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処方箋医薬品注)
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて、通常1日100~600mgを分割経口投与する。
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgを1~2回に分割経口投与し、至適効果が得られるまで(通常1日600mg)徐々に増量する。症状により1日1,200mgまで増量することができる。
カルバマゼピンとして通常、成人には最初1日量200~400mgからはじめ、通常1日600mgまでを分割経口投与するが、症状により1日800mgまで増量することができる。小児に対しては、年齢、症状に応じて適宜減量する。
抗コリン作用を有するため症状を悪化させることがある。
甲状腺ホルモン濃度を低下させるとの報告がある。
血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。このような患者では代謝・排泄機能が低下しているため。,
血中濃度をモニターするなど慎重に投与すること。代謝・排泄機能が低下しているため。,
男性の生殖能力障害と精子形成異常の報告がある。
授乳しないことが望ましい。母乳中へ移行することが報告されている。
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。一般に生理機能が低下していることが多い。
ボリコナゾール
タダラフィル
リルピビリン
マシテンタン
チカグレロル
グラゾプレビル
エルバスビル
ドルテグラビル・リルピビリン
*ダルナビル・コビシスタット
*アルテメテル・ルメファントリン
これらの薬剤の血中濃度が減少し作用が減弱するおそれがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進される。
*ドラビリン
本剤の代謝酵素誘導作用により、この薬剤の代謝が促進されると予測される。
*イサブコナゾニウム
本剤は代謝酵素を誘導する。
*カボテグラビル
本剤がUGT1A1を誘導することにより、この薬剤の代謝が促進される。
ソホスブビル・ベルパタスビル
本剤のP-gp及び代謝酵素の誘導作用により、これら薬剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。
*レジパスビル・ソホスブビル
本剤のP-gp誘導作用により、これら薬剤の血漿中濃度が低下するおそれがある。
*ニルマトレルビル・リトナビル
本剤の血中濃度が上昇するおそれがある。また、これら薬剤の血中濃度が減少することで、抗ウイルス作用の消失や耐性出現のおそれがある。
これら薬剤がCYP3Aによる本剤の代謝を競合的に阻害するため。また、本剤が代謝酵素を誘導するため。
*エンシトレルビル
この薬剤の血中濃度が減少し、作用が減弱するおそれがある。また、本剤の血中濃度が上昇し、副作用が発現しやすくなるおそれがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりこの薬剤の代謝が促進される。また、この薬剤のCYP3Aに対する阻害作用により、本剤の代謝が阻害される。
*ミフェプリストン・ミソプロストール
ミフェプリストンの血漿中濃度が低下し、効果が減弱するおそれがあるので、本剤の影響がなくなるまで、この薬剤を投与しないこと。
本剤の代謝酵素誘導作用により、ミフェプリストンの代謝が著しく亢進され、ミフェプリストンの血漿中濃度が著しく低下するおそれがある。
*リルピビリン・テノホビル アラフェナミド・エムトリシタビン
リルピビリン及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下し、この薬剤の効果が減弱するおそれがある。
本剤の代謝酵素誘導作用により、リルピビンの代謝が促進される。本剤のP-gp誘導作用により、テノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するおそれがある。
ビクテグラビル・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
ビクテグラビル及びテノホビル アラフェナミドの血漿中濃度が低下するため、効果が減弱し、この薬剤に対する耐性が発現する可能性がある。
本剤のP-gp及び代謝酵素誘導作用による。
*ダルナビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
ダルナビル、コビシスタット及びテノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下し、この薬剤の効果が減弱するおそれがある。
*エルビテグラビル・コビシスタット・エムトリシタビン・テノホビル アラフェナミド
エルビテグラビル及びコビシスタットの血中濃度が著しく低下する可能性がある。また、テノホビル アラフェナミドの血中濃度が低下する可能性がある。
