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処方箋医薬品注)
本剤と硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド、ニコランジル等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下降させることがあるので、本剤投与の前に、硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されていないことを十分確認し、本剤投与中及び投与後においても硝酸剤又は一酸化窒素(NO)供与剤が投与されないよう十分注意すること。,ただし、肺動脈性肺高血圧症の治療において一酸化窒素吸入療法と本剤の併用が治療上必要と判断される場合は、緊急時に十分対応できる医療施設において、肺動脈性肺高血圧症の治療に十分な知識と経験を持つ医師のもとで、慎重に投与すること。
肺動脈性肺高血圧症
肺高血圧症に関するWHO機能分類クラスⅠにおける有効性・安全性は確立されていない。
通常、成人には1日1回タダラフィルとして40mgを経口投与する。
これらの患者における安全性及び有効性は確立していない。
ホスホジエステラーゼ(PDE)の遺伝的障害を持つ症例が少数認められる。
本剤の薬理作用により勃起が起こり、その結果陰茎に痛みを引き起こす可能性がある。
in vitro試験でニトロプルシドナトリウム(NO供与剤)の血小板凝集抑制作用を増強することが認められている。出血性疾患又は消化性潰瘍のある患者に対する安全性は確立していない。
本剤を投与しないことが望ましい。肺血管拡張剤は、肺静脈閉塞性疾患を有する患者の心血管系の状態を著しく悪化させるおそれがある。肺静脈閉塞性疾患を有する患者における有効性及び安全性は確立していない。
他のPDE5阻害剤と同様に、本剤は血管拡張作用を有するため一過性の軽度の血圧低下があらわれる場合がある。
出血の危険性が高まるおそれがある。
投与しないこと。本剤の血漿中濃度が上昇し、また透析によるクリアランスの促進は期待されない。また、これらの患者は臨床試験では除外されている。,
本剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある。,
投与しないこと。これらの患者は臨床試験では除外されている。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下している。
硝酸剤及びNO供与剤
,
併用により、降圧作用を増強するとの報告がある1),2),3)。
NOはcGMPの産生を刺激し、一方、本剤はcGMPの分解を抑制することから、両剤の併用によりcGMPの増大を介するNOの降圧作用が増強する。
sGC刺激剤
併用により、血圧低下を起こすおそれがある。
併用により、細胞内cGMP濃度が増加し、全身血圧に相加的な影響を及ぼすおそれがある。
CYP3A4を強く阻害する薬剤
,,
強いCYP3A4阻害作用を有するケトコナゾール(400mg/日:経口剤、国内未発売)との併用により、本剤(20mg)のAUC及びCmaxが312%及び22%増加するとの報告がある4)。また、リトナビル(200mg/1日2回投与)との併用により、本剤(20mg)のAUCが124%増加するとの報告がある4)。
CYP3A4を強く阻害することによりクリアランスが高度に減少し、本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある。また、臨床試験では除外されている。
CYP3A4を強く誘導する薬剤
リファンピシン(600mg/日)との併用により、本剤(10mg)のAUC及びCmaxがそれぞれ88%及び46%低下するとの報告がある5)。
CYP3A4誘導によるクリアランスの増加により本剤の血漿中濃度が低下し、本剤の効果が減弱するおそれがある。
CYP3A4を阻害する薬剤
本剤のAUC及びCmaxが増加するおそれがある。
CYP3A4阻害によるクリアランスの減少。
CYP3A4を誘導する薬剤
本剤のAUC及びCmaxが低下するおそれがある。
CYP3A4誘導によるクリアランスの増加。
ボセンタン
ボセンタン(125mg/1日2回投与)との10日間併用により、本剤(40mg)の10日目におけるAUC及びCmaxが初日と比べてそれぞれ41.5%及び26.6%低下するとの報告がある6)。本剤によるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響はみられなかった。
CYP3A4誘導によるクリアランスの増加により本剤の血漿中濃度が低下する。
α遮断剤
ドキサゾシン(8mg)と本剤(20mg)の併用により、立位収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ9.81mmHg及び5.33mmHg下降するとの報告がある7)。また、α遮断剤との併用で失神等の症状を伴う血圧低下を来したとの報告がある。
本剤は血管拡張作用による降圧作用を有するため、併用により降圧作用を増強するおそれがある。
降圧剤
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤(単剤又は多剤)と本剤(20mg)の併用により、自由行動下収縮期血圧及び拡張期血圧は最大それぞれ8mmHg及び4mmHg下降するとの報告がある8)。
