.4 代謝

    ヒト及び動物におけるT4の主な代謝は脱ヨード化であり、それ以外にグルクロン酸抱合、硫酸抱合、脱アミノ化などを受ける12),13)

    16.5 排泄

    胆管カニュレーションを施したラット及びイヌに[131I]T4を静脈内投与したとき、いずれも投与後24時間までに胆汁中及び尿中に投与した放射能のそれぞれ約20~30%が排泄された14),15)。授乳期ラットに[131I]T4を腹腔内投与したところ、放射能の乳汁への排泄は少なかった16)

    18. 薬効薬理

    18.1 作用機序

    レボチロキシンナトリウムは、生体内で甲状腺から分泌されるT4と同じ薬理作用を示す。T4は甲状腺の他、肝臓や腎臓などの末梢組織でトリヨードチロニン(T3)に代謝された後、核内に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合することにより、標的遺伝子の転写及びタンパク質の発現を調節し、エネルギー代謝、タンパク質代謝、脂質代謝の調整等の生理作用をもたらす17)

    19. 有効成分に関する理化学的知見

    一般的名称

    レボチロキシンナトリウム水和物(Levothyroxine Sodium Hydrate)

    化学名

    Monosodium O-(4-hydroxy-3, 5-diiodophenyl)-3,5-diiodo-L-tyrosinate hydrate

    分子式

    C15H10I4NNaO4xH2O

    分子量

    798.85(anhydrous)

    性状

    微黄白色~淡黄褐色の粉末で、においはない。
    エタノール(95)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。
    水酸化ナトリウム試液に溶ける。
    光によって徐々に着色する。

    化学構造式

    20. 取扱い上の注意

    外箱から開封後は遮光して保存すること。

    21. 承認条件

    医薬品リスク管理計画を策定の上、適切に実施すること。

    22. 包装

    2アンプル

    24. 文献請求先及び問い合わせ先

    あすか製薬株式会社 くすり相談室

    〒108-8532 東京都港区芝浦二丁目5番1号

    TEL 0120-848-339
    FAX 03-5484-8358

    26. 製造販売業者等

    26.1 製造販売元

    あすか製薬株式会社

    東京都港区芝浦二丁目5番1号

    26.2 販売元

    武田薬品工業株式会社

    大阪府中央区道修町四丁目1番1号

    〒100-0013 東京都千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル

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