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劇薬
麻薬
処方箋医薬品注)
本剤の硬膜外及びくも膜下投与は、これらの投与法に習熟した医師のみにより、本剤の投与が適切と判断される患者についてのみ実施すること。
効能又は効果
用法及び用量
全身麻酔、全身麻酔における鎮痛
通常、成人には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
〔バランス麻酔に用いる場合〕麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.03~0.16mL/kg(フェンタニルとして1.5~8μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。麻酔維持:ブドウ糖液などに希釈して、下記(1)又は(2)により投与する。(1)間欠投与:フェンタニル注射液として0.5~1mL(フェンタニルとして25~50μg)ずつ静注する。(2)持続投与:フェンタニル注射液として0.01~0.1mL/kg/h(フェンタニルとして0.5~5μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
〔大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.4~3mL/kg(フェンタニルとして20~150μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。麻酔維持:必要に応じて、ブドウ糖液などに希釈して、フェンタニル注射液として0.4~0.8mL/kg/h(フェンタニルとして20~40μg/kg/h)の速さで点滴静注する。
通常、小児には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、全身状態に応じて適宜増減する。
〔バランス麻酔又は大量フェンタニル麻酔に用いる場合〕麻酔導入時:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)を緩徐に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。大量フェンタニル麻酔に用いる場合は、通常、フェンタニル注射液として2mL/kg(フェンタニルとして100μg/kg)まで投与できる。麻酔維持:フェンタニル注射液として0.02~0.1mL/kg(フェンタニルとして1~5μg/kg)ずつ間欠的に静注するか、又はブドウ糖液などに希釈して点滴静注する。
局所麻酔における鎮痛の補助
通常、成人には、フェンタニル注射液として0.02~0.06mL/kg(フェンタニルとして1~3μg/kg)を静注する。なお、患者の年齢、全身状態、疼痛の程度に応じて適宜増減する。
激しい疼痛(術後疼痛、癌性疼痛など)に対する鎮痛
通常、成人には、右記用量を用いる。なお、患者の年齢、症状に応じて適宜増減する。
〔静脈内投与の場合〕術後疼痛に用いる場合は、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg(フェンタニルとして1~2μg/kg)を緩徐に静注後、フェンタニル注射液として0.02~0.04mL/kg/h(フェンタニルとして1~2μg/kg/h)の速さで点滴静注する。癌性疼痛に対して点滴静注する場合は、フェンタニル注射液として1日2~6mL(フェンタニルとして0.1~0.3mg)から開始し、患者の症状に応じて適宜増量する。
〔硬膜外投与の場合〕単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.5~2mL(フェンタニルとして1回25~100μg)を硬膜外腔に注入する。持続注入法:フェンタニル注射液として0.5~2mL/h(フェンタニルとして25~100μg/h)の速さで硬膜外腔に持続注入する。
〔くも膜下投与の場合〕単回投与法:フェンタニル注射液として1回0.1~0.5mL(フェンタニルとして1回5~25μg)をくも膜下腔に注入する。
b)癌性疼痛◆癌性疼痛に対して、経口モルヒネ製剤から切り替える場合は、1日量の1/300量から開始する。持続静注の維持量は、0.1~3.9mg/dayと個人差が大きいので、0.1~0.3mg/dayから開始し、投与量を滴定する必要がある。
血圧低下や病状の悪化が起こりやすい。
呼吸抑制を増強するおそれがある。
徐脈を起こすことがある。
適宜減量すること。作用が強くあらわれることがある。
依存性を生じやすい。
硬膜外投与により病状が悪化するおそれがある。なお、くも膜下投与により病状が悪化するおそれがあるため投与しないこと。
出血しやすく、血腫形成や脊髄への障害を起こすことがある。