カルペリチド
併用により降圧作用が増強するおそれがある。
ビタミンK拮抗薬
本剤(10及び20mg/日)との併用において、ワルファリン(25mg)の薬物動態及び抗凝固作用に対する影響は認められなかった9),10)が、併用により出血の危険性が高まるおそれがある。
ビタミンK拮抗薬等の抗凝固療法を施行している患者では出血の危険性が高まるおそれがある。
ベルイシグアト
症候性低血圧を起こすおそれがある。治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、治療上やむを得ないと判断された場合にのみ併用すること。
細胞内cGMP濃度が増加し、降圧作用を増強するおそれがある。
発疹、蕁麻疹、顔面浮腫、剥脱性皮膚炎、Stevens-Johnson症候群等があらわれることがある。
5%以上
1~5%未満
1%未満
頻度不明
循環器
潮紅
ほてり、低血圧
失神
動悸、胸痛、心不全、心筋梗塞注1)、心突然死注1)、頻脈、高血圧、レイノー現象、血腫
感覚器
霧視
眼充血、眼痛、結膜出血、視力低下、眼の異常感
*回転性めまい、眼乾燥、非動脈炎性前部虚血性視神経症注2)、網膜静脈閉塞、視野欠損、視覚障害、中心性漿液性脈絡網膜症
消化器
悪心、消化不良
下痢、胃食道逆流性疾患、嘔吐、上腹部痛、腹部不快感、胃炎
鼓腸
腹部膨満、腹痛、胃不快感、口内乾燥
肝臓
AST増加
筋骨格
筋痛、背部痛
四肢痛、筋痙縮、関節痛、筋骨格硬直
関節炎、四肢不快感
精神・神経系
頭痛
浮動性めまい、睡眠障害
うつ病、下肢静止不能症候群、感覚鈍麻、錯感覚、片頭痛
脳卒中注1)
泌尿・生殖器
月経過多
持続勃起症、勃起延長
呼吸器
鼻閉、鼻出血、呼吸困難
副鼻腔うっ血
皮膚
発疹
そう痒症
多汗症
血液
貧血、INR増加
その他
末梢性浮腫、疲労、挫傷、疼痛
顔面浮腫、貪食細胞性組織球症
体重増加、食欲不振、腫脹、浮腫
特異的な解毒薬はない。なお、腎透析によるクリアランスの促進は期待できない。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
25mg/kg/day以上の用量でタダラフィルをイヌに3~12ヵ月間連日経口投与した毒性試験において、精巣重量の低下、精細管上皮の変性、精巣上体の精子数の減少が認められたとの報告がある。ヒトにおける精子形成能に対する影響を検討した外国臨床試験の一部では平均精子濃度の減少が認められたが、精子運動率、精子形態及び生殖ホルモン値はいずれの試験においても変化が認められなかった18),19)。
日本人健康成人にタダラフィル20mg注3)(18例)又は40mg(18例)を1日1回10日間反復経口投与したときのタダラフィルの血漿中濃度は、投与日に関係なく投与後1~4時間(Tmaxの中央値=3時間)にピークに達した。また、タダラフィルの血漿中濃度は、反復投与5日目までに定常状態に達した20),21)。血漿中濃度の消失半減期は約14~15時間であった。タダラフィル20mg注3)又は40mgを投与したときのAUC及びCmaxの増加は、投与量に比例した増加割合より低かった。定常状態でのタダラフィルのAUC及びCmaxは、初回投与時と比べて20mg注3)及び40mgでそれぞれ約40%及び約30%増加した。
投与量
(mg)
日数
n
AUC
(μg・h/L)注4)
Cmax
(μg/L)
Tmax
(h)注5)
T1/2
(h)
20
1日目
18
4478
(14.9)
339
(16.3)
3.00
(1.00~4.00)
-
10日目
17
6430
(18.7)
461
(18.4)
(2.00~4.00)
14.5
(17.9)
40
7570
(24.5)
557
(19.0)
5日目
15
10300
(23.8)
732
(19.3)
9630
(20.5)
688
(16.1)
14.3
(12.1)
幾何平均値(変動係数%)
プラセボ対照二重盲検比較試験における母集団薬物動態解析の結果、肺動脈性肺高血圧症患者注6)に40mgを1日1回反復経口投与(ボセンタン非併用時)したときのAUCSSの推定値は、外国人健康成人の値と比べて約26%高値であったが、Cmaxに顕著な差はなかった22)。健康成人と同様に患者でもタダラフィル20mg注3)又は40mgを投与したときのAUC及びCmaxの増加は、投与量に比例した増加割合より低かった。また、タダラフィルとボセンタンを併用投与すると、タダラフィルの曝露量が低下した。
タダラフィルの曝露量 [AUCss(μg・h/L)注7)]
タダラフィル
単独投与
タダラフィル+ボセンタン
併用投与
11524.5
(6179.6-15449.0)
6874.60
(4390.0-10595.0)
14825.5
(10017.0-26792.0)
9600.0
(5906.3-17306.0)
中央値(10-90パーセンタイル)
タダラフィル錠20mgAD「TE」とアドシルカ錠20mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(タダラフィルとして20mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された23)。
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0-72
(ng・hr/mL)
(ng/mL)
(hr)
