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日本薬局方
テルビナフィン塩酸塩錠
処方箋医薬品注)
皮膚糸状菌(トリコフィトン属、ミクロスポルム属、エピデルモフィトン属)、カンジダ属、スポロトリックス属、ホンセカエア属による下記感染症。但し、外用抗真菌剤では治療困難な患者に限る。
本剤の投与は、罹患部位、重症度及び感染の範囲より本剤の内服が適切と判断される患者にのみ使用し、外用抗真菌剤で治療可能な患者には使用しないこと。
通常、成人にはテルビナフィンとして125mgを1日1回食後に経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
高い血中濃度が持続するおそれがある。
投与しないこと。肝障害が増悪するおそれがある。,,
本剤の投与中は頻回に肝機能検査を行うなど、観察を十分に行うこと。肝障害が増悪するおそれがある。,,
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。ウサギの器官形成期の大量投与(200mg/kg)により母獣の摂餌量の減少、体重増加の抑制が観察されている。
授乳しないことが望ましい。動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている。
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
副作用の発現に注意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。本剤は主として肝臓で代謝され、胆汁中及び尿中に排泄されるが、高齢者では一般に肝・腎機能が低下していることが多いため高い血中濃度が持続するおそれがある。
シメチジンフルコナゾール
本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。
これらの薬剤によるチトクロームP450の抑制により本剤の代謝が遅延する。
リファンピシン
本剤の血中濃度が低下するとの報告があるので、併用する場合には用量に注意すること。
リファンピシンによる肝代謝酵素の誘導により、本剤の代謝が促進される。
三環系抗うつ剤
マプロチリンデキストロメトルファン
これらの薬剤又はその活性代謝物の血中濃度が上昇することがあるので、併用する場合には用量に注意すること。
本剤のCYP2D6の阻害により、これらの薬剤又はその活性代謝物の代謝が遅延する。
黄体・卵胞ホルモン混合製剤
月経異常があらわれたとの報告があるので注意すること。
機序不明。
シクロスポリン
シクロスポリンの血中濃度が低下したとの報告があるので、併用する場合にはシクロスポリンの血中濃度を参考にシクロスポリンの投与量を調節すること。特に、移植患者では拒絶反応の発現に注意すること。
発疹、皮膚そう痒感、発熱、悪心・嘔吐、食欲不振、けん怠感等の随伴症状に注意すること。,,,,
咽頭炎、発熱、リンパ節腫脹、紫斑、皮下出血等の随伴症状に注意すること。,,
筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等の症状が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
初期症状として発疹、発熱がみられ、更に肝機能障害、リンパ節腫脹、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること。
1%~5%未満
0.1%~1%未満
0.1%未満
頻度不明
過敏症
―
発疹、蕁麻疹、そう痒感、紅斑
光線過敏性反応、顔面浮腫、リンパ節腫脹、多形紅斑、水疱性皮膚炎
乾癬様発疹、血清病様反応
筋・骨格系
筋肉痛
関節痛
肝臓
γ-GTP上昇
AST、ALT、LDH、ALPの上昇
血液
白血球減少
貧血
消化器
胃部不快感
腹痛、悪心、下痢、胃部膨満感、食欲不振、口渇
嘔吐、舌炎
膵炎
精神神経系
めまい、ふらつき、頭痛、眠気
注意力低下、不眠、しびれ
錯感覚、感覚鈍麻、不安、抑うつ
泌尿器
BUN上昇
頻尿
感覚器
味覚異常・味覚消失
耳鳴
嗅覚異常、聴覚障害、聴力低下、霧視、視力低下
その他
トリグリセライド上昇、総コレステロール上昇、疲労・けん怠感
動悸、浮腫、月経異常、脱毛、発熱、CK上昇
乾癬、血管炎、インフルエンザ様疾患、体重減少
悪心、腹痛、めまいが報告されている。