クエチアピンイトラコナゾールテラブレビル
これらの薬剤の血中濃度が低下することがある。また、本剤の血中濃度が上昇することがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりこれら薬剤の代謝が亢進し、血中濃度が低下する。また、これら薬剤が本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する。
クロバザムパロキセチン
本剤の代謝酵素誘導作用によりこれら薬剤の代謝が亢進し、血中濃度が低下する。本剤の血中濃度が上昇の機序は不明である。
バルプロ酸
バルプロ酸の血中濃度を低下させることがある。また、本剤及び本剤の代謝物の血中濃度が上昇又は本剤の血中濃度が低下することがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりバルプロ酸の代謝が促進される。また、バルプロ酸は本剤の代謝物の代謝を阻害する。バルプロ酸との併用により本剤の血中濃度が上昇又は低下したとの報告があるが、機序は不明である。
イソニアジド
イソニアジドの肝毒性を増強することがある。また、本剤の血中濃度が急速に上昇し、中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、めまい等)があらわれることがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりイソニアジドの代謝が亢進し、肝毒性を有するイソニアジド代謝物の生成が促進される。また、イソニアジドが本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する。
フェノバルビタールリファンピシン
本剤の血中濃度が低下することがある。
これらの薬剤の代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進され、本剤の血中濃度が低下する。
マクロライド系抗生物質
アゾール系抗真菌剤
キヌプリスチン・ダルホプリスチンシプロフロキサシンリトナビルダルナビルフルボキサミンベラパミルジルチアゼムシメチジンオメプラゾールダナゾールビカルタミド
本剤の血中濃度が急速に上昇し、中毒症状(眠気、悪心・嘔吐、めまい等)があらわれることがある。
これらの薬剤が本剤の代謝を阻害し、本剤の血中濃度が上昇する。
アセタゾラミド
機序は不明である。
フェニトイン
本剤の血中濃度が低下することがある。また、フェニトインの血中濃度を上昇又は低下させることがある。
両剤とも代謝酵素誘導作用を有するため、相互に代謝が促進され、血中濃度が低下する。また、代謝競合により、フェニトインの代謝が阻害されて、フェニトインの血中濃度が上昇することがある。
プリミドン
相互に血中濃度が低下することがある。また、本剤の代謝物の血中濃度が上昇することがある。
両剤の代謝酵素誘導作用により相互に代謝が促進されると考えられる。また、プリミドンが本剤の代謝物の代謝を阻害し、本剤の代謝物の血中濃度が上昇する。
エファビレンツ
相互に血中濃度が低下することがある。
両剤の代謝酵素誘導作用により相互に代謝が促進されると考えられる。
テオフィリンアミノフィリン
本剤による代謝酵素誘導作用によりテオフィリンの代謝が促進される。また、併用により本剤の血中濃度が減少し、半減期が減少したとの報告がある。
抗不安・睡眠導入剤
抗てんかん剤
トラマドールブプレノルフィン抗パーキンソン剤
ソリフェナシン免疫抑制剤
抗うつ剤
ブチロフェノン系精神神経用剤
精神神経用剤
ドネペジルフレカイニドエレトリプタンジヒドロピリジン系カルシウム拮抗剤
ドキシサイクリン抗ウイルス剤(HIV感染症治療薬)
これらの薬剤の作用を減弱することがある。
本剤の代謝酵素誘導作用によりこれらの薬剤の代謝が促進され、血中濃度が低下する。
*ドルテグラビル・ラミブジン
ドルテグラビルの血漿中濃度をCmaxで33%、Cτで73%低下させたとの報告がある。
本剤がCYP3A4及びUGT1A1を誘導することにより、ドルテグラビルの代謝が促進される。
プラジカンテルエプレレノンシルデナフィルタダラフィル(シアリス)ジエノゲストアプレピタントシンバスタチンオンダンセトロンラスクフロキサシン
ミラベグロン
本剤の代謝酵素誘導作用及びP糖蛋白誘導作用により、ミラベグロンの代謝が促進され、血中濃度が低下する。
ホスアプレピタントメグルミン
本剤の代謝酵素誘導作用によりホスアプレピタントメグルミンの活性本体アプレピタントの代謝が促進され、血中濃度が低下する。
抗悪性腫瘍剤
本剤のP-gp及び代謝酵素の誘導作用により、レンバチニブの血中濃度が低下するおそれがある。
副腎皮質ホルモン剤
黄体・卵胞ホルモン剤
効果の減弱化及び不正性器出血の発現率が増大するおそれがある。
ラモトリギン
ラモトリギンの血中濃度を低下させることがある。
肝におけるラモトリギンのグルクロン酸抱合が促進される。
カスポファンギン
カスポファンギンの血中濃度が低下するおそれがある。
