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毒薬
処方箋医薬品注)
生物由来製品
*本剤は、ボツリヌス菌によって産生されるA型ボツリヌス毒素製剤であり、有効成分としてインコボツリヌストキシンAを含有している。A型ボツリヌス毒素を緊張筋以外の部位に投与すると、一時的に周辺筋肉群の筋力低下等が発現することがあるため、本剤の投与は、講習を受けた医師で、本剤の安全性及び有効性を十分理解し、高度な解剖学的知識、筋電図、超音波検査、又はスティミュレーター等の測定技術及び本剤の施注手技に関する十分な知識・経験のある医師が行うこと。また、本剤の使用上の注意を熟読した上で、用法及び用量を厳守し、上肢痙縮及び下肢痙縮以外には使用しないこと。
本剤を投与する場合は、以下の点に注意すること。
通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注7) に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
*通常、成人にはインコボツリヌストキシンAとして複数の緊張筋注8) に合計400単位を分割して筋肉内注射する。1回あたりの最大投与量は400単位であるが、対象となる緊張筋の種類や数により、投与量は必要最小限となるよう適宜減量する。また、再投与は前回の効果が減弱した場合に可能であるが、投与間隔は12週以上とすること。なお、症状に応じて投与間隔は10週まで短縮できる。
投与筋
投与量注9),注10)(単位/筋)
投与部位数(部位/筋)
手関節の屈曲
橈側手根屈筋
25-100
1-2
尺側手根屈筋
20-100
手指関節の屈曲
浅指屈筋
深指屈筋
肘関節の屈曲
腕橈骨筋
1-3
上腕二頭筋
50-200
2-4
上腕筋
前腕の回内
方形回内筋
10-50
1
円回内筋
25-75
母指関節の屈曲
長母指屈筋
母指内転筋
5-30
短母指屈筋又は母指対立筋
投与量注11),注12)(単位/筋)
足関節の底屈(尖足)
腓腹筋(内側頭/外側頭)
2-6
ヒラメ筋
足関節の回外(内反)/底屈(尖足)
後脛骨筋
50-150
2-3
足趾の屈曲
長趾屈筋
50-100
長母趾屈筋
本剤の薬理作用のため過度の筋力低下に至り、病状を悪化させるおそれがある。治療上の有益性がリスクを上回る場合にのみ使用し、投与の際には専門医の管理のもとに投与すること。
妊娠する可能性のある女性は、投与中及び最後の投与から16週後まで避妊を考慮すること。,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。本剤は動物実験で、母動物の体重低値、摂餌量減少及び流産が認められている。また、類薬において、妊娠中の患者で胎児の死亡が報告されている。,
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。乳汁への移行に関する情報は得られていない。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがある。
本剤及びこれらの薬剤はともに筋弛緩作用を有するため作用が増強されるおそれがある。
過剰な筋弛緩があらわれるおそれがあり、筋力低下、嚥下障害等の発現するリスクが高まるおそれがあるため、本剤と他のボツリヌス毒素製剤の同時投与は原則として避けること。
アナフィラキシーを含む重篤かつ即時型の過敏症、血清病等を起こす可能性があるので、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、発疹、悪心等の症状が認められた場合には投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
1~3%未満
1%未満
頻度不明
*皮膚
湿疹、紅斑、蕁麻疹、過角化
そう痒症、発疹
*消化器
便秘、嚥下障害
悪心、口内乾燥
*筋骨格
筋力低下
四肢不快感、関節痛、筋骨格痛、筋肉痛、四肢痛、筋緊張低下
*精神神経系
麻痺
血管迷走神経反応(一過性症候性低血圧、耳鳴、失神)、頭痛、感覚鈍麻
注射部位
皮下出血、注射部位内出血、筋肉内出血
疼痛、炎症、錯感覚、注射部位感覚鈍麻、圧痛、注射部位腫脹、注射部位浮腫、紅斑、そう痒、感染、血腫、出血、挫傷
*泌尿器
排尿後の尿滴下、頻尿、尿閉
*その他
構語障害、転倒、血中CK増加、靱帯捻挫、末梢性浮腫、倦怠感、蜂巣炎
軟部組織浮腫、腫脹、無力症、インフルエンザ様症状、上咽頭炎
A型ボツリヌス毒素の過量投与により、投与筋以外の遠隔筋に対する様々な症状を伴う強い神経筋麻痺が生じることがある。過量投与の症状は、全身の筋力低下、眼瞼下垂、複視、呼吸困難、発語困難、言語障害、呼吸筋麻痺又は嚥下障害等であり、誤嚥性肺炎の原因となることもある。
投与直後の場合には抗毒素の投与を検討してもよいが、治療上の有益性と危険性を慎重に判断すること。なお、既にボツリヌス中毒症状(全身性の脱力及び筋肉麻痺等)が発現した時点での抗毒素投与は、無効である。
溶解液の量(日局生理食塩液)
溶解後のボツリヌス毒素濃度
50単位
0.25mL
20単位/0.1mL
0.5mL
10単位/0.1mL
