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日本薬局方
クラリスロマイシン錠
処方箋医薬品注)
本剤に感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肛門周囲膿瘍、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、尿道炎、子宮頸管炎、感染性腸炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、顎炎
本剤に感性のマイコバクテリウム属
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日400mg(力価)を2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg(力価)を2回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
通常、成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg(力価)、アモキシシリン水和物として1回750mg(力価)及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回、7日間経口投与する。なお、クラリスロマイシンは、必要に応じて適宜増量することができる。ただし、1回400mg(力価)1日2回を上限とする。
疾患名
投与期間
肺MAC症
排菌陰性を確認した後、1年以上の投与継続と定期的な検査を行うことが望ましい。また、再発する可能性があるので治療終了後においても定期的な検査が必要である。
後天性免疫不全症候群(エイズ)に伴う播種性MAC症
臨床的又は細菌学的な改善が認められた後も継続投与すべきである。
QT延長、心室頻拍(Torsade de pointesを含む)、心室細動をおこすことがある。
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。
投与しないこと。コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状が報告されている。,
肝機能障害を悪化させることがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験で、母動物に毒性があらわれる高用量において、胎児毒性(心血管系の異常、口蓋裂、発育遅延等)が報告されている。なお、国外における試験で次のような報告がある。SD系ラット(15~150mg/kg/日)及びCD-1系マウス(15~1,000mg/kg/日)において、それぞれ母動物に毒性があらわれる最高用量でラット胎児に心血管系異常並びにマウス胎児に口蓋裂が認められた。また、サル(35~70mg/kg/日)において、母動物に毒性があらわれる70mg/kg/日で9例中1例に低体重の胎児がみられたが、外表、内臓、骨格には異常は認められなかった。また、ラットにクラリスロマイシン(160mg/kg/日)、ランソプラゾール(50mg/kg/日)及びアモキシシリン水和物(500mg/kg/日)を併用投与した試験において、母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められている。さらに、ラットにクラリスロマイシン(50mg/kg/日以上)、ラベプラゾールナトリウム(25mg/kg/日)及びアモキシシリン水和物(400mg/kg/日以上)を4週間併用投与した試験で、雌で栄養状態の悪化が認められている。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行することが報告されている。なお、動物実験(ラット)の乳汁中濃度は、血中濃度の約2.5倍で推移した。
低出生体重児及び新生児を対象とした臨床試験は実施していない。
一般に生理機能が低下しており、高い血中濃度が持続するおそれがある。
ピモジド3)〔オーラップ〕,
QT延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)等の心血管系副作用が報告されている。
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害され、それらの血中濃度が上昇する可能性がある。
エルゴタミン酒石酸塩・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン〔クリアミン〕ジヒドロエルゴタミンメシル酸塩,
血管攣縮等の重篤な副作用をおこすおそれがある。
スボレキサント〔ベルソムラ〕,
スボレキサントの血漿中濃度が顕著に上昇し、その作用が著しく増強するおそれがある。
ロミタピドメシル酸塩〔ジャクスタピッド〕,
ロミタピドの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
タダラフィル〔アドシルカ〕,
左記薬剤のクリアランスが高度に減少し、その作用が増強するおそれがある。
チカグレロル〔ブリリンタ〕,
チカグレロルの血漿中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イブルチニブ〔イムブルビカ〕,
イブルチニブの作用が増強するおそれがある。
イバブラジン塩酸塩〔コララン〕,
過度の徐脈があらわれることがある。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の用量漸増期)〔ベネクレクスタ〕,