脊髄や神経根の損傷のおそれがある。
実体重に基づき投与した場合、過量投与となり呼吸抑制が発現するおそれがある。
血中濃度が高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(マウス、ラット)で生児平均体重の低下が報告されている。本剤は胎盤を通過するため、分娩時の投与により新生児に呼吸抑制があらわれることがある。また、分娩時を含む妊娠中の投与により胎児に徐脈があらわれることがある。
本剤投与中は授乳を避けさせること。ヒトで母乳中への移行が報告されている。
低出生体重児、新生児及び乳児に自発呼吸下で投与する場合は、低用量から開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。低出生体重児、新生児及び乳児では呼吸抑制を起こしやすい。
減量するなど注意すること。一般に生理機能が低下している。
ナルメフェン塩酸塩水和物
本剤の離脱症状があらわれるおそれがある。また、本剤の効果が減弱するおそれがある。緊急の手術等によりやむを得ず本剤を投与する場合、患者毎に用量を漸増し、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状を注意深く観察すること。また、手術等において本剤を投与することが事前にわかる場合には、少なくとも1週間前にナルメフェン塩酸塩水和物の投与を中断すること。
μオピオイド受容体拮抗作用により、本剤の作用が競合的に阻害される。
中枢神経系抑制剤
全身麻酔剤
モノアミン酸化酵素阻害剤
三環系抗うつ剤
骨格筋弛緩剤
鎮静抗ヒスタミン剤
アルコール
オピオイド剤
中枢神経抑制作用が増強されることがあるので、減量投与など注意すること。
相加的に中枢神経抑制作用が増強される。
セロトニン作用薬
セロトニン症候群(不安、焦燥、興奮、錯乱、発熱、発汗、頻脈、振戦、ミオクローヌス等)があらわれるおそれがある。
相加的にセロトニン作用が増強するおそれがある。
CYP3A4阻害作用を有する薬剤
本剤のAUCが上昇し、呼吸抑制等の副作用が発現するおそれがあるので、観察を十分に行い、慎重に投与すること。
肝代謝酵素CYP3A4に対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
CYP3A4誘導作用を有する薬剤
本剤の血中濃度が低下し、治療効果が減弱するおそれがある。必要に応じて本剤の用量調整を行うこと。
肝代謝酵素CYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
モルヒネ様の薬物依存を起こすことがある。
術中の場合は補助呼吸、調節呼吸を、また術後の場合は麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)の投与又は補助呼吸等の処置を行うこと。
筋強直による換気困難がみられることがある。このような場合には筋弛緩剤の投与及び人工呼吸等の処置を行うこと。
血圧降下がみられた場合には輸液を行い、更に必要な場合は昇圧剤(アドレナリンを除く)又は麻薬拮抗剤(ナロキソン、レバロルファン等)の投与を行うこと。なお、本剤を腰椎麻酔、硬膜外麻酔に併用すると、更に血圧降下を招くおそれがある。
血圧低下、蕁麻疹等があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
過敏症
発疹、紅斑、そう痒症、蕁麻疹
循環器系
徐脈
血圧上昇、起立性低血圧注1)、頻脈
**精神神経系
不眠、後睡眠、めまい、頭痛、精神症状、気分の動揺
ふるえ、錐体外路症状、四肢振戦、視力障害、多幸症、せん妄、うわ言、傾眠、しびれ、痛覚過敏注2)、アロディニア
**その他
悪心・嘔吐
発汗、咽頭痛、喀痰排出増加、喀痰排出困難
体温低下・悪寒、四肢冷感、喘鳴、吃逆、嗄声
口渇、食道運動障害、咳嗽、発熱、尿閉
*薬理作用の増強により重篤な換気低下を示す。また、白質脳症が認められている。
以下の治療を行うこと。
本剤が皮膚に触れた場合には、水で洗い流すこと。本剤の皮膚からの吸収が増加する可能性があるため、石けん、アルコール等は使用しないこと。
健康男子5例に3H-フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、フェンタニルの血漿中濃度は投与後60分以内に急速に低下し、投与量の約98%が消失した。その後は徐々に低下した。また、AUC(0-8)は平均約511ng/mL・minを示し、半減期は平均約3.6時間であった2)(外国人のデータ)。
フェンタニルは主に肝臓で代謝され、主代謝物はノルフェンタニルである。また、ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro代謝試験において、フェンタニルはCYP3A4によりノルフェンタニルに代謝されるとの報告がある3)。
