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日本薬局方
アレンドロン酸ナトリウム錠
劇薬
処方箋医薬品注)
骨粗鬆症
本剤の適用にあたっては、日本骨代謝学会の診断基準等を参考に、骨粗鬆症との診断が確定している患者を対象とすること。
通常、成人にはアレンドロン酸として5mgを1日1回、毎朝起床時に水約180mLとともに経口投与する。なお、服用後少なくとも30分は横にならず、飲食(水を除く)並びに他の薬剤の経口摂取も避けること。
上部消化管粘膜に対し、刺激作用を示すことがあるので基礎疾患を悪化させるおそれがある。,
妊娠する可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ビスホスホネート系薬剤は骨基質に取り込まれた後に全身循環へ徐々に放出される。全身循環への放出量はビスホスホネート系薬剤の投与量・期間に相関する。ビスホスホネート系薬剤の中止から妊娠までの期間と危険性との関連は明らかではない。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)でアレンドロン酸が乳汁中に移行することが報告されている。
小児等の骨粗鬆症を対象とした臨床試験は実施していない。
カルシウム、マグネシウム等の金属を含有する経口剤:
制酸剤
マグネシウム製剤等
本剤の服用後少なくとも30分経ってから服用すること。
本剤は多価の陽イオン(Ca、Mg等)とキレートを形成することがあるので、併用すると本剤の吸収を低下させる。
食道障害[食道穿孔(頻度不明)、食道狭窄(頻度不明)、食道潰瘍(0.04%)、食道炎(0.2%)、食道びらん(頻度不明)があらわれ、出血を伴う場合がある。]、口腔内潰瘍(頻度不明)があらわれることがある。徴候又は症状(吐血、下血、貧血、嚥下困難、嚥下痛、胸骨下痛、胸やけ、口腔内異和感、口内痛の発現・悪化等)に注意すること。,,
(出血性)胃・十二指腸潰瘍(0.4%)、出血性胃炎(0.02%)があらわれることがある。徴候又は症状(吐血、下血、貧血、上腹部痛、心窩部痛、上腹部不快感の発現・悪化等)に注意すること。,
AST、ALTの上昇を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
痙攣、テタニー、しびれ、失見当識、QT延長等を伴う低カルシウム血症があらわれることがある。異常が認められた場合にはカルシウム剤の点滴投与等を考慮すること。,,,
1~5%未満
1%未満
頻度不明
消化器
嘔気、胃痛・心窩部痛、胃不快感・胃重感・腹部不快感
口内乾燥、腹痛、嘔吐、食欲不振、腹部膨満感、口内炎、嚥下困難、胃酸逆流、咽喉頭痛、咽喉頭不快感、おくび、便秘、下痢、胃炎、消化不良
鼓腸放屁、歯肉腫脹
皮膚・皮膚付属器
発疹、かゆみ、脱毛、湿疹、蕁麻疹
紅斑
血液
血小板数減少、貧血(赤血球数減少、ヘモグロビン低下等)、白血球数減少
肝臓
肝機能異常(AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇等)
腎臓
BUN上昇、頻尿、排尿困難
中枢・末梢神経系
浮動性めまい、回転性めまい、知覚減退、頭痛
筋・骨格系
関節痛注1)、背(部)痛注1)、筋肉痛注1)、骨痛注1)、筋痙攣
精神・神経系
不眠(症)
電解質代謝
血清リン低下、血清カリウム上昇
眼
ぶどう膜炎、眼症状(かすみ、異和感等)、強膜炎、上強膜炎
その他
総コレステロール値上昇、胸痛、倦怠(感)、味覚倒錯、血清アルブミン低下、末梢性浮腫、下肢痛、顔面浮腫、動悸、脱力(感)、発熱、気分不良、LDH上昇、CK上昇、血圧上昇
血管浮腫、ほてり(顔面紅潮、熱感等)
低カルシウム血症、低リン酸血症、並びに上部消化管障害(胃不調、胸やけ、食道炎、胃炎、又は潰瘍等)が発現することがある。
アレンドロン酸と結合させるために、ミルクあるいは制酸剤等の投与を考慮する。食道に対する刺激の危険性があるので嘔吐を誘発してはならず、患者を立たせるか、上体を起こして座らせること。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜に刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
経口投与後のアレンドロン酸は血清中濃度が低く、薬物吸収の評価ができないため、唯一の消失経路である尿中排泄を吸収の指標とした。,,,生物学的利用率の幾何平均値は、非高齢者及び高齢者でそれぞれ2.49%及び2.83%であった3)。
アレンドロン酸ナトリウム水和物投与により、動物又はヒトで代謝物は認められていない。
対象
尿中排泄率注2)(%)
静脈内投与
経口投与
非高齢者
44.7
1.11
高齢者
44.1
1.25
(注)本剤の承認された用法及び用量はアレンドロン酸として1日1回5mgである。