タダラフィル錠
20mgAD「TE」
7303±2126
285±48
3.0±1.9
18.6±6.7
アドシルカ錠
20mg
7692±2646
312±78
3.3±1.3
18.6±6.8
(平均値±標準偏差、n=23)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
健康成人15例にタダラフィル40mgを食後(高脂肪食)又は空腹時に単回経口投与したとき、AUC0-∞及びCmax共に食事摂取による影響は認められなかった。また、Tmaxは食後投与と空腹時投与で同程度であった24)(外国人データ)。
タダラフィルの血漿蛋白結合率は94%(in vitro、平衡透析法)であり25)、主にアルブミン及びα1酸性糖蛋白と結合する26)。
健康成人6例に14C-タダラフィル100mg注3)を単回経口投与したとき、血漿中には主にタダラフィル未変化体及びメチルカテコールグルクロン酸抱合体が認められた27)。血漿中のメチルカテコール体はメチルカテコールグルクロン酸抱合体の10%未満であった28)(外国人データ)。
健康成人6例に14C-タダラフィル100mg注3)を単回経口投与したときの、投与後312時間までの放射能回収率は糞便中60.5%、尿中36.1%であった。糞便中には主にメチルカテコール体、カテコール体、尿中には主にメチルカテコールグルクロン酸抱合体及びカテコールグルクロン酸抱合体が認められた27),29)(外国人データ)。
健康成人12例、軽度腎障害患者(CLcr=51~80mL/min)8例、中等度腎障害患者(CLcr=31~50mL/min)8例にタダラフィル5mg及び10mg注3)を単回経口投与したとき、AUC0-∞及びCmaxは健康成人のそれぞれ約100%及び20~30%増加した30),31)(外国人データ)。,
血液透析を受けている末期腎不全患者16例にタダラフィル5mg、10mg及び20mg注3)を単回経口投与したとき、AUC0-∞及びCmaxは健康成人のそれぞれ約109%及び41%増加した30)(外国人データ)。
健康成人8例及び肝障害患者25例注8)にタダラフィル10mg注3)を単回経口投与したとき、軽度肝障害患者(Child-Pugh class A)と中等度肝障害患者(Child-Pugh class B)のAUC0-∞は健康成人とほぼ同様であった30)(外国人データ)。
健康高齢者12例(65~78歳)及び健康若年者12例(19~45歳)にタダラフィル10mg注3)を単回経口投与したとき、Cmaxは高齢者と若年者とでほぼ同様であったが、高齢者のAUC0-∞は若年者に比べ約25%高値であった30),32)(外国人データ)。
AUC0-∞
(μg・h/L)
(h)注9)
高齢者
12
4881(31.7)
196(26.9)
2.00
21.6
(39.0)
若年者
3896(42.6)
183(25.5)
2.50
(1.00~6.00)
16.9
(29.1)
健康成人12例にケトコナゾール400mg(1日1回経口投与、国内未発売)とタダラフィル20mg注3)を併用投与したとき、タダラフィルのAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ312%及び22%増加した4)(外国人データ)。健康成人11例にケトコナゾール200mg(1日1回経口投与)とタダラフィル10mg注3)を併用投与したとき、タダラフィルのAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ107%及び15%増加した5)(外国人データ)。
健康成人16例にリトナビル500mg又は600mg(1日2回)とタダラフィル20mg注3)を併用投与したとき、タダラフィルのCmaxは30%低下したが、AUC0-∞は32%増加した33)(外国人データ)。健康成人8例にリトナビル200mg(1日2回)とタダラフィル20mg注3)を併用投与したとき、タダラフィルのCmaxは同程度であったが、AUC0-∞は124%増加した4)(外国人データ)。
健康成人15例にタダラフィル40mg(1日1回)及びボセンタン125mg(1日2回)を10日間併用投与した。投与1日目におけるタダラフィルのAUC及びCmaxはタダラフィルを単独投与時の値と同程度であったが、投与10日目におけるタダラフィルのAUC及びCmaxはタダラフィルを単独投与時の値と比べてそれぞれ41.5%及び26.6%低下した。一方、タダラフィルによるボセンタンのAUC及びCmaxに対する影響は認められなかった6)(外国人データ)。
健康成人20例にジゴキシン0.25mgを1日1回反復経口投与時の定常状態で、タダラフィル40mgを1日1回10日間反復経口投与した結果、タダラフィルによるジゴキシンのAUC、Cmax及びCminに対する明らかな影響は認められなかった34)(外国人データ)。
健康成人18例にドキサゾシン8mgを反復経口投与時の定常状態で、タダラフィル20mg注3)を単回経口投与したとき、立位の収縮期及び拡張期血圧の最大下降量はそれぞれ9.81mmHg及び5.33mmHg、臥位の収縮期及び拡張期血圧の最大下降量はそれぞれ3.64mmHg及び2.78mmHgであった7),35)(外国人データ)。健康成人45例にドキサゾシン(4mgまで漸増)とタダラフィル5mg注3)を1日1回反復経口投与したとき、ドキサゾシンの血圧降下作用に増強がみられた。この試験において、失神等の症状を伴う血圧変化に関する有害事象がみられた36)(外国人データ)。