薬物除去には活性炭投与を行う。
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある。
サルへの長期大量(150mg/kg以上)経口投与により網膜上に黄白色点が発現したとの報告があるので、本剤を6ヵ月以上の長期にわたり投与する場合には眼科学的検査を実施することが望ましい。
健康成人10例にテルビナフィン125mgを空腹時又は食後に単回経口投与した場合、食後投与における未変化体の最高血漿中濃度(Cmax)は空腹時投与の約1.5倍であった。最高血漿中濃度到達時間(Tmax)及び半減期(T1/2β)もわずかに遅延がみられたが有意な差は認められなかった。
Tmax(h)
Cmax(ng/mL)
AUC0→72(ng・h/mL)
T1/2β(h)
空腹時
2.0±0.4
472±80
2,361±411
30.8±8.1
食後
2.2±0.3
725±103
3,572±499
39.9±7.1
爪白癬患者にテルビナフィン125mgを1日1回1錠を連日投与した場合、投与2週後より爪甲中に検出され、病爪中濃度は投与12週まで徐々に増加し、12週では0.78μg/gに達し、その後はほぼ同じ濃度で推移した。また、毛髪中には投与23~32週で、平均3.14μg/gのテルビナフィンが検出された1)。更に上記症例のうち追跡可能であった17例(投与時間:28~49週)に対し、本剤中止後の血漿中濃度を測定した結果、血中半減期は2.8週[中央値(min~max):2.8(1.5~28.9)]と、単回投与より延長することが認められた。
血漿中の主代謝産物はカルボン酸体及びN-脱メチルカルボン酸体であった。また、尿中主代謝産物はN-脱メチルカルボン酸体であり、未変化体は検出されなかった。In vitroの試験において、テルビナフィン塩酸塩は主として肝代謝酵素チトクロームP450の分子種CYP2C9、CYP1A2、CYP3A4、CYP2C8、CYP2C19によって代謝され、また、CYP2D6を阻害することが確認された2)。
健康成人に14C-テルビナフィンを経口投与した場合、総放射能の排泄率は尿中約80%及び糞中約20%であった。投与後72時間までに投与量の約85%が排泄された3)(外国人データ)。
白癬(手・足白癬、体部・股部白癬、股部白癬)、皮膚カンジダ症患者174例を対象として本剤1日1回(125mg/日)投与群(以下、1回群)89例と1日2回(250mg/日)投与群(以下、2回群)85例で二重盲検比較試験を実施した結果、皮膚所見の改善率は、手・足白癬で1回群79.4%、2回群84.9%、体部・股部白癬1回群91.9%、2回群93.6%、皮膚カンジダ症1回群75.0%、2回群61.5%あり、手・足白癬においてU検定により有意差が認められたが、他はいずれも両群間に有意差が認められなかった。副作用発現率は安全性解析対象例1回群で87例中7例(8.0%)、2回群で83例中8例(9.6%)であった。主な副作用は、1回群で胃部不快感3.4%(3/87例)、腹痛3.4%(3/87例)、下痢2.3%(2/87例)、2回群で胃部不快感3.6%(3/83例)、悪心2.4%(2/83例)、腹痛1.2%(1/83例)であった4)。
爪白癬患者88例を対象として本剤1日1回(125mg/日)投与群(以下、1回群)45例と1日2回(250mg/日)投与群(以下、2回群)43例で比較検討試験を実施した結果、臨床所見判定の改善以上の改善率は、1回群で88.1%、2回群で88.6%であり、両群間に有意差は認められなかった。副作用発現率は安全性解析対象例1回群で44例中5例(11.4%)、2回群で42例中5例(11.9%)であった。主な副作用は、1回群で胃部不快感4.5%(2/44例)、悪心2.2%(1/44例)、2回群で倦怠感・眠気2.4%(1/42例)であった5)。
爪カンジダ症患者31例を対象として本剤1日1回1錠(125mg/日)投与による有効性及び安全性を検討した結果、最終臨床所見判定での改善率は71.0%であった。副作用発現率は安全性解析対象例32例中4例(12.5%)であり、副作用は胃部不快感、胃部膨満感・腹痛、食欲不振、ふらつき、好酸球上昇及びBUN上昇各3.1%(1/32例)であった6)。