腫瘍崩壊症候群の発現が増強するおそれがある。
ルラシドン塩酸塩〔ラツーダ〕,
ルラシドンの血中濃度が上昇し、作用が増強するおそれがある。
アナモレリン塩酸塩〔エドルミズ〕,
アナモレリンの血中濃度が上昇し、副作用の発現が増強するおそれがある。
フィネレノン〔ケレンディア〕,
フィネレノンの血中濃度が著しく上昇するおそれがある。
イサブコナゾニウム硫酸塩〔クレセンバ〕,
イサブコナゾールの血中濃度が上昇し作用が増強するおそれがある。
ジゴキシン
嘔気、嘔吐、不整脈等が報告されているので、ジゴキシンの血中濃度の推移、自覚症状、心電図等に注意し、異常が認められた場合には、投与量を調節する等の適切な処置を行うこと。
本剤の腸内細菌叢に対する影響により、ジゴキシンの不活化が抑制されるか、もしくはP-gpを介したジゴキシンの輸送が阻害されることにより、その血中濃度が上昇する。
スルホニル尿素系血糖降下剤
低血糖(意識障害に至ることがある)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与を中止し、ブドウ糖の投与等の適切な処置を行うこと。
機序は不明である。左記薬剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
カルバマゼピンテオフィリン4),5)アミノフィリン水和物シクロスポリンタクロリムス水和物エベロリムス,
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、左記薬剤の血中濃度の推移等に注意し、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。
アトルバスタチンカルシウム水和物6)シンバスタチン6)ロバスタチン(国内未承認)
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う横紋筋融解症が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。腎機能障害のある患者には特に注意すること。
コルヒチン,,,
コルヒチンの血中濃度上昇に伴う中毒症状(汎血球減少、肝機能障害、筋肉痛、腹痛、嘔吐、下痢、発熱等)が報告されているので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
ベンゾジアゼピン系薬剤(CYP3Aで代謝される薬剤)
非定型抗精神病薬(CYP3Aで代謝される薬剤)
ジソピラミド
トルバプタン
エプレレノン
エレトリプタン臭化水素酸塩
カルシウム拮抗剤(CYP3Aで代謝される薬剤)
リオシグアト
ジエノゲスト
ホスホジエステラーゼ5阻害剤
クマリン系抗凝血剤
ドセタキセル水和物
アベマシクリブ10)
オキシコドン塩酸塩水和物11)
フェンタニル/フェンタニルクエン酸塩
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。なお、トルバプタンにおいては、本剤との併用は避けることが望ましいとされており、やむを得ず併用する場合においては、トルバプタンの用量調節を特に考慮すること。
ベネトクラクス(再発又は難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)の維持投与期、急性骨髄性白血病)
ベネトクラクスの副作用が増強するおそれがあるので、ベネトクラクスを減量するとともに、患者の状態を慎重に観察すること。
抗凝固剤(CYP3Aで代謝され、P-gpで排出される薬剤)
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性があるので、異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
本剤のCYP3A及びP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝及び排出が阻害される。
抗凝固剤(P-gpで排出される薬剤)
本剤のP-gpに対する阻害作用により、左記薬剤の排出が阻害される。
イトラコナゾール12)
HIVプロテアーゼ阻害剤
,
本剤の未変化体の血中濃度上昇による作用の増強等の可能性がある。また、イトラコナゾールの併用においては、イトラコナゾールの血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
本剤と左記薬剤のCYP3Aに対する阻害作用により、相互に代謝が阻害される。
リファブチン14)エトラビリン15),
左記薬剤の血中濃度上昇に伴う作用の増強等の可能性がある。また、本剤の未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇し、本剤の作用が減弱する可能性がある。異常が認められた場合には、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
本剤のCYP3Aに対する阻害作用により、左記薬剤の代謝が阻害される。また、左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
リファンピシン16)エファビレンツネビラピン,
本剤の未変化体の血中濃度が低下し、活性代謝物の血中濃度が上昇する可能性がある。本剤の作用が減弱する可能性があるので、投与量の調節や中止等の適切な処置を行うこと。
左記薬剤のCYP3A4に対する誘導作用により、本剤の代謝が促進される。