健康成人18例にタムスロシン0.4mgを反復経口投与時の定常状態で、タダラフィル10mg又は20mg注3)を単回投与したとき、立位の収縮期及び拡張期血圧の最大下降量はそれぞれ2.3mmHg及び2.2mmHg、臥位の収縮期及び拡張期血圧の最大下降量はそれぞれ3.2mmHg及び3.0mmHgであり、明らかな血圧への影響は認められなかった7)(外国人データ)。健康成人39例にタムスロシン0.4mgとタダラフィル5mg注3)を1日1回反復経口投与したとき、明らかな血圧への影響は認められなかった37)(外国人データ)。
健康成人26例に経口避妊薬(エチニルエストラジオール0.03mg及びレボノルゲストレル0.15mg含有製剤)とタダラフィル40mgを21日間併用投与した結果、エチニルエストラジオールのAUC及びCmaxは、経口避妊薬とプラセボを併用投与したときの値と比べてそれぞれ26%及び70%増加した。タダラフィル併用投与時とプラセボ併用投与時でレボノルゲストレルの血漿中濃度に統計学的に有意な差は認められなかった38)(外国人データ)。
他剤(ニザチジン、制酸配合剤)又はアルコールがタダラフィル(10又は20mg注3))に及ぼす影響について検討した結果、ニザチジン、制酸配合剤又はアルコールによるタダラフィルの薬物動態に対する明らかな影響は認められなかった。また、タダラフィル(10又は20mg注3))が他剤(ミダゾラム、テオフィリン、ワルファリン及びアムロジピン)又はアルコールに及ぼす影響について検討した結果、タダラフィルによるミダゾラム、テオフィリン、ワルファリン、アムロジピン又はアルコールの薬物動態に対する明らかな影響は認められなかった8),9),10),16),17),39),40),41),42)(外国人データ)。
肺動脈性肺高血圧症患者(405例、日本人患者26例を含む)を対象にタダラフィル2.5mg、10mg、20mg注10)、40mg又はプラセボのいずれかを1日1回投与する18週間(16週間の投与期間)の多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。その結果、運動耐容能を評価する6分間歩行距離の投与開始前から16週後の変化量において、タダラフィル40mg群はプラセボ群に比べて統計学的に有意に改善した(p=0.0004)。臨床症状の悪化(死亡、肺移植、心房中隔裂開術、肺動脈性肺高血圧症悪化による入院、肺動脈性肺高血圧症に対する新たな治療の開始又はWHO機能分類の悪化を臨床症状の悪化と定義した)が認められた被験者数はプラセボ群で13例(15.9%)に対し、タダラフィル40mg群で4例(5.1%)であった。また、タダラフィル40mg群は、一部の被験者で測定された肺血行動態パラメータの平均肺動脈圧、肺血管抵抗係数、心係数及び心拍出量において、投与開始前と比べ改善が認められた。なお、本試験ではQOLを評価するため、8項目の健康概念[身体機能、日常役割機能(身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能、日常役割機能(精神)、心の健康]からなるSF-36v2健康調査票、及び5つの質問(移動の程度、身の回りの管理、ふだんの活動、痛み/不快感、不安/ふさぎ込み)と健康状態のQOLを判定するためのビジュアルアナログスケール(VAS)からなるEuroQol質問票を使用した。タダラフィル40mg群は、SF-36v2健康調査票の6項目[身体機能、日常役割機能(身体)、身体の痛み、全体的健康感、活力、社会生活機能]において、またEuroQol質問票の効用値[Index Score(US)及びIndex Score(UK)]及びVASにおいて、プラセボ群に比べ統計学的に有意な改善が認められた(p<0.05)43)。
評価項目
統計量
プラセボ群
40mg群
6分間歩行距離
(m)
平均値
(95%信頼区間)
[症例数]
9.21
(-4.22~22.65)
[79]
41.14
(29.85~52.42)
[76]
平均肺動脈圧
(mmHg)
-2.21
(-7.24~2.82)
[14]
-4.27
(-7.53~-1.01)
[15]
肺血管抵抗係数(dyne・sec/cm5/m2)
4.13
(-101.22~109.48)
[12]
-117.05
(-244.79~10.68)
心係数
(L/min/m2)
-0.01
(-0.44~0.41)
0.36
(0.09~0.63)
平均動脈圧
-5.00
(-13.74~3.74)
-2.00
(-9.64~5.64)
本試験では、エンドセリン受容体拮抗剤であるボセンタンとの併用による影響を評価するため、ボセンタン治療の有無別に6分間歩行距離の変化量の部分集団解析を実施した(ボセンタン併用被験者:53.3%)。その結果、タダラフィル40mg群ではボセンタン非併用被験者のみプラセボ群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。
6分間歩行距離(m)
[ボセンタン非併用]
-2.89
(-22.84~17.06)
[35]
42.18
(26.67~57.69)
[37]
[ボセンタン併用]
18.84
(0.50~37.19)
[44]
40.15
(23.11~57.19)
[39]