本剤がカスポファンギンの取り込み輸送過程に影響し、カスポファンギンのクリアランス誘導が起こる。
*抗凝固薬
本剤のP糖蛋白誘導作用により、ダビガトランの血中濃度が低下することがある。
本剤のP-gp及び代謝酵素の誘導作用により、アピキサバンの代謝および排出が促進される。
本剤の代謝酵素誘導作用によりリバーロキサバンのクリアランスが増加する。
本剤の代謝酵素誘導作用によりワルファリンの代謝が促進され、血中濃度が低下する。
アセトアミノフェン
アセトアミノフェンの作用を減弱することがある。また、肝障害を生じやすくなるとの報告がある。
本剤の代謝酵素誘導作用により、アセトアミノフェンの代謝が促進され血中濃度が低下する。また、アセトアミノフェンから肝毒性をもつN-アセチル-p-ベンゾキノンイミンへの代謝が促進される。
シクロホスファミド
シクロホスファミドの作用を増強することがある。
本剤の代謝酵素誘導作用により、シクロホスファミドの活性代謝物の濃度が上昇する。
セイヨウオトギリソウ(St. John's Wort,セント・ジョーンズ・ワート)含有食品
本剤の代謝が促進され血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること。
セイヨウオトギリソウにより誘導された代謝酵素が本剤の代謝を促進すると考えられている。
グレープフルーツジュース
本剤の代謝が抑制され血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤投与時は、グレープフルーツジュースを摂取しないよう注意すること。
グレープフルーツジュースに含まれる成分が本剤の小腸での代謝酵素を抑制し、血中濃度を上昇させるためと考えられている。
アルコール
相互に作用が増強されるおそれがある。過度のアルコール摂取は避ける。
共に中枢神経抑制作用を有するため。
中枢神経抑制剤
相互に作用が増強されることがある。
利尿剤(ナトリウム喪失性)
低ナトリウム血症・SIADHがあらわれることがある。ナトリウム喪失性以外の利尿剤の使用を考慮する。
共に血清中のナトリウムを低下させることがある。
ジゴキシン非脱分極性筋弛緩剤
アルベンダゾール
ヒドロキシクロロキン
本剤の作用が減弱する可能性がある。
炭酸リチウム
精神神経系症状(錯乱、粗大振戦、失見当識等)があらわれたとの報告がある。
メトクロプラミド
神経症状(歩行障害、運動失調、眼振、複視、下肢反射亢進)があらわれたとの報告がある。
,
発熱、眼充血、顔面の腫脹、口唇・口腔粘膜や陰部のびらん、皮膚や粘膜の水疱、多数の小膿疱、紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感等の異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、これらの症状のほとんどは本剤の投与開始から3ヵ月以内に発症することから、特に投与初期には観察を十分に行うこと。
SLE様症状(蝶形紅斑等の皮膚症状、発熱、関節痛、白血球減少、血小板減少、抗核抗体陽性等)があらわれることがある。
初期症状として発熱、発疹がみられ、更にリンパ節腫脹、関節痛、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現、肝脾腫、肝機能障害等の臓器障害を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがある。また、発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルス再活性化を伴うことが多い。,,
胆汁うっ滞性、肝細胞性、混合型、又は肉芽腫性の肝機能障害、黄疸があらわれ、劇症肝炎等に至ることがあるので、定期的に肝機能検査を行うこと。,,
重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に腎機能検査を実施すること。,
発熱、咳嗽、呼吸困難、喀痰、好酸球増多、肺野の浸潤影を伴うPIE症候群、間質性肺炎があらわれることがある。
肺塞栓症、深部静脈血栓症、血栓性静脈炎等の血栓塞栓症があらわれることがある。
蕁麻疹、血管浮腫、循環不全、低血圧、呼吸困難等を伴うアナフィラキシーがあらわれることがある。
低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
項部硬直、発熱、頭痛、悪心・嘔吐あるいは意識混濁等を伴う無菌性髄膜炎があらわれることがある。
発熱、意識障害、無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等があらわれることがある。このような場合には、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理と共に適切な処置を行うこと。本剤の急な中止により発現することもあるので、本剤の急な投与中止は行わないこと。また、悪性症候群は抗精神病薬との併用時に発現しやすいので特に注意すること。なお、本症発症時には白血球の増加や血清CK(CPK)の上昇がみられることが多く、また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下をみることがある。