1.0mL
5.0単位/0.1mL
1.25mL
4.0単位/0.1mL
2.0mL
2.5単位/0.1mL
2.5mL
2.0単位/0.1mL
4.0mL
1.25単位/0.1mL
5.0mL
1.0単位/0.1mL
100単位
8.0単位/0.1mL
200単位
40単位/0.1mL
16単位/0.1mL
残った薬液は、0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液を加える、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)により失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。薬液の触れた器具等は同様に0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液をかける、又は滅菌処理(121℃、20分で高圧蒸気滅菌後に、120℃、10分で乾熱滅菌を行う)にかけて失活させた後、密閉可能な廃棄袋又は箱に廃棄する。
すべて拭き取る。
0.5%次亜塩素酸ナトリウム溶液で洗い、水で洗い流す。
大量の水又は眼用の洗浄液で洗い流す。
動物実験(サル)により、本剤投与部位以外の遠隔の筋において、筋萎縮や筋重量減少等の障害が発生したとの報告がある。
脳卒中後の成人上肢痙縮患者を対象に、忍容性導入期、二重盲検期及び非盲検継続期から構成される国内第III相試験を実施した。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較デザインとして実施された二重盲検期において、本剤各用量注13) 又は対応するプラセボを複数の緊張筋に単回筋肉内投与したとき、主要評価項目である手関節の屈曲におけるModified Ashworth Scale(MAS:筋痙縮の度合いを6段階で評価)のベースラインから投与12週後までの変化量に基づく時間曲線下面積は、下表のとおりであり、本剤400単位群、250単位群ともにプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた3) 。
400単位群
250単位群
本剤群(44例)
プラセボ群(22例)
本剤群(23例)
プラセボ群(11例)
MASの変化量に基づく時間曲線下面積a)
-13.85±1.560
-6.10±2.006
-13.76±1.789
-5.41±2.188
群間差a)
-7.75±2.322[-12.39; -3.10]b)
-8.35±2.593[-13.64; -3.05]b)
P=0.0014c)
P=0.0031c)
a)最小二乗平均値±標準誤差b)95%信頼区間c)階層的手順(400単位投与において本剤群とプラセボ群との間に統計学的な有意差が認められた場合にのみ、250単位投与における本剤群とプラセボ群と比較検定を行う)によって検証的検定を実施した。「手関節の屈曲のMASスコアのベースライン値」を共変量とし、「施設」、「投与群」、及び「性別」を因子として、共分散分析を行った。
各評価時期の手関節の屈曲におけるMASのベースラインからの変化量の推移は、下表のとおりであった。
MASa)
投与前
3.00±0.00
MAS変化量b)群間差[95%信頼区間]
投与1週後
-1.17±0.117
-0.51±0.150
-1.28±0.164
-0.55±0.201
-0.66±0.174[-1.01; -0.31]
-0.73±0.238[-1.21; -0.24]
投与4週後
-1.39±0.167
-0.54±0.215
-1.32±0.191
-0.39±0.233
-0.85±0.248[-1.35; -0.35]
-0.92±0.276[-1.49; -0.36]
投与6週後
-1.36±0.165
-0.63±0.212
-1.24±0.178
-0.53±0.217
-0.73±0.246[-1.22; -0.24]
-0.72±0.258[-1.24; -0.19]
投与8週後
-1.20±0.148
-0.56±0.190
-1.18±0.179
-0.49±0.219
-0.63±0.220[-1.07; -0.19]
-0.69±0.260[-1.22; -0.16]
投与12週後
-0.86±0.150
-0.38±0.193
-0.94±0.162
-0.40±0.198
-0.48±0.224[-0.93; -0.03]
-0.54±0.235[-1.02; -0.06]
a)平均値±標準偏差b)最小二乗平均値±標準誤差
また、忍容性導入期又は二重盲検期に引き続いて実施した非盲検継続期において、本剤400単位注13) を複数の投与筋に反復筋肉内投与したときの各投与の手関節の屈曲におけるMASのベースライン(忍容性導入期又は二重盲検期における本剤投与開始時)からの変化量の推移は、下表のとおりであった。
投与1回目
投与2回目
投与3回目
MAS変化量a)
-0.54±0.78(100)
-0.88±0.69(91)
-1.01±0.69(82)
-1.43±0.78(99)
-1.49±0.74(89)
-1.50±0.69(82)