タダラフィル20mg注10)群又は40mg群に割り付けられた総症例161例中98例(60.9%)に副作用が認められた。主な副作用は頭痛(33.5%)、潮紅(8.7%)、筋肉痛(7.5%)、背部痛(6.8%)等であった。
先行するプラセボ対照二重盲検比較試験に参加した肺動脈性肺高血圧症患者(357例、日本人患者22例を含む)を対象にタダラフィル20mg注10)又は40mgを1日1回投与する52週間の長期継続試験を実施した。その結果、プラセボ対照二重盲検比較試験で認められたタダラフィル40mg投与による6分間歩行距離の改善は、52週後においても維持されていることが示された44)。
タダラフィル40mg群
投与前
16週後
28週後
40週後
52週後
403.31
(383.08~
423.54)
[69]注11)
404.24
(382.95~
425.52)
[66]
404.32
(381.93~
426.71)
[61]
404.90
(382.85~
426.95)
[60]
410.01
(389.74~
430.28)
[59]
タダラフィル群に割り付けられた総症例357例(日本人患者22例を含む)中176例(49.3%)に副作用が認められた。主な副作用は頭痛(15.1%)、潮紅(5.6%)、浮動性めまい(5.0%)等であった。
肺血管平滑筋における主要なcGMP分解酵素であるPDE5を選択的に阻害することにより、肺組織中のcGMPを有意に増加させ血管弛緩反応を発現する45),46)(ex vivo)。
タダラフィルは選択的PDE5阻害剤である。ヒト遺伝子組み換えPDE5を約1nMのIC50値で阻害し、PDE6及びPDE11と比較するとそれぞれ700及び14倍、その他のPDEサブタイプと比較すると9000倍以上の選択性を示した47)(in vitro)。
肺高血圧進展抑制作用:モノクロタリン誘発肺高血圧ラットモデルにおいて、タダラフィルは全身血圧に有意な影響を与えることなく、肺動脈圧、右心室圧を有意に抑制した45)(in vivo)。
延命作用:タダラフィルはモノクロタリン誘発肺高血圧ラットの生存率を有意に改善した45)(in vivo)。
タダラフィル(Tadalafil)
(6R,12aR)-6-(1,3-Benzodioxol-5-yl)-2-methyl-2,3,6,7,12,12a-hexahydropyrazino[1',2':1,6]pyrido[3,4-b]indole-1,4-dione
C22H19N3O4
389.40
白色の粉末である。
N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドに溶けやすく、アセトニトリル、エタノール(99.5)、ジクロロメタンに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
303~306℃
2.89(1-オクタノール/水系)
20錠[PTP(10錠×2)]
1) Kloner RA,et al.:Am J Cardiol.2003;92(Suppl):37M-46M
2) Patterson D,et al.:Br J Clin Pharmacol.2005;60(5):459-468
3) Kloner RA,et al.:J Am Coll Cardiol.2003;42(10):1855-1860
4) リトナビル及びケトコナゾールとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.2)
5) リファンピシン及びケトコナゾールとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.1)
6) ボセンタンとの薬物相互作用(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3、2.7.6.2.3)
7) Kloner RA,et al.:J Urol. 2004;172(5 Pt 1):1935-1940
8) Kloner RA,et al.:Am J Cardiol.2003;92(suppl):47M-57M
9) ワルファリンとの薬物相互作用(タダラフィル10mg)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.6)
10) ワルファリンとの薬物相互作用(タダラフィル20mg)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.6)
11) Pomeranz HD,et al.:J Neuroophthalmol.2005;25(1):9-13
12) Lee AG,et al.:Am J Ophthalmol.2005;140(4):707-708
13) Campbell UB,et al.:J Sex Med.2015;12(1):139-151
14) Gilad R,et al.:BMJ.2002;325(7369):869
15) Striano P,et al.:BMJ.2006;333(7572):785
16) アルコールとの薬物相互作用(タダラフィル10mg)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.9、2.7.2.2.2.4.7)
17) アルコールとの薬物相互作用(タダラフィル20mg)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.9、2.7.2.2.2.4.7)
