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劇薬
処方箋医薬品注)
フルオロウラシルとして、通常、成人には1日5~10mg/kgを他の抗悪性腫瘍剤又は放射線と併用し、6.1の方法に準じ、又は間歇的に週1~2回用いる。
他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、通常、成人にはフルオロウラシルとして1日1000mg/m2(体表面積)までを、4~5日間連日で持続点滴する。投与を繰り返す場合には少なくとも3週間以上の間隔をあけて投与する。本剤単独投与の場合には併用投与時に準じる。なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
通常、成人にはレボホリナートとして1回200mg/m2(体表面積)を2時間かけて点滴静脈内注射する。レボホリナートの点滴静脈内注射終了直後にフルオロウラシルとして400mg/m2(体表面積)を静脈内注射、さらにフルオロウラシルとして2400mg/m2(体表面積)を46時間持続静注する。これを2週間ごとに繰り返す。なお、年齢、患者の状態などにより適宜減量する。
投与予定日に確認し、当該条件を満たす状態へ回復するまで投与を延期するとともに、「7.2.2 減量基準」及び「7.2.3 減量時の投与量」を参考に、投与再開時に減量すること。
種類
程度
好中球数
1,500/mm3以上
血小板数
75,000/mm3以上
前回の投与後にいずれかの程度に該当する副作用が発現した場合は、該当する毎に、以下の減量方法に従って、投与レベルを1レベル減量する(「7.2.3 減量時の投与量」を参考にすること)。また、いずれかの程度に該当する好中球減少又は血小板減少が発現した場合は、以降の本剤急速静脈内投与を中止する。
副作用注1)
減量方法
好中球減少
以下のいずれかの条件を満たす場合:1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期2)500/mm3未満が7日以上持続3)感染症又は下痢を併発し、かつ1,000/mm3未満4)発熱性好中球減少症
イリノテカン塩酸塩水和物を優先的に減量する。ただし、イリノテカン塩酸塩水和物の投与レベルがオキサリプラチンより低い場合は、イリノテカン塩酸塩水和物と同じレベルになるまでオキサリプラチンを減量する。
下痢
発熱(38℃以上)を伴う
グレード3注2)以上
本剤持続静注を減量する。
血小板減少
以下のいずれかの条件を満たす場合:1)2クール目以降の投与可能条件を満たさず投与を延期2)50,000/mm3未満
オキサリプラチンを優先的に減量する。ただし、オキサリプラチンの投与レベルがイリノテカン塩酸塩水和物より低い場合は、オキサリプラチンと同じレベルになるまでイリノテカン塩酸塩水和物を減量する。
総ビリルビン上昇
2.0mg/dL超3.0mg/dL以下
イリノテカン塩酸塩水和物を120mg/m2に減量する。
3.0mg/dL超
イリノテカン塩酸塩水和物を90mg/m2に減量する。
粘膜炎
手足症候群
注1)複数の副作用が発現した場合は、薬剤毎に減量が最大となる基準を適用すること。注2)CTCAE version 4.0。
オキサリプラチン85mg/m2、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2、本剤持続静注2,400mg/m2で投与を開始した場合
投与レベル
オキサリプラチン
イリノテカン塩酸塩水和物
本剤持続静注
-1
65mg/m2
150mg/m2
1,800mg/m2
-2
50mg/m2
120mg/m2
1,200mg/m2
-3
中止
骨髄機能をより強く抑制するおそれがある。,
骨髄機能抑制により感染症が悪化するおそれがある。,
症状が悪化するおそれがある。
致命的な全身障害があらわれるおそれがある。
副作用が強くあらわれるおそれがある。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい。動物実験(ラット、マウス)で多指症、口蓋裂等の催奇形作用が報告されている。
授乳しないことが望ましい。
副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら、慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、特に骨髄機能抑制、消化器障害(激しい下痢、口内炎等)、皮膚障害、精神神経系の副作用があらわれやすい。
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤(ティーエスワン),
早期に重篤な血液障害や下痢、口内炎等の消化管障害等が発現するおそれがあるので、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤投与中及び投与中止後少なくとも7日以内は本剤を投与しないこと。
ギメラシルがフルオロウラシルの異化代謝を阻害し、血中フルオロウラシル濃度が著しく上昇する。
フェニトイン
構音障害、運動失調、意識障害等のフェニトイン中毒があらわれることがある。
機序は不明であるが、フェニトインの血中濃度を上昇させる。
ワルファリンカリウム
ワルファリンカリウムの作用を増強させることがあるので、凝固能の変動に注意すること。
機序は不明である。
トリフルリジン・チピラシル塩酸塩配合剤
重篤な骨髄抑制等の副作用が発現するおそれがある。