頭部白癬3例、深在性白癬7例(ケルスス禿瘡3例、白癬性毛瘡1例、生毛部急性深在性白癬2例、硬毛部急性深在性白癬1例)、白癬性肉芽腫2例、スポロトリコーシス14例、黒色真菌感染症4例(クロモミコーシス3例)を対象として本剤1日1回(125mg/日)投与による有効性及び安全性を検討した結果、最終臨床所見判定での改善率は、頭部白癬、深在性白癬、白癬性肉芽腫で各100%、カンジダ性肉芽腫で50.0%、スポロトリコーシスで66.7%、クロモミコーシス66.7%であった。安全性評価では、33症例すべてにおいて、副作用の発現は認められなかった7)。
テルビナフィン塩酸塩は真菌細胞内のスクアレンエポキシダーゼを選択的に阻害し、スクアレンの蓄積並びにエルゴステロール含量の低下をもたらし抗真菌作用を示す8)。皮膚糸状菌に対しては低濃度で細胞膜構造を破壊し、殺真菌的に作用する8),9)。また、C.albicansに対しては低濃度から部分的発育阻止効果を示し、高濃度では直接的細胞膜障害作用により抗真菌活性をあらわす10)。
モルモットのT.mentagrophytesあるいはM.canis感染に対しテルビナフィン2.5mg/kg以上1日1回経口投与により優れた真菌学的治療効果が認められている16)。また、T.mentagrophytes接種1~2日前に本剤を1回経口投与した場合、非投与対照に比して発症陽性率及び平均病変スコアの低下が認められ、本剤の薬効の持続性が示された17)。
テルビナフィン塩酸塩(Terbinafine Hydrochloride)
(2E)-N, 6, 6-Trimethyl-N-(naphthalen-1-ylmethyl)hept-2-en-4-yn-1-amine monohydrochloride
C21H25N・HCl
327.89
白色~微黄白色の結晶性の粉末である。メタノール、エタノール(99.5)又は酢酸(100)に溶けやすく、水に溶けにくい。1.0gを水1000mLに溶かした液のpHは3.5~4.5である。
約205℃(分解)
7.4(1-オクタノール/水)
アルミピロー包装開封後は光を避けて保存すること。
100錠[10錠(PTP)×10] 300錠[10錠(PTP)×30]
1) 松本忠彦ほか:西日本皮膚科. 1994;56(2):374-381
2) Vickers, A. E. M. et al.:Drug Metab. Dispos. 1999;27(9):1029-1038
3) Jensen, J. C.:Clin. Exp. Dermatol. 1989;14(2):110-113
4) 香川三郎ほか:基礎と臨床. 1994;28(1):141-164
5) Terbinafine研究班:西日本皮膚科. 1994;56(4):794-808
6) Terbinafine研究班:西日本皮膚科. 1994;56(3):569-577
7) Terbinafine研究班:西日本皮膚科. 1994;56(3):584-594
8) 西山彌生ほか:日本医真菌学会雑誌. 1991;32(2):165-175
9) Ryder, N. S.:Clin. Exp. Dermatol. 1989;14(2):98-100
10) 平谷民雄ほか:日本医真菌学会雑誌. 1992;33(1):9-18
11) Petranyi, G. et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 1987;31(9):1365-1368
12) 平谷民雄ほか:日本医真菌学会雑誌. 1991;32(4):323-332
13) 内田勝久ほか:日本医真菌学会雑誌. 1991;32(4):343-346
14) Schuster, I. et al.:“Preclinical characteristics of allylamines.”;in Berg, D. et al. eds. Sterol Biosynthesis Inhibitors:Pharmaceutical and Agrochemical Aspects.:Pbl.:Ellis Horwood Ltd., Chichester(UK)PP. 1988;449-470
15) Schaude, M. et al.:Mykosen. 1987;30(6):281-287
16) Petranyi, G. et al.:Antimicrob. Agents Chemother. 1987;31(10):1558-1561
17) 内田勝久ほか:Jpn. J. Antibiot. 1994;47(1):50-56
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