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日本薬局方
バクロフェン錠
劇薬
処方箋医薬品注)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
下記疾患による痙性麻痺脳血管障害、脳性(小児)麻痺、痙性脊髄麻痺、脊髄血管障害、頸部脊椎症、後縦靱帯骨化症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、術後後遺症(脳・脊髄腫瘍を含む)、その他の脳性疾患、その他のミエロパチー
〈成人〉通常成人には初回量として1日バクロフェン5~15mgを1~3回に分け食後経口投与し、以後患者の症状を観察しながら標準用量に達するまで2~3日毎に1日5~10mgずつ増量する。標準用量は1日30mgであるが、患者の本剤に対する反応には個人差があるため、年齢、症状に応じて適宜増減する。〈小児〉小児には初回量として1日バクロフェン5mgを1~2回に分け食後に経口投与し、以後患者の症状を観察しながら標準用量に達するまで、2~3日毎に1日5mgずつ増量する。なお、症状、体重に応じて適宜増減する。標準用量
低用量から投与を開始すること。特に透析を必要とするような重篤な腎機能障害を有する患者においては、1日5mgから投与を開始するなど慎重に投与すること。,,,
患者の状態を慎重に観察しながら、髄注による治療開始前又は治療開始後の適切な時期に本剤の減量又は漸次中止を試みること。ただし、急激な減量又は中止を避けること。
症状を誘発するおそれがある。
精神症状が悪化するおそれがある。
腹痛等の消化器系の副作用が報告されており、症状が悪化するおそれがある。
本剤の筋弛緩作用により呼吸抑制が起こるおそれがある。
過量投与の症状(意識障害、呼吸抑制等)に注意すること。,,,,
血中濃度が上昇することがある。,,
症状が悪化するおそれがある。
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。動物実験(ラット)で胎盤通過が報告されている。また、妊娠中に本剤を投与した患者で、新生児に離脱症状が疑われる全身痙攣があらわれたとの報告がある。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。母乳中への移行が報告されている。
慎重に投与すること。特にてんかん及びその既往歴のある患者では発作を誘発するおそれがある。
低用量から投与を開始するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。生理機能が低下していることが多く、比較的低用量で筋力低下、けん怠感等の症状があらわれることがある。
血圧降下剤
血圧降下作用を増強するおそれがある。
いずれも血圧降下作用を有するため。
中枢神経抑制剤(催眠鎮静剤、抗不安剤、麻酔剤等)アルコール
中枢神経抑制作用を増強するおそれがある。
いずれも中枢神経抑制作用を有するため。
オピオイド系鎮痛剤(モルヒネ等)
低血圧あるいは呼吸困難等の副作用を増強するおそれがある。
相互に作用を増強すると考えられている。
意識障害、呼吸抑制等の中枢神経抑制症状があらわれることがある。特に腎機能障害を有する患者においてあらわれやすいので注意すること。,,,
幻覚・錯乱等が発現したという報告があり、精神依存形成につながるおそれがある。
5%以上
1~5%
1%未満
頻度不明
精神神経系
眠気(9.8%)
頭痛・頭重、知覚異常(しびれ等)、鎮静、抑うつ
不眠、筋肉痛、情緒不安定、幻覚、意識障害、酩酊感、譫妄、構音障害、舌の運動障害、不随意運動、痙攣発作、嚥下力低下、顔面チック、耳鳴、視調節障害
歩行障害、痙縮増悪、眼振
循環器
―
血圧低下、下肢うっ血、頻脈
徐脈
肝臓
肝障害、AST上昇、ALT上昇
消化器
悪心
嘔吐、食欲不振、胃部不快感、下痢、口渇
便秘、腹痛、腹部膨満感、流涎、空腹感
胸やけ
泌尿器生殖器
尿失禁
排尿困難、頻尿、勃起消失
皮膚症状
発疹
蕁麻疹
全身症状
脱力感
筋力低下、ふらつき、めまい
全身けん怠感
低体温、薬剤離脱症候群
その他
浮腫、発汗、胸部圧迫感
味覚異常、呼吸困難、血糖値上昇
特徴的な症状は傾眠、意識障害、呼吸抑制、昏睡等の中枢神経抑制症状である。また、痙攣、錯乱、幻覚、全身筋緊張低下、反射低下・消失、瞳孔反射障害、ミオクロヌス、脳波変化、低血圧、高血圧、徐脈、頻脈、不整脈、低体温等があらわれることがある1)。