天然ケイ酸アルミニウム17)
本剤の吸収が低下するとの報告がある。
左記薬剤の吸着作用によるものと考えられる。
呼吸困難、痙攣、発赤等があらわれることがある。
QT延長等の心疾患のある患者、低カリウム血症のある患者においては特に注意すること。
劇症肝炎、AST、ALT、γ-GTP、LDH、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸、肝不全があらわれることがある。
異常が認められた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等があらわれることがある。このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
偽膜性大腸炎、出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがある。腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇があらわれることがある。横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
痙攣(強直間代性、ミオクロヌス、意識消失発作等)があらわれることがある。
乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらに肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
発疹
そう痒感
精神神経系
めまい頭痛
幻覚失見当識意識障害せん妄躁病眠気振戦しびれ(感)錯感覚不眠
感覚器
味覚異常(にがみ等)
耳鳴聴力低下嗅覚異常
消化器
悪心嘔吐胃部不快感腹部膨満感腹痛下痢
食欲不振軟便口内炎舌炎口渇
口腔内びらん胸やけ歯牙変色舌変色
血液
好酸球増多
肝臓
AST上昇ALT上昇γ-GTP上昇LDH上昇Al-P上昇
筋・骨格
筋肉痛
その他
倦怠感浮腫カンジダ症発熱
動悸CK上昇脱毛頻尿低血糖
5~10%未満
1~5%未満
不眠症
頭痛めまい激越神経過敏症感覚異常痙攣妄想幻覚運動過多躁病反応偏執反応末梢神経炎精神病
味覚減退
味覚倒錯難聴耳鳴味覚喪失結膜炎
皮膚
そう痒感斑状丘疹状皮疹ざ瘡帯状疱疹紫斑皮疹光線過敏性反応発汗
下痢
悪心食欲不振腹痛嘔吐逆流性食道炎
鼓腸放屁消化不良便秘おくび口渇舌炎舌変色
白血球減少貧血再生不良性貧血好中球減少骨髄機能不全
肝機能異常
γ-GTP上昇Al-P上昇
AST上昇ALT上昇胆汁うっ滞性黄疸肝炎ビリルビン上昇
腎臓
急性腎障害
BUN上昇クレアチニン上昇
生殖器
子宮頸部上皮異形成
腟カンジダ症
筋肉痛関節痛
高脂血症トリグリセリド上昇高尿酸血症低カリウム血症徐脈
無力症アミラーゼ上昇カンジダ症疼痛しゃっくり発熱胸痛さむけ酵素上昇
5%以上
1%未満
そう痒
頭痛しびれ感めまい眠気不眠うつ状態
下痢(15.5%)軟便(13.5%)味覚異常
腹痛腹部膨満感口内炎便秘食道炎
口渇悪心舌炎胃食道逆流胸やけ十二指腸炎嘔吐痔核食欲不振
好中球減少好酸球増多
貧血白血球増多血小板減少
AST上昇ALT上昇LDH上昇γ-GTP上昇
Al-P上昇ビリルビン上昇
尿蛋白陽性トリグリセリド上昇総コレステロール上昇・減少
尿糖陽性尿酸上昇倦怠感熱感動悸発熱QT延長カンジダ症浮腫血圧上昇霧視
ランソプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質の服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
ラットにアモキシシリン水和物(2,000mg/kg/日)とランソプラゾール(15mg/kg/日以上)の4週間併用経口投与した試験、及びイヌにアモキシシリン水和物(500mg/kg/日)、ランソプラゾール(100mg/kg/日)、クラリスロマイシン(25mg/kg/日)の4週間併用経口投与した試験で、アモキシシリン水和物を単独あるいは併用投与した動物に結晶尿が認められているが、結晶はアモキシシリン水和物が排尿後に析出したものであり、体内で析出したものではないことが確認されている。
*健康成人に200mg、400mg(力価)を空腹時単回経口投与したときの平均血清中濃度及び各パラメータの値は以下のようであった。なお、個体間のバラツキは少なかった。19)
測定法
Cmax(μg/mL)
Tmax(hr)
T1/2(hr)
AUC(μg・hr/mL)
成人(n=8)200mg
Bioassay
1.16
1.9
4.04
8.98
成人(n=8)400mg
2.24
2.7
4.36
20.30
*健康成人に200mg(力価)を空腹時に単回経口投与し、高速液体クロマトグラフ(HPLC)法で測定したところ、血清中には未変化体及び活性代謝物の14位水酸化体がほぼ同量存在し、その合算値はBioassayで測定した濃度とほぼ一致した。20)
*健康成人にアモキシシリン水和物、プロトンポンプインヒビターと併用して400mg(力価)を1日2回7日間反復経口投与したときの平均血中濃度及び各パラメータの値は以下のようであった。21),22),23),24)
AUC0-12(μg・hr/mL)
成人(n=7)400mg、アモキシシリン水和物1,000mg、ランソプラゾール30mg併用時注1)
HPLC未変化体
2.42
4.4
18.45
HPLC代謝物
0.97
2.6
8.5
8.87
成人(n=11)400mg、アモキシシリン水和物1,000mg、オメプラゾール20mg併用時注1)
