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処方箋医薬品注)
うつ病・うつ状態
抗うつ剤の投与により、24歳以下の患者で、自殺念慮、自殺企図のリスクが増加するとの報告があるため、本剤の投与にあたっては、リスクとベネフィットを考慮すること。,,,,,,
通常成人にはマプロチリン塩酸塩として1日30~75mgを2~3回に分割経口投与する。また上記用量は1日1回夕食後あるいは就寝前に投与できる。なお、年齢、症状により適宜増減する。
抗コリン作用により症状が悪化することがある。
循環器系に影響を及ぼすことがある。
躁転、自殺企図があらわれることがある。,,,,,,
精神症状を増悪させることがある。,,
高血圧発作を引き起こすことがある。
高度の血圧低下が起こることがある。
交差過敏反応があらわれるおそれがある。
抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させることがある。
代謝・排泄障害により副作用があらわれやすい。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。三環系抗うつ剤で、新生児に呼吸困難、嗜眠、チアノーゼ、興奮性、低血圧、高血圧、痙攣、筋痙縮、振戦等の離脱症状を起こしたとの報告がある。
授乳中の女性に投与する場合には、治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。ヒト母乳中へ移行する。
小児等を対象とした有効性、安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
高齢者では、少量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。起立性低血圧、ふらつき、抗コリン作用による口渇、排尿困難、便秘、眼内圧亢進等があらわれやすい。
MAO阻害剤
発汗、不穏、全身痙攣、異常高熱、昏睡等があらわれることがある。MAO阻害剤の投与を受けた患者に本剤を投与する場合には、少なくとも2週間の間隔をおき、また本剤からMAO阻害剤に切り替えるときには、2~3日間の間隔をおくことが望ましい。
本剤は活性アミンのシナプス内への取り込みを阻害して、受容体の感受性を増強する。
痙攣閾値を低下させる薬剤
痙攣発作が起こることがある。
機序:いずれも痙攣閾値を低下させる。危険因子:痙攣素因のある患者
副交感神経刺激剤
ピロカルピンの作用が減弱されることがある。
本剤の抗コリン作用によりピロカルピンと拮抗的に作用すると考えられている。
ベンゾジアゼピン誘導体
併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると痙攣発作が起こることがある。
機序:併用中のベンゾジアゼピン誘導体を中止すると、痙攣発作が顕性化する。危険因子:痙攣素因のある患者
抗コリン作用を有する薬剤
口渇、便秘、尿閉、視力障害、眠気等があらわれることがある。
いずれも抗コリン作用を有するため。
アドレナリン作動薬
心血管作用(高血圧等)を増強することがある。
本剤は交感神経末梢へのノルアドレナリン等の取り込みを抑制し、受容体部位へのアドレナリン作動性を上昇させ、作用を増強させる。
アトモキセチン
相互に作用が増強するおそれがある。
ノルアドレナリンへの作用を相加的又は相乗的に増強する可能性がある。
フェノチアジン誘導体
鎮静、抗コリン作用の増強があらわれることがある。
いずれも中枢神経抑制作用、抗コリン作用を有するため。
リスペリドン
選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)
本剤の血中濃度が上昇し、作用が増強されることがある。
これらの薬剤は本剤の肝臓での酸化的な代謝を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
テルビナフィン
本剤の血中濃度が上昇する可能性がある。
テルビナフィンがCYP2D6を阻害し、本剤の血中濃度を上昇させると考えられる。
中枢神経抑制剤
全身麻酔剤
抗不安剤
アルコールサリドマイド
中枢神経抑制作用が増強されることがある。
いずれも中枢神経抑制作用を有するため。
肝酵素誘導作用をもつ薬剤
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が減弱されることがあるとの報告がある。
バルビツール酸誘導体又はフェニトイン等の肝酵素誘導作用によりイミプラミンの代謝が促進されると考えられている。
アドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤
降圧作用を減弱することがある。
本剤がアドレナリン作動性神経遮断作用を有する降圧剤の交感神経ニューロンへの取り込みを阻害する。また、本剤は交感神経ニューロンへのカテコラミン取り込み阻害作用も有する。
肝初回通過効果を受けやすいβ-遮断剤