退行期骨粗鬆症患者207例における48週間の二重盲検試験(骨密度)において、本剤投与群(5mg/日)の腰椎骨密度の増加率(投与48週後)は6.2%であり、対照薬に比して統計的に有意(unpaired t-test)な骨密度増加効果を示した5)。また、投与開始12週間後には3.5%の骨密度増加を示し、対照薬に比して統計的に有意(unpaired t-test)な骨密度増加効果が認められた5)。本試験における本剤投与群(5mg/日)の副作用の発現頻度は18.6%(19/102例)で、主な副作用は胃不快感2.9%(3/102例)、胃痛2.9%(3/102例)、軟便2.0%(2/102例)、めまい2.0%(2/102例)、背部痛2.0%(2/102例)であった。臨床検査値異常変動の発現頻度は15.2%(15/99例)で、主な臨床検査値異常変動はLDH上昇(5/99例)、CK上昇(4/99例)であった。退行期骨粗鬆症患者120例における96週間の長期投与試験において、本剤5mg/日投与群の腰椎骨密度の増加率(投与96週後)は8.7%であった6)。本試験における本剤5mg/日投与群の副作用の発現頻度は23.0%(14/61例)で、主な副作用は嘔気(3/61例)、頭痛(2/61例)、腹部不快感(2/61例)であった。臨床検査値異常変動の発現頻度は8.6%(5/58例)で、主な臨床検査値異常変動はLDH上昇(3/58例)、CK上昇(2/58例)であった。
第Ⅲ相プラセボ対照二重盲検比較試験に参加した閉経後骨粗鬆症女性に対し10年間の治療効果について検討した。その結果、本剤10mg/日投与の腰椎骨密度は、本剤投与期間中増加し続けることが確認され、試験開始時と比較して10年終了時の腰椎骨密度は13.7%増加した。同様に、大腿骨近位部骨密度は6.7%増加した7)。なお、腰椎骨密度増加は、国内における本剤5mg/日投与時と海外における10mg/日投与時で類似することが示されている5),8)。
退行期骨粗鬆症患者365例における2年間の二重盲検比較試験(骨折発生頻度)において、胸腰椎の新規骨折発生率は本剤投与(5mg/日)で12.2%、対照薬(アルファカルシドール、1μg/日)で16.7%であり、対照薬に対する本剤の非劣性が検証された。この試験において、投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、本剤投与では対照薬に比して8.4%低く統計的に有意差を認めた(相対危険減少率66%)。また、2年間における胸腰椎での複数の新規骨折発生率は本剤投与では対照薬に比して4.9%低かった(相対危険減少率67%)9)。さらに、延長試験として実施された3年間の成績においても投与6ヵ月以降に発生した胸腰椎の新規骨折発生率は、本剤投与(5mg/日)で7.8%、対照薬で18.8%であり、本剤の有意な椎体骨折抑制効果が3年間にわたり確認された10)。本試験における本剤投与(5mg/日)の副作用の発現頻度は23.2%(44/190例)で、主な副作用は胃炎5.3%(10/190例)、便秘2.6%(5/190例)、胃潰瘍2.1%(4/190例)であった。臨床検査値異常変動の発現頻度は14.5%(25/173例)で、主な臨床検査値異常変動はヘモグロビン低下(6/173例)、ヘマトクリット低下(5/173例)、γ-GTP上昇(5/173例)であった。
閉経後骨粗鬆症患者2,027例における3年間のプラセボ対照二重盲検比較試験において、最初の2年間は5mg/日、3年目は10mg/日投与した結果は下表のとおりである11)。
骨折の種類
骨折抑制率(%)
胸腰椎の新規骨折注3)
47%
2個以上の胸腰椎の新規骨折注3)
90%
新規大腿骨近位部骨折
51%
なお、本剤投与後の平均腰椎骨密度増加率は、海外における10mg/日投与12ヵ月後の値と国内における5mg/日投与48週後の値に類似性が認められた5),8)。また、本剤の骨密度増加効果と骨折抑制効果は相関することが確認されている12)。
アレンドロン酸は骨のハイドロキシアパタイトに強い親和性を持ち、ラットでは破骨細胞が存在する骨表面に選択的に分布した。アレンドロン酸は破骨細胞に取り込まれた後その活性を抑制することにより、骨吸収を減少させる13),14)。
動物種
方法
結果
卵巣摘出ラット15)
アレンドロン酸として0.04~5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から2ヵ月間経口投与
卵巣摘出による骨量減少をアレンドロン酸として1mg/kg/日以上の投与量で骨石灰化に障害を与えずに抑制した。
卵巣摘出ラット
アレンドロン酸として0.1、0.5mg/kg/日を卵巣摘出の翌日から12ヵ月間経口投与
アレンドロン酸として0.5mg/kg/日の1年間の経口投与により、卵巣摘出による腰椎の骨量の減少を抑制し、卵巣非摘出ラットと同様の骨強度を維持した。