5%以上
0.1~5%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
―
猩紅熱様・麻疹様・中毒疹様発疹、そう痒症
光線過敏症、蕁麻疹、潮紅
血管炎、血管浮腫、呼吸困難
皮膚
色素沈着、ざ瘡、丘疹、多形結節性紅斑、紫斑、多毛、苔癬様角化症、爪の障害(爪甲脱落症、爪の変形、爪の変色等)
筋骨格系
筋脱力
筋痙攣、関節痛、筋痛
血液
リンパ節腫脹
ポルフィリン症、巨赤芽球性貧血、白血球増多、好酸球増多症、網状赤血球増加症
肝臓
ALT、ALP、γ-GTPの上昇
AST上昇
腎臓
蛋白尿、BUN、クレアチニンの上昇
頻尿
乏尿、尿閉、血尿
精神神経系
ふらつき、眠気、めまい
注意力・集中力・反射運動能力等の低下、立ちくらみ、抑うつ、頭痛・頭重、脱力、倦怠感、興奮、運動失調、不随意運動(振戦、アステリキシス等)、言語障害
錯乱
幻覚(視覚、聴覚)、せん妄、知覚異常、インポテンス、末梢神経炎、口顔面ジスキネジー、舞踏病アテトーゼ、麻痺症状、攻撃的行動、激越、意識障害、鎮静、記憶障害
眼注1)
複視、霧視
調節障害、眼振
異常眼球運動(眼球回転発作)、水晶体混濁、結膜炎、眼圧上昇
心血管系
血圧低下
血圧上昇
不整脈、刺激伝導障害
消化器
食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、下痢、口渇
膵炎、口内炎、舌炎、腹痛、大腸炎
内分泌、代謝系
ビタミンD・カルシウム代謝異常(血清カルシウムの低下等)、甲状腺機能検査値の異常(T4値の低下等)、血清葉酸値低下、女性化乳房、乳汁漏出、プロラクチン上昇、低ナトリウム血症、骨軟化症、骨粗鬆症、高血糖
その他
発熱、味覚異常、浮腫、発汗、体重増加
感冒様症状(鼻咽頭炎、咳嗽等)
聴覚異常(耳鳴、聴覚過敏、聴力低下、音程の変化等)、脱毛、コレステロール上昇、トリグリセリド上昇、CK(CPK)上昇、体液貯留、免疫グロブリン低下(IgA、IgG等)、CRP上昇
最初の徴候、症状は、通常服用1~3時間後にあらわれる。中枢神経障害(振戦、興奮、痙攣、意識障害、昏睡、脳波変化等)が最も顕著で、心血管系の障害(血圧変化、心電図変化等)は通常は軽度である。また、横紋筋融解症があらわれることがある3)。
気道確保のため、必要に応じ気管内挿管、人工呼吸、酸素吸入を行う。また、低血圧に対しては両下肢挙上及び血漿増量剤を投与し、必要に応じ昇圧剤を投与する。痙攣が発現している場合にはジアゼパムを静注する(ただし、ジアゼパムによる呼吸抑制、低血圧、昏睡の悪化に注意)3)。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
ラットにカルバマゼピンを長期間経口投与した実験(25、75及び250mg/kg、2年間)で、雌に肝腫瘍の発生が用量依存性をもって有意に認められたとの報告がある。
カルバマゼピンの単独投与を受けているてんかん患者の血清内濃度と投与量の関係は次図のとおりで、個人差は大きいが、投与初期は投与量に比して高い血清内濃度が得られ(図1)、その後は低くなる(図2)ことが示されている。単回投与の場合、最高血中濃度は4~24時間後に得られる。単回投与後の未変化体の血中半減期は約36時間である。血清内濃度/投与量の比は投与開始10日までは上昇するが、その後低下し、血清内濃度は服薬日数に依存して変動することが認められるが、これは薬物代謝酵素の自己誘導によると考えられている。また、小児(6~13歳)と成人(14~64歳)の比較では、小児においてカルバマゼピン代謝速度が速いため低い値を示すものと考えられる8)。
カルバマゼピンの消化管からの吸収は比較的緩徐であり、単回投与の場合、最高血中濃度は4~24時間後に得られる9),10),11),12),13)。
カルバマゼピンは、その70~80%が血漿蛋白と結合し、唾液中の未変化体濃度は血漿中の非蛋白結合型カルバマゼピン(20~30%)をよく反映する9),10),11),12)。
単回投与後の未変化体の血中半減期は約36時間であるが、反復投与した場合には薬物代謝酵素の自己誘導が起こるため16~24時間となり、更に他の酵素誘導を起こす抗てんかん剤と併用した場合には9~10時間に短縮する。未変化体の尿中排泄率は、単回又は反復投与にかかわらず投与量の2~3%とわずかであり、主として薬理活性を有するカルバマゼピン-10, 11-エポキシド等の代謝物として排泄される9),10),11),12),13)(外国人のデータ)。