本剤との併用により、トリフルリジンのDNA取り込みが増加する可能性がある。チピラシル塩酸塩がチミジンホスホリラーゼを阻害することにより、本剤の代謝に影響を及ぼす可能性がある。
他の抗悪性腫瘍剤放射線照射
骨髄機能抑制、消化管障害等の副作用が増強することがある。
副作用が相互に増強される。
脱水症状まで至ることがある。このような症状があらわれた場合には投与を中止し、補液等の適切な処置を行うこと。
出血性腸炎、虚血性腸炎、壊死性腸炎等があらわれることがある。激しい腹痛・下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
汎血球減少、白血球減少、好中球減少、貧血、血小板減少等があらわれることがある。,,
発疹、呼吸困難、血圧低下等の症状があらわれた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
白質脳症(初期症状:歩行時のふらつき、四肢末端のしびれ感、舌のもつれ等)、また、錐体外路症状、言語障害、運動失調、眼振、意識障害、痙攣、顔面麻痺、見当識障害、四肢末端のしびれ感、せん妄、記憶力低下、自発性低下、尿失禁等の精神神経症状があらわれることがある。
急性腎障害、ネフローゼ症候群等があらわれることがある。なお、腎障害の知られている抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、メトトレキサート等)との併用時には特に注意すること。
発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には投与を中止し、胸部X線等の検査を実施するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
AST、ALT、Al-P、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害や黄疸があらわれ、肝不全まで至ることがある。劇症肝炎があらわれることがある。
腹痛、血清アミラーゼ上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
*高アンモニア血症が発症した患者において、乳酸アシドーシスを併発したとの報告がある。
胆嚢炎、胆管壊死、肝実質障害等があらわれることがあるので、造影等により薬剤の分布領域をよく確認すること。
手掌・足蹠の紅斑、疼痛性発赤腫脹、知覚過敏等があらわれることがある。
嗅覚障害(長期投与症例に多い)があらわれ、嗅覚脱失まで至ることがある。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
消化器a)
食欲不振、下痢、悪心・嘔吐
味覚異常、口渇、腹部膨満感、腹痛、下血
便秘
口角炎、舌炎、胸やけ
肝臓
AST上昇、ALT上昇、ビリルビン上昇等の肝機能検査値異常
腎臓
蛋白尿
BUN上昇、クレアチニン値上昇、クレアチニン・クリアランス低下
精神神経系
倦怠感
めまい、末梢神経障害(しびれ、知覚異常等)
皮膚b)
色素沈着、脱毛、浮腫、びらん、水疱、そう痒感、紅潮
爪の異常、光線過敏症
過敏症
発疹
循環器
心電図異常(ST上昇、T逆転、不整脈等)、胸痛、胸内苦悶
眼
流涙、結膜炎
動脈内投与時
カテーテル先端付近の動脈壁の変性、血栓形成
その他
発熱、頭痛
糖尿、低カルシウム血症、耐糖能異常
パラメータ
投与量
半減期(min)
CL(mL/min)
Vd(L/kg)
T1/2α
T1/2β
9~16mg/kg
2.1±0.5
18.9±2.2
776.8±91.3
0.38±0.1
mean±SEM, n=8
癌患者14例に5-FU 60mg/kgを1500mLの電解質輸液で希釈し、48時間かけて末梢静脈より持続点滴静注したとき、点滴投与中の5-FU血中濃度は約6時間で定常状態(約0.6μg/mL)に達し、その後持続的に推移した。3)
癌患者に5-FU-2-14C 14mg/kgを静脈内投与したとき、4~5時間後の放射比活性は腫瘍、腸粘膜で高く、次いで肝臓、リンパ節に高い分布を示した(外国人データ)。4)
癌患者に5-FU-2-14C 14mg/kgを静脈内投与したとき、尿中代謝物は投与後45分以内では未変化体の比率が91.5%と高かったが、経時的にα-fluoro-β-ureidopropionic acid及び尿素の比率が増加した(外国人データ)。4)
癌患者に5-FU-2-14C 15mg/kgを静脈内投与後24時間以内に放射能は呼気中にCO2として約60%、尿中に約20%排泄された(外国人データ)。4)
化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌を対象とした第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験におけるFOLFIRINOX法群(1クールを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、ホリナート400mg/m2 注2)、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、引き続き本剤400mg/m2を急速静脈内投与、本剤2400mg/m2を46時間かけて持続静注)とゲムシタビン塩酸塩(GEM)単独投与群(GEM1000mg/m2の週1回点滴投与を7週連続し、8週目は休薬する。その後は、週1回点滴投与を3週連続し、4週目は休薬として、これを4週毎に繰り返す)の中間解析時の有効性は次表のとおりであった。対象患者はECOG注3)Performance status 0及び1であった。登録において2つの遺伝子多型(UGT1A1*6、UGT1A1*28)に関する基準は設定されなかった。また、登録時の選択基準として、好中球数(1,500/mm3以上)、総ビリルビン値(施設基準値上限の1.5倍以下)等が設定された。5),6)