18) Hellstrom WJG,et al.:J Urol.2003;170(3):887-891
19) 精液特性に及ぼす影響(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.4.4.3)
20) 健康成人における反復投与時薬物動態(タダラフィル20mg)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.1.2)
21) 健康成人における反復投与時薬物動態(タダラフィル40mg)(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.1)
22) 肺動脈性高血圧症患者における母集団薬物動態解析(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.5、2.7.2.3.1.2)
23) 高沢謙二ほか:診療と新薬.2021;58(2):81-89
24) 食事の影響(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.6.2.1)
25) 蛋白結合(in vitro;ラット、イヌ及びヒト血漿)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.6.4.4.3)
26) 蛋白結合(in vitro;ヒト血漿蛋白)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.1.1)
27) 全身への分布(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.1.3)
28) 放射性標識体投与時の薬物動態(代謝)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.3.1.3)
29) 放射性標識体投与時の薬物動態(排泄)(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.3.1.4)
30) Forgue ST,et al.:Br J Clin Pharmacol.2007;63(1):24-35
31) 軽度及び中等度の腎障害患者(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.2.2.1)
32) 高齢者(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.2.1)
33) リトナビルとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.3)
34) ジゴキシンとの薬物相互作用(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.4)
35) ドキサゾシンとの薬物相互作用①(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.4.2.2)
36) ドキサゾシンとの薬物相互作用②(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.1.1.2.5.3、2.7.6.2.9)
37) タムスロシンとの薬物相互作用(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.1.1.2.5.3、2.7.6.2.8)
38) 経口避妊薬との薬物相互作用(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.2、2.7.2.2.2.4)
39) 制酸剤及びH2受容体拮抗剤との薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.8)
40) ミダゾラムとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.5)
41) テオフィリンとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.7)
42) アムロジピンとの薬物相互作用(シアリス錠:2007年7月31日承認、申請資料概要2.7.2.2.2.3.10)
43) 肺動脈性肺高血圧症患者における第Ⅲ相試験(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.3.2、2.7.3.6、2.7.6.3.1)
44) 肺動脈性肺高血圧症患者における第Ⅲ相試験(長期継続試験)(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.7.6.3.3)
45) Sawamura F,et al.:Eur Heart J.2008;29(Suppl 1):561
46) 作用機序(アドシルカ錠:2009年10月16日承認、申請資料概要2.6.1)
47) Saenz de Tejada I,et al.:Int J Impot Res.2002;14(Suppl 4):S20
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