内因性躁病患者105例、非定型精神病患者44例、統合失調症患者77例の計226例を対象として有効性及び安全性を検討した結果、評価対象となった内因性躁病の最終全般改善度は、中等度改善以上72.0%(72/100例)、軽度改善以上88.0%(88/100例)であった。非定型精神病は中等度改善以上63.6%(28/44例)、軽度改善以上84.1%(37/44例)であり、統合失調症は中等度改善以上55.8%(43/77例)、軽度改善以上77.9%(60/77例)であった。副作用発現率は、内因性躁病患者で53.3%(56/105例)、非定型精神病患者で40.9%(18/44例)、統合失調症患者で41.6%(32/77例)であった。主な副作用は、ふらつき22.1%(50/226例)、ねむけ18.1%(41/226例)、脱力感9.7%(22/226例)、めまい8.8%(20/226例)、たちくらみ8.4%(19/226例)等であった14)。
治療効果判定に用いた躁うつ病患者22例(解析対象例数)を対象にカルバマゼピン(以下、CBZ群)の予防効果をプラセボ(以下、Placebo郡)を対照薬とした二重盲検比較試験の結果、有効率はCBZ群で60.0%、Placebo群で22.2%でありCBZP群有意に優れていた(U検定、Z=1.706、p<0.10)。 薬剤投与例数32例での副作用発現率は、CBZ群で56.3%(9/16例)であった。主な副作用は、不眠、倦怠・易疲労感、ねむけ、口喝、食欲不振、嘔吐であった15)。
治療効果判定に用いた内因性躁病患者60例(解析対象例数)を対象にカルバマゼピン(以下、CBZ群)の有効性及び安全性をクロルプロマジン群(以下、CPZ群)を対照薬とした二重盲検試験で比較を行った結果、全般改善度はCBZ群で70%、CPZ群で60%であり両群間に有意差は認められなかった。検討症例63例での副作用発現率は、CBZ群で59%、CPZ群で86%であり、両群に有意差が認められた(Fisher、p<0.05)。CBZ群で認められた主な副作用は、眠気29%、頭痛26%、皮膚症状16%、口喝15%、脱力感15%、めまい12%であった16)。
カルバマゼピンは、神経細胞の電位依存性ナトリウムチャンネルの活動を制限し、その過剰な興奮を抑制することにより抗てんかん作用を現すと考えられている17),18)。
カルバマゼピンはラットの電気ショック痙攣に対しフェノバルビタールとほとんど同等の抑制作用を示し、ストリキニーネ痙攣に対しては、ストリキニーネ2.5mg/kg腹腔内注射マウスに対し十分な痙攣抑制作用を示さないが、カルバマゼピン100mg/kg(経口)レベルでは、ジフェニルヒダントインやメフェネシンと比較して明らかに痙攣の発現を遷延させる。ペンテトラゾール痙攣(マウス)、ピクロトキシン痙攣(マウス)に対してはそれ程強い防御作用を示さない19)。
ネコの扁桃核刺激によるキンドリングの形成をカルバマゼピン及びフェノバルビタールは抑制し、てんかん原性獲得に対する予防効果を示すが、フェニトインは抑制しない。その際、フェノバルビタールは後発射の発展よりも臨床症状の発展を抑制するのに対し、カルバマゼピンでは後発射の発展と二次てんかん原性獲得を抑制する作用が認められている20)。一方、完成されたキンドリング痙攣に対してはカルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトインのいずれもが中毒量以下の血清レベルで抑制作用(抗痙攣効果)を示す20)。
ネコの運動領皮質、レンズ核及び視床腹外側核の後発射はカルバマゼピンによりほとんど抑制されないか、軽度短時間抑制されるにすぎない。なお扁桃核及び海馬の後発射はかなり抑制されており、カルバマゼピンが新皮質系よりも大脳辺縁系に対しある程度選択的に作用することが示されている21),22)。
行動薬理学的には、マウスを用いた試験において、闘争行動抑制作用19),23)、常同行動抑制作用24)、麻酔増強作用19)がみられ、カルバマゼピンは鎮静、静穏作用を有することが認められている。電気生理学的には、ウサギを用いた試験において、嗅球から大脳辺縁系に至る情動経路(嗅球-扁桃核、嗅球-海馬)の誘発電位の抑制がみられている25)。
ネコを用いた実験で、カルバマゼピン10mg/kg(腹腔内)投与で顔面の皮膚の電気刺激による三叉神経の延髄レベル及び視床中心内側核で記録した誘発電位の抑制が認められている26)。
カルバマゼピン(Carbamazepine)
5H-Dibenz[b, f]azepine-5-carboxamide
C15H12N2O
236.27
白色~微黄白色の粉末で、においはなく、味は初めないが、後にわずかに苦い。クロロホルムに溶けやすく、エタノール(95)又はアセトンにやや溶けにくく、水又はジエチルエーテルに極めて溶けにくい。
189~193℃
57.9(1-オクタノール/pH7.4リン酸塩緩衝液)
開封後は湿気を避けて保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10]500錠[瓶、バラ]
100g[瓶]
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25) 中尾健三ほか:薬理と治療,1988,16(3),1191-1206
26) Hernández-Peón, R.:Med. Pharmacol. Exp.,1965,12(2),73-80
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