特定の解毒薬は知られていないので、低血圧、高血圧、痙攣、呼吸又は循環抑制等の症状に対しては対症療法(痙攣に対するジアゼパム静脈内注射等)を行う。胃洗浄は、特に生命に危険が及ぶような高用量を服用した場合に早期(60分以内)に実施する等、患者の状態に応じて適応を考慮すること。なお、昏睡状態や痙攣のある患者の場合は、挿管してから洗浄を行うこと。中毒量を服用したと思われる場合は、服用後早期であれば、活性炭投与を考慮すること。また、必要な場合は緩下剤(塩類又は糖類下剤)の投与を行うこと。本剤は主として腎から排泄されるため、水分の供給を十分に行い、可能ならば利尿剤を併用すること。腎機能が低下している場合には血液透析等を考慮すること1)。,
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
本剤は錐体外路系疾患(パーキンソン症候群、アテトーシス等)の治療には適当でない。
健康成人に10mg及び5mgを経口投与した場合、血中濃度は3時間後で最高に達し、血中からの消失半減期は3.6~4.5時間であった2)。
Tmax(h)
Cmax(ng/mL)
T1/2(h)
5mg錠
3
82.8
4.5
10mg錠
121.8
3.6
バクロフェンは消化管からよく吸収される2)。
バクロフェンを20mg 1回投与した場合、乳汁中への移行が認められている(強直性対麻痺患者)3)(外国人のデータ)。
ヒトに経口投与した場合、83~93%が未変化体で4~8%が代謝物として尿中に排泄され、ヒトの体内での代謝はわずかであった(外国人のデータ)。
健康成人に10mg及び5mgを経口投与した場合、24時間までに78.7~80.8%が未変化体として尿中に排泄された。漸増法により連続投与された場合、累積投与に対して尿中排泄率は1日目80.8%、2日目75.8%であり、3日目以降は62~63%と一定であった2)。,,,,
一般臨床試験において、効果判定を5段階評価(著明改善、中等度改善、軽度改善、不変、悪化)した場合の疾患別痙性麻痺における改善度は次表のとおりである。
全般改善度原因疾患
調査例数
著明改善
中等度改善以上
軽度改善以上
脳血管障害
121
4(3.3)
24(19.8)
82(67.8)
脳性(小児)麻痺
134
10(7.5)
34(25.4)
73(54.5)
痙性脊髄麻痺
54
2(3.7)
22(40.7)
44(81.5)
脊髄血管障害
12
1(8.3)
3(25.0)
9(75.0)
頸部脊椎症
34
3(8.8)
8(23.5)
25(73.5)
後縦靱帯骨化症
20
0(0)
4(20.0)
13(65.0)
多発性硬化症
13
5(38.5)
8(61.5)
筋萎縮性側索硬化症
7
2(28.6)
脊髄小脳変性症
4
1(25.0)
外傷後遺症
151
10(6.6)
47(31.1)
97(64.2)
術後後遺症
42
4(9.5)
14(33.3)
34(81.0)
その他の脳性疾患
17
2(11.8)
7(41.2)
10(58.8)
その他のミエロパチー
55
10(18.2)
27(49.1)
数字は累積件数、( )内は累積パーセント
他覚的観察では痙縮及びクローヌスの改善度がやや高く、自覚症状ではこわばり感、つっぱり感及び歩行の改善度がやや高い。副作用発現率は、成人では580例中223例(38.4%)、小児では140例中30例(21.4%)であった。主な副作用は、成人では眠気54件(9.3%)、脱力感39件(6.7%)、悪心30件(5.2%)等であり、小児では脱力感8件(5.8%)、眠気6件(4.3%)、嘔吐4件(2.9%)等であった。
脊髄部位に原因をもつ痙性麻痺患者114例(本剤群59例、塩酸トルベリゾン群55例)を対象に本剤1日30~45mg注)を4週間経口投与し、二重盲検群間比較試験を実施した。その結果、本剤群の有用度(担当医が試験終了時に5段階で評価したもののうち、有用と判断された割合)は51%あり、本剤の有用性が認められている。副作用発現率は、59例中26例(44.1%)であった。また、第2、3、4週の主な副作用の発現率はそれぞれ、眠気は10例(17%)、12例(20%)、10例(17%)、脱力感は7例(12%)、9例(15%)、6例(10%)、悪心は5例(9%)、6例(10%)、6例(10%)等であった4)。
脳及び脊髄部位に原因をもつ痙性麻痺患者194例(本剤群97例、塩酸トルベリゾン群97例)を対象に本剤1日5~40mg注)を4週間経口投与し、二重盲検群間比較試験を実施した。その結果、最終全般改善度、自覚症状改善度、副作用の出現率、有用度で両剤間に有意差は認められなかったが、神経症状のうちアキレス腱反射及び足クローヌスにおいては、推計学的に優位に優れ(p<0.05)、屈曲痙縮、下肢挙上障害では優れる傾向が認められた(p<0.10)。また、脳及び脊髄痙縮に対する本剤の改善率は、65%及び53%であった。副作用発現率は、97例中42例(43.3%)であった。また、第1、2、3、4週の主な副作用の発現率はそれぞれ、脱力感は7例(7.2%)、11例(11.3%)、16例(16.5%)、12例(12.4%)、ふらつきは6例(6.2%)、8例(8.2%)、7例(7.2%)、6例(6.2%)、眠気は4例(4.1%)、7例(7.2%)、9例(9.3%)、7例(7.2%)、食欲不振は1例(1.0%)、4例(4.1%)、7例(7.2%)、6例(6.2%)等であった5)。注)本剤の承認された用法・用量は「通常成人には初回量として1日バクロフェン5~15mgを1~3回に分け食後経口投与し、以後患者の症状を観察しながら標準用量に達するまで2~3日毎に1日5~10mgずつ増量する。標準用量は1日30mgであるが、患者の本剤に対する反応には個人差があるため、年齢、症状に応じて適宜増減する。」である。