3.5
2.5
4.6
27.8注3)
成人400mg、アモキシシリン水和物750mg、ラベプラゾールナトリウム20mg併用時注1)
EM注2)(n=15)
2.33
2.0注4)
6.43
17.50
0.82
2.5注4)
9.71
7.65
PM注2)(n=4)
1.99
4.49
14.03
0.95
7.51
8.46
成人(n=11)400mg、アモキシシリン水和物750mg、ボノプラザン20mg併用時注1)
LC/MS/MS未変化体
2.92
4.62
18.26
LC/MS/MS代謝物
0.88
7.96
7.49
*クラリスロマイシン錠200mg「トーワ」とクラリス錠200を、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(クラリスロマイシンとして200mg(力価))健康成人男子に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。25)
判定パラメータ
参考パラメータ
クラリスロマイシン錠200mg「トーワ」
5.210±2.182
0.897±0.383
2.64±2.57
3.00±1.21※
クラリス錠200
5.057±2.045
0.859±0.358
1.95±1.39
3.19±0.97
(Mean±S.D.,n=22)
※:n=21
血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
*健康成人において、クラリスロマイシン錠剤(250mg)を経口投与した場合(2回測定)とクラリスロマイシンラクトビオン酸塩を静脈内投与した場合の薬物速度論的パラメータを比較検討した。その結果、未変化体のバイオアベイラビリティは52、55%であったが、初回通過効果によって生成される活性代謝物(14位水酸化体)を含めたパラメータ解析結果から、クラリスロマイシンは経口投与後ほぼ完全に吸収されていることが示唆された(海外データ)。26)
*健康成人に200mg(力価)を単回経口投与したときの血清中濃度には、食事の影響がほとんど認められなかった。19)
*健康成人における唾液、また、患者における喀痰、気管支分泌物等への移行性を測定した結果、それぞれの組織への移行は良好で、血清中濃度と同等もしくはそれ以上の濃度を示した。また、皮膚、扁桃、上顎洞粘膜等の組織中濃度はほとんどの例で血清中濃度を大きく上まわった。なお、ヒト血清蛋白結合率は42~50%であった(in vitro)。27),28),29),30),31),32)
*ヒトにおける主代謝物は14位水酸化体であり、血清中には未変化体とほぼ同量存在した。20)ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、クラリスロマイシンは主としてCYP3Aで代謝されることが報告されている。33),
*健康成人に200mg(力価)を空腹時に単回経口投与し、Bioassayで測定したところ、投与後24時間までに投与量の38.3%が尿中へ排泄された。尿中には主に未変化体及び活性代謝物の14位水酸化体が認められた。19),20)
*腎機能正常者と種々な程度の腎機能障害者に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、クレアチニンクリアランス(Ccr)とその体内動態との関係を検討した結果、腎機能の低下に伴ってCmaxの上昇、T1/2の延長及びAUCの増加が認められた(測定法:Bioassay)。34)
クレアチニンクリアランス(mL/min)
Ccr≒100(n=5)
2.02
1.24
2.38
8.89
Ccr≒ 50(n=5)
2.15
1.89
5.74
21.69
Ccr≒ 30(n=5)
2.55
0.96
4.69
18.73
Ccr≒ 5(n=5)
3.54
1.48
6.13
36.89
*重篤な基礎疾患のない66~82歳(平均72.2歳)の女性3名に200mg(力価)を空腹時単回経口投与し、その体内動態を検討した結果、健康成人と比べるとTmax、T1/2はほぼ同様であったが、Cmax、AUCは明らかに高かった(測定法:Bioassay)。35)
高齢者(n=3)
3.72
2.3
4.2
19.20
*健康成人男性にテオフィリンを400mg及びクラリスロマイシンを300mg併用した結果、併用5日目でテオフィリンの血清中濃度はCmaxで1.26倍、AUCで1.19倍上昇し、クリアランスは16.4%減少したが統計的に有意差は認められなかった。4)また、気管支喘息患児にテオフィリンを300~600mg/dayで1日分2経口投与し、更にクラリスロマイシン600mg/dayを1日分2併用投与した結果、併用7日目においてテオフィリンの血清中濃度は有意な上昇を示した。5)
*成人を対象とした二重盲検比較試験を含む臨床試験の概要は次のとおりである。
*胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症に対する二重盲検比較試験、オープン試験でクラリスロマイシンの有用性が認められた。
有効率(%)【有効以上】
胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染症(除菌率)
(ランソプラゾールとの併用の場合)37),38),39),40),41))
胃潰瘍
(400mg)注5)
87.5( 84/ 96)
(800mg)注6)
89.2( 83/ 93)
十二指腸潰瘍
91.1( 82/ 90)
83.7( 82/ 98)
