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日本薬局方
トラニラストカプセル
通常、成人には1回1カプセル(トラニラストとして100mg)を1日3回経口投与する。ただし、年齢、症状により適宜増減する。
本剤投与によりステロイドの減量をはかる場合は、十分な管理下で徐々に行うこと。
腎機能を悪化させるおそれがある。
肝機能を悪化させるおそれがある。
投与しないこと。マウスに大量投与した実験で、骨格異常例の増加が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている。
副作用があらわれた場合は減量するなど慎重に投与すること。一般に生理機能が低下している。
本剤との併用(又は併用中止)により、ワルファリンカリウムの作用が増強(又は減弱)し、トロンボテスト値が低下(又は上昇)したとの報告がある。
本剤との併用(又は併用の中止)を行う場合には、凝血能の変動に十分注意すること。
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitroの試験で、ワルファリンカリウムの代謝を抑制することが確認されていることから、凝血能を変動させる可能性がある。
頻尿、排尿痛、血尿、残尿感等の膀胱炎様症状があらわれることがある。
黄疸、AST、ALT、Al-P等の著しい上昇を伴う肝機能障害または肝炎があらわれることがある。
BUN、クレアチニンの上昇等を伴う腎機能障害があらわれることがある。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒、蕁麻疹
紅斑、湿疹、落屑
消化器
食欲不振、腹痛、下痢、胃部不快感、消化不良、便秘、嘔気、嘔吐
血液
貧血、好酸球増多
溶血性貧血
精神神経系
頭痛、眠気、めまい
不眠、倦怠感
しびれ感
その他
動悸、浮腫、潮紅、口内炎
月経異常、発熱、脱毛、緑色尿
本剤は、アレルゲン皮内反応を抑制し、アレルゲンの確認に支障を来すので、アレルゲン皮内反応検査は本剤の投与前に実施すること。
薬物
Tmax(hr)
Cmax(μg/mL)
AUC(μg・hr/mL)
T1/2(hr)
トラニラスト
2
12.6
114.4
5.3
健康成人におけるトラニラスト100mg単回経口投与の平均
*トラニラストカプセル100mg「トーワ」とリザベンカプセル100mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1カプセル(トラニラストとして100mg)健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について統計解析を行った結果、両剤の生物学的同等性が確認された。2)
判定パラメータ
参考パラメータ
AUC0-24(μg・hr/mL)
トラニラストカプセル100mg「トーワ」
154.4±35.1
22.05±4.09
1.75±0.96
5.95±0.73
リザベンカプセル100mg
147.8±30.1
21.03±3.91
2.11±0.94
6.02±0.51
(Mean±S.D.,n=14)
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
*トラニラストの主代謝経路は、未変化体の抱合化及び4位の脱メチル化とそれに続く硫酸抱合であった。
*トラニラストの酸化的代謝反応はCYP2C9、CYP2C18、CYP2C8、CYP1A2、CYP3A4、CYP2D6で確認され、主としてCYP2C9が代謝に関与する。1)
*トラニラスト尿中排泄率が37.7%で、うち大部分が24時間以内に排泄された。1)
*15歳以上50歳以下の気管支喘息患者221例を対象に、トラニラスト300mg/日(1回100mgを1日3回)4週間投与による有用性を、クロモグリク酸ナトリウム(吸入剤)80mg/日及びプラセボを比較対照として二重盲検法により検討した。最終全般改善度を、著明改善、中等度改善、軽度改善、不変、軽度悪化、中等度悪化、著明悪化の7段階区分にて評価した結果、軽度改善以上の改善率はトラニラスト群64.8%、クロモグリク酸ナトリウム群60.0%、プラセボ群32.0%であり、プラセボ群と比較してトラニラスト群が有意に高かった。副作用発現割合はトラニラスト群4.3%(3/69例)、クロモグリク酸ナトリウム群12.0%(9/75例)及びプラセボ群9.5%(7/74例)であった。トラニラスト群における主な副作用は、咳嗽2.9%(2/69例)であった。3)
*通年性鼻アレルギー患者289例を対象に、トラニラスト1回100mgを1日3回、4週間経口投与による有用性を、クロモグリク酸ナトリウム(吸入剤)80mg/日及びプラセボを比較対照として二重盲検法により検討した。最終全般改善度を、著明改善、中等度改善、軽度改善、不変、軽度悪化、中等度悪化、著明悪化の7段階区分にて評価した結果、軽度改善以上の改善率はトラニラスト群75.9%、クロモグリク酸ナトリウム群75.8%、プラセボ群47.7%であり、プラセボ群と比較してトラニラスト群が有意に高かった。副作用発現割合はトラニラスト群8.2%(8/97例)、クロモグリク酸ナトリウム群8.2%(8/98例)、プラセボ群8.5%(8/94例)であった。トラニラスト群における主な副作用は、鼻内散布による鼻粘膜刺激感3.1%(3/97例)であり、他の全身症状としてトラニラストと関係が疑われたのは嘔気1.0%(1/97例)及び胃部不快感1.0%(1/97例)であった。4)
