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劇薬
処方箋医薬品注)
ベンゾジアゼピン系薬剤による鎮静の解除及び呼吸抑制の改善
本剤投与の対象は、手術又は検査時にベンゾジアゼピン系薬剤で鎮静された患者で覚醒遅延又は呼吸抑制が認められた場合、ベンゾジアゼピン系薬剤を高用量あるいは長期にわたり投与された患者で過度の鎮静状態を生じたり必要以上に鎮静状態が持続した場合、又は大量にベンゾジアゼピン系薬剤を服薬した中毒患者とする。
なお、侵襲の大きい手術を受けた患者、精神的不安の程度が高い患者は早期に覚醒させるよりある程度鎮静状態を維持する方が望ましい場合があるので、患者の状態を考慮し、覚醒させることが必要と判断される場合にのみ本剤を投与すること。
通常、初回0.2mgを緩徐に静脈内投与する。投与後4分以内に望まれる覚醒状態が得られない場合は更に0.1mgを追加投与する。
以後必要に応じて、1分間隔で0.1mgずつを総投与量1mgまで、ICU領域では2mgまで投与を繰り返す。
ただし、ベンゾジアゼピン系薬剤の投与状況及び患者の状態により適宜増減する。
急激な投与を避け、緩徐に静脈内投与するよう注意すること。離脱症状があらわれた場合はベンゾジアゼピン系薬剤を緩徐に静脈内投与するなど適切な処置を行うこと。急速に静脈内投与すると、ベンゾジアゼピン系薬剤の離脱症状が出現することがある。
少量より投与を開始し、患者個々に必要量を投与するよう注意すること。早期に覚醒させるよりもある程度鎮静状態を保つほうが良い場合が多い。
少量より投与を開始し、患者個々に必要量を投与するよう注意すること。覚醒時に血圧上昇がみられることがある。
ベンゾジアゼピン系薬剤の解除に伴い、頭蓋内圧亢進が起こることがある。
ベンゾジアゼピン系薬剤の作用低下に伴い、抗うつ剤の中毒症状(自律神経系症状等)が顕在化することがある。
覚醒後も患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。ベンゾジアゼピン系薬剤の作用消失時間の延長が考えられる。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験で乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
投与に際しては患者の状態を十分に観察し、慎重に投与すること。高齢者はベンゾジアゼピン系薬剤の作用に対し感受性が高い。
自殺企図等故意にベンゾジアゼピン系薬剤を過量服薬した患者で、同時に三(四)環系抗うつ剤を服用している場合は、ベンゾジアゼピン系薬剤の作用低下に伴い三(四)環系抗うつ剤の中毒作用が増強するため、このような患者には特に注意して投与すること。
本剤はGABA受容体、ベンゾジアゼピン受容体及びクロルチャンネルの複合体と結合し、ベンゾジアゼピン系薬剤の作用を低下させ、三(四)環系抗うつ剤の中毒作用が増強すると考えられている。
観察を十分に行い、蕁麻疹、顔面蒼白、血圧低下、呼吸困難、嘔気等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
1~5%未満
1%未満
頻度不明
精神神経系
頭痛、興奮
不穏、幻覚、体動
不安感、痙攣
血液
白血球減少
循環器
血圧上昇
頻脈、徐脈
呼吸器
咳、咽頭異和感
消化器
嘔気、嘔吐、胸部不快感
肝臓
AST上昇、ALT上昇、血清ビリルビン上昇、Al-P上昇
腎臓
クレアチニン上昇
その他
羞明
過換気
使用時には、以下の点に注意すること。
開封後の使用は1回限りとし、使用後の残液はシリンジとともに速やかに廃棄すること。
健康成人男子に1、2、4mg注1)を静脈内投与したときの血漿中未変化体の消失半減期は49~52分であり、血漿中濃度曲線下面積は投与量に比例して増加し、分布容積及び血漿クリアランスは投与量にかかわらず一定であった1)。
健康成人男子に静脈内投与したとき、大部分がエチルエステルの加水分解によりカルボン酸体に代謝された後、その約40%がグルクロン酸抱合体に変化した1)。
健康成人男子に静脈内投与したとき、代謝物(カルボン酸体及びそのグルクロン酸抱合体)は尿中に速やかに排泄された1)。
ベンゾジアゼピン系薬剤の薬動力学的パラメータはフルマゼニルの存在下でも影響を受けなかった2),3)(外国人データ)。