(米国:14日間投与)注7)
87.6(197/225)
(米国:10日間投与)注7)
83.7(103/123)
(英国: 7日間投与)注8)
90.4(103/114)
(オメプラゾールとの併用の場合)42),43),44),45)
胃・十二指腸潰瘍
(800mg)注9)
78.8( 89/113)
(400mg)注10)
81.1(116/143)
(800mg)注11)
80.0(116/145)
(海外:十二指腸潰瘍)注12)
96.4(106/110)
(海外:胃潰瘍)注12)
79.2( 38/ 48)
(ラベプラゾールナトリウムとの併用の場合)46),47),48),49)
(400mg)注13)
87.7( 57/ 65)
(800mg)注14)
89.7( 61/ 68)
83.3( 45/ 54)
87.8( 36/ 41)
(米国:10日間投与)注15)
86.0(147/171)
(米国: 7日間投与)注15)
84.3(140/166)
(欧州: 7日間投与)注15)
93.8( 61/ 65)
*細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットと結合し、蛋白合成を阻害する。36),50)
*ブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌の好気性グラム陽性菌、モラクセラ(ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、レジオネラ属、カンピロバクター属等の一部のグラム陰性菌、ペプトストレプトコッカス属、クラミジア属、マイコプラズマ属、マイコバクテリウム属及びヘリコバクター・ピロリに抗菌作用を示し、その作用は他のマクロライド系抗生物質と同等以上である(in vitro)。51),52),53),54),55),56),57),58),59),60)
*未変化体とほぼ同等の抗菌力を有するが、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)及びヘリコバクター・ピロリに対しては未変化体より弱い(in vitro)。60),61),62)
*マウスの腹腔内感染、皮下感染、呼吸器感染症モデルにおいては、クラリスロマイシンの良好な組織移行性を反映し、優れた効果を示す。51),52),54),55),61)
クラリスロマイシン(Clarithromycin)
(2R,3S,4S,5R,6R,8R,10R,11R,12S,13R)-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo-hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C-methyl-3-O-methyl-α-L-ribo-hexopyranosyloxy)-11,12-dihydroxy-6-methoxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide
C38H69NO13
747.95
白色の結晶性の粉末で、味は苦い。アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
220~227℃
100錠[10錠×10:PTP]
500錠[10錠×50:PTP]
1) *厚生労働省健康局結核感染症課編:抗微生物薬適正使用の手引き
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21) *3剤併用時の薬物動態(タケプロンカプセル、アモキシシリンカプセル「トーワ」他、クラリス錠・クラリシッド錠:2000年9月22日承認、申請資料概要ヘ.3.(1))
22) *3剤併用時の薬物動態(オメプラール錠・オメプラゾン錠、アモキシシリンカプセル「トーワ」他、クラリス錠・クラリシッド錠:2002年4月11日承認、申請資料概要ヘ.3.2).(3))
23) *3剤併用時の薬物動態(パリエット錠、パセトシンカプセル/細粒/錠・アモペニキシンカプセル・サワシリンカプセル/細粒/錠、クラリス錠・クラリシッド錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.1)
24) *国内第Ⅲ相H.pylori 除菌3剤療法における薬物間相互作用試験(タケキャブ錠:2014年12月26日承認、申請資料概要2.7.6.12)
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47) *国内第Ⅲ相試験(パリエット錠、パセトシンカプセル/細粒/錠・アモペニキシンカプセル・サワシリンカプセル/細粒/錠、クラリス錠・クラリシッド錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.3)
48) *欧州第Ⅲ相試験(パリエット錠、パセトシンカプセル/細粒/錠・アモペニキシンカプセル・サワシリンカプセル/細粒/錠、クラリス錠・クラリシッド錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.5)
49) *米国第Ⅲ相試験(パリエット錠、パセトシンカプセル/細粒/錠・アモペニキシンカプセル・サワシリンカプセル/細粒/錠、クラリス錠・クラリシッド錠:2007年1月26日承認、申請資料概要2.7.6.6)
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