*体重20kg以上のケロイド・肥厚性瘢痕患者252例を対象に、トラニラスト10%細粒剤50mg/kg/日(トラニラストとして5mg/kg)注1)、12週間投与による有用性を、ヘパリン類似物質軟膏40g/週を対照薬として二重盲検比較試験により検討した。全般改善度判定を、著明改善、中等度改善、軽度改善、不変、悪化の5段階区分にて評価した結果、中等度改善以上の改善率はトラニラスト群56.2%、ヘパリン類似物質軟膏群26.7%であり、トラニラスト群が有意に高かった。副作用発現割合はトラニラスト群8.7%(11/127例)、トラニラストプラセボ群7.8%(10/129例)、ヘパリン類似物質軟膏群2.4%(3/125例)、プラセボ軟膏群3.1%(4/128例)であった。トラニラスト群における主な副作用は、膀胱炎様症状2.4%(3/127例)、胃痛1.6%(2/127例)であった。5)
*16歳以上かつ近似した2箇所の形成手術が必要な瘢痕ケロイド及び肥厚性瘢痕患者61例を対象に、トラニラスト1回100mgを1日3回、16週間経口投与による有用性を、プラセボを比較対照としてクロスオーバー法による二重盲検試験にて検討した。有効性総合判定を、著効、有効、やや有効、無効、悪化の5段階区分にて評価した結果、有効以上の有効率はトラニラスト群58.6%、プラセボ群38.5%であり、トラニラスト群が有意に優れる傾向を示した。副作用発現割合はトラニラスト群9.7%(3/31例)、プラセボ群10.3%(3/29例)でみられた。トラニラスト群で認められた副作用は、胃部不快感6.5%(2/31例)、発疹3.2%(1/31例)であった。6)
*トラニラストは肥満細胞、各種炎症細胞からのヒスタミン、ロイコトリエンをはじめとする多くのケミカルメディエーターの遊離を抑制することによりI型アレルギー反応を抑制する。また、サイカイン(TGF-β1)、活性酸素の産生あるいは遊離抑制作用をも有し、ケロイド及び肥厚性瘢痕由来線維芽細胞のコラーゲン合成を抑制する。7),8),9),10),11)
*臨床薬理試験において、健康成人におけるPrausnitz-Küstner反応を抑制し、ダニ抗原に過敏な成人気管支喘息患者の白血球からの抗原誘発ヒスタミン遊離、アレルゲン吸入誘発反応、アレルギー性鼻炎患者の鼻汁中metachromatic cellからの抗原誘発脱顆粒、鼻誘発反応を経口投与によって抑制することが認められている。
*動物実験では、トラニラストはラット、モルモットのIgE様抗体による同種受身皮膚アナフィラキシー、ラットの抗原誘発実験的喘息、ラットの実験的鼻アレルギー反応に対し、経口投与で著明な抑制作用を示し、ラットの逆皮膚アナフィラキシー、ウサギのアルサス反応に対しても抑制作用を示す。
*トラニラストはヒスタミン等に対する直接拮抗作用はなく、肥満細胞などからのケミカルメディエーターの遊離を抑制する(ラット分離腹腔細胞・腸間膜肥満細胞、モルモット、サルの肺切片等を用いたin vitro試験)ことにより、抗アレルギー作用を示す。
*トラニラストは各種炎症細胞からのケミカルメディエーター、サイトカイン(TGF-β1)、活性酸素の産生あるいは遊離を抑制し、ケロイド及び肥厚性瘢痕由来線維芽細胞のコラーゲン合成を抑制する(in vitro)。さらに、ヌードマウスに移植したヒトケロイド組織の重量減少作用を示す。7),8),9),10),11),12),13),14),15),16),17),18),19),20)
トラニラスト(Tranilast)
2-{[(2E)-3-(3,4-Dimethoxyphenyl)prop-2-enoyl]amino}benzoic acid
C18H17NO5
327.33
淡黄色の結晶又は結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、アセトニトリル、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けにくく、水にほとんど溶けない。光によって徐々に淡い黄褐色となる。結晶多形が認められる。
207~210℃
アルミピロー開封後は遮光して保存すること。
100カプセル[10カプセル×10:PTP]
1000カプセル[10カプセル×100:PTP]
1) *第十八改正日本薬局方解説書.2021:C-3583-3587
2) *社内資料:生物学的同等性試験
3) *八倉隆保ほか:診療と新薬.1982;19(3):529-572
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13) *大黒道夫ほか:小児科臨床.1978;31(8):710-713
14) *西澤芳男:臨床成人病.1983;13(12):2499-2507
15) *Koda A.et al.:J.Allergy.Clin.Immunol.1976;57(5):396-407
16) *Azuma H.et al.:Br.J.Pharmacol.1976;58(4):483-488
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18) *小島正三ほか:信州医学雑誌.1983;31(2):123-127
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20) *須澤東夫ほか:日薬理誌.1992;99(4):231-239
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