卵巣摘出ヒヒ16)
アレンドロン酸として0.04、0.19mg/kgを、卵巣摘出後2週に1回、2年間静脈内投与
アレンドロン酸として0.04mg/kg以上で骨代謝回転亢進が卵巣非摘出群レベルまで抑制されることが、生化学的マーカー及び骨形態により示された。また、海綿骨量を骨石灰化を障害せずに増加させ、皮質骨の粗鬆性の亢進を防止した。腰椎の海綿骨の強度はアレンドロン酸ナトリウム水和物投与により増加し、骨量と骨強度には正の相関が認められた。
アレンドロン酸ナトリウム水和物は、上記の骨量減少モデルにおいて1年以上の投与(ラット: 1年、ヒヒ: 2年)を行ったとき、骨量減少を抑制する投与量では骨石灰化障害を示唆する結果が得られていない16)。成長過程のラット(Schenk評価系)において、骨吸収を抑制する投与量は骨石灰化を障害する投与量の約1/6000であり、広い安全域が示されている。
正常イヌ17),18)
アレンドロン酸として0.25~1mg/kgを1日1回、3年間経口投与
正常イヌに臨床用量の約10倍量に相当するアレンドロン酸ナトリウム水和物を3年間経口投与したところ、骨強度に対する影響、微小骨折、骨軟化症を示す所見は認められなかった。
骨折イヌ19)
アレンドロン酸として2mg/kgを1日1回、骨折前9週間、骨折後16週間経口投与
臨床用量の約20倍量に相当する投与によっても、骨折修復部位の骨強度に変化は認められず、骨折の治癒過程に対し影響を与えないことが示された。
アレンドロン酸ナトリウム水和物(Alendronate Sodium Hydrate)
Monosodium trihydrogen 4-amino-1-hydroxybutane-1, 1-diyldiphosphonate trihydrate
C4H12NNaO7P2・3H2O
325.12
白色の結晶性の粉末である。水にやや溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。0.1mol/Lクエン酸三ナトリウム試液に溶ける。
約252℃(分解、ただし乾燥後)
1) **MID-NET®を用いた調査結果の概要(MID-NET®を用いたビスホスホネート製剤の腎機能障害患者における低カルシウム血症のリスク評価に関するデータベース調査):https://www.pmda.go.jp/files/000249186.pdf
2) 中島光好、他. 臨床薬理. 1995; 26: 475-89.
3) 坪井實、他. 診療と新薬. 1998; 35: 43-9.
4) Gertz BJ, et al. Clin Pharmacol Ther. 1995; 58: 288-98.
5) Shiraki M, et al. Osteoporos Int. 1999; 10: 183-92.
6) 岸本英彰、他. 診療と新薬. 1998; 35: 19-41.
7) Bone HG, et al. N Engl J Med. 2004; 350: 1189-99.
8) Liberman UA, et al. N Engl J Med. 1995; 333: 1437-43.
9) Kushida K, et al. Curr Ther Res. 2002; 63: 606-20.
10) Kushida K, et al. J Bone Miner Metab. 2004; 22: 462-8.
11) Black DM, et al. Lancet. 1996; 348: 1535-41.
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13) Masarachia P, et al. Bone. 1996; 19: 281-90.
14) Sato M, et al. J Clin Invest. 1991; 88: 2095-105.
15) Azuma Y, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1998; 286: 128-35.
16) Balena R, et al. J Clin Invest. 1993; 92: 2577-86.
17) Peter CP, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1996; 276: 271-6.
18) Balena R, et al. J Pharmacol Exp Ther. 1996; 276: 277-83.
19) Peter CP, et al. J Orthop Res. 1996; 14: 74-9.
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