投与群
例数(ITT)
生存期間(主要評価項目)
中央値(月)
ハザード比P値注4)
FOLFIRINOX法
127
10.5
0.62P<0.001
GEM単独投与
128
6.9
FOLFIRINOX法群における有害事象発現頻度は100%(166/166例)注5)であった。主な有害事象は、貧血90.4%(150/166例)、疲労87.3%(144/165例)注6)、γ-GTP増加83.7%(139/166例)、血中ALP増加83.0%(137/165例)注6)、好中球数減少79.9%(131/164例)注7)、悪心79.5%(132/166例)、血小板数減少75.2%(124/165例)注6)、下痢73.3%(121/165例)注6)及び末梢性感覚ニューロパチー70.5%(117/166例)であった。
化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌を対象とした第Ⅱ相臨床試験におけるFOLFIRINOX法(1クールを2週間として第1日目にオキサリプラチン85mg/m2、レボホリナート200mg/m2、イリノテカン塩酸塩水和物180mg/m2を点滴静注し、引き続き本剤400mg/m2を急速静脈内投与、本剤2400mg/m2を46時間かけて持続静注)の有効性は次表のとおりであった。対象患者はECOG注8) Performance status 0及び1であった。2つの遺伝子多型(UGT1A1*6、UGT1A1*28)について、いずれかをホモ接合体(UGT1A1*6/*6、UGT1A1*28/*28)又はいずれもヘテロ接合体(UGT1A1*6/*28)としてもつ患者は除外された。また、1クール目の投与可能条件として、好中球数(2,000/mm3以上)、総ビリルビン値(施設基準値上限以下)等が設定された。7)
奏効率(有効例/適格例)
38.9%(14/36)
FOLFIRINOX法における副作用発現頻度は100%(36/36例)であった。主な副作用は、好中球数減少94.4%(34/36例)、白血球数減少91.7%(33/36例)、血小板数減少及び悪心各88.9%(32/36例)、貧血及び食欲不振各86.1%(31/36例)、下痢及びC-反応性タンパク増加各83.3%(30/36例)、末梢性感覚ニューロパチー75.0%(27/36例)及びリンパ球数減少72.2%(26/36例)であった。
5-FUの抗腫瘍効果は主としてDNAの合成阻害に基づくと考えられており、腫瘍細胞内に取り込まれた5-FUがウラシルと同じ経路で代謝を受けて生じるF-deoxy UMPがチミジル酸合成酵素上で、deoxy UMPと拮抗してチミジル酸の合成を抑制することにより、DNAの合成が阻害されると考えられている。他方、5-FUはウラシルと同じくRNAにも組み込まれてF-RNAを生成することや、リボゾームRNAの形成を阻害することも知られており、これらのことも本剤の抗腫瘍効果発現に関与すると考えられている。8),9),10)
NCI(National Cancer Institute,米国)抗癌剤スクリーニングモデルのいずれに対しても抗腫瘍性を示した(マウス移植腫瘍でのデータ)。11)
フルオロウラシル(Fluorouracil)
5-Fluorouracil
C4H3FN2O2
130.08
白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはない。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水にやや溶けにくく、エタノール(95)に溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
約282℃(分解)
5mL×10バイアル
20mL×5バイアル
1) 菊地金男ほか:癌と化学療法.1979;6:559-565
2) Christophidis N,et al.:Clinical Pharmacokinetics.1978;3:330-336
3) 小池明彦ほか:癌と化学療法.1990;17:1309-1314
4) Chaudhuri NK,et al.:Biochem Pharmacol.1958;1:328-341
5) Conroy T,et al.:N Engl J Med.2011;364:1817-1825
6) 膵癌FOLFIRINOX法に関する海外臨床試験(5-FU注:2013年12月20日承認、審査報告書)
7) 膵癌FOLFIRINOX法に関する国内臨床試験(5-FU注:2013年12月20日承認、審査報告書)
8) Hartmann KU,et al.:J Biol Chem.1961;236:3006-3013
9) Spiegelman S,et al.:Cancer.1980;45:1129-1134
10) 第十八改正日本薬局方解説書.2021;C-4842
11) Goldin A,et al.:Eur J Cancer.1981;17:129-142
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