全身麻酔時にフルニトラゼパムにより導入、吸入麻酔薬で維持され、手術終了後も鎮静状態にある患者(129例)を対象として、フルマゼニル0.2mg/2mL又はプラセボ2mLを投与し、投与後4分以降鎮静状態にある(覚醒しない)場合には総投与量10mLまで1分ごとに1mLずつ追加投与した。鎮静からの覚醒に関する総合効果が「有効」以上の割合はフルマゼニル群で82.5%、プラセボ群で20.6%であり、フルマゼニル群で有意(p<0.001)に高かった。
副作用はフルマゼニル群で7.7%(5/65例)に認められ、興奮2例、不穏、体動、徐脈各1例であった4)。
また、局所麻酔(脊椎麻酔、硬膜外麻酔)時にジアゼパムで鎮静されて非開腹手術を受け、手術終了時にジアゼパムによると考えられる呼吸抑制が認められた患者(8例)を対象に、フルマゼニル0.2mgを静脈内投与し、呼吸抑制に対する拮抗作用を検討した。フルマゼニル投与後10分にはジアゼパム投与後に比し一回換気量の有意な増加(p<0.01)と炭酸ガス換気応答曲線の傾きの有意な上昇(p<0.05)及びPaCO2の有意な低下(p<0.01)が認められた5)。
ベンゾジアゼピン受容体は中枢においてGABA受容体と複合体を作っており、ベンゾジアゼピンはGABAの感受性を調節している。フルマゼニルはベンゾジアゼピン受容体に結合するが、固有活性をほとんどもっておらず、ベンゾジアゼピン受容体に結合しているベンゾジアゼピン系薬剤と置き換わることにより、ベンゾジアゼピン系薬剤の薬効を消失させる6)。
ジアゼパム、フルニトラゼパム及びミダゾラム等のベンゾジアゼピン系薬剤による中枢作用(リスザル及びラットの睡眠、マウスの抗痙攣、筋弛緩及びラットの抗葛藤)に対して拮抗した7),8)。
一方、フェノバルビタール及びメプロバメート等、ベンゾジアゼピン受容体に作用しない中枢抑制薬による作用に対して拮抗しなかった7),8),9)。
行動薬理(マウス、ラット、イヌ、リスザル)7),8)、電気生理(ネコ、ラット)9)及び神経科学実験(ラット)10),11)の結果より、フルマゼニルは中枢型ベンゾジアゼピン受容体に高い親和性を有し、特異的な拮抗作用を示した。
単独投与では筋弛緩作用、抗葛藤作用及び痙攣誘発作用等のベンゾジアゼピン受容体を介する作用を示さなかった7),8)。
また、ペンテトラゾール誘発強直性痙攣については高用量で発現までの時間の延長及び自発脳波の徐波化、即ち、非常に弱い固有活性を示した12)。
フルマゼニル(Flumazenil)
Ethyl 8-fluoro-5,6-dihydro-5-methyl-6-oxo-4H-imidazo[1,5-α][1,4]benzodiazepine-3-carboxylate
C15H14FN3O3
303.29
白色の結晶性の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがある。酢酸(100)、クロロホルム又はジクロロメタンに溶けやすく、1mol/L塩酸試液にやや溶けやすく、エタノール(95)又はメタノールにやや溶けにくく、エタノール(99.5)に溶けにくく、水又はジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
198~202℃
5mLシリンジ×10本
1) 関野久之ほか:医学と薬学. 1990;23(4):777-796
2) Klotz U. et al.:Br J Clin Pharmacol. 1985;19:95-98
3) Klotz U. et al.:J Clin Pharmacol. 1985;25:400-406
4) 花岡一雄ほか:医学のあゆみ. 1990;155(4):263-273
5) 土井松幸ほか:麻酔. 1990;39(10):1377-1382
6) 花岡一雄:現代医療. 1992;24(7):1921-1925
7) Bonetti EP. et al.:Psychopharmacology. 1982;78:8-18
8) 羅質璞ほか:薬理と治療. 1990;18(7):2533-2542
9) Polc P. et al.:Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol. 1981;316:317-325
10) Möhler H. et al.:J Neurochem. 1981;37(3) :714-722
11) 寺井道夫:Prog Med. 1992;12(2):367-371
12) 小澤由起子ほか:基礎と臨床. 1990;24(8):3811-3826
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