起立性低血圧、鎮静、口渇、霧視、運動失調等があらわれることがある。
競合的に本剤の代謝が阻害され、血中濃度が上昇する。
フェニトイン
三環系抗うつ剤(イミプラミン)で、フェニトインの作用が増強するとの報告がある。
フェニトインの代謝が阻害され、フェニトインの血中濃度が上昇すると考えられている。
電気ショック療法
痙攣閾値を低下させ、痙攣状態に陥るおそれがある。
本剤は痙攣閾値を低下させる。
抗不整脈剤
メチルフェニデートシメチジン
三環系抗うつ剤(イミプラミン)の作用が増強するとの報告がある。
これらの薬剤により、イミプラミンの肝代謝が阻害され、血中濃度が上昇すると考えられている。キニジンでは本剤の肝代謝が阻害されるとの報告がある。
インスリン製剤
スルフォニル尿素系糖尿病用剤
併用により過度の血糖低下を来すことがある。
本剤での機序は不明であるが、三環系抗うつ剤(ドキセピン)により低血糖に対する反応性が変化するか、インスリンに対する感受性が増大し、血糖降下作用が増強すると考えられている。
クマリン系抗凝血剤
三環系抗うつ剤(ノルトリプチリン)との併用によりクマリン系抗凝血剤の血中濃度半減期が延長するとの報告がある。
機序不明。
スルファメトキサゾール・トリメトプリム
三環系抗うつ剤(イミプラミン)との併用により抑うつが再発又は悪化するとの報告がある。
イミプラミンの代謝促進及び両剤の受容体レベルでの拮抗作用により抗うつ剤の効果があらわれない可能性がある。
QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤
QT間隔延長、心室性不整脈(Torsades de pointesを含む)等の重篤な副作用を起こすおそれがある。
いずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため。
ゾニサミド
高血圧、失神、不全収縮、発汗、てんかん、動作・精神障害の変化及び筋強剛等の副作用があらわれるおそれがある。
相加・相乗作用によると考えられる。
無動緘黙、強度の筋強剛、嚥下困難、頻脈、血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、体冷却、水分補給等の全身管理とともに適切な処置を行う。本症発症時には、白血球の増加や血清CKの上昇がみられることが多く、またミオグロビン尿を伴う腎機能の低下がみられることがある。なお、他の三環系及び四環系抗うつ剤の投与中、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎障害へと移行し、死亡した例が報告されている。
筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。また、横紋筋融解症による急性腎障害の発症に注意すること。
腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止すること。なお、この悪心・嘔吐は、本剤の制吐作用により不顕性化することもあるので注意すること。
発熱、咳嗽、呼吸困難、肺音の異常(捻髪音)等が認められた場合には投与を中止し、速やかに胸部X線等の検査を実施し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
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AST、ALT、γ-GTPの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
5%以上又は頻度不明
0.1~5%未満
0.1%未満
循環器
血圧降下、血圧上昇
起立性低血圧、心悸亢進、心電図異常(QT延長等)
心ブロック、頻脈、不整脈、失神
精神神経系
激越、ミオクロヌス、情緒不安
眠気、パーキンソン様症状・振戦・アカシジア等の錐体外路障害、言語障害、知覚異常、睡眠障害(不眠等)、神経過敏、不安、集中力欠如(思考力低下、頭がボーッとする等)、躁状態
幻覚、陰萎、せん妄、運動失調、錯乱状態、悪夢、記憶障害、離人症
抗コリン作用
口渇、緑内障、尿閉
便秘、排尿困難、視調節障害(散瞳等)
鼻閉
皮膚
紫斑、脱毛
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光線過敏症
過敏症
皮膚血管炎
発疹
蕁麻疹、そう痒感、発熱
血液
好酸球増多、血小板減少
白血球減少、白血球増多
肝臓
AST、ALT、γ-GTPの上昇
ALPの上昇
消化器
悪心、胃部不快感等の胃腸症状、食欲不振、腹痛、口内苦味感、味覚異常
嘔吐、異常食欲亢進、口内炎、下痢、嚥下困難
内分泌
乳房肥大、乳汁漏出
体重増加
呼吸器
気管支痙攣
その他
めまい、ふらつき、倦怠感、脱力感、熱感、発汗、頭痛、頭重、頻尿・夜尿、浮腫
耳鳴、流涎
最初の徴候、症状は通常服用1~2時間後にあらわれる1)。中枢神経系:昏睡、痙攣、意識障害、嗜眠状態、運動失調、情動不安心血管系:低血圧、頻脈、不整脈、伝導障害、ショック、心不全、非常にまれにQT延長、トルサード・ド・ポアン、心停止その他:呼吸抑制、異常高熱等