バクロフェンは神経筋接合部並びに筋紡錘に影響を及ぼさない用量で脊髄の単シナプス及び多シナプス両反射に対し選択的な抑制作用を示し、実験的固縮モデルについての実験では、上丘-下丘間除脳固縮(γ-固縮)及び貧血性除脳固縮(α-固縮)の両固縮に対し用量依存性の抑制作用が認められている。
行動観察(イヌ6)、ネコ6)、ウサギ6)、マウス6),7))、握力試験(マウス7))並びに回転棒試験(マウス8))において明らかな筋弛緩作用が認められている。
バクロフェンは単シナプス反射、多シナプス反射をともに抑制するが、単シナプス反射に対しより強い抑制作用が認められている(カエル6),7)、ラット7)、ネコ6)、ヒヨコ7))。
前根自発発射の用量依存性の抑制(カエル7),9))、前根の過分極(カエル9))、興奮性シナプス後電位(EPSP)の抑制(カエル10)、ネコ11))、後根反射の抑制(ラット7)、ネコ12))及び後根終末の過分極(カエル10))作用が認められている。
γ-運動ニューロン自発発射の強い持続的な抑制作用(ラット7)、ネコ6))並びに耳介機械刺激誘発発射の軽度抑制作用(ラット7))が認められている。
ネコを用いた実験でRenshaw細胞活性増強作用が認められている13)。
ラット7)及びネコ6)の上丘-下丘間除脳固縮、貧血性除脳固縮の両固縮モデルに対し用量依存性の抑制作用が認められている。
脊髄反射を抑制する用量レベルでは、神経筋接合部(カエル7)、マウス7)、ネコ6))、筋紡錘(カエル7)、ラット7))等に対する末梢作用は認められていない。
圧刺激法(マウス7)、ラット7))、熱板法(マウス14))等において鎮痛作用が認められている。
バクロフェン(Baclofen)
(3RS )-4-Amino-3-(4-chlorophenyl)butanoic acid
C10H12ClNO2
213.66
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。酢酸(100)に溶けやすく、水に溶けにくく、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けにくく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。希塩酸に溶ける。
100錠[10錠(PTP)×10]1,000錠[10錠(PTP)×100]1,000錠[瓶、バラ]
100錠[10錠(PTP)×10]
1) 「日本チバガイギー医薬品過量使用時の症状と処置」日本チバガイギー株式会社・医薬情報部編集.1987:101
2) 高杉紀雄ほか:日本薬学会公演要旨集(第97回).1977:237
3) Eriksson, G. et al.:Scand. J. Clin. Lab. Invest.1981;41(2):185-187
4) 津山直一ほか:新薬と臨床.1977;26(5).805-824
5) 里山営二郎ほか:診断と治療.1977;65(7).1328-1336
6) Fehr, H. U. et al.:J. Int. Med. Res.1974;2:36-47
7) 福田英臣ほか:応用薬理.1977;13(5):611-626
8) Cutting, D. A. et al.:Br. J. Pharmacol.1975;54(2):171-179
9) 福田英臣ほか:第45回日本薬理学会近畿部会1974年6月,日本薬理学雑誌 .1975;71(1)
10) Davidoff, R. A. et al.:Neurology.1974;24(10).957-963
11) Pierau, F. K. et al.:Brain Res.1973;17(54).376-380
12) Pierau, F. K. et al.:Exp.Neurol.1975;48(2).343-351
13) Benecke, R. et al.:Neuropharmacology.1974;13(10-11).1067-1075
14) Levy, R. A. et al.:J.Pharmacol. Exp. Ther.1977;202(2):437-445
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