投与10-14週後
―
-1.22±0.72(82)
a)平均値±標準偏差(例数)
二重盲検期における副作用の発現頻度は、本剤400単位群で6.8%(3/44例)及び250単位群で8.7%(2/23例)であり、プラセボ400単位群及び250単位群はいずれも0.0%(0/22例及び0/11例)であった。本試験の全投与期間における本剤投与時の主な副作用は、筋力低下3.7%(4/108例)、注射部位内出血1.9%(2/108例)、構語障害1.9%(2/108例)であった。
*脳卒中後の成人下肢痙縮患者を対象に、忍容性導入期、二重盲検期及び非盲検継続期から構成される国内第III相試験を実施した。プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較デザインとして実施された二重盲検期において、本剤400単位注14) 又はプラセボを複数の緊張筋に単回筋肉内投与したとき、主要評価項目である足関節の底屈におけるMASのベースラインから投与12週後までの変化量に基づく時間曲線下面積は、下表のとおりであり、本剤400単位群でプラセボ群に対する統計学的な有意差が認められた4) 。
本剤400単位群(104例)
プラセボ群(104例)
-8.40±0.661
-5.81±0.713
-2.59±0.892[-4.35; -0.83]b)
P=0.0041c)
a)最小二乗平均値±標準誤差b)95%信頼区間c)「足関節の底屈におけるMASスコアのベースライン値」を共変量とし、「施設」、「投与群」、及び「性別」を因子として、共分散分析を行った。
各評価時期の足関節の底屈におけるMASのベースラインからの変化量の推移は、下表のとおりであった。
-0.59±0.065
-0.45±0.070
-0.13±0.088[-0.31; 0.04]
-0.81±0.070
-0.57±0.076
-0.24±0.095[-0.42; -0.05]
-0.91±0.076
-0.62±0.082
-0.30±0.103[-0.50; -0.09]
-0.81±0.071
-0.52±0.076
-0.28±0.096[-0.47; -0.10]
-0.46±0.059
-0.34±0.064
-0.11±0.079[-0.27; 0.04]
また、忍容性導入期又は二重盲検期に引き続いて実施した非盲検継続期において、本剤400単位注14) を複数の投与筋に反復筋肉内投与したときの各投与の足関節の底屈におけるMASのベースライン(忍容性導入期又は二重盲検期における本剤投与開始時)からの変化量の推移は、下表のとおりであった。
-0.32±0.53(202)
-0.51±0.63(190)
-0.60±0.65(184)
-1.05±0.75(201)
-1.16±0.77(188)
-1.18±0.73(182)
-
-0.83±0.77(182)
二重盲検期における副作用の発現頻度は、本剤400単位群で5.8%(6/104例)、プラセボ群は4.8%(5/104例)であった。本試験の全投与期間における本剤投与時の主な副作用は、筋力低下2.4%(5/212例)、四肢不快感、便秘、転倒、及び血中クレアチンホスホキナーゼ増加各0.9%(2/212例)であった。
インコボツリヌストキシンAは、末梢神経筋接合部における神経終末内でSynaptosomal Associated Protein 25(SNAP-25)を分解し、シナプス小胞からのアセチルコリンの放出を抑制することで、筋弛緩作用を示すと考えられる5) 。
マウスの後肢腓腹筋に本剤を単回投与したとき、用量依存的な後肢の筋麻痺が認められた6) 。サルの左中臀筋に本剤を単回投与し筋電図を測定したとき、中臀筋活動電位は投与1~2週後に最も抑制された後、投与36週後には投与前の値まで回復が認められた7) 。
インコボツリヌストキシンA(IncobotulinumtoxinA)
白色の凍結乾燥製剤であり、溶解後に無色澄明な液となる。
インコボツリヌストキシンAは、ボツリヌス菌が産生するボツリヌス神経毒素A型であり、437個のアミノ酸残基からなるL鎖1本及び848個のアミノ酸残基からなるH鎖1本からなるタンパク質(分子量:148,171.49)である。
50単位×1バイアル
100単位×1バイアル
200単位×1バイアル
1) *Wissel J, et al.:Neurology 2017; 88(14): 1321-28.
2) 社内報告:海外臨床試験. 2020.(2020年6月29日承認、CTD2.7.3.5.1)
3) Masakado Y, et al.:J Neurol. 2020; 267(7): 2029-41.
4) *社内報告:国内第III相試験(下肢痙縮). 2021.
5) Arnon SS, et al.:JAMA. 2001; 285: 1059-70.
6) 社内報告:筋麻痺作用(マウス). 2020.(2020年6月29日承認、CTD2.6.2.2.2)
7) 社内報告:筋麻痺作用(サル). 2020.(2020年6月29日承認、CTD2.6.2.2.3)
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