健康男子5例に3H-フェンタニル6.4μg/kgを静注投与した場合、72時間以内に投与量の約85%が代謝物として尿糞中に排泄され、未変化体は8%未満であった2)(外国人のデータ)。
新生児及び6歳以下の小児103例(N群;受胎後週数45週未満:7例、I群;受胎後週数45週以上2歳以下:48例、C群;3歳以上6歳以下:48例)に初回投与量としてフェンタニルクエン酸塩注射液2~15μg/kg(必要に応じて投与される麻酔導入時の投与1~5μg/kgを含む)を投与し、血中濃度が測定可能であった30例(I群:11例及びC群:19例)で検討された。初回投与量(最小値~最大値)はI群2.00~4.63μg/kg及びC群1.88~4.89μg/kgであった。初回投与後の血中フェンタニル濃度(最小値~最大値)はI群(10例)で0.2~0.7ng/mL及びC群(18例)で0.2~0.9ng/mLと両群の間で違いは認められなかった。採血時間は23/30例で初回投与後1時間±5分であった4)。
新生児から6歳以下の小児患者103例を対象に、フェンタニルクエン酸塩注射液を全身麻酔時の鎮痛に使用した医師主導治験が実施された。
治験実施計画書適合集団(PPS)84例において、フェンタニルクエン酸塩注射液は静脈内投与により、初回時にフェンタニルとして1.9~6.0μg/kg、追加時にフェンタニルとして1回あたり0.6~5.2μg/kgが用いられ(総量1.9~12.1μg/kg)、有効性主要評価項目である医師の総合判定では、評価対象症例84例中77例(91.7%)が有効注3)と判定された。副作用発現頻度は19.4%(20/103例)で、主な副作用は、嘔吐5.8%(6/103例)、そう痒症4.9%(5/103例)、呼吸抑制2.9%(3/103例)であった5)。
オピオイド受容体は末梢神経や脳脊髄の神経細胞体および神経終末に広く分布しており、フェンタニルはオピオイド受容体のうちμ受容体に作用する6)。
フェンタニルはきわめて強力な鎮痛薬であり、非経口的に投与されると一般的に非常に短い作用持続時間を示す。全身投与後では、フェンタニルはモルヒネの約100倍強力である7)。
ラットに本剤又はフェンタニル注射液0.1mg「第一三共」を0.1mg硬膜外投与し、Tailflick法により侵害刺激に対する反応潜時を測定する生物学的同等性試験を実施した。その結果、両剤の反応潜時の延長効果に差は認められず、生物学的同等性が確認された8)。
フェンタニルクエン酸塩(Fentanyl Citrate)
N-(1-Phenethylpiperidin-4-yl)-N-phenylpropanamide monocitrate
C22H28N2O・C6H8O7
528.59
白色の結晶又は結晶性の粉末である。メタノール又は酢酸(100)に溶けやすく、水又はエタノール(95)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
同一患者に対する一回の手術時の使用で残液がでた場合には、麻薬に関する所定の手続きにしたがって廃棄すること。
2mL×10アンプル
5mL×5アンプル
10mL×5アンプル
1) 日本麻酔科学会-麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン改訂第3版4訂 2019:63-65
2) McClain DA, et al.:Clin Pharmacol Ther. 1980;28(1):106-114
3) Labroo RB, et al.:Drug Metab Dispos. 1997;25(9):1072-1080
4) 医師主導治験における血漿中濃度データ(フェンタニル注射液0.1mg「三共」/0.25mg「三共」:2007年8月23日承認、審査報告書)
5) 医師主導治験(フェンタニル注射液0.1mg「三共」/0.25mg「三共」:2007年8月23日承認、審査報告書)
6) 橋本敬太郎ほか:グッドマン・ギルマン薬理書[上]第13版 廣川書店 2022:574
7) 橋本敬太郎ほか:グッドマン・ギルマン薬理書[上]第13版 廣川書店 2022:599-600
8) テルモ株式会社:生物学的同等性試験(社内資料)
テルモ・コールセンター
〒259-0151 神奈川県足柄上郡中井町井ノ口1500
TEL 0120-12-8195
本剤は厚生労働省告示第75号(平成24年3月5日付)に基づき、投薬は1回30日分を限度とされている。
テルモ株式会社
東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目44番1号
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