特異的な解毒剤は知られていない。また、コリンエステラーゼ阻害剤(ネオスチグミン等)は痙攣の危険性を増大させるおそれがあるので、マプロチリンの過量服用時の治療には不適である。必要に応じて次のような処置を行う。症状が重篤な場合には、少なくとも48時間は心モニターを継続し、また約12時間は痙攣発作の発現に対して特に注意する1)。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
マプロチリン塩酸塩25及び75mgを1回経口投与した場合、約6~12時間で最高血漿中濃度に達し、その後ゆっくりと減衰する。生物学的半減期は個人差が大きく(19時間~73時間)、平均値は25mg投与で約46時間、75mg投与で約45時間である2)。
30及び75mg/日を分割投与あるいは1日1回投与した場合、血漿中濃度は2週間以内に定常状態に達し、その平均値は両投与法に差はなく、分割投与例では31.3及び76.9ng/mL、1日1回投与例では、31.7及び70.6ng/mLである3)。
健康な出産後の女性にマプロチリン塩酸塩を単回あるいは連続経口投与した場合、母乳中濃度は全血中濃度の推移に近似し、定常状態における母乳中濃度の全血中濃度に対する比は一定で、その平均値は約1.37である(外国人のデータ)。
3H-マプロチリンを健康成人に経口投与後、放射活性は48時間内に30%が尿中へ、96時間内に48%が尿中へ、13%が糞中へ排泄される。
尿中排泄物は90%以上が代謝物であり、75%はグルクロン酸抱合体で、代謝産物としてN-脱メチル化体、側鎖及び環の水酸化体等の12種が同定されている4)(外国人のデータ)。
各種うつ病及びうつ状態を呈する患者554例を対象とした一般臨床試験における本剤の改善度は下表のとおりであった。
改善度投与方法
全例数
著明改善
中等度改善以上
軽度改善以上
1日2~3回分割投与
例数
554
147
315
396
累積%
100
26.5
56.9
71.5
副作用発現率は、554例中266例(48.0%)であった。主な副作用は、口喝142件(25.6%)、めまい・ふらつき44件(7.9%)、便秘36件(6.5%)、眠気30件(5.4%)、疲労感・倦怠感23件(4.2%)等であった。
抗うつ剤については種々の作用機序が示されているが、本剤では主として神経終末へのcatecholamine取り込み阻害作用によるcatecholaminergic activityの増強が抗うつ効果に結びついていると考えられている。
動物実験(マウス・ラット)で、マプロチリンは抗reserpine作用5)、抗tetrabenazine作用5)、noradrenaline取り込み阻害作用6)等においては従来の抗うつ剤に類似した作用態度を示すが、serotoninの取り込みに対しては阻害作用がみられないこと7),8)、中枢性の抗コリン作用をほとんど有さないこと5)、あるいは強い馴化作用を併有していること5)など三環系抗うつ剤とは異なる作用スペクトルを有する薬物である。各種の薬理実験の結果から、主な作用についてマプロチリン、imipramine、amitriptylineの相対的作用強度を比較すると次図のようになる。
マプロチリン塩酸塩(Maprotiline Hydrochloride)(JAN)
3-(9,10-Dihydro-9,10-ethanoanthracene-9-yl)-N-methylpropylamine monohydrochloride
C20H23N・HCl
313.86
白色の結晶性の粉末で、メタノール又は酢酸(100)にやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、水に溶けにくい。
約244℃(分解)
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 「日本チバガイギー医薬品 過量使用時の症状と処置」日本チバガイギー株式会社・医薬情報部編集, 1987, p.117
2) 門脇久治ほか:基礎と臨床. 1983;17(2), 507-518
3) 小林建太郎ほか:基礎と臨床. 1983;17(3),1176-1186
4) Riess, W. et al.:J. Int. Med. Res. 1975;3(Suppl. 2),16-41
5) 植木昭和ほか:日薬理誌. 1975;71, 789-815
6) Maître, L. et al.:Biochem. Pharmacol. 1971;20(9), 2169-2186
7) Maître, L. et al.:J. Int. Med. Res. 1975;3(Suppl.2), 2-15
8) Maître, L. et al.:Adv. Biochem. Psychopharmacol. 1